第105回医師国家試験合格速報ー
2011年、幕が開け、未曾有の大災害が日本を襲い
多くの方の尊い命が犠牲になりました。
そして今、災害現場では、命を救うために全力を注ぐ医療従事者がいます。
災害は突然やってくるものです。日本のどこで起きてもおかしくはない。
そんなとき、日本が世界に誇れることは、「どこで起きても国内ならば安定した治療が受けられる」ことだと思います。
それが国民皆保険制度の優秀なところであり、日本の医療の基盤の強さを認識させられます。
2011年2月、新たに医師として、今後の医療界を担う人材を「認定する」試験が行われました。
それが第105回医師国家試験です。
医師になる者に必要なのは何か。
人を愛する心、頭の回転の速さ、迅速に動けるイニシアチブ、様々あるのでしょう。
極論いってしまえば、全て必要です。
しかし最低限必要なものがあります。
「知識」です。
今回まとめたのは、日本全国の医学部のある大学の、医師国家試験合格率。
それも、大学全体の受験者のうちの合格率のランキングです。
何故こういうまとめをするのか。毎年聞かれることですが
簡単に言ってしまえば、「どの大学が一番医学教育に力を入れているのか」を明確にしたいから。
はっきり言って、この試験に合格できないのであれば、医師になる資格は、文字通りありません。
6年間、しっかりと大学で勉強していれば、パスする試験です。
合格しないのは、不運もあるでしょうけれども、それは微々たるものだと思います。
まっとうな医学教育を行っている大学、という、1つの指標として提示していきたい。
それが今後の、大学受験における1つの目安になってもらえれば、幸いです。
第100回医師国家試験 学校別ランキング 新卒編第100回医師国家試験 学校別ランキング 総計編第101回医師国家試験 学校別ランキング 新卒編第101回医師国家試験 学校別ランキング 総計編第102回医師国家試験 学校別ランキング 新卒編第102回医師国家試験 学校別ランキング 総計編第103回医師国家試験 学校別ランキング 新卒編第103回医師国家試験 学校別ランキング 総計編第104回医師国家試験 学校別ランキング 新卒編第104回医師国家試験 学校別ランキング 総計編 この「総計編」は、要するに「大学全体の受験者」に対する割合です。
すなわち、昨年国家試験に落ちた人も含まれます。
大学の基盤がモノをいうランキングです。
今年は総計編でBEST13をご紹介。
BEST13入りした大学は、大学受験時の偏差値では分かることのできない、生の医学教育の現場だと思います。
それではさっそくいってみましょう。第一位の発表です。
(なお、出願数 受験数 合格者数 合格率の順になっています。)
第1位 滋賀医科大学 105 105 104
99.0% 驚くべきことです。
出願数105人。受験者が105人。そして、合格者が104人。
何が凄いのか。
まず、出願者と受験者が同数ということは、留年者は0人ということ。
そして、不合格になった人が1人しかいないということ。
更に、昨年不合格になった人が1人だけで、その1人も見事に合格しているということ。
滋賀医大は、昨年の第104回医師国家試験でも、第1位です。
第104回だけでなく、過去数年に渡って、安定して最上位を維持しています。
学生の勤勉さ、大学としての医学教育の良さが日本最高峰であることは、間違いありません。
優秀な医師を世に送り出す大学というのは、まさにこういうことなのでしょう。
2年連続の1位、本当に素晴らしいです。おめでとうございます!
第2位 自治医科大学 104 102 101
99.0% 地域医療に貢献する、という、医師として純粋な部分を背負っている医学生はこうも強いものか。
背負うものが違うと、医師になる上での能力も養われ方が違うのか。
こちらも毎年高い合格率を誇る、自治医科大学です。
合格率は1位の滋賀医大と同じく、99%です。
留年者や受験人数の割合などを考慮して第2位にさせていただきましたが、
優秀な人材が今後日本各地に巣立つことは間違いありません。
昨年4人不合格になってしまいましたが、今年はその4人も見事合格しています。
また自治医の黄金時代が到来するのかもしれません。
おめでとうございます。
第3位 東京慈恵会医科大学 106 106 103
97.2% 昨年26位の慈恵が、今年は急浮上。
急浮上というか、新卒では第1位の実力の持ち主です。
国師浪人の9人中3人が不合格という負の遺産とも言うべきものがなければ、ダブルウイニングも可能だったろうに。
んー、そう考えると非常に惜しい。
留年0でこの成績は驚きです。
もともと私大の中でもトップクラスに優秀な人材は揃っていますし、学生の自主性にまかせた出席システムでも有名な慈恵ですが、やはりこういう試験でも強いのか。
この座を維持し続けてほしいものです。おめでとうございます。
第4位 慶應義塾大学医学部 107 105 101
96.2% 慈恵に続き、慶應義塾も私大の中でBEST13に入りました。
昨年は結構落ちてしまい、30位だったのですが、今年の頑張りは凄い。
新卒のみの合格率でいえば、怒涛の99%合格ですからね。
よく言われている、関東の医学部受験でいうと「東大か慶應か」で選ばれる人が多いようですが
根底にある「勉強すること」がそのまま医学部でも発揮された形か。
このまま優秀な医師になってもらいたい。おめでとうございます。
第5位 札幌医科大学 107 104 100
96.2% 公立大学ナンバーワンの座を射止めたのは、札幌医科大学。
札医は毎年いい位置にいるんですけどもね。トップ5に入ったのは快挙。
既卒受験者の50%が再度不合格になったというのが痛かったか。
いやいや、痛いとかいっちゃいけないな。欲張ってもいかん。
でも公立大学には今後にも期待したいところです。来年も頑張って維持してもらいたい。
おめでとうございます。
第6位 筑波大学医学専門学群 116 115 110
95.7% 受験者数が上の5大学よりも多かったにもかかわらず、95.7%は素晴らしい。
合格者数でいえば110人と、大勢の医師を送り出したことになります。
筑波大学の安定した優秀さはいわずもがなでしょう。研究も臨床も納得の大学です。
おめでとうございます。
第7位 京都府立医科大学 110 110 105
95.5% 上の筑波と同じく、京都府立医大も、全体の順位も上がっています。
昨年は90%合格の39位だったんですが。新卒も頑張った。一丸となって頑張った。
公立は安定しているなぁ。おめでとうございます。
第8位 東京医科大学 129 125 119
95.2% ごめんなさい。「まさか」って思いました。
東医が8位。しかもこの受験者数の多さで、95.2%。凄い。
国家試験対策が非常にうまくいったんでしょうか。
昨年46位と、全国平均クラスだったのに。
BEST13入り。本当におめでとうございます。旧設私立の鑑です。
こう、頑張ってランキングが上がった大学をみると、嬉しくなりますね。
第9位 浜松医科大学 107 105 100
95.2% 中部地方の雄、浜松医大です。
8位の東医と同じく95.2%。ある意味地方の大学ですけど、優秀さは不動のもの。
がん治療などでも盛り上がっている大学ですし、今後より優秀な大学となることは間違いないでしょう。
おめでとうございます。
第10位 北海道大学医学部 106 104 99
95.2% ほとんど浜医と変わりませんが、北海道大学医学部が見事BEST13入り。
新卒のみでいえば浜松医大より上なんですが、昨年の不合格者が再度不合格になったという「貯金」がランキングを1つ落とす結果に。
それでも毎年安定してますからね。流石といったところか。おめでとうございます。
第11位 東京医科歯科大学医学部 86 83 79
95.2% 出願者の数が気になるところではありますが…。3,4年あたりで留年大勢出したのかな。
昨年は3位でしたが、毎年安定した成績を挙げてます。
研修病院としての人気も非常に高い医科歯科大です。
今年もBEST13入り。おめでとうございます。
第12位 産業医科大学 104 101 96
95.0% 謎の大学、産業医大も毎年優秀ですね。
103回 30位、104回 20位ときて、とうとう105回でBEST13入り。
頂点が見えてきたか。貪欲に、より高みを目指していただきたい。
おめでとうございます。
第13位 山梨大学医学部 98 96 91
94.8% 山梨がここまで食い込んだのも、昨年不合格者10人中8人が合格したという快挙ゆえでしょう。
もちろん新卒もかなり良いですけれど、総計編でBEST13に入るというのは、安定していないと難しいですから。
安定しているっていうのは、「強い」ですよ。
留年も少ないし。おめでとうございます。
以上、
BEST13でした。
14 広島大学医学部 116 114 108 94.7%
15 弘前大学医学部 101 101 95 94.1%
16 千葉大学医学部 115 114 107 93.9%
17 山形大学医学部 102 97 91 93.8%
18 福井大学医学部 111 110 103 93.6%
19 名古屋大学医学部 108 107 100 93.5%
20 旭川医科大学 108 105 98 93.3%
21 福島県立医科大学 89 89 83 93.3%
22 金沢大学医学部 121 116 108 93.1%
23 順天堂大学医学部 100 100 93 93.0%
24 島根大学医学部 111 110 102 92.7%
---公立大学平均の壁--- 計 703 693 639
92.2% 25 藤田保健衛生大学医学部 119 116 107 92.2%
26 鳥取大学医学部 103 103 95 92.2%
27 東京大学医学部 102 102 94 92.2%
28 横浜市立大学医学部 65 64 59 92.2%
29 三重大学医学部 99 99 91 91.9%
30 信州大学医学部 106 106 97 91.5%
31 鹿児島大学医学部 102 93 85 91.4%
32 名古屋市立大学医学部 82 81 74 91.4%
33 大分大学医学部 110 103 94 91.3%
34 大阪市立大学医学部 82 80 73 91.3%
35 大阪医科大学 125 123 112 91.1%
36 日本大学医学部 108 107 97 90.7%
36 新潟大学医学部 108 107 97 90.7%
---国立大学平均の壁--- 計 4552 4483 4053
90.4% 38 徳島大学医学部 101 99 89 89.9%
38 宮崎大学医学部 100 99 89 89.9%
40 東邦大学医学部 112 108 97 89.8%
41 杏林大学医学部 119 115 103 89.6%
42 岐阜大学医学部 97 96 86 89.6%
43 長崎大学医学部 105 104 93 89.4%
44 東海大学医学部 134 131 117 89.3%
---日本全国平均の壁--- 8845 8611 7686
89.3% 45 愛媛大学医学部 105 103 92 89.3%
46 大阪大学医学部 111 111 99 89.2%
46 日本医科大学 112 111 99 89.2%
48 東京女子医科大学 119 116 103 88.8%
49 防衛医科大学校 71 71 63 88.7%
50 北里大学医学部 127 113 100 88.5%
51 富山大学医学部 95 95 84 88.4%
52 和歌山県立医科大学 70 69 61 88.4%
53 兵庫医科大学 125 111 98 88.3%
54 佐賀大学医学部 103 102 90 88.2%
55 高知大学医学部 111 109 96 88.1%
55 獨協医科大学 112 109 96 88.1%
---私立大学平均の壁--- 計 3517 3364 2960
88.0% 57 聖マリアンナ医科大学 115 107 94 87.9%
58 群馬大学医学部 106 106 93 87.7%
59 奈良県立医科大学 98 96 84 87.5%
60 久留米大学医学部 125 118 103 87.3%
61 昭和大学医学部 134 133 116 87.2%
62 京都大学医学部 110 109 95 87.2%
62 山口大学医学部 110 109 95 87.2%
64 香川大学医学部 100 100 87 87.0%
65 神戸大学医学部 101 99 86 86.9%
66 東北大学医学部 120 119 103 86.6%
67 埼玉医科大学 123 115 99 86.1%
68 岡山大学医学部 119 116 99 85.3%
69 近畿大学医学部 130 124 105 84.7%
70 九州大学医学部 113 113 95 84.1%
71 愛知医科大学 140 131 109 83.2%
72 秋田大学医学部 103 101 84 83.2%
73 琉球大学医学部 106 106 88 83.0%
74 熊本大学医学部 124 121 99 81.8%
75 金沢医科大学 153 140 114 81.4%
76 岩手医科大学 113 105 85 81.0%
77 福岡大学医学部 133 123 99 80.5%
78 関西医科大学 119 116 93 80.2%
79 川崎医科大学 134 118 94 79.7%
第80位 帝京大学医学部 136 135 107
79.3% 毎年のことで、アレなんですけれども、
帝京大学は、出願者数と受験者数から留年を測定できないよう、卒業試験を組んでるんですよね。
でも今年、36人卒業させなかったという情報があります。
それを隠して79.3%。実態は恐ろしいことになるのでしょう。
昨年まで不合格だった31人の「貯金」は30人が合格と、かなり清算できているはずなんですけどねぇ。
ということは、大学の医学教育よりも予備校の教育のほうが良い?
いいんですかね、そんな大学で。
ランキング分けにして得た情報としては、
やはり
公立大学のほうが安定しているということ。
そしてBEST13の大学が固定されているように、下位の大学も固定されているということ。
何より毎年
特定の私立大学がどうしようもなく不合格者を出しすぎという現実。
負の連鎖って、断ち切れないものでしょうか。
受験を終えた、未来ある研修医の皆さん、お疲れ様でした。
今頃は思う存分遊ばれていることと思います。
それでいいです。6年間、本当にお疲れ様でした。
いくら合格率が90%近いといっても、「皆が勉強している中で下位10%に入らないこと」というプレッシャーが強烈であろうこと、必修問題や禁忌といった普通の試験以上の緊張感のある資格試験であることは重々承知しております。
4月から各々、病院で研修することになると思いますが
実際、医学生時代にどれだけ知識を積み重ね、疾患の概念を掴んできたかで、研修医としての仕事の吸収率も違うと思います。
医師として日本の医療に貢献されること、良医になることを、心より願っております。
残念ながら不合格になってしまった人。
疾患を根底から見直すチャンスです。
それがあれば、研修医になってからの伸びが、全然違います。
ラッキーで受かった人よりも、良い医師になるチャンスはいくらでもあります。
根を詰めすぎなくても合格する試験ですが、考えることを養わないと合格しづらい試験だと思います。
「確実に合格する」ためには、まず暗記ではなく、病態や機序から見直してみましょう。
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