2011年05月13日

元ヘビースモーカー和田アキ子、COPD広報大使に就任。

COPD広報大使に和田アキ子さん−日本ベーリンガー、ファイザー

 日本ベーリンガーインゲルハイムとファイザーが展開する慢性閉塞性肺疾患(COPD)の啓発活動の広報大使に、歌手でタレントの和田アキ子さんが就任し、記念イベントが5月11日、都内で開かれた。COPDの一種である肺気腫と診断された経験のある和田さんは、「自分の体験を話すことで、一人でも多くの人にCOPDを知ってもらい、早期発見につながってほしい」と語った。

 COPDは、喫煙などが原因で発症し、呼吸機能が低下していく病気。慢性のせきやたん、息切れなどが主な症状で、COPDによる死亡率は増加傾向にある。国内の推計では、患者数は約500万人に上るのに対し、治療を受けているのは約17万人にとどまる。

 イベントでは、和田さんと結核予防会複十字病院の工藤翔二院長が対談した。ヘビースモーカーだった和田さんは、2008年に軽度の肺気腫と診断されたのを機に禁煙したことで、息切れが治まるようになったといい、早期発見・治療の大切さを強調。工藤院長は、COPD発見のチェックポイントとして、▽40歳以上でたばこを吸っている、または吸っていた▽せき、たんがしつこく続くことがある▽階段を上ると息切れする―の3つを挙げた。

 和田さんは、「COPDは怖い病気なのに、外見からは分からないのが厄介なところ」とし、「こうした症状があったら、年齢のせいにせず、早めにかかりつけ医を受診して」と呼び掛けた。



 和田さん禁煙続いてるのか・・・。凄いなぁ。

 かなりのヘビースモーカーだと思ったんですけど、やめようと思えばやめられる・・・どころかCOPD広報大使に・・・


posted by さじ at 03:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | 呼吸

2011年、医療機関の倒産、1月で7件、18億の負債。

医療機関の倒産、4月は7件−帝国データ

 帝国データバンクの集計によると、今年4月に発生した病院・開業医の倒産は7件だった。負債総額は18億1200万円。

 7件の内訳は、病院2件、診療所2件、歯科医院3件。負債額はそれぞれ、16億2200万円、9000万円、1億円だった。

 病院・開業医の倒産は、1月1件、2月3件、3月5件発生しており、今年の累計はこれで16件となった。昨年は4月が5件で、同月までに12件の倒産が発生している。



 結構な額ですねぇ。

 まあ今はどの医療機関も盤石とはいかんのでしょう。

 開業ともなれば人気商売でしょうし、病院を作ろうものなら赤字は必至でしょうし。世知辛い世の中です。
posted by さじ at 02:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | NEWS

2011年05月12日

幹細胞の培養液で歯槽骨を再生することに名古屋大が成功する

<歯の土台>幹細胞の培養液で再生に成功 名古屋大のチーム

 臓器や骨などのもとになる幹細胞の培養液を使い、ヒトの歯を支えるあごの骨(歯槽骨)を再生することに、上田実・名古屋大教授(顎(がく)顔面外科)らのチームが成功した。幹細胞を移植する方法より安全で効率的な治療として注目される。6月に京都市で開かれる日本炎症・再生医学会で発表する。

 歯周病や抜歯で歯を失うと、歯の土台となる歯槽骨が小さくなり、歯の再建が難しくなる。自分の骨や人工骨を移植するなどの方法があるが、手術時の負担が大きい。

 チームは、ヒトの骨髄幹細胞を培養した液の上澄みを濃縮し、その粉末を精製水に溶かしたものを、左上の奥歯が欠損した40代女性の患部に、インプラント(人工歯根)とともに移植した。

 その結果、歯槽骨が再生し、女性は約5カ月後には硬いものも食べられるようになった。チームは以前、幹細胞を移植することによって歯槽骨を再生させることにも成功しているが、幹細胞にはがん化の危険性があるため、より安全な治療法を模索していた。

 幹細胞そのものでなくても骨が再生するメカニズムについてチームは、幹細胞に含まれるたんぱく質が培養液に溶け出し、そのたんぱく質の働きによって、体内にもともとある幹細胞による骨の再生が促されたとみている。上田教授は「幹細胞移植を伴わなければ、細胞を培養する施設運営のコストや、極めて厳格な管理が不要になり、治療の実用化が容易になる」と話す。



 もうあと十年くらいすると、入れ歯とかいらなくなるかもしれないですね。

 老化によって歯が衰えてしまうのは、まぁどうしようもないものです。でもこういったもののように土台づくりができれば、結構再生することができるんじゃないでしょうかね。

 あとこの技術があれば、若い子でも、事故で失ってしまったところとかを容易に再生できそうではないですか。

医学処:進行した虫歯に電磁波を照射し、骨を再生する治療法。
医学処:虫歯の詰め物に新素材「胆汁酸」を使う。
医学処:骨髄の幹細胞を使って歯周病を治療しよう
医学処:完全な形の歯を培養して再生することに日本歯科大が成功
posted by さじ at 03:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | 歯科

どうしたら当直明けの勤務がなくなるのか。偉い人たちで議論してみた。

医師の長時間勤務、交代制の評価で解決可能か 実態調査の実施へ、「診療報酬での対応は限界」との指摘も

 厚生労働省の中央社会保険医療協議会総会が3月2日に開催され、「病院医療従事者の負担軽減(その1)」について議論した。

 中でも重点課題として上がったのが、長時間連続勤務への対応。同省保険局医療課長の鈴木康裕氏は、各種調査などを基に、勤務医の長時間労働や当直明けの勤務などが問題になっている現状を紹介、特に産婦人科、救急、外科などで厳しい状況が続いているとした。その上で、「特に、リスクが高い業務に長時間連続勤務を行うことについて、どう考えるか。まずはこれをきちんと把握し、それにどんな対応をすべきなのかを検討したい」と説明した。

 具体的対応策として、(1)勤務が交替しても、主治医は変わらない「主治医制」で、夜勤後、十分な休息を確保する方法、(2)勤務の交替に伴い、主治医も代わる「グループ担当医制」で、勤務後の休暇を確保する方法――などがあるとした。(1)の「主治医制」の例としては聖マリア病院産科を、(2)の「グループ担当医制」として、藤沢市民病院小児科、徳島赤十字病院小児科を例示。それぞれメリット、デメリットがあるものの、例えば、藤沢市民病院では小児科医が13人いるなど、3病院とも医師が比較的豊富なために、こうした対応が可能だと言える。 

 もっとも、長時間連続勤務の実態調査には同意が得られたものの、その対応策については様々な意見が出た。総括すれば、長時間連続勤務だけでなく、勤務医の負担軽減には、総合的な対策が必要であり、それを講じるには、診療報酬上の対応だけでは限界があるという指摘だ。

 診療側からは、まず日本医師会常任理事の鈴木邦彦氏が、「交代制勤務は、一つの科に多くの医師がいないとできない。交代制勤務への対応では、極めて限られた施設の評価に終わってしまうのではないか」と指摘、その上で、(1)2010年度診療報酬改定の評価を行い、効果がある施策の拡充、(2)診療以外の業務の負担軽減、医療クラークの慢性期分野への導入、(3)大病院の日中の外来負担軽減のための、中小病院や診療所との連携推進、(4)女性医師対策の実施、(5)時間外の選定療養費の徴収――など、「現実的な対応からまずやっていくべき」と提案した。

 国立がん研究センター理事長の嘉山孝正氏は、「調査に当たっては、都市部と地方では事情が違うので、この点を調べることが必要」と指摘、「特に勤務医の負担になるのが当直だが、交代制勤務の導入は、(対応可能な患者数が減少することから)アクセスの制限、つまりは制度設計を変えることにつながる。そのことも国民も覚悟しなければならない」とつけ加えた。厚労省は、こうした点まで踏まえて提案しているのかを質した格好だ。さらに、「非常に重要な患者を診ている際に、軽症の患者に、『先に診てくれ』など医学的に理不尽なことを言われるという精神的な負担感も大きい」とし、単に診療報酬上での対応にとどまらず、国民の理解を得ながら、勤務医の負担軽減策を検討していくことが必要だとした。

 専門委員の日本看護協会副会長の坂本すが氏も、「急性期病院で一緒に働いてきたものとして、勤務医の長時間勤務問題の解決は急務であり、今この時期に本当に手を打たないと問題」とコメント。例えば産婦人科では、帝王切開が増えているため、24時間オンコール体制も多いなどの現状を例示し、実態調査を行い、議論を進める重要性を強調した。

 一方、支払側からも、健康保険組合連合会専務理事の白川修二氏は、「長時間勤務に関する調査はやってほしい。地域、診療科、病院の規模によっても異なるので、この辺りの実態把握も必要」と述べ、その上で、「長時間勤務になるのは、簡単に言えば、医師が少ないからではないか。それを当直明けの勤務免除といった、診療報酬で対応をするのは限界があるのではないか」と指摘、まずは実態を把握し、国の政策として総合的に取り組むことが必要だとした。



 難しいですよねー実際。

 当直っていうシステムそのものをもっとうまくできないものですかね。どうでもいい軽症患者が来るだけで1時間は最低費やされますし、そういう患者が4人もこようものならほとんど眠れなくなりますからね。

 それってもう、普通だったら「夜勤」として対応するところじゃないですか。

 でも医者は「当直」。その前の日中も働き、当直あけも働くという、わけのわからないシステム。

 どうしたらいいんですかね。

 開業医に手伝ってもらうってのが、一番マンパワーが稼げる現実案かもしれません。

 もしくはベッドフリーの大学院生に、外のバイトではなく夜勤をやってもらうとか。

 いい案ありませんかね。現実的な。
posted by さじ at 03:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | 大学

車椅子で移動時の骨折に対するインシデントレポート。

廊下…車椅子で移動時の骨折(60歳代女性)

1.事故の概要と経過

 脳梗塞による右上下肢麻痺のリハビリを目的に入院中であった。看護助手が車椅子を押して食事に連れていく途中で、患者の右下肢が車椅子の下に挟まって右第5足指末節近位端内側骨折となった。9針縫合、シーネ固定となった。なお、右足第4・5足指間、第5足指側の裂創の縫合にあたっては右下肢麻痺のため麻酔の必要はなかった。

 患者側は娘婿が中心となって、具体的ではないが賠償請求をしてきた。また、医師が「悪い方の足を怪我して良かったね」との発言に憤りを感じ続けた。患者は息子と二人暮らしで、息子は知的障害者の無職であり、生活保護世帯のため医療費の自己負担はなかった。患者は脳梗塞のため発語障害があり、知的障害は認められないが字も書けずにコミュニケーションを取るのが困難な状況にあった。

 医療機関側は、右上下肢麻痺の患者を車椅子で移動させる場合の基本的な注意義務を怠ったとして、全面的に過失を認め患者・家族に謝罪した。

 紛争発生から解決までに約1カ月間要した。

2.問題点

 医療機関側も認めているとおり、右上下肢麻痺の患者を移動させる際には、足の位置等を確認するべきであったろう。食事時で看護助手が忙しかった状況は理解できるが、だからと言って患者を負傷させた正当な理由にはならない。しかも、患者が特に暴れるなど自己責任部分も認められないので全面的に医療機関側の過失と判断せざるを得なかった。患者側にとって医療界のマンパワー不足は医療事故の言い訳にはならないという、医療機関側にとって厳しい現実を突きつけられたケースであった。

3.解決方法

医療機関側が全面的に過誤を認め謝罪と共に賠償金を支払い示談した。

【廊下での医療安全対策】
(1)定期的に床の濡れのチェック(ジュースやプリン等の零れを含む)をする。特に雨天日等は入念に行う。
(2)明るさ(電灯)のチェックを怠らない。
(3)障害物(段ボール等)は撤去する。
(4)前方が見えにくいものは押さずに引く。



 こういう院内の事故の報告をこういう形でインシデントレポートにすることで、全国的に「事故を未然に防ぐ」ことが可能になるわけです。

 なるほど、こういうところに気をつけようという、イメージトレーニングにもなりますしね。
posted by さじ at 02:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | 介護

消化管や膣から内視鏡で手術をする、一切皮膚を傷つけない手術法NOTES

膣、口から「NOTES」、一般化進む 手技の複雑さ、患者のニーズから慎重な声も

 「NOTESは直近の1年で爆発的に普及するようなことはないものの、今後の日本の医療を考えれば、幅広い患者に適応される技術と見るべきだろう」。大分大学第一外科教授の北野正剛氏はこう説明する。日本の腹腔鏡下手術を先進的に導入し、普及に寄与したことでよく知られる北野氏は、NOTESもこれから一般化していくと見る。

 NOTESは2004年に開始された内視鏡手術で、世界的に見ても先端の技術だ。内視鏡を膣や口、肛門などの自然孔から入れて、管腔壁を意図的に切開して体腔内に挿入し手術を行う。体表面を一切切開することなく、究極的な低侵襲手術と捉えられている。国際的なNOTESの研究会であるNOSCARによると、2010年7月までに欧州の2625例を筆頭に、世界で約3500例に実施されている。

 北野氏のグループは、国内でも先進的にNOTESに取り組む。これまでにNOTESの実施は15例で、2011年にも1例で実施している

 大分大学で実施した15例は、軟性内視鏡のみを利用した手術で「Pure NOTES」と呼ばれる。それに対して、腹腔鏡下手術と組み合わせて実施されるケースは「Hytbrid NOTES」と呼ばれる。

 北野氏は、「Pure NOTESは現状では、機器の関係で、腹腔内観察に限り行っている。今はPure NOTESに固執せずに、Hybrid NOTESも行って技術を向上させていくことが大切な時期と考えている。手技の向上や機器の進歩に伴って、適応疾患を増やしていくことになるだろう」と話す。

 今のところ中心的な適用症例は、膵臓癌の術前進行度診断。経胃で腹腔に内視鏡を挿入して膵臓の診断を行う。2011年に実施した1例を含めた13例で実施済みだ。11人では遠隔転移がなく標準的な開腹手術を実施。2例では肝臓への転移が認められ、術前迅速病理診断も実施。早期の化学療法の実施に移行した。

 そのほかの実施例は、NOTESによる胆嚢摘出術。2004年に北野氏らが初めてNOTESを実施した症例は、60代の女性に対する手術で、経膣による胆嚢摘出術を実施して術中の偶発症や術後の合併症なく成功。手術時間は165分。さらにもう1例の経膣の胆嚢摘出術でも術中偶発症、術後合併症なく成功している。手術時間は181分となった。

 北野氏がNOTESが普及していくと見る理由は、実現される利点が大きいと考えるからだ。

 そのメリットは「体表面が切開されないという整容性」の面にとどまらない。術後と疼痛の軽減があるほか、術後回復が早く、創ヘルニアや創感染といった創に対する合併症の予防も実現される。北野氏は、「癌の場合は侵襲があれば予後が悪くなる可能性がある。膵臓癌の術前診断のように、NOTESにより侵襲を低くすることは癌の進展を遅くする観点からも重要」と話す。

 異なる診療科の医師同士の協力により、NOTESの普及は進むと見る。北野氏は、「低侵襲の治療においては、もはや内科や外科といった旧来の診療科単独で完結しなくなる。消化器内視鏡学における卓越した技術と経験、内視鏡外科学の手術手技を応用していくことが必要」と語る。

 そうした前提の下に、今後、対象も広がる可能性はある。「適応される症例の一つは、PEG のレスキュー」と北野氏は例を挙げる。胃瘻の経皮内視鏡的胃瘻造成術(PEG)の器具脱落を元に戻すものだ。NOTESの適用によって、従来必要とされた大掛かりな手術を不要とする。ほかにも、消化管出血、穿孔の治療、胸郭や腹腔鏡内の観察などが考えられる。既に、NOTESの技術を応用した方法としては、アカラシアの治療において、NOTESを応用した形で実用化が進む.

 NOTESの手技を支援する機材としては、ロボットのように手術を内視鏡の先端で行う機器、縫合閉鎖のための機器、エネルギーデバイスなどの開発が進む。北野氏は、「NOTESの臨床研究は確実に進んでおり、多施設の前向き研究も進行中。今後発展させるには、機器開発と臨床研究による有用性の評価が重要だ」と話す。

 「NOTESが広がるかと言えば、希望する人はいるかもしれないが、なかなか幅広い患者に行われることにならないのではないか」。杏林大学消化器・一般外科講師の阿部展次氏はこう説明する。

 阿部氏が課題として考えているのは、誰に対してNOTESを適用することになるか、および誰がNOTESを行うことになるか。

 NOTESの大きな利点として、整容性の面で切開創ができないことが挙げられる。その観点で適用を考えた時、絶対に体表面に創が付かないというメリットに対するニーズは、一つには美容目的で創ができては困る職業の人、もう一方ではスポーツの選手といったケースで、切開で体のバランスが崩れる懸念を無視できない場合がある。

 また、阿部氏は「豚を使った臨床研究として、NOTESの手技を経験したが、手術時間がどうしても従来法と比較すると長くなる。腹腔鏡を用いれば、短時間で行えるような胆嚢摘出術や虫垂摘出術といった手術を、多くの時間をかけて行う意味は小さいのではないか」と話す。実際、NOTESを行うと、手術時間は腹腔鏡下手術を実施する場合と比較すると、手技の難易度が高いために手術時間が長くなる傾向がある。

 誰が行うかにも課題がある。NOTESは軟性内視鏡を用いるので、内科で軟性内視鏡に慣れている医師が行うケースが想定される。しかし、術中に偶発症が起きた場合、開腹手術に移行する必要がある。外科が付き添う必要があるが、どの医療機関でも対応できるとは限らない。一方で外科医が行うケースも想定されるが、軟性内視鏡の扱いに慣れた外科医が少ない。NOTESに対応した医療体制を整えることが至難の業となる。

 阿部氏は、「NOTESは低侵襲といっても、胃や膣を意図的に穿孔させるため、孔を閉鎖する必要が出てくる。もう一つの手術が加わることになる。胆嚢摘出術のような良性疾患の手術で、NOTESを行うことで、偶発症や合併症を起こすことは避けたい。NOTESの幅広い症例に適応することには慎重にならざるを得ない」と語る。

 課題としては、感染の予防、臓器の把持や切開、止血を確実に行う方法の開発、腹腔内での確実な縫合閉鎖の方法の開発、偶発症例への対応など多岐にわたっている。阿部氏は「今後もごく限定した症例に行う特殊な治療としては重要になる可能性はある。一部の医師が技術を習得する必要もある可能性はある。しかし、一般化していく方向ではないのでは」と話す。

 さらに、体表面の切開創を減らす意味では、NOTESではなくても実現できるとも指摘される。腹腔鏡下手術では、腹腔内に挿入する鉗子の数を減らす試みが進んでおり、最近ではへそだけを切開して腹腔鏡下手術を実施する単孔式の方法が普及しつつある。「Reduced Port Surgery」と呼ばれている。阿部氏は、「切開による孔を減らす観点では、NOTESが広まるのではなく、むしろ単孔式が普及していくだろう」と推測する。



 漫画だけの世界ではなく実際に広まりかけているんですねぇ。

 皮膚を切開しないですむNOTESは、美容面でとても有用です。まあ全員にやるというわけではなくて、例えば人前で肌を露出するようなアイドルのような存在とか、極力侵襲性のない治療を行いたい人などが適用ですかね。正直今の腹腔鏡技術ならばほとんど侵襲性もないですし、術者側からすれば確実に行える分リスクは少ないかなぁと。

 いまのところ私だったら腹腔鏡手術を行ってもらいたいですかね。もちろん傷がないにこしたことはないですけど、それ以上に丁寧に内臓をあつかってほしい。笑
posted by さじ at 00:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | 消化

2011年05月11日

国内で補助人工心臓が臨床使用可能に。60歳以上にも適用できるか。

60歳以上にも補助人工心臓を 心臓移植の対象外で、現状は適用にハードル

 「いよいよ国内でも補助人工心臓が臨床で使用可能になる。重要な問題は、60歳以上の患者にも使えるかどうか。最低限65歳までの心不全患者には積極的に適用できるようにしていくべきだ」。東京大学重症心不全治療開発講座特任教授の許俊鋭氏はこう話す。

 今年、人工心臓の領域に、大きな変化が起きる。国産の埋め込み型補助人工心臓が相次いで保険適用され、臨床現場に登場する見込みだからだ。体内にポンプを埋め込み、ポンプの力で大動脈へと血液を持続的に駆出する。従来の体外式の補助人工心臓を付ける場合とは異なり、患者は従来よりも自由な行動ができる。

 埋め込み型補助人工心臓の適用条件は、心臓移植の待機リストに載っているか、登録申請中であること。国内の埋め込み型補助人工心臓の考え方は、心臓移植までのつなぎとしての利用となっている。人工心臓で心機能を代替する延命治療としての用途では適用されない。

 この場合に問題となるのが、60歳以上の患者に埋め込み型補助人工心臓が適用できるか否か。というのは、従来、心臓移植の適用条件は、実質的に60歳未満に限定されてきたからだ。日本循環器学会心臓移植委員会は、心臓移植の適応条件として「60歳未満が望ましい」と規定。国内では2010年の実績で心臓移植が年間23人にしか行われない中で、若年層への移植を優先しようとの考えがあったからだ。この記載もあり、60歳以上の心不全の患者が、日本臓器移植ネットワークの移植待機リストに登録されるのは難しかった。

 埋め込み型補助人工心臓の適応条件で従来の補助人工心臓と大きく異なるのは、待機リストの登録者だけではなく、申請者も対象となったことだ。60歳以上の患者が申請さえしていれば、適応される道が開かれたのは大きな変化となる。

 許氏は、「補助人工心臓は大量生産が可能で、心臓移植のような量的制限は問題になりにくい。これからは心臓移植を受けるチャンスがなかった60歳以上の患者にこそ、補助人工心臓を適用する方向に持っていくべき。最低限、現役世代と言える65歳までは適応になる」と話す。6学会、2研究会で構成する日本臨床補助人工心臓研究会は2010年11月、埋め込み型補助人工心臓の実施基準案の患者の選択基準として「65歳以下が望ましい(身体能力によっては65歳以上も考慮する)」と掲げた。

 医療費について許氏は、「問題ないのではないか。米国の人工心臓に関わる医療費は600億円から800億円と見られる。日本では、5分の1から8分の1になるのではないか。金額は年間100億円ほどと推定する。現在、渡航移植や体外式補助人工心臓に使われている費用を当てれば賄える規模。今後、最大で年間300例ほどが恩恵を受けるのでは」と見る。透析医療にかかる経費は2兆円を超えるが、そうした規模に高まることはないとの考え。

 「国内では認定組織で治療が行われる。「J-MACS」という枠組みで全例登録もされる。60歳以上に対して闇雲に補助人工心臓が適用されることはない」と許氏は説明する。

 補助人工心臓を60歳以上の高年齢層に適用していくことには慎重な考えも根強いようだ。

 一つには、医療コストへのインパクトに対する懸念が行政側にあると見られている。国内には心不全の患者が100万人から200万人と推定されており、大多数が60歳超と推定される。こうした患者層に補助人工心臓が延命治療として実施されたとすれば、透析医療に並ぶ規模の医療費がかかるかもしれないという見方がある。

 加齢に伴って、日常生活が強く制限される重症心不全に至るケースはある。無症状であったり、薬物療法で改善が見られたりすればよいが、症状が悪化していけば心臓移植の適応条件の範疇にも入る。

 埋め込み型補助人工心臓の登場は、心臓移植を受ける機会がなかった60歳以上の心不全患者にとっては福音だ。

 従来、60歳以上で心不全が進行した場合、心臓移植への道は選べない。国内で2010年、心臓移植が年間23人にしか行われていない。日本循環器学会心臓移植委員会の適応条件では、「60歳未満が望ましい」と記載、60歳以上の心不全患者は日本臓器移植ネットワークの待機リストに登録することが難しい。移植心臓は若年層に優先的に回ることになる。

 治療の選択肢がなかった60歳以上の心不全患者が、埋め込み型補助人工心臓の適用を受けたいと希望してきて不思議はない。移植希望の待機リストに申請をすれば、適応の可能性はある。

 もっとも、埋め込み型補助人工心臓の適応条件は、心臓移植までの待機期間をつなぐ目的のみに限るとされる。その前提に立てば、国内の移植心臓のドナーが急増しない状況で、60歳以上の心不全の患者に補助人工心臓を適用するのは筋が通らないとの見方はあるだろう。60歳以上の患者に対して、心臓移植が行われる見込みがないからだ。



 なるほど・・・いいことばかりじゃないですね。

 確かに現実問題として、この適応範囲を広げてしまったら、どうなってしまうのか。透析クラスの医療費が必要になってしまう。

 いやそもそもそれ以前に高齢で心不全で、となったら、その寿命という話もありますし。希望すれば誰でも受けられる医療、とするわけにはいかなそうです。

 とはいえ移植後進国の日本にとってはこれは大変有用です。心臓移植までの待ちの間、これがあれば病院で何年も入院しなければならないということもなくなるでしょうし、患者さんのQOLも飛躍的に上がるはずです。
posted by さじ at 01:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | 循環

2011年05月10日

特定看護師の条件や医行為の許容範囲などを議論するワーキンググループ

「特定看護師」の要件や医行為の案を提示

 厚生労働省の「チーム医療推進会議」の「チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ(WG)」(座長:有賀徹・昭和大学病院長)の第13回会議で、同省は「特定看護師(仮称)」の要件やその業務範囲の案を提示した(資料は厚労省のホームページに掲載)。

 要件は、(1)看護師の免許を有する、(2)実務経験5年以上、(3)厚労大臣の指定を受けた養成過程を修了、(4)厚労大臣から知識・能力・技術の確認・評価を受ける――など。「養成課程」は、2年課程と8カ月程度の課程の2種類を設けるとし、業務の範囲に差を設けることとしている。2010年度から実施されている「特定看護師(仮称)養成調査試行事業」は、2年課程の大学院における「修士課程調査試行事業」と、日本看護協会などにおける「研修課程調査試行事業」に分かれている点を念頭に置いた対応と言える。

 専門看護師や認定看護師との関係については、「医療現場において担う役割は完全に一致するものではなく、医療サービスの質の向上の観点からはいずれの枠組みも必要」であるとした。「特定の医行為」を「特定看護師(仮称)」のみに認める業務独占、さらには名称独占にするかについては規定せず、メリット、デメリットをそれぞれ挙げるにとどまった。

 具体的な業務・行為例としては、例えば、急性期などでは、抗不整脈剤の投与のほか、経口・経鼻挿管チューブの挿管・抜管、皮下膿瘍の切開・排膿など、慢性期・在宅では褥瘡の壊死組織のデブリードマンなどが挙がり、侵襲を伴う処置なども含まれている。「現在看護師が実施している割合が、約10%以下の行為の中から、今後看護師が実施する可能性や試行事業の状況なども踏まえ、例として挙げた」(厚労省医政局看護課)。

 社会医療法人董仙会理事長の神野正博氏は、「特定看護師(仮称)が実施する医行為がようやく出てきた。ただ、現場で優秀な看護師が既にやっている行為もあり、わざわざ大学院を修了する必要があるかなど、要件については議論の余地がある」と述べた上で、「特定看護師(仮称)の行為には、責任が伴う。特定の医行為を実施させるならば、(診療の補助は医師の指示の下で行うと規定した)保助看法37条を変更する必要があるのではないか」と指摘。

 東京大学大学院法学政治学研究科教授の山本隆司氏は、「現在の法律は、看護師をすべて等しく扱い、『診療の補助』の範囲については、通知で拡大されてきた。『この要件を満たした看護師は、○○の行為ができる』という規定は、通知ではできず、法制度そのものを変える必要がある。ただし、変更する際は、現場が動け、現場とのかい離がない形で制度を作る必要があり、議論が必要」との見方を示した。

 「フィジシャン アシスタントを作るのか」

 もっとも、27日の議論の多くは、「特定看護師(仮称)」の要件などではなく、「特定看護師(仮称)」の創設に向けた議論の進め方に終始した。

 議論の進め方に異論を呈したのは、財団法人星総合病院理事長の星北斗氏や東京医科歯科大学大学院教授の井上智子氏など。

 星氏は、従前からの主張を繰り返し、「医療現場の実態を踏まえ、どんな行為であれば、一定のトレーニングを積むことにより、看護師が安心して実施できるか。それを見極め、特定看護師(仮称)の業務として位置づけていくことが必要。しかし、この議論のためにはデータがまだ集まっていない。試行事業のデータを踏まえる必要があるが、なぜこんなに議論を急ぐのかが分からない。また専門看護師と認定看護師が現在、どんな仕事をし、何が問題になっているのか、特定看護師(仮称)とどう違うのか、そうした議論もないままに進められることに、本ワーキンググループへの不信感がある」と強く問題視した。

 井上氏は、「看護師の業務範囲の拡大はありがたいが、2010年3月の厚労省検討会報告書で、特定看護師(仮称)が打ち出された時には、看護界にはむしろ不満が出た」と指摘、星氏と同様に、専門看護師や認定看護師と「特定看護師(仮称)」の役割の違いについて説明を求めた。さらに、「特定看護師(仮称)の役割を、医行為の形で列挙されると、『医行為を行う大卒の看護師を作る』といったイメージが拭えない。このままでは、PA(フィジシャン アシスタント)を作ることになりかねない。その方向に行くのはとんでもないこと」とクギを刺した。

 一方で、「特定看護師(仮称)」創設に向けた議論を支持したのが、防衛医科大学校外科教授の前原正明氏、亀田総合病院看護部長の竹股喜代子氏、東京大学大学院医学系研究科教授の真田弘美氏など。

 前原氏は、「特定看護師(仮称)へのニーズがあり、その話を前に進めようとして始まったのが、このワーキンググループ。周術期や在宅など、ニーズがあるところから始めていくべきというのが私の考え。結論は、5年も10年も待てない。1年、2年ののうちにやっていきたい。試行事業で問題があれば、チェックしていけばいい」と指摘。また、「特定看護師(仮称)」は、専門看護師や認定看護師とは、一定の医学教育を課すこと、また実践内容などの点で相違があるとした。

 竹股氏は、「看護師が可能な範囲は徐々に広がってきており、私が看護師になった時代と今とでは相当違う。それが患者に貢献していることは分かる。確かに大変で、教育には時間もかかるが、特定看護師(仮称)の議論を機に、それ以外の看護師の業務範囲を発展させていく機運も高まっている。両者は同時進行でやっていくのがいいのではないか」とコメント。さらに、専門看護師や認定看護師と、「特定看護師(仮称)」は、侵襲性が高い行為が行い得る点などで相違があるとした。「是非はあるが、今回は医行為の拡大が前提であり、そのためにはどんなアプローチが必要かというプロセスで議論していくべき」(竹股氏)。

 真田氏は、「最初に特定看護師(仮称)の話が出た時には驚いたが、看護師がリアルタイムに対応できないのも現実。その解決策として、特定の医行為を認める条件を検討するのが、このワーキンググループの役割ではなかったのか。もともと“ グレーゾン”の問題があり、看護業務実態調査を行った。その結果を踏まえ、特定看護師(仮称)が可能な医行為を議論するプロセス自体には問題ない」との考えを示した上で、「特定看護師(仮称)」に対し、仮に侵襲性の高い医行為を認めるにしても、あくまで医師の包括的指示の下での実施を前提とするが、この包括的指示の定義が曖昧なために、議論が難しくなっていると指摘した。



 特定看護師、と銘打ってますけれど、要するに助産師みたいなポジションというか、「通常の看護師より行える医行為が格段に多い」のが特徴といったところでしょうか。

 確かに記事中にある「否定派」の意見ももっともですけど、今からいちいちデータを集めてどうたらとかしなくていいんじゃないですかね。そもそも看護業務がグレーゾーンなのですから。ここはひとつフレキシブルに動いてみてもいいのでは。

 何故必要かというと、もちろん医師不足な地域における「医療行為を行える人手不足」に対応するため、でしょう。

 正直言って医師と看護師は全然別ものですけれど、だからこそ、「必要な医療行為」は「どちらがやってもいい」と思うんですよね。

 昔はもっと、看護師は「ただ看護するだけ」だったのかもしれないですけど、今その看護の質そのものが変わってきているわけで。

 褥瘡専門の看護師の知識は普通の医者以上にありますし。そういう知識を備えながら、在宅でデブリードマンなどの手技を行うのに何の危険性も感じませんが(もしそれで危険だというのなら医師免許をとった者全員がやっていいはずがない)

 否定派の意見はどっちかというと都会の総合病院で「医療行為のお手伝い=フィジシャンアシスタント」を行うのを懸念していて、肯定派は「地方の医師不足の小さいところで必要とされている医行為を行えるようにする」というところにあるのでしょう。

 個人的には「医行為を行える人が増えるにこしたことはない」と考えますので、別にいいと思うんです。フレキシブルに、ね。

医学処:急性期看護の日本版「ナースプラクティショナー」を養成
posted by さじ at 23:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | 介護

初期研修を出身大学の県で行うという案の撤回を表明する

初期研修は出身大学の県で」との提案を撤回、日医

 日本医師会は、医師養成制度の改革案について、2011年1月に発表した「初期臨床研修は、原則、出身大学の所在する都道府県で行う」との提案を撤回し、「出身大学に設置された臨床研修センターに軸足を置きつつ、研修希望者の意思を勘案し、地域を定めず研修先を決定する」との方針に転換したと発表した。

 三上裕司・常任理事は、初期臨床研修を原則、出身大学の所在都道府県で行うとした案に対し、都道府県医師会や関係団体から反対意見が多く上ったと説明。また、一般教養を「医学教養」として見直すとの提案にも、リベラルアーツの重視を求める指摘があり、見直しを行ったとした。

【石川県代議員・紺谷一浩氏の質問(個人質問)】

 医師は、患者・地域住民の健康と命を守る極めて倫理性の高い職業であり、医学教育においては、広くリベラルアーツを学ぶことが極めて重要。日医の医師養成改革案では、一般教養を見直し、医学教養とするとしている。リベラルアーツに充てる時間が全く担保されておらず、深い思索・探求力を陶冶することが事実上困難。

 また、医学部教育6年間、初期臨床研修2年間を出身大学の所在都道府県で行うとのことだが、大学医学部の設置状況と国民の生活区域、住民数はミスマッチしており、さらに高等学校終了時という未成熟な若者に、8年間の行動様式を強要することになる。現在の医師不足・偏在を解消するために、研修医の行動を拘束することはナンセンスである。医師偏在の解消が大きな動機であり、医師の生涯教育の観点が抜け落ちている。

【三上裕司・常任理事の回答】

 医師養成についての日医案は、1月に提示した段階では、今後、検討を深めることを前提としていた。しかし、その説明が不十分であり、成案として受け止められ、混乱を来たしたとすれば、誠に遺憾であり、お詫びする。都道府県医師会・関係団体から様々な批判を含む意見をいただいた。

 リベラルアーツの重要性について、立花隆氏は、「リベラルアーツはバランスの取れたジェネラルな知識を与えることで、物事をトータルに見ることができる人間を育てようとすること」(1997年『知的亡国論』)と述べている。また、病院団体からも、「面接の際、研修医にリベラルアーツが欠けていることを実感する」との意見があった。そこで、医師がリベラルアーツを学ぶことの重要性に鑑み、「一般教養のあり方を見直し、大学6年間を通じたリベラルアーツ教育により、医師としての資質を涵養する」と変更した。

 出身大学の所在都道府県で医学部・初期研修の8年間を過ごすことについては、医師の地域偏在を解消し、若手医師が地域医療を担ってくれることを期待したものだった。しかし、これには賛成もあったが多くの批判もあった。そこで、「研修希望者は、出身大学に設置された臨床研修センターに登録し、臨床研修センターは研修希望者の意思を勘案し、地域を定めず研修先を決定する」との内容に修正した。研修希望者は、母校に軸足を置きつつも、希望する研修機関で体系的な研修を受けることができる内容の提案とした。

【北海道代議員・畑俊一氏の質問(ブロック代表質問)】

 次の3点について、どのように考えるか。(1)将来の状況変化を踏まえた適正医師数、(2)女性医師の活用、(3)医師の地域偏在・診療科偏在にいかに取り組むか。

 (1)日医は、昨今の医学部定員増、またわが国の人口減により、医療需要に対処できる一定の医師数は確保できると推計している。しかし、高齢化による有病率・重症率の上昇、医療の高度化、在宅医療推進、プライマリケア医・臓器別専門医の割合、女性医師の活動度合いなど、従来の人口1000人当たり医師数という概念を超えた考慮が必要となり、医師養成数のあり方について弾力的な対処が求められる。

 (2)女性の医学部入学者・29歳以下の医師に占める割合が増加しているが、ワーク・ライフ・バランスの確率していないわが国において、女性医師の勤務環境は過酷。現実に、地方で勤務しない、ハードな科を選択しないなど、医師不足・医師偏在の問題に、女性医師の問題が大きく関わっていることは事実。女性医師が希望を持って働く環境を整備しなければ、医師養成数は確保されても、実働医師数は増えない。

 (3)医師養成制度改革案における、「原則として出身大学の所在都道府県で初期臨床研修を行う」との考えは、医師の地域偏在解消の糸口となる、説得力のある案と思われる。しかし、現状では、地方では優秀な学生が中央を目指し、地元医学部受験を避ける可能性が危惧される。また、既に都道府県の枠組みを越えて医療連携が進んでいる地域もあり、時代に逆行しているとの意見もある。

【羽生田俊・副会長の回答】

 (1)適正な医師数の基準は、総論的には人口1000人当たり医師数であり、現在日本は2.2人(OECD加盟33カ国中30位)。OECD平均の3.1人をまずはクリアしたい。地域における必要医師数は、年齢構成、疾病構造、面積・地形、人口分布、医療機関数・形態、診療科分布、患者ニーズの変化などによって異なる。複数因子を考慮しつつ、必要医師数の見直しを適宜行っていく。必要医師数の実態把握について、日医の「医師確保のための実態調査」(2008年)、厚生労働省「病院等における必要医師数実態調査」(2010年)では、いずれも「現状の1.1倍程度の医師数が必要」との結果だった。しかし、これらはあくまで現状の必要数の調査。勤務医の過重労働を緩和し、あるべき医療を提供するための必要医師数については、今後、継続的に調査・把握し、それに応じた見直し・提言を行っていく。

 (2)今年度の医師国家試験では、女性医師の割合は32.5%。女性医師が妊娠・出産・育児を理由に離職してしまうことがないよう、勤務環境整備・支援策が肝要。女性医師の勤務環境改善は、男性医師の勤務環境改善にも繋がることは周知の事実。確かに、女性医師の診療科別医師数比率では、外科系・救急医療などが低い傾向となっている。しかし、医師不足、勤務医の過重労働、不確定要素の多い医療への国民の過剰な期待、医療事故責任追及への恐れなどから、若い世代の男性医師も、勤務が過酷であり、リスクの高い診療科を回避するようになってきており、仕事よりも自身の生活を優先する傾向がある。そもそも医師偏在は、長年の医療費抑制策が主因。今後も医師の勤務環境改善に全力で取り組む。

 (3)改革案発表後、各都道府県医師会などから意見をいただき、見直しを行った。当初、「原則、出身大学の都道府県で初期臨床研修を行う」としていたが、「出身大学に軸足を置きつつも、研修希望者の意向を勘案し、出身大学の都道府県以外も含めて研修先を決定する」と、弾力性を持った内容に変更した。初期臨床研修を成果あるものにするために、医師会・大学・医療機関・行政・住民の参加による「医師研修機構」の創設、卒業生の軸足となるべき出身大学の臨床研修センターを置くとの方針には変わりはない。また、臨床研修の定数は卒業生と概ね一致させる必要があると考えている。



 まあどこで研修しても大学病院ならば同じだと思いますが、研修医がそこを選ぶような魅力的な病院づくりが必要ではありますね。

 女性医師問題は難しい。出産後に受け入れる体制が整っているかというと、そうではないですよ、実際。いくら「頑張ってる」といっても、そこまで気にかけられないという病院は多いのでは。

 まあそれは病院のせいではないんですけどね。病院が赤字になってしまうような医療政策なのがいけないのであって。保育施設を作るとか、そういう費用を当たり前のようにどんどん使えるような病院ならば女性医師もそこで働けるんですけれどもね。難しいが。
posted by さじ at 21:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | 大学

慶應大学初の女性臨床教授。何と慶應大出身ではなかった。

慶應大初の女性臨床教授、「迷いはない」 - 慶應義塾大学呼吸器内科教授・別役智子氏に聞く

 この4月、慶應義塾大学に二つの意味で異例の臨床系教授が誕生した。この3月まで、北海道大学呼吸器内科准教授を務めていた、別役智子氏だ慶應大で女性の臨床教授は初めて。また、慶應大出身者の教授が多い中で、北海道大学出身、その後も北大に勤務し、慶應大には今回の教授就任を機に初めて所属する点でも異例と言えよう。

 「慢性の呼吸器疾患の難しさ、そして患者さんの願いを叶えることができないもどかしさを日々感じている」と語る別役氏は、「呼吸器疾患の基礎と臨床の両輪で進め、良き臨床医、研究者を育てていきたい」との抱負を語る。

 ――まず先生のご略歴をお教えください。

 1989年3月に北海道大学を卒業し、第一内科に入局、北大やその関連病院で研修をしています。最初から呼吸器内科を専門にしていました。その後、1996年から2000年までの4年間、米国ミズーリ州セントルイスのワシントン大学に留学しています。帰国後は北大に戻り、第一内科の助手、講師、2008年4月には准教授になりました。

 ――留学先ではどんな仕事をされていたのでしょうか。

 留学前は、仕事のほぼ100%は臨床でしたが、留学先では基礎研究に従事しました。マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)やCOPDの病態などの研究です。4年間の留学期間はやや長い方かもしれませんが、このまま米国で仕事を続けようかとも考えてくらいです。

 ――その後は、研究と臨床の両輪で。

 多くの先生方もそうだと思いますが、平日の日中は診療し、夜や週末に研究する日々でした。平日でも時間が空けば、論文を書いたりする。いつも患者さんのことを考えている一方で、「あの研究はどのように進めようか」などと常に思案しています。

 ――先生は、呼吸器疾患でも、COPDや肺気腫を専門にしています。これらの患者さんの臨床上、心がけていることは何でしょうか。

 日々の臨床では、慢性疾患の難しさ、そして患者さんの願いを叶えることができないもどかしさを感じています。

 慢性呼吸器疾患の患者さんの場合、10年以上のお付き合いになることも少なくありません。患者さんの中には、「20年以上も前に禁煙したのに、なぜCOPDがよくならないのか」、「間質性肺炎の原因となった薬の服用をやめているのに、進行していくのか」などと嘆く方もおられます。慢性呼吸器疾患の場合、徐々に進行したり、突然何らかのきっかけで急性増悪することがあります。しかし、そのきっかけが分からない。これは私のリサーチのテーマでもあります。

 患者さんとしては、元の体に戻りたいために、私を信頼して受診してくださるのに、それができない。さらに患者さんが高齢化すると、合併症も生じてくる。この意味で、慢性呼吸器疾患は、「Aging医学」とも言えます。

 最近では長年診ている患者さんが、がんになるケースも増えています。COPDや間質性肺炎などがベースにあると、肺がんのリスクが高まります。せっかくCOPDをコントロールしていたのに、がんが発見される。しかも、これらの疾患があると、手術、放射線療法などが難しく、新薬も使えないことが多いなど、治療上、様々な制約があります。こうした状況は、肺がんを早期発見した場合でも、患者さんにとっては非常にショックなことです。

 私はオンコロジストではありませんが、2010年3月から、またワシントン大学のDepartment of Developmental Biologyに留学したのは、これまで慢性疾患を診ていた立場から、がんについて研究するのが目的でした。肺がんの臨床のほか、臨床研究の手法を学び、肺がんのモデルマウスを使った研究などもしていました。

 ――2010年3月に留学した時点では、北大に戻る予定だったのでしょうか。

 はい。その後、慶應大の教授就任のお話をいただきました。

 ――お話を聞いた時、どう受け止められたのでしょうか。

 正直、驚き、北大の所属医局の教授に相談しました。そうしたら、「ありがたいお話」だと。その後、履歴書を提出し、今後の展望などをプレゼンテーションするために昨年6月に一時帰国しました。その際、質疑応答もしています。

 ――どんな質問を受けたのでしょうか。

 幾つか質問されましたが、例えば、「初の女性の臨床教授になることに、覚悟はありますか」、「不安は」などです。でも私自身、様々なところに行き、友人を作ったり、違う世界に入り、仕事をすることが苦手ではありません。だから迷いはありませんでした。最終的に今年2月末の教授会で決定しました。

 ――先生は長年、北大に所属していたわけですが、慶應大のことをどのように見ておられたのでしょうか。

 私たちは、他施設の先生方と学会などで知り合いになっても、その大学の仕組み、制度、教育方針などについては、意外に知りません。ですから、慶應大のことについても、一般の方と同じくらいのイメージ、知識しかなく、あまり詳しくは知りませんでした。

 ――例えば、どんなイメージでしょうか。

 そうですね。例えば、いい意味でも、またそうでない意味でも、慶應大の教授は、慶應大を出身された方が多い。

 ――それはどのような意味でしょうか。

 北大には、様々な大学の出身者がいました。他大学から来た先生がきっかけとなり、新たな交流が生まれたりしていました。また、北大に来て、新しいことを始める人も多い。だから、今度は、私がこうした役割を慶應大で果たせれば、と考えています。

 また国立大学と私立大学の違いもあります。教授選考過程で感じたのですが、先生方の慶応大に対する愛情、思い入れは非常に強い。自分たちの大学をさらに発展させていこうという姿勢を感じ、非常にすばらしいことだと感じました。

 ――今後の抱負をお聞かせください。

 教室のスタッフには、呼吸器疾患の基礎と臨床、どちらかに偏ることなく、両輪で進めていきたいとお話しました。例えば、一人ひとりの医師の日々の仕事で、あるいはその医師のライフサイクルの中で、さらには当教室の中で、両者をバランスよくやっていきたいということです。こうした姿勢で取り組むのは、私自身がこれまでこのようにやってきたからです。私は、自分がやってきたこと以外は、スタッフに指示することはできない人間です。私自身が身に付けたことを後進に伝えていくのが私の役割。

 また私は、“箱を作りたい”と考えているわけはありません。外から見て立派な箱でも、仕方がありません。そうではなく、人が育つ環境を作り、ここから優秀な研究者、臨床医が育ってほしい。スタッフには、成長し、充実した日々を送ってもらいたいと考えています。

 もっとも、ここに来てまだ約2週間(インタビューは4月19日に実施)。私にとってすべてが新しいことですが、スタッフにとっても同様でしょう。私の前任の教授は、病気療養を経て、約1年半前にご逝去されています。教授不在の期間が続き、いろいろと不安に思っているスタッフもいると思います。お互いに心を開いて話し合い、私は何とかいい形でリーダーシップを発揮し、皆がいい仕事ができる環境を作っていきたいと考えています。

 先ほどもお話しましたが、私は、「背中を見せて」、育てるタイプ。知り合いのドクターは、私は自分自身に厳しいタイプだと思われているようです。でも先ほどもお話しましたが、自分がやらないこと、手を抜いていることを、若いドクターに押し付けることはできません。私が研究しないことを、研究者として強要することもできません。とはいえ、人をいかに育てるかは永遠の課題。私のやり方が正しかったのかどうかは、定年を迎えた時に振り返ってみて評価したいと考えています。



 初の女性臨床教授というのも確かに驚きですが、それ以上に「慶應が慶應卒以外の医師を教授にした」というほうが驚きです。

 結構閉鎖的な大学だと思ってたんですけど、ここまでするというのは。

 「慶應の卒業生だけを優先させることが自大学の繁栄に繋がらない」ということをが分かったのでしょうか。より優秀な人材をどんどん吸収していかなければ、叶いっこないですからねぇ。無駄な学歴主義やプライドは捨て置いて、患者のため、医学の発展のために進んでいただきたい。

 この教授を全力で応援します。陰湿なイジメみたいのが起こらないことを祈ります。まぁさすがに慶應といえど大人でしょうから、そのあたりは。
posted by さじ at 19:55 | Comment(1) | TrackBack(0) | 大学

診療所でも治療可能ー前立腺がんを温熱療法で治療する。

前立腺がんを温熱療法で治す 開発した医師が成果報告

 前立腺がんの画期的な治療法が生まれた。診療所で施せる簡便さが売り物で、埼玉県央病院(埼玉県桶川市)顧問の小柴健・北里大学名誉教授が開発した。2011年4月21日、名古屋市で開かれた日本泌尿器科学会で発表された。

 「外科手術や放射線治療よりも、患者さんの負担が少なく、副作用も小さい。それでいて、治療効果は格段に高い」と小柴さんは強調している。

 中心となるのは、がん細胞を高熱で焼く温熱療法。小柴さんはこの日の教育セミナーで、早期がん用、進行がん用の2つの治療法を発表した。

 小柴さんが10年前から始めている早期がん用の「AMR療法」は薬物療法(A)、マイクロ波による温熱療法(M)、前立腺切除術(R)を組み合わせる。この3つ併用の典型的治療を受けて3年以上経過した患者さん126 人の血清PSA(前立腺特異抗原)は4から46、平均で9.6 だった。PSAは前立腺でつくられるたんぱく質で、4程度を大きく超えると、がんである確率が高くなる。

 126人のうち3人が心臓病などで亡くなったが、前立腺がんを再発した人はゼロだった。尿失禁や尿道狭窄などの副作用が9人に出たが、ほとんどで回復した。

 典型的治療法としては、まず、がんの進行を抑え前立腺の体積を縮小する目的で、月1回、計3回のホルモン剤注射。これとは別に、毎日のホルモン剤の飲み薬を3カ月間続ける(A)。次に、ドイツ製の高温度治療器を用いて尿道から高エネルギーのマイクロ波を照射し、前立腺を1時間、摂氏45度に熱する(M)。さらに3カ月後、尿道から管を入れ、先端に付けたメスで変性した前立腺を除去、がんの病理検査もする(R)。その後、半年間はホルモン剤療法を続ける(A)。

 病理検査では、126人の内109 人 (86.5%) からは、がん細胞が消えていた。残る17人 (13.5%) の多くもがん細胞は「瀕死状態」で、増殖可能な状態だったのは7人だけだった。PSA値の上昇が見られたが、いずれもホルモン剤療法で低下、安定した。

 これらの経験をもとに、最初のAと次のMだけで外科手術部分(R)を省いても治療成績はほとんど変わらない、と小柴さんは確信。近年、希望者には簡略な「AM療法」に変えている。1週間ほど入院するRがなくなると、すべて外来で治療できる。

 小柴さんは、やや進行して周囲に転移も考えられる患者さんに対しては、約2年前から国産の高温度治療器を用いた「電磁波高温度療法」を試みている。電磁波を照射し、細胞自身に発熱させる仕組み。がん細胞の熱に対する抵抗力を弱める働きのある生薬飲み薬 (パルテノライド) を併用する。前立腺だけでなく、周辺臓器のがん組織も熱に弱くなり、摂氏43度で死滅する。これも外来で治療できる。

 「この治療法が普及すれば、前立腺がんは、特別な病院へ行かないでも町の診療所で治るようになる」と、小柴さんは訴えている。



 外科手術などがなくても、日本どこでも治療できるようになるかもしれないAM療法。こういう治療が広まると全国的に、医師の少ない地域でも助かるんですけれどもね。

 前立腺がんは骨転移などするとなかなか厳しいものがありますが、定期的に病院を受診して、前立腺がんをある程度早期に発見できれば、こういった治療法も使えるわけです。

医学処前立腺がんニュース一覧
posted by さじ at 06:18 | Comment(1) | TrackBack(0) | がん

フェロモンは実際に人にも作用しているのか。研究で明らかになる。

ヒトは無意識に異性を「嗅ぎ分ける」

 最新の研究によると、ヒトは男女を問わず、無臭のフェロモンによって異性を「嗅ぎ分けて」いるという。ヒトも他の動物と同様に、これまで考えられていた以上に多くの情報を嗅覚から得ているとする根拠はいくつも報告されている。今回の発見もそうした事例の1つだ。

 「動物の意思疎通に最もよく使われるのが化学シグナルであることは知られているが、ヒトの場合化学シグナルはほとんど使われないと考えられている」と、今回の研究を率いた中国科学院心理研究所のチョウ・ウェン(Zhou Wen)氏は話す。「だが、われわれの研究から言えるのは、ヒトは今なお化学シグナルの影響を受けており、そのことを明確に意識していないということだ」。

 最近の実験では、被験者に異性のフェロモンと考えられる物質を嗅がせたところ、不明瞭な人影を見て異性だと判断する傾向が高くなったという。しかも、被験者には何の匂いを嗅いでいるかの自覚はなかった。

 フェロモンは性的な情報をやり取りできる化学物質で、動物の世界では広く利用されている。ヒトも無意識のうちにフェロモンを利用しているとする研究もある。

 チョウ氏らのチームは、動く光の点によるビデオを使って、動作を見るヒトの目を惑わせた。実験に使ったビデオは、実際の人物にモーションキャプチャ用スーツを着せて撮影された。このスーツは各関節にLED電球が付いており、映画で特殊効果の撮影に使われているものに近い。こうして撮影された光の点を数学的に操作して、「人影」の歩く動作が男性的とも女性的とも言えないようにした。

 研究チームは男女各20名の被験者に対し、この不明瞭な人影のビデオアニメーションと、もっとはっきり男女の分かるビデオを見せた。ビデオを見せている間、被験者にはクローブ油に男性ホルモンのアンドロスタジエノンまたは女性ホルモンのエストラテトラエノール、化粧品の基剤によく使われる一般的な油脂をそれぞれ添加したものの匂いを嗅がせた。

 女性のフェロモンを嗅いだ男性被験者は、フェロモンを添加していないクローブ油を嗅いだ被験者に比べて、男女どちらとも言えない人物の歩く映像を女性と判断する傾向が高くなった。さらに、比較的はっきりと男性であることが分かる映像を見ても、女性と判断する傾向が高かった

 男性ホルモンを嗅いだ女性被験者の場合も同じ傾向が見られた。つまり、ホルモンを添加していない一般的な油脂を嗅いだ女性被験者に比べて、不明瞭な人影を男性と判断することが多かった。

 エストラテトラエノールは女性に対しては影響がなく、アンドロスタジエノンは男性に対して影響を与えなかった



 面白い。実際微々たる効果といえどあるのならば、フェロモン系の香水というのも理にかなっている話か。

 視覚より匂いのほうが優先されているというのも面白い話だなぁ。

 鼻で感じるということは、別ににおいそのものがしなくてもいいってことですかね。鼻が詰まってたらさすがに難しいでしょうけれども。

医学処:男性の性的な汗のにおいは女性の脳で判別されている。
医学処:フレグランスは本当に効果があるのか?
医学処:体臭をどう感じるかは、受け手側の遺伝子に起因する。
医学処:話題の体臭改善ガム「オトコ香る。」を実際に食べてみた。
医学処:体臭を克服するスレのまとめ
医学処:メスの尿の性フェロモン「キヌレニン」はオスを興奮させる
posted by さじ at 04:56 | Comment(1) | TrackBack(0) | 内分

チンパンジーも人と同じように母親の背中側を向いて生まれてくる

チンパンジーの出産、定説覆す 子は母親の背中側向き

 チンパンジーの赤ちゃんは、ヒトと同じように母親の背中側を向いて生まれることを林原生物化学研究所の類人猿研究センター(岡山県玉野市)や滋賀県立大のチームが発見し、20日の英王立協会の学会誌(電子版)に掲載された。

 チームによると、これまでは、母親の背中側を向くのは、頭が大きくなり出産が特殊化したヒトに特有のもので、ヒト以外の霊長類は腹側を向いて生まれると考えられていた。チームは「定説に再考を迫る結果」としている。

 チームは2005年と08年、センターで飼育するチンパンジー3頭の出産を間近で撮影。赤ちゃんが母親の産道から出てくるときに顔は母親の背中側を向くシーンを捉えた。



 人の出産は面白いもので、骨盤をこう、回転しながら赤ちゃんがおりてくるんですよね。そのときに頭の大きさがうまいことはまりながら進んでいくので、自然に背中側を向いて生まれてきます。

 逆に、ですが、なるほど、他の「大脳が発達していない霊長類」は、頭部が大きくないために、別に骨盤の回転がどうとか、いらないのかもしれません。そのまますぽんと生まれる形か。
posted by さじ at 04:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | 生殖

マラソンで疲労するのは、脳のグリコーゲンが減少するため。

グリコーゲン:脳で減少、疲労招く 筑波大、ラットで実証

 マラソンなど極度に疲労する長時間の運動時に脳の貯蔵エネルギーであるグリコーゲン(糖質)が減少し、疲労をもたらす新たな原因となっていることが、征矢英昭・筑波大教授のチームによるラットを使った実験で分かった。疲労を予防する運動やサプリメント開発につながる成果として27日の英科学誌ザ・ジャーナル・オブ・フィジオロジーに掲載された。

 研究チームはラットをランニングマシンで2時間連続して分速20メートルの速度で走らせる実験を行った。疲労したラットは低血糖化が進み、筋肉と肝臓でグリコーゲンが激減した。ラットの脳を調べると、脳の疲労を引き起こしグリコーゲンを分解する神経伝達物質(セロトニン)が増えた一方、運動に関係する部位(海馬など)のグリコーゲンは約50%減った

 従来、長時間の運動による疲労の原因は、筋肉のグリコーゲンの減少と考えられていた。今回、セロトニンが引き金となってグリコーゲンを減らす仕組みと脳内のグリコーゲンの減少も深く関与していることを初めて実証した。

 征矢教授は「脳のグリコーゲンを高めたり、うまく利用できれば長時間の運動と勉強による脳疲労を軽減できる」と話している。



 グリコーゲンが減るから走ると疲労を感じるというメカニズム。単純明快ながらも新発見。

 しかしセロトニンが増加するというのは、これはランナーズハイ(長時間走ると最初は疲れるけれど次第に楽しくなる)にも通じるんでしょうか。

 例えば鬱状態の人を運動させるのはセロトニン関連で理にかなってる?

医学処:飲酒で攻撃的になる人はグリコーゲンが少ないのかもしれない
医学処:エネルギーの燃焼効率を上げる方法を発見する。
posted by さじ at 03:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神

水と高分子が混じった中間水に人工血管内の血液凝固を防ぐ働きがある

「中間水」の新機能発見 山形大大学院・田中教授

 水が特定の高分子と混じった際に出現する「中間水」と呼ばれる特殊な水に、人工血管内の血液凝固を防ぐ働きがあることが、山形大大学院理工学研究科・田中賢教授(41)=バイオ化学工学=の研究で明らかになった。ほかにも、がん細胞や、再生医療に不可欠な幹細胞を血液中から選択的に抽出する機能があることも判明。次世代医療を支える基盤になり得る新たな知見として注目され、田中教授の研究は日本学術振興会の最先端・次世代研究開発支援プログラムに採択された。

 一般的な高分子材料に水を含ませると、運動性が高く自由に動き回る「自由水」と、他の物質と強く結合する特性の「不凍水」に分かれる。さらに材料の種類によっては、両者の中間の性質を持つ「中間水」が出現する。

 人工血管内で血液が固まる前段として、血液中の水分子が、内壁をコーティングする材料に吸着する。田中教授は、コーティング材料の違いによる血管のつまり具合の差を、材料に吸着した水の成分に着目して解析した。その結果、血栓ができにくい材料には共通して「中間水」が存在することを突き止めた。

 田中教授によると、「不凍水」が材料と強く結合すると、それが生体にとっての異物と認識され、血液が固まる反応が起きる。だが、そこに「中間水」がある場合、適度に結合するという性質で異物を覆い、凝固反応をしにくくさせるとみられる。「自由水」は材料と結合せずに動き回るので、異物を被覆する役割を果たせないという。「中間水」の存在は知られていたが、その機能を見いだした点が大きな成果だ。

 血栓対策は人工血管の最大の課題。特に医療現場では直径4ミリ以下の細い人工血管の需要が高く、各国が開発競争を繰り広げるが、細いほど血液が詰まりやすく、まだ実現できていない。田中教授の研究は、こうした状況を大きく変え、生体親和性の高い医療材料の開発を飛躍的に進展させる可能性がある。

 さらに、材料の「中間水」含有量を制御することで、血液中のがん細胞や幹細胞を選択的に吸着させられることも分かった。がん細胞を抽出できれば副作用のない治療技術の開発に役立ち、幹細胞を集めることができれば再生医療の進歩につながる。

 最先端・次世代研究開発支援プログラムには5618件の申請があり329件が採択された。本県では田中教授の研究のみ。「生体の70%は水。最大成分であり重要であるとされてきたが、どう重要かは分からなかった」と田中教授。今後「中間水」と細胞との関係性をさらに深く追究し、医療用材料の設計技術の基盤を確立させたい考えだ。田中教授は「材料開発の研究から生命の本質にかかわっていくことになった。根本を抑える研究であり、そう簡単に結果は出ないかもしれないが、ある程度の見通しはある」と話している。



 人工血管の分野が発達すれば、例えば手術の際にどこの血管を注意しようとか、どこから血管もってこようかといった悩みがなくなります。

 この技術が確立されて、数ミリの細い人工血管、しかも詰まらないものが作られれば、手術の成功率というか、「手術までもっていける」疾患が飛躍的に上昇するでしょう。この分野の研究、大いに期待できそうです。

医学処:絹の繊維と織物の技法を用いて作った人工血管の世界。
医学処:第50回国際脈管学会に学ぶ、最先端血管治療法。
医学処:絹を使った人工血管などの再生医療技術を東京農工大が研究。
posted by さじ at 03:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 循環

食中毒を引き起こすウェルシュ菌のタンパク質構造を解明する。

食中毒原因菌、タンパク質の構造解明 京都工繊大准教授ら

 京都工芸繊維大の北所健悟准教授(構造生物学)の研究グループがこのほど、食中毒の原因菌の一つ「ウエルシュ菌」が生み出すタンパク質の立体構造を解明した。食中毒を引き起こすメカニズムも明らかにしており、将来的に予防薬の開発につながるという。

 ウエルシュ菌はほかの食中毒原因菌に比べて熱に強く、給食など大鍋で料理をつくり置いた際の再加熱不足などで、国内でも毎年30例ほどの食中毒を引き起こしている。体内で毒性のあるタンパク質「エンテロトキシン」(CPE)を生み出し、腸の細胞を傷つけて下痢を引き起こすが、CPEの構造や働きはよく分からなかった

 北所准教授らによると、CPEのエックス線結晶構造解析をしたところ、CPEは細長い形状をしており頭部、胴体、しっぽに相当する機能に分かれていた。またCPEの頭部が腸管上皮細胞膜の受容体「クローディン」と結合し、胴部としっぽの部分が構造変化して腸の膜に穴を開ける作用があることが分かったという



 ウェルシュ菌。意外とマイナーながらも下痢のインパクトから記憶に新しい・・・。

 そう、私ことさじも、昔サイパンに行ったときにおそらくこいつと思われるものに感染しました。

 そうか、ウェルシュ菌の胴体と尻尾が私の腸に穴を・・・。

 もうあれから5年か。みなさまも海外に行ったときはご注意。

医学処:【8/21】御礼と日記と旅報告
posted by さじ at 03:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | 感染

慢性腎疾患の進行をより正確に予測する検査法、シスタチンC測定に基づくGFR

慢性腎疾患者の進行をより正確に予測する新しい検査法

 腎不全や死亡に進行しやすい慢性腎疾患患者を予測する上で、より正確性の高い2つの新しい検査法が米国医師会誌「JAMA」4月20日号に掲載されるとともに、カナダ、バンクーバーで開催された世界腎臓病学会議(WCN)で報告された。これは、最も治療を必要とする患者に対する治療の効率化につながることが期待される。

 米サンフランシスコ・VAメディカルセンターのCamen A. Peralta氏らは、現行の標準検査法となっているクレアチニンの血中濃度測定に基づく糸球体濾過率(GFR)に加えて、やはり腎臓経由で体外に排泄される蛋白であるシスタチンcystatin C測定に基づくGFRと蛋白尿(アルブミン尿)という2つの測定値を追加した新しい検査法を考案した

 Peralta氏らは、クレアチニンに基づくGFR単独の場合と3つのマーカーを用いた場合を比較した結果、3つのマーカーを組み合わせることで、患者2万6,643例のうち腎不全や死亡に進行する可能性の高い患者をより正確に予測することができた。多くの組織では、すでに蛋白尿検査を新しいガイドランに追加しているという。

 2件目の研究では、米タフツ大学メディカルセンター(ボストン)のNavdeep Tangri博士らが、いくつかの一般的な臨床検査データを組み合わせて、中等度〜重度の腎疾患患者における腎不全の短期リスクを正確に予測するモデルを考案し、新しい検査法を開発した。

 この新しい検査法を用いて、腎疾患を有する計8,500人近くのカナダ人男女2群を対象に検討。その結果、年齢、性差、推定GFR、蛋白尿、カルシウム、リン、重炭酸塩、アルブミンの血中濃度という8つの変数を考慮に入れたモデルは、年齢、性差、GFR、蛋白尿のみを考慮に入れた4因子のモデルよりも短期リスクの予測がより正確であった。Tangri氏は「すでにオンライン電卓やスマートフォン用のアプリケーションを開発済みで、医師がこのモデルを診療で使用可能である。これらは通常の受診時に行う臨床検査であるため幅広く利用することができる」と述べている。

 米ノースショア・ロングアイランド・ユダヤ人ヘルスシステムNorth Shore-Long Island Jewish Health System(ニューヨーク州)のErnesto P. Molmenti博士は、「新しいマーカーにより、末期前の腎疾患に対処できる機会が得られ、早期治療により生活の質(QOL)が向上し、生存率も高まる可能性がある」と指摘。一方、米ネブラスカ大学メディカルセンター(オマハ)のTroy Plumb博士は「これらの検査法を臨床現場へ導入する前に、妥当性の確認された臨床試験が必要である」と述べている。シスタチンC測定については、現状ではすぐに日常臨床に用いるのは難しいとみられている。



 腎臓は、大事ですからねぇ。。。できることなら腎機能は保ったままいきたいところ。

 こういうマーカーに異常が生じた場合、すぐに投薬や生活習慣の見直しなどで改善の見通しがつきますからね。透析にまで進行してしまう前に未然に防ぐことが腎臓内科としては大事なところでしょうか。
posted by さじ at 03:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | 内分

製薬会社ファイザー、高脂血症治療薬リピトールの特許切れ。

米ファイザー10%増益 1〜3月、処方薬は伸び悩む

 米製薬大手ファイザーが発表した1〜3月期決算は、売上高が前年同期比横ばいの165億200万ドルだった。特許切れなどが影響し処方薬の売り上げが伸び悩んだ。一方、純利益は税負担減少などで同10%増の22億2200万ドルとなった。

 1株利益は0.28ドル(前年同期は0.25ドル)。買収費用など特殊要因を除いた場合の1株利益は0.60ドルで、市場予想(0.59ドル程度)を上回った。

 地域別売上高は、米国が3%減収、その他の地域が2%の増収。事業再編や買収に伴うコストが膨らんだが、研究開発費の削減で対応した。為替は全体で1%程度の増収要因となった。

 部門別では、最大事業のバイオ医薬品が2%の減収。米国外で特許切れが始まった高脂血症治療薬「リピトール」の落ち込みが大きかった。動物向け医薬品事業は16%増収、市販薬を含むコンシューマーヘルスケア部門は12%の増収だった。

 同社のイアン・リード最高経営責任者(CEO)は「多くの主力薬や、新興市場の売り上げは順調に伸びている」として11年通期の業績見通しを、1株利益で2.16〜2.26ドルとした前回予想を据え置いた。



 主力のリピトールでの収益がなくなったのは痛いとはいえ他の部分で補えてはいるようです。

 日本ではなかなか旨みが少なくなっているのかなぁという気もしますけれど、まだまだ製薬会社は強いようです。良い薬を開発するためには莫大な研究費がかかるので、旨みがあって然るべきとは思いますけれどもね。
posted by さじ at 01:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | 薬理

2011年05月09日

被災した精神障害者の服薬中断に適切な対応が必要。

精神障害者の服薬中断、適切に対応を- 厚労省

 東日本大震災の被災地の医薬品不足などのため、精神障害者が薬物治療を中断せざるを得ない状況が見込まれることを踏まえ、厚生労働省は、声掛けによる服薬状況の確認など、適切な対応を求める事務連絡を3月28日付で出した。都道府県担当課などに対し、避難所などで活動する医療関係者らに周知するよう求めている。

 事務連絡では、医薬品不足のほか、かかりつけ医療機関が被災したり、通院する交通手段がなかったりなどの理由で、服薬を中断している精神疾患の患者が少なからずいるとし、「治療なしで過ごした場合、多くは数週間で症状の悪化を来す可能性がある」と指摘。その上で、▽精神疾患患者や精神疾患が疑われる人に「お薬は飲まれていますか」と声を掛けるなど、服薬状況を確認する▽受療を中断している人には、専門医療機関の受診を勧めたり、「心のケアチーム」につないだりする▽医薬品不足は自治体の担当部署に連絡する―といった対応について周知を求めている。



被災した精神科医療機関、宮城などで94件−民主PTが厚労省からヒアリング

 民主党政策調査会の「精神保健医療改革プロジェクトチーム(PT)」(座長=石毛●子衆院議員)は4月27日、第6回会合を開き、厚生労働省から東日本大震災への対応についてヒアリングした。厚労省は、岩手、宮城、福島の3県で94か所の精神科医療機関が被災した状況について報告。岩手と宮城では一部の施設で復旧が進んでいるものの、福島の一部地域にある施設では復旧のめどが立っていないことも明らかにした。

 このうち、被災後に診療ができなくなったのは10か所(宮城3か所、福島7か所)で、宮城の3か所では既に外来診療を再開している。一方、福島の7か所のうち、いわき地区にある2か所では既に外来診療を再開したが、福島第1原子力発電所から30キロ圏内にある相双地区の5か所では診療再開のめどが立っていない。

 記者団の取材に応じた石毛座長によると、福島の病院の復旧のめどについて厚労省の担当者は、福島第1原発の事故の収束のめどが立たない現状では、復旧できるかどうかも分からないと答えたという。

 また石毛座長は、今後PTが取り組む内容について、「被災地では、復旧の第1段階から次のステップに移る。仮設住宅で孤独になる高齢者や青年が心的外傷後ストレス障害(PTSD)などにならないよう対策をする必要がある」と述べ、PTとして第2次補正予算も視野に必要な対策を検討していく考えを示した。



 震災による急性期的な医療行為は乗り切ったとしても、数ヶ月単位で続くのがメンタルケアです。それに加えて、もともと煩っていた精神疾患に関しても、投薬を定期的に行うなどといった必要性があります。
posted by さじ at 05:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神

末期肺癌標的治療薬クリゾチニブの臨床試験で日本人男性が治療する。

韓国医師を訪ねた肺がん末期の日本人男性に「奇跡」

 日本人男性のEさん(33、木材製材業)は2年前、ソウル大病院の方英柱(バン・ヨンジュ)教授(57、腫よう内科)を訪ねた。Eさんは歩行も難しい末期の肺がん患者だった。Eさんは日本で08年10月から4カ月間、坑がん・放射線治療など可能なすべての治療を受けた。しかし好転しなかった。こうした中、多国籍製薬会社ファイザーが開発中の末期肺がん標的治療剤「クリゾチニブ」の話を聞いた。Eさんの主治医、大阪大学医学部附属病院院の木島貴志氏から方教授を紹介されたという。

 09年4月中旬、薬を飲んで奇跡のようなことが起こった。Eさんは「薬を飲む前は呼吸が苦しく、ほとんど歩けなかったが、2週間で呼吸困難の症状がなくなり始め、散歩や買い物もできるようになった」と話す。1年余りでがん細胞が70%ほど減った。方教授の臨床試験対象者を自ら要望した日本人患者は10余人。中国人は1人、韓国人は28人。

−−なぜ韓国を訪れたのか。

「アジアで韓国のほかにその薬を使って治療を行うところがなかった。日本では治療がいつ可能になるか分からず、一刻も早く治療を受けたいという思いで韓国行きを決心した」

−−今の症状はどうか。

「いつも方教授から『とても良い状態だからこのままずっと治療しましょう』という言葉を聞いている。体は悪化せず、元気に過ごしている」

 ファイザーは08年、初めて人に薬を使用する段階の第1床臨床試験から引き受けてほしいと方教授に要請した。クリゾチニブのメカニズムの根拠は日本が発見したが、ファイザーは韓国に任せた。

 韓国ファイザーのイ・ソラ代表は「クリゾチニブは初めて人に使う第1床試験なので、世界で検証された少数の研究者に任せる」とし「方教授は以前にも抗がん剤臨床試験を成功させており、世界最高レベルの実力が認められている」と話した。ファイザー本社の腫よう責任者が07年に訪韓した際、方教授の能力に深い印象を受けたという。

 方教授の臨床試験はNHKをはじめとする日本メディアにも何度か報道されている。方教授は「第1床臨床試験は医学レベルが高くなければならない。判断を誤れば新薬は生まれない」と話した。第1床試験は韓国のソウル大病院のほか、米国で9カ所、オーストラリアで1カ所の病院が行っている。方教授のクリゾチニブ臨床試験の結果は昨年6月の米国臨床腫よう学会で最優秀論文に選ばれた。

 方教授はさまざまな抗がん剤国際臨床を主導してきた。代表的なのが世界24カ国122病院で行われた胃がん標的治療剤研究、台湾・中国と進めている2・3期胃がん患者手術後の抗がん剤使用研究などだ。

 ファイザーは昨年3月からクリゾチニブ第2、3床臨床試験を一緒に進めているが、ソウル大病院のほか、三星(サムスン)ソウル病院、国立がんセンターなどが参加している。三星ソウル病院の朴根七(パク・グンチル)教授(血液腫よう内科)の臨床試験には米国人(在米同胞)・日本人が1人ずつ参加している。第1床試験は少数の患者を対象に新薬の安全性を検証する。第2床はやや発展した段階、第3床は試験対象患者が最も多い進歩した段階だ。

 この10年間で韓国の臨床試験レベルは飛躍的に発展した。01年に臨床試験国際基準(ICH−GCP)を導入するなど制度的な後押しがあった。2007年から2012年にかけて病院の臨床試験施設・装備投資、専門家教育に900億ウォン(約70億円)を投入する。李明博(イ・ミョンバク)政権は臨床試験を次世代の新成長動力に指定した。食品医薬品安全庁によると、多国籍製薬会社が国内病院に任せた臨床試験は2001年の18件から2010年には210件に増えた。手術技法関連臨床試験も成長している。

 韓国のレベルに半信半疑だった日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)は08年、ソウル大データセンターとインターネット活用システムを視察した後、両国共同の臨床試験を進めている。

 クリゾチニブ=非小細胞性肺がんで「EML4−ALK」遺伝子変移が確認された患者に使う。方英柱教授は「この薬を服用したすべての患者の病状が好転した」と話す。米食品医薬局(FDA)と韓国食品医薬品安全庁に販売許可申請をしている状態だ。



 EML4-ALK遺伝子は、日本人の自治医科大学教授、間野博行教授が世界で初めて発見しました。

 この発見は画期的で、「固形癌でも抗がん剤による劇的な効果が期待できる」ものです。まさにノーベル賞級の発見。

 実際に日本人に使用したところ、劇的な効果を認めたということです。残念ながらというか、国の保守思考ゆえなのか、日本より海外で評価されているために臨床試験も海外が多いようです。(こうやって新薬のお株を取られ続けているのも問題ですが)

 ですので日本では、間野教授などの有識者が、この遺伝子をもった癌なのかどうかを判別し、この患者を海外に紹介したりしているようです。

 ちなみにこの薬は分子標的薬ですので、全ての肺がんに効く訳ではありません。この遺伝子を持つのは肺がん患者全体の約5%ほど。こうみると小さいように見えますが、50歳以下の若年層に限ると、患者の3人に1人はこの遺伝子を持っているとのことで、特にたばこを吸わない人に多いのも特徴。つまり「若くて」「煙草をほとんど吸わない」のに肺がんになってしまったような人に対して、期待できるということです。

医学処:肺がんの新たな治療薬を自治医大が開発する
posted by さじ at 05:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | がん
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