2011年04月18日

胚性幹細胞から多種の細胞が重なった網膜組織を作ることに成功する。

ES細胞から網膜生成 理化学研グループ、マウスで成功

 いろいろな組織の細胞がつくれる万能細胞のES細胞(胚性幹細胞)から、多種の細胞が重なっている網膜組織をつくることに、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の笹井芳樹グループディレクターらがマウスで成功した。視細胞を含む6層の立体構造。人工網膜をつくり、失明した患者に移植する再生医療につなげたいという。

 グループは「眼杯」と呼ばれる目の元になる組織に注目。マウスのES細胞を培養液の中で浮かせた状態に保ち、眼杯ができる時に必要なたんぱく質を加え、マウスの胎児の眼杯にそっくりの組織を作りだした。

 さらにこの組織の培養を続けた結果、6種類の細胞が層になり、網膜そっくりの組織をつくることができた。直径2ミリほど。今後は移植実験で働きを調べる。

 網膜のうち神経を守る「色素上皮細胞」は、すでにES細胞やiPS細胞(人工多能性幹細胞)からつくられ、動物実験が進められている。今回のように、光を受けて電気信号に変えて脳に伝える「神経網膜」も含む立体組織ができたのは初めてという。「ヒトやサルのES細胞でつくった人工網膜をサルに移植する研究を始め、再生医療につなげたい」と笹井さんは話す。



 これは凄い。網膜丸ごと作ってしまうことも出来るようになるのでは・・・。

 人工網膜が出来たら、角膜以上に各種疾患で光を失った人に適用できそうです。


posted by さじ at 00:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | 眼科

避難所でノロウイルス。60人が感染か。

難所でノロウイルス、60人が下痢や吐き気 郡山

 福島県郡山市の避難所で、約60人が吐き気や下痢の症状を訴えていたことがわかった。うち2人の便から、ノロウイルスが検出された。県は各地の避難所に、手洗いや消毒などの衛生管理を徹底するよう呼びかけている。

 県によると、この避難所は「ビッグパレットふくしま」。各地の避難所を巡回している保健師から「下痢や吐き気の症状を訴えている人がいる」と連絡を受け、県が調べてわかった。4日ごろから症状を訴える人が出始め、約60人のうち3人が病院で治療を受けた。

 この避難所では約1900人が暮らしている。避難所で出している食事による食中毒の可能性は低いという。



 避難所で出てしまうと、かなり広がりは早いでしょう。トイレや嘔吐物から感染率は上がるはずです。食中毒という可能性はないにしろ、高齢者の場合は脱水になりやすくなってしまいますし、予防を徹底する必要がありそうです。限られた医療資源の中では点滴すらも危ういのか。
posted by さじ at 00:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | 感染

三兄弟が被災地で診療所を新たに開設。

町民がいる限り」医師3兄弟、閉鎖病院に診療所 岩手

 津波と火災で中心部が壊滅的な被害を受けた岩手県山田町で11日、被災した医師の兄弟3人が新しい診療所を立ち上げた。場所は5年前の移転で閉鎖されていた旧県立病院の建物。もともと医師不足にあえぐ町では、新しい県立病院を含め大半の診療所が被災。自立した診療態勢を取り戻す第一歩を踏み出した。

 再建の中心となるのは、山田町の医療の中心を担っていた「近藤医院」の3兄弟。整形外科医の長男近藤晃弘さん(51)と内科医の三男勝則さん(47)、四男雄史さん(42)だ。

 11日朝、約20人の患者が待合室でストーブを囲み診察開始を待った。診察室では、勝則さんが「やっとここまで来た。これからまた新しい第一歩を頑張りましょう」と兄と弟、看護師らに声をかけた。

 行方不明の夫を捜して歩き、足が痛くなったという近くの佐々木季子さん(56)は、3兄弟の診察を待ち望んでいた。「地元のお医者さんががんばってくれると心強い。不安なこともたくさんあるけど頼りにしています」

 近藤医院は、3階建てのうち2階まで津波で水没した。兄弟たちは医院の1階で診察中だったが、患者や職員を裏口から避難させ、無事だった。以後、3人は避難所になっている町立山田南小学校で応援の医師らとともに診療に当たってきた。

 町内にいた医師は3兄弟含めてもともと8人。唯一の総合病院だった県立山田病院も、整形外科医と外科医しかおらず、今回の津波で1階が水没。4カ所あった診療所も3カ所が被災し、医師1人の行方が分かっていない。医療派遣チームの帰還後の町の医療態勢が危惧されていた。

 そのため一時的な診療所として、近藤3兄弟が町側と調整してきたのが、県立山田病院の旧建物の一部。2006年11月に現施設に移転した後は使われておらず、中心部にありながらも津波にも火災にものまれずに残った。すでに解体が決まっていたが、建物を所有する町は、暫定的な使用を許可した。

 心電図やエコーといった機器はレンタルし、X線撮影は被災しなかった診療所に借りる。晃弘さんは「診療所はやっぱり海の見える場所がいい。私たちは山田に骨をうずめるつもりだ」。雄史さんは「町民がいる限り、空白期間を作らずに医療を提供し続けることが、私たちの責任」と話した。



 医師の鑑ですな。

 こういう、地元に密着した医師というのは、医師としてのやりがいが都会のそれとは違うんでしょうねぇ。いずれ体験してみたい領域ではあります。でもやはりそのためには全身をしっかり診れるようになる実力をつけなければなりませんので、ある意味都会の最先端医療以上にハードルは高いか。
posted by さじ at 00:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | 救急

赤ちゃんの腎臓に硬度の高いミネラルウォーターは負担が大きい。

「赤ちゃんに硬水は負担」学会が見解「水道水使用を」

 日本小児科学会など3学会は共同で「硬水は多くのミネラルが含まれ、乳児に過剰な負担を与える可能性がある」として、硬水を使うより水道水の方が安全との見解を出している。

 市販のミネラル水で粉ミルクを溶く際、硬水だとミネラル分が多く十分に溶けない場合がある。血液成分の調整力が弱い赤ちゃんがミネラル分を多く取り込むと、腎臓に負担がかかる。明治乳業はカルシウム、マグネシウムなどのミネラル分が少ない水を使うよう勧め、選ぶ基準として「pH値が6〜8で、1リットルあたりのマグネシウム30ミリグラム以下、ナトリウム42ミリグラム以下、カルシウム285ミリグラム以下、カリウム367ミリグラム以下」という値を示している。ミネラルの表記がない場合は硬度120以下を目安に、できれば60以下を選んでほしいという。

 水道水の放射性物質が基準以下の時にくみ置く方法もある。東京都水道局は、清潔でふたのできる容器に口元いっぱいまで水を入れるよう呼びかけている。直射日光を避ければ、消毒用塩素の効果は3日程度続くという



 赤ちゃんのことで放射能に敏感になるのは分からんでもないですが、硬水は避けるようにして下さい。

 というか私ですら硬水はちょっと厳しいです。あまりおいしくないし腸がどうもよろしくない。ミネラルはとればいいってもんじゃなく、特に腎臓に影響でますんで、少なくとも赤ちゃんに対してはあまりあげないようにして下さい。
posted by さじ at 00:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | 小児

2011年04月17日

加齢男性性機能低下症候群(LOH症候群)とは何でしょうか

LOH症候群って、何でしょう

 「7年前にうつ病を発症してずるずる引きずっています。精神障害の認知度も高まっていますが、うつ病、更年期障害、LOH(ロー)症候群は別々の病気で、対処法も変わるのでしょうか」

 山形県の50代男性からは「友人がうつ病と診断され治療中です。テレビでLOH症候群の紹介がありましたが、彼の言動からはLOH症候群のような気がします。この病気の問題点、内容を教えてください」というご質問をいただきました。

 埼玉県の方が示す3つの病気は、もちろん内容も診療科も違います。うつ病は毎日沈んだ気分でやる気が出ず、不眠などが続く精神科の病気です。今回の震災で、家族が亡くなられたり、職をなくされたり、などのショックを受けた方は、どなたでもうつ状態になる可能性がありますので、周囲のサポートが必要です。

 脳の神経伝達物質のセロトニンとドーパミンのアンバランスが原因と思います。更年期障害は月経が終わった女性の女性ホルモン(エストロゲン)欠乏症。ほてりやイライラ、めまいなどの自律神経失調症の症状で、婦人科が専門です。

 最後のLOH症候群は日本語名が「加齢男性性機能低下症候群」。いわば、更年期障害の男性版で男性ホルモン(テストステロン)欠乏症とされる新しい泌尿器科の病気です。主な症状は、倦怠感、めまい、イライラ、睡眠障害、うつ、精神不安、勃起不全、やせる、など。

 女性の更年期障害と違い、ホルモン関連は勃起不全だけで、他はうつ病の症状に近いものです。実際、この病気の「診断の手引き」には「うつ病は類似しており、鑑別は難しい」と書かれているほどです。

 本来のうつ病はなかなか立ち直れないものですが、科学的な基準を持たない精神科医は、早い段階でうつ病と診断して患者さんに薬を飲ませます。さらに軽い状態でも「新型うつ病」などの病名をつける場合があります。多くの方が、本当は必要がないのにうつ病の治療を受けていると思います。

 私には、LOH症候群は、退職された男性が家庭で居場所がないようなとき、退屈で元気をなくし、時々イラつく状態と同じ程度のものに見えます。男性ホルモン剤を注射するような治療は、有り余る時間の有効な使い方を考えた後でも大丈夫と思います。



 何度も警笛を鳴らしているように、心療内科クリニックの怖いところは、「本当に精神科医としての修行を積んだかどうか分からない」点です。楽に稼げる開業として、ただの内科や、酷いときには外科が心療内科を掲げて治療することもあるでしょうねぇ。そういう医師にかかってしまうと、たとえ鬱病でなくても、他に原因があるとしても、抗うつ薬を出されるだけで終わってしまうかもしれません。

 しかしこのLOH症候群。日本ではなじみがないものですねぇ。実際、医師の中でも知っている人は少ないのでは。しかしこういう鑑別もあるんだ、ということも念頭において治療しなければなりませんね。
posted by さじ at 23:52 | Comment(0) | TrackBack(0) | 内分

難病研究のために欧米と連携する必要があると主張したい

難病研究、「欧米と連携した対応を」

 民主党の障がい者政策プロジェクトチームの「難病対策ワーキングチーム」は3月4日の第6回会合で、国立保健医療科学院政策科学部の金谷泰宏部長からヒアリングを行った。この中で金谷部長は、特に症例の少ない難病研究には、欧米と連携した対応などが必要だと指摘した。

 金谷部長は、難病に関する臨床試験の課題として、日本だけでは数例程度の症例しか集まらないケースが相当数ある点を挙げ、欧米と連携して対応する必要性を指摘。具体的には、欧州諸国を中心に30以上の国が参加している希少疾患研究のネットワーク「Orphanet」(オーファネット)が研究者と患者に向け、5000以上の疾患情報や治験・医薬品開発の最新情報を一元的に提供していることを踏まえ、日本国内でも難病研究情報を統一することや、欧米との研究協力を進めることが大事だと強調した。

 また、症例が少なくても適切に統計学的な処理を行えるよう、研究者にアドバイスできる人材の育成も必要だと訴えた。

 このほか、日本が参考にすべき点として、米国での臨床試験が希少疾患の患者団体と協議しながら行われることを挙げた。日本での臨床試験は、医師と患者の個人同士で行うために、患者がリスクなどについて十分な説明を求めづらく、患者が集まりづらいという。



 確かに難病といえど日本の場合どこで統一されているかというと正直よくわからない部分はありますね。もちろん大学によって得手不得手が違いますので、口コミによって、もしくは病院同士の紹介によって、集まる傾向にはありますけれど。

 やはり難病の研究のためには「症例数」がないとだめなわけで、研究のため、ひいては治療のためにも、難病患者をどこで治療するかという面で統一する事が必要になってくるでしょう。
posted by さじ at 23:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | 大学

貼るアルツハイマー型認知症治療薬、エクセロンパッチを承認へ

認知症貼り薬、抗凝固薬などの承認了承−薬事分科会

 薬事・食品衛生審議会の薬事分科会は3月25日、抗凝固薬(ファクターXa阻害剤)リクシアナ錠(第一三共)の承認の可否を審議し、これを了承した。また、厚生労働省から承認する方針が報告された、貼るタイプのアルツハイマー型認知症治療薬イクセロンパッチ/リバスタッチパッチ(ノバルティスファーマ/小野薬品工業)や、乳がん治療薬ハラヴェン静注(エーザイ)を含む12品目についても、承認を了承した。4月中にも正式承認される。

 この日の分科会ではまた、医薬品の承認時期を1か月程度早める新しい仕組みの導入を決定した。これまでは、例えば4、5月の各月に開かれた医薬品第一部会、第二部会で審議された品目については6月の薬事分科会での審議または報告を経て、分科会後1か月程度たった7月ごろに正式承認されていた。4月以降は、ほとんどの品目を6月の薬事分科会前後に正式承認するよう改める。



 貼る薬、ということで、従来のものにくらべて、コンプライアンスも上がるでしょう。飲ませるという行為がなくなり、ただ貼るだけでよいという画期的なもの。

 この薬は、脳内神経伝達物質であるアセチルコリンの分解を防ぐ効果があります。特に、分解酵素であるアセチルコリンエステラーゼに加え、ブチリルコリンエステラーゼも阻害する唯一の薬剤となっており、「記憶力と思考力の両方の維持」「行動障害の改善」「日常生活の各場面における対応力の改善」の可能性があるとされています。
posted by さじ at 23:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | 介護

東日本大震災で、たこつぼ心筋症の多発の恐れがある。

東日本大震災 「たこつぼ型心筋症」注意を 女性被災者に多発 専門医が警鐘

 東日本大震災の被災者に「たこつぼ型心筋症」と呼ばれる心臓病の発症が懸念されている。強いストレスを受けた後に心臓の筋肉が収縮しにくくなり、正常に血液を送り出すことができなくなる病気で、平成16年の新潟県中越地震の際、中高年の女性被災者に多く発症し注目された。専門医は「今後、発症例が増えることが予想され、注意が必要」と指摘している。

 国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)心臓血管内科部門の野々木宏部門長によると、たこつぼ型心筋症の発症には大きなストレスが関与。自律神経が極度に混乱し、心臓の一部が硬直して動かなくなってしまうという。症状は心筋梗塞に似ており、「心臓の筋肉が気絶したような状態」(野々木医師)で、動きの悪くなった心臓の形がたこつぼのように見えるため、この病名がついた。

 同センターは、被災地で診療にあたる医療者から、たこつぼ型心筋症や肺血栓塞栓症(エコノミー症候群)に関する電話相談((電)090・5668・9407、090・5668・9417)を受け付けている。4月30日までの午前8時から午後5時まで、専門医が対応する。



 東日本大震災によるストレスで心臓にダメージが生じてしまうのが「たこつぼ心筋症」。心臓エコーでたこつぼのような動きをするためにそう名付けられました。

 でも被災地では心エコーなんぞろくにできないでしょうから、実際このたこつぼ心筋症でなくなっている方は大勢いることも予想されます。大事なのは今後早期発見して治療することですね。幸いにもたこつぼ心筋症は治るものですので・・・。

大地震の生存者の一部に、大脳機能の失調がみられた。
中越沖地震のストレスで「たこつぼ心筋症」を発症か。
posted by さじ at 23:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | 循環

脳動脈瘤は無症状。脳ドックによる早期発見が大切

くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤 頭痛などの自覚症状なし

 脳の状態を検査する脳ドックで、脳動脈瘤が発見されることがある。脳動脈瘤はくも膜下出血の原因であり、破裂により命を落とすこともある。未破裂動脈瘤については、大きさ、場所、数、年齢などで治療方法が決められる。経過観察されることもあるが、巨大なもの、家族にくも膜下出血患者がいる場合などは開頭クリッピング術やコイル塞栓術で破裂予防が行なわれる。

 脳ドックは、MRIなどで脳を検査し、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血など脳の病気のリスクを早期に発見することを目的としている。近年、健康診断のオプションとして採用する企業もあり、受診者も増えている。
 
 この検査で、脳動脈の一部が瘤状や紡錘状に膨れる脳動脈瘤が発見されることがある。動脈瘤があったとしても頭痛などの自覚症状はなく、日常生活も普通に送ることができる。しかしこの脳動脈瘤が破れると、くも膜下出血をきたし、命にかかわる重篤な状況に陥ることもしばしばある。東京女子医科大学付属病院脳神経外科の岡田芳和主任教授に話を聞いた。
 
「MRI検査で脳動脈瘤が見つかった場合、大きさやできた場所、瘤の数、年齢、家族内でのくも膜下出血患者の有無などをもとに治療方法を考えます。経過観察をすることもありますが、中には2cmを超える巨大な瘤、複数の動脈瘤が見つかった場合や、瘤の形状が不整な場合には治療を勧めています」



 結構、脳のMRI検査を行ったことのある人は少ないですからね。何かないと普通はとらないですから。

 でもいざやってみると、案外異常がみつかるものです。無症状がほとんどですから。

 ある程度の年齢になったら、人間ドッグ、それも脳ドッグでみてもらうのがいいかもしれませんね。動脈瘤もみつけてしまえば予防対策とれますし。
posted by さじ at 23:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神

東京DMATで活躍した佐々木医師(帝京大、救急医学)に聞く

研修医は被災地の戦力」−岩手、宮城で支援の佐々木医師

 東日本大震災の発生から、まもなく1か月がたとうとしている。多くの医療機関がダメージを受けた被災地。地域の医療体制が震災前のレベルにまで戻るには、相当の時間が必要だ。発災直後に東京DMAT(災害派遣医療チーム)として宮城県気仙沼市で活動し、さらに3月31日からは岩手県立宮古病院で医療支援に当たっている帝京大医学部の佐々木勝教医師(救急医学講座)は、「長期にわたる医療支援の戦力」として、研修医ら若手医師の派遣を訴えている。

―被災直後の気仙沼市では、どのような活動をされたのでしょうか。

 発生翌日の3月12日から14日まで、医療が必要な避難者のトリアージと搬送を主に行いました。東京DMATは、東京消防庁の救助隊と一緒に動きますが、まだ街のあちこちが燃えていて、いわゆる「がれきの下の医療」ができる状態ではありませんでした。生死がはっきり分かれてしまう津波という災害特性からも、そうした活動の場は多くなかったと思います。

―現地の様子は。

 これまで見たこともない光景が360度、広がっていました。物の焼ける匂いがして、「東京大空襲の後は、こんなふうだったんだろうか」とさえ思いました。安易にカメラを向けたりしてはいけないような気がして、1枚も写真を撮っていません。

 孤立していた鹿折中学校には、400-500人の住民が避難していました。もともと高齢者の多い地域ですが、近くの老人ホームの入所者も集まっていて、寝たきりに近い人もいました。やはり糖尿病の既往がある人が多く、意識障害を来していました。胃ろうの経管栄養を投与できず、衰弱も目立ちました。若い人も、濡れたままの衣服を着ていたために低体温症を起こしていました。津波による下肢の外傷が多かったのも特徴的です。中には、歩けないほど足が腫れている人もいました。何とか機能していた気仙沼市立病院に全部で45人ほどを搬送しました。

―これまでの活動との違いなどは感じましたか。

 これほどの大規模な災害での活動は初めてでしたが、これまで行ってきたDMAT訓練などのシミュレーションとの一番の違いは、被災地域がとにかく広いこと。一般的な訓練では、これほどの想定はありません。特に困ったのは、通信手段がないことです。都市型の災害・事故で使うようなトランシーバーは、役に立ちません。衛星携帯電話も台数が限られ、十分ではありませんでした。また、東京のような都市部なら、主要病院が幾つか残るでしょうが、今回は、後方病院が被災して機能しませんでした。気仙沼では、奇跡的に市立病院が残り、医療が必要な被災者を搬送できましたが、そこから後方に送れないので、数日後には次々に運ばれて来る患者や薬をもらいに来る被災者であふれてしまったようです。

「こころのケア」の重要性も次第に指摘されてきています。

 市内の総合運動場でも、救出されてヘリで運ばれて来る被災者のトリアージを行いましたが、われわれの後ろでは「行方不明の家族が乗っているんじゃないか」と探しに来た人たちが、じっと待っている。それに、現地の病院のスタッフ自身も被災者です。支援に入った医療者で、帰るころにはぐったりしていた人も少なくありませんでした。肉体的な疲れもあると思いますが、やはりこうした被災地の状況に心を痛めたようです。被災した方々のこころのケアはもちろん重要で、これからそういうニーズが増えてくると思いますが、支援に入る人も含めて医療者に対するケアも大切になるでしょう。

―3月末からは、岩手県の医療支援にも加わっていらっしゃいます。

 県立宮古病院で救急外来をサポートしています。帝京大の救急医と内科医、研修医でチームを組み、日本医師会のJMATとして入りました。今後もメンバーを交代しながら、数か月の支援を続ける予定です。

 もともと医師不足で大変なところですが、今回の震災で近隣の病院が機能しなくなってしまい、患者さんが集中しています。1日に40-50台の救急車が来るほか、自力で歩いて来る患者さんもかなりいます。肺炎の患者さんが多く、津波に遭ったときに汚染水を飲んだことによるケースも目立つようです。緊急手術が必要な症例は、約2時間かけて盛岡市まで運んでいます。

 医療支援が長期化する中、若い医師の力が必要です。専門に限らず幅広く患者を診ることができ、体力も柔軟性もある。被災地では重要な戦力になります。本人にとっても、限られた医療資源で活動することやその限界を知る貴重な経験になるはずです。機会があれば、多くの若手医師の皆さんに被災地の医療支援にぜひ参加してほしいと思います。



 実際被災地で求められているのは、大学病院勤務のン十年クラスの医者よりも、フレキシブルに動けて体力的にも問題なく、かつ、総合的に診て判断することのできる医者でしょうねぇ。救急外来などで鍛えられている3〜6年目の医師がちょうどいいのでは、と思いました。
posted by さじ at 22:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 救急

全国の病院が、消費税の負担で苦しんでいる理由

消費税アップなら医療が崩壊する 「損税」になる制度の不公平訴え

 全国の病院が「消費税」の負担で苦しんでいる。医療機関の「損税」問題だ。複雑な制度の下で、年間の損害額は1病院平均で3000万円、私立医大では3億6000万円にものぼっているという調査がある

 借金財政さらに今回の大震災に必要な膨大な復興資金を考えると、消費税アップが現実味を帯びてくるなか、2011年3月中旬、兵庫県尼崎市で「医療と消費税〜不公平な消費税で医療機関が崩壊する」と題した初めての市民公開セミナーが開かれた。医療関係者は、現行のしくみのままで消費税率が上がると、医療崩壊を招きかねないと、悲痛な声を上げている。

 主催したのは兵庫県民間病院協会(吉田耕造会長)。協会に加盟している4医療法人が代表して10年9月、「消費税は不公平だ」として国に対し、各病院1000万円、計4000万円の損害賠償を求める訴訟を提起している。会長の吉田病院、副会長の尼崎中央病院の地元であることから尼崎市が会場になった。

 消費税は流通の各段階で取り引きに関係した業者が預かり、それぞれの「預かり金」を国に納税、最終的には消費者が負担する仕組みになっている。ところが、保険医療費、介護料などは公共料金や学校授業料などと同様、非課税になっている。非課税だと消費者である国民が助かる、ということで日本医師会も設計・実施の時点で了承したのだが、実際に運用してみて病院が大きく損をする「損税」であることがわかった

 病院が医療機器や医薬品をメーカー、商社から買ったり、設置したりする時に消費税がかかる。ところが医療費の大部分は非課税なので、その分を消費者(患者)から取れず、大部分が病院の負担になる、というわけだ。

 独自に価格改定可能な公共料金や授業料などと違い、保険医療費や介護保険の介護料などは公定価格になっている。厚生労働省は「その分(損税分)は診療報酬で配分した」との建前だが、病院団体などの調査によると年間の損害額は決して小さくない。

 セミナーでは、私も4人の基調講演者の1人だった。私と今村聡・日本医師会常任理事は消費税の現状を解説し、海外の消費者から取れないこと、似た条件の輸出企業には国が2兆円もの払い戻しをしていること、などを挙げて不公平を指摘した。梅村聡・参議院議員は「診療報酬で配分したということなら(それは)非課税ではなく、国の説明は矛盾している」、田中康夫・衆議院議員は「消費税は業者によって損税になったり、益税になったりする。上場企業の7割は法人税ゼロ。消費税に限らず日本の税制度そのものが不公正だ」と訴えた。



 なるほど。盲点だったんでしょうなぁ。

 しかしいくら盲点とはいえ、対策せんことには進みませんね。そもそも病院側が税金で損をすることが国民皆保険制度として間違っているわけで。

 兵庫県民間病院機構に全国が協力すれば、話はスムースに進みそうですけどね。
posted by さじ at 22:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | 大学

医者は自分が病気になった場合、患者に行うアドバイスとは一致しない。

医者自身の病気治療、患者へのアドバイスとは一致せず=調査

 医者は自分が病気になった場合、患者に行うアドバイスとは必ずしも一致しない治療方法を選ぶという米国の調査結果が、医学誌「Archives of Internal Medicine」で発表された。

 医者は自分自身に対しては、死亡リスクが高い半面、副作用の少ない治療を選ぶ傾向にあるという。

 デューク大学のピーター・ウベル氏率いる研究チームは、米国内のかかりつけ医に対し、さまざまなタイプの大腸がん手術を想定した質問と、鳥インフルエンザの治療に関する質問を実施。医者は自分が患者になった場合、もしくは患者にアドバイスする場合のどちらかについての質問を受け取った。

 大腸がんの質問では、死亡リスクは高いが副作用の少ない方法を選んだのは、自分が患者と想定した場合は38%だった一方、患者へのアドバイスとしては25%にとどまった。鳥インフルエンザの治療法では、その割合は63%対49%だった。

 ウベル氏は「患者にとっては予期せぬ結果だったと思う。このことを知ったら、多くの疑問を持つだろう」と語った。



 んー、まぁ、これは、あるかもしれないですね。

 特に大きい組織であればあるほど、死亡リスクは大きな問題です。まぁリスクって、医者しか知らないことというか、それも含めて説明するときはちゃんとしてるんでしょうけれど、どうしてもリスクが少ないほうを推してしまう印象を与えますかね。

 医者ってそもそも自分が治療されることには慣れてないから、だからこそ死亡リスクが高くても関係ないんでしょうかね。本来なら平等に話すべきなんでしょうけれども。難しい問題です。

 いつの時代も「1%の可能性に」というのはありますけれど、本当に1%だったとして、やるべきかやらざるべきか、というのは現実問題として立ち上がってくるわけで。
posted by さじ at 22:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | 大学

医療施設・介護施設の利用者に関する横断調査

医療、一般病棟で疾患構成に大差なし

 中央社会保険医療協議会(中医協)の診療報酬調査専門組織「慢性期入院医療の包括評価調査分科会」(分科会長=池上直己・慶大医学部教授)が4月13日に開かれ、厚生労働省が昨年6月に実施した「医療施設・介護施設の利用者に関する横断調査」の分析結果を報告し、それを基に議論した。報告によると、治療中の疾患を看護配置や病棟の種類別に見た調査では、疾患の種類や医療区分の内訳にほとんど差が見られないことが分かった。

 横断調査は、一般病棟(13対1、15対1)と医療療養病棟がある病院、在宅療養支援病院の届出病院・診療所などを対象に行った。

 このうち、病棟ごとの在院日数90日を超える患者の割合は、一般病棟(13対1)では10%未満が53.5%を占め、一般病棟(15対1)でも20%未満が過半数を占めていた一方、医療療養病棟(20対1、25対1)では、80%以上の病院で半数を超えていた。

 医療区分の病棟ごとの比較では、医療ニーズが最も高い「医療区分3」「医療区分2」が占める割合が、医療療養病棟(20対1)で87.1%と突出して高く、一般病棟(13対1、15対1)を20%以上も上回っていた。

 しかし、疾患別構成(現在治療中の疾患)を一般病棟(13対1、15対1)と医療療養病棟(20対1、25対1)の4区分で見ると、いずれも各疾患の占める割合には大きな差が見られなかった。さらに、患者全体と在院90日超えの患者について比べても、ほとんど差がなかった。

 また、直近1週間の検査の実施状況では、尿や血液の検体検査やX線、CT・MRIのいずれを見ても、一般病棟での実施率が高く、療養病棟では低かった。この結果について委員からは、「支払い方式が出来高か包括かという違いに由来している可能性が高いのでは」「この結果をもって、一般病棟がきちんとやっていて、療養病棟ではできていないとは言えない」などの指摘が上がった。



 療養型は療養型でその意味を成しているのだから別に検査回数で「きちんとやっているか」を判断できない、ということは、どんな医者でも分かっていることだとは思いますが。
posted by さじ at 21:56 | Comment(0) | TrackBack(0) | NEWS

被災地では粉塵が原因とみられる肺炎が増加している。

粉じん 被災地苦悩 震災後、肺炎3〜5倍

 東日本大震災の被災地で、津波によるヘドロやがれきから飛び散った粉じんが原因とみられる感染症が増加している。粉じんには病原性物質や有害物質が含まれている恐れがある。被災地は、復興作業と健康被害防止の両立という難題とも格闘している。

 石巻市中心部は、津波で旧北上川があふれ出し広範囲が水没した。路地が入り組む飲食店街には大量の泥水が流れ込み、数十センチがヘドロ化して堆積した。同市中央2丁目で飲食店を経営する小野寺光雄さん(49)は、店のそばにあるヘドロを横目に「従業員がのどを痛めて病院に行った。こんな衛生状態だと再開は見込めない」と心配そうに話した。ヘドロは当初、黒く粘り気のある粘土状だったが、気温の上昇で乾燥し、いまは白みを帯びた状態になりつつある。ヘドロには廃棄物や有機物、微生物が含まれ、乾くと細かい粒子となって風などで飛び散る。

 石巻赤十字病院では、ヘドロを手作業で片付けた人が化学性の炎症や急性湿疹などの症状で受診するケースが目立つ。矢内勝呼吸器内科部長は「ヘドロは低酸素状態にあり、嫌気性菌が繁殖する。それが誤嚥性肺炎の原因となる恐れもある」と指摘する。病院によると、肺炎は震災後、通常の3〜5倍の発症率となっている。気管支が実を付けたように膨らむ珍しい肺炎症状もあったという。有害物質や菌の粒子の付着が原因とみている。

 損壊した船舶、自動車からは油が流れ出したり、家屋の建材や断熱材などからはアスベストが飛散したりする可能性がある。これらは粉じんとともに飛散する。石巻赤十字病院が3月下旬、市内の避難所で1万人を対象に実施した健康調査では、せきの症状を訴えた人が約1100人に上り、下痢・嘔吐の約200人、高熱の約120人などに比べ格段に多かった。粉じんはせきの主要因の一つとなる。

 矢内部長は「外出時はもちろん、屋内でも土足で出入りしているような場所はほこりが立ちやすいので、マスクをしてほしい。ゴーグルの着用や、肌の露出をできるだけ避けることも有効だ」と語る。

 粉じんが媒介した菌が作業で負った傷口から入り、破傷風を引き起こしたとみられる例も報告されている。

 ボランティアで石巻市内の清掃活動をしている神奈川県鎌倉市の建設会社経営山田信和さん(56)は、現地入りする前に破傷風のワクチンを接種してきたという。「粉じんに神経質になると作業が進まないが、マスクと手袋は外さないようにしている」と話した。



 アスベストや、昔炭坑で働いていた人などは、肺から粉塵を吸い込むことで、肺に沈着し、発癌に影響してしまったりします。

 今回は粉塵による急性期の問題、つまり肺炎が焦点となっているようです。

 まずマスクを徹底することで予防しましょう。
posted by さじ at 21:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | 呼吸

超多剤耐性結核菌が佐賀で集団感染中

薬効かない結核、集団感染=08年末以降10人、国内初―佐賀県

 佐賀県は15日、従来の薬による治療が極めて困難な「超多剤耐性」(XDR)結核の集団感染が確認されたと発表した。2008年12月以降、佐賀市周辺の民間医療機関を中心に患者5人、未発症の感染者5人が確認されたが、重篤な症例はなく、これ以上の感染拡大はないとみている。県健康増進課は「XDRの集団感染は厚生労働省にも報告例がなく、全国初めてとみられる」としている。

 県によると、XDR結核だった50代男性患者が通院していた民間医療機関の40代女性スタッフが結核を発症し、08年12月XDRと確認された。この後、女性の同僚や家族ら接触者221人のうち、今月12日までに1人がXDRで入院、2人に早期の病巣が見つかった。このほか、未発症の感染者も5人いた。男性患者と女性スタッフは既に完治しているという。 



 結核は過去の病気ではない、そのことを常に念頭に置いて治療すべきですね。

 この菌が猛威をふるったら、結構厳しいことになりそうです。
posted by さじ at 21:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | 感染

メジャーリーグ始球式にハーバード大の日本人放射線科医

ハーバード大の日本人医師が始球式

 レッドソックス―ブルージェイズ戦で、ハーバード大勤務の医師、鈴木ありささんが始球式を務めた。東日本大震災では、ハーバード大やマサチューセッツ総合病院の医師が、宮城県内の現場に駆けつけ、支援を行っている。同病院の医師がレッドソックスのチームドクターを務めている関係から、今回の始球式が実現した。

 放射線科医の鈴木さんの投球はややそれたが、大型ビジョンでは支援の際の様子も紹介され、大きな歓声が上がった。



 なんだか世界中で支援してくださってありがたいことこの上ないですね。
posted by さじ at 21:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | NEWS

監察医七浦小夜子〜法医学者の事件プロファイル〜

菊川怜 監察医役に挑戦 フジ系22日の2時間ドラマで主演

 女優の菊川怜(33)がフジテレビ系で22日放送のドラマ「監察医七浦小夜子〜法医学者の事件プロファイル〜」に主演することが11日、分かった。監察医役に初挑戦する菊川のほか、俳優の袴田吉彦(37)、田村亮(64)、女優の原田美枝子(52)ら豪華な顔ぶれが法医学の現場をリアルに演じる。

 ヤングチャンピオンに連載されていた安富崇史氏のミステリー漫画「監察医SAYOKO」が原作。ドラマでは法医学とプロファイリングを駆使して“散弾銃連続殺人事件”の解決に挑む監察医らの活躍を描く。

 菊川演じる主人公の小夜子は、ふだんはそそっかしいが事件解決への思いが人一倍強く、あるトラウマ(心的外傷)を抱えながらも使命感をもって仕事に取り組む女性。解剖を行う監察医で、犯人の特徴を推測するプロファイリングの専門家でもある小夜子の役作りのため、菊川は実際に法医学者を取材し、解剖の資料映像を見たり解剖室を訪問したりしてイメージを膨らませた。

 「解剖の本を初めて見たとき、リアルな写真が載っていて『大丈夫かな』と不安に思った」と菊川。「メスの持ち方や傷を触る手つきなど、わからないところがたくさんありましたが、先生に細かくご指導していただきながら演じました」と難役に挑んだ苦労もにじませた。

 小夜子について菊川は「真摯に法医学という仕事に向き合ってきた努力型の秀才」とコメント。「実際の解剖の現場はふだんは明るいらしく、ドラマも明るく楽しいシーンと緊張感のあるシーンが交互にあり、とても楽しんでご覧いただけると思います」と見どころをアピールした。

 ドラマは驚がくのトリックや二転三転する犯人像、ラストには想像を絶する結末が待ち受ける。同局の小池秀樹プロデューサーは「単なるエンターテインメントではなく、主人公のトラウマや被害者たちの声なき悲しみ、凶悪犯罪への怒りや事件の裏側にあるやるせない真実を丁寧に描いたドラマです」と話している。



 何度もこのブログで言ってますが、法医学という学問は本当に面白い。医師になり、法医学の道に進む人は変わり者、と思われがちで、まぁ確かに変わり者が少なくはないですが、それでも「生きている人を治す医者」と同じように、大事な学問なのです。

 ただ対象が、「死者」であったり「生きている人の創傷に絡む事件性」などで、どちらかというと警察的なほうにも関与してますけども。

 当然昔からドラマや漫画にはなりやすいですね。名作といえば「きらきらひかる」でしょうか。特に漫画きらきらひかるは何度読んでも面白い。法医学とは何ぞや、という人の入門書でもあります。
posted by さじ at 20:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | 大学

原発作業員の造血幹細胞をあらかじめ保存しておくべきという意見

原発作業員の造血幹細胞保存を 日本の医師が英医学誌に

 英医学誌ランセット電子版は14日、福島第1原発で働く作業員が放射線を大量被ばくした場合に備え、本人の造血幹細胞をあらかじめ採取しておくべきだとする日本の医師らの意見記事を掲載した。

 記事は、虎の門病院(東京都港区)の谷口修一血液内科部長に加え、癌研究会癌研究所、東京大医科学研究所などの5人の専門家の連名。

 血液を作る造血幹細胞は、放射線の大量被ばくの悪影響を受けやすい。だが、あらかじめ作業員から造血幹細胞を採取して保存しておけば治療に役立つ可能性があり、他人から移植を受けるよりも、拒絶反応がないため副作用は少ない

 意見記事によると、こうした対策には欧州の学会が賛成しているが、反対意見もあり、日本の原子力安全委員会は「採取には肉体、精神的な負担がかかる上、国際的な意見の一致もない」として、必要はないとの判断を示しているという。

 投稿した医師らは、政府は問題の深刻さを認めようとしていないと指摘。意思決定は費用と便益のバランスではなく、作業員とその家族を守る観点から行われるべきだと指摘している。



 骨髄をとるというのは、まぁ簡単なようでいて侵襲性が高いですからね。

 腰のところのでっぱった部分に、何mmかの針をぐりぐり刺して、取る、という。よく検査で行う「腰椎穿刺」ならそれだけでいいんですけど、造血細胞を保存する、ということは比較的量も必要になってくるわけで。

髄採取の新技術「潅流法」なら、負担が軽く痛みも軽減。

 これを思い出しました。
posted by さじ at 20:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | NEWS

精神保健指定医の指示なしで拘束→締め方が不十分で死亡し有罪

患者拘束死、看護師に有罪判決 大阪地裁

 大阪府貝塚市の貝塚中央病院(精神科)で平成20年、入院中の男性患者=当時(48)=がベッドに拘束され死亡した事件で、業務上過失致死罪に問われた元職員の看護師、K被告(55)の判決公判が15日、大阪地裁であった。水島和男裁判長は懲役2年6月、執行猶予4年(求刑懲役2年6月)を言い渡した。

 判決理由で水島裁判長は「精神保健指定医の指示を受けないまま拘束を行い、死亡させた結果は重大」と指摘。一方、病院側がカルテに指定医の指示があったとする虚偽の記載をしたことについて「当時の病院の組織自体が抱えていた問題もある」と述べた。

 判決によると、栗原被告は20年1月、アルコール依存で入院中の男性を拘束帯で固定した際、締め方が不十分だったため、男性がベッドからずり落ちて腹部を圧迫、死亡させた。



 これは有罪、ですね。

 精神保健指定医の指示なしで、体の自由を奪うということは、人権侵害ということになってしまいますから。
posted by さじ at 19:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神

医療における信念を抱き続ける病院、藤沢駅徒歩3分の山内病院

「医療はモノ作りではない」という信念

 JR東海道線、小田急線、江ノ電の各線が交わる藤沢駅。その南口から徒歩3分の好立地に位置する山内病院は、病床数こそ91と小規模ながら、地域密着型の民間病院。理事長の平井寛則医師は、日本における心エコー(心臓超音波)検査の第一人者として知られる循環器内科医だ。

 長年にわたって大学病院などで臨床と研究に当たってきたが、それまでできなかった夢を実現するため、地域医療に身を投じる決意をする。

 「大学病院でつねに考えていたのは、患者が納得するまで話を聞き、説明するという診療。大学では不可能な夢ですが、ここなら不可能ではないだろうと思ったんです」

 もちろん限度はあるが、それでも自身の専門である心臓に問題のある患者には、極力時間を割く。外来でその日最後の患者ともなれば、次の患者を待たせる心配もないので30分以上にわたって話し込むこともあるという。

 小泉政権下で断行された医療制度改革で、中小民間病院はどこも経営がひっ迫している。そんな中で平井医師の病院が地域から高く評価される背景には、同医師の理念の存在が大きな役割を果たしている。

 「医療はモノ作りではない。病院はサービスを提供する場。財政的に困窮しても患者を思うと職員を減らすことはできない。医療経営者にとって、病院で働く職員はみな病院の財産なんです」

 理事長のその思いが医師やスタッフに伝播するからこそ、親切、丁寧、適切な医療が実現する。内視鏡、糖尿病、循環器など各分野のベテランがそろい、平井医師の指揮の下、全科横断的なチーム医療が展開される。

 ■ひらい・ひろのり 1937年福島県生まれ。東邦大学理学部を卒業後、同医学部に転入。70年卒業。同大第三内科入局。自衛隊中央病院、東邦大学医療センター大橋病院、国立療養所東京病院(現国立病院機構東京病院)、米インディアナ大学メディカルセンター等に勤務の後、98年東邦大学医学部第三内科教授。2005年山内病院院長。08年理事長。医学博士。趣味は「釣り」と「歩くこと」。



 かっこいいー。日本のすごいところは、こういう地方の中小民間病院であっても安定かつ最新の医療を受けられるところですね。

 今の日本のネックとしては、「医療費削減」が叫ばれているがゆえに、こういうすばらしい病院のほうが、財政的に圧迫されているという現実でしょう。患者さん想いになればなるほど、病院は赤字になる、というのが、国民皆保険制度の限界なのかなと感じたりもします。

 医療費を増やし続ければいいんですけどね、理想論としては。でも医療という分野においては、常に理想論を掲げつづけていきたい。
posted by さじ at 19:51 | Comment(0) | TrackBack(0) | 循環
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