染色体異常を持った女性が世界で初めて、双子の姉妹間での卵巣移植を受け、元気な女児を出産していた。医師らが16日発表した。
ビクトリアちゃんと名付けられた女児は、3月8日にパリ郊外で誕生した。自分の母親と叔母が持っていたターナー症候群と呼ばれる染色体異常はなかった。
母親のカリン(Karine Thiriot)さん(39)は体外受精による妊娠を約15年間、試みていた。
2009年8月にカリンさんへの卵巣移植手術を行ったベルギー人の婦人科医ジャック・ドネ(Jacques Donnez)氏は「ターナー症候群の姉妹間でのこうした移植術は世界で初めて」で、また欧州では初の卵巣移植だったと述べた。ドネ氏はこの手術の後、双子ではない姉妹間の卵巣移植も1件行い、成功している。
カリンさんは、女性2500人に1人の割合で見られるターナー症候群が原因で、生まれつき卵巣がなかった。しかし双子のステファニーさんは、似た染色体異常を持っていながら生殖機能には問題なく、今回の移植までにすでに2人の子どもを出産していた。
移植から数か月後にカリンさんの生殖サイクルは定まり、極めて普通に妊娠できるようになったと言う。カリンさんは「ビクトリアはいたって健康。ターナー症候群も持っていない」と喜びを語った
ふつう女性の性染色体はXXなんですが、ターナー症候群はXO(Xが1本しかない)んです。そうすると女性らしさである二次性徴がなかったり、卵巣が瘢痕化してなくなったり、無月経になったりします。結構見た目で違いが分かるので、「この人ターナーっぽいな」って人は時々おられますね。もちろん普通の見た目でも、検査したらターナーだったって人はいますが。
身体所見上の特徴としては「外反肘、翼状頸、盾状胸、毛髪線の低位」がみられます。まぁ女性は外反肘の人結構いますけれど、それ以外は特徴的かもしれません。あと、大動脈縮窄症、大動脈弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症などの左心系の心奇形、馬蹄腎などの腎奇形を合併することもあります。
今回のニュースでは、姉のほうの卵巣が正常に機能しているというところが幸い。更にその姉と双子であったというのが幸い。心疾患などの手術リスクをクリアーしていたのが幸いと、良いことづくめでした。姉妹間以外でも卵巣移植に成功しているということなのでこれはかなり期待できそうですね。しかし他人の卵巣を移植して子供を産んだらそれは代理母とどう違うのかという気もしなくもないですが。