2010年08月07日

男性でも遺伝子変異の乳がんを発症する。

遺伝子変異で男性も乳がん発症

 遺伝子変異が原因の乳がんは女性だけではなく男性でも発症の可能性がある。英マンチェスター・アカデミック・ヘルス・サイエンス・センターのギャレス・エバンス氏率いる研究グループが医学誌「ジャーナル・オブ・メディカル・ジェネティクス」に発表した調査結果によると、男性の変異遺伝子キャリア12人に1人の割合で80歳までに腫瘍ができることが明らかになった。今回の調査はBRCA2遺伝子に異常を持つ321家族を追跡して、変異した遺伝子を有する男性のリスクを調査したもの。その結果、7.1%の男性が70歳までに、9%が80歳までに発症した。

 乳がん遺伝子に変異性がある女性の場合、60%が悪性腫瘍を発症するが、男性におけるリスクはあまり認知されていない。今回の調査はBRCA2遺伝子に異常を持つ家族の調査としては過去最大のもの。「今回の調査結果が示したリスクは、BRCA2遺伝子に異常を持つ男性の乳がんについて注意を喚起し、初期状態での発見の重要性を強調するものだ」と報告書は述べている。

 女性が罹患する悪性腫瘍の中で最も多いのは乳がんで、12%が発症している。米がん協会によると、昨年米国で乳がんと診断された患者の数は女性が20万人、男性が2000人弱。このうち女性約4万人の女性、男性390人が死亡している



 もともと全乳がん患者の1%は男性、といわれていました。まぁそりゃ男性にもおっぱいはあるわけですから、当然といえば当然なんですけども。

 で、その乳がん、男性でも変異遺伝子が絡んでいる、と。女性より割合としては少ないものの、1割近くの割合で発症するというのは結構見過ごせないと思います。


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2010年08月06日

骨髄バンク、末梢血幹細胞移植を2010年10月から導入へ

末梢血幹細胞移植、今年10月導入へ―厚労省委員会

 厚生労働省の造血幹細胞移植委員会(委員長=齋藤英彦・名古屋セントラル病院院長)は8月5日の会合で、骨髄移植を推進するための骨髄バンク事業として、これまでの骨髄とさい帯血のドナー登録と移植コーディネートに加えて、新たに末梢血幹細胞移植を導入することを了承した。今年10月からのスタートを目指し、厚労省と骨髄移植推進財団が準備を進めていく。

 末梢血幹細胞移植は、骨髄やさい帯血からの造血幹細胞移植と同様に、白血病などに有効な治療法の一つ。造血幹細胞は、通常の血液の中に存在するものの、極めて少ないため移植に用いることができない。このため末梢血幹細胞移植では、造血幹細胞を増やす作用のある薬剤「G−CSF」を皮下注射で4−6日間連続して投与して血液中の造血幹細胞を増やし、成分献血と同じ手法で移植に必要な造血幹細胞を採取する。

 同移植のメリットは、ドナーにとっては骨髄移植のような全身麻酔による手術や自己血採血を必要とせず、移植患者にとっては骨髄と比べて造血幹細胞が多く含まれるため生着しやすい上、造血回復が早いという点が挙げられる。
 
 この日の会合では、末梢血幹細胞移植の導入に向けて日本造血細胞移植学会の出席者が、2000年4月から5年にわたって、血縁者間で末梢血幹細胞移植を実施したドナーの健康状態について経過をフォローした研究結果を報告。それによると、5年のうちに見られた健康異常について、「末梢血幹細胞の提供による因果関係は否定し切れないものの、明らかなものはない」との結論に至った。また、懸念された白血病などの血液系悪性腫瘍の発生率も、骨髄ドナーと比べて有意差は見られなかったという。

 こうした報告に対して委員からは、導入に向けた体制づくりや移植に当たってのインフォームドコンセントを充実させるよう要望する声が上がったほかは、おおむね好意的に評価する意見が相次ぎ、最終的に齋藤委員長が「安全性を確認しながら慎重に、段階的に導入していくことで、委員会として了承したい」と締めくくった。



 普通の血液の中に少量混じっている末梢血幹細胞を増幅して移植するのが末梢血幹細胞移植です。

 骨髄を採取せずとも幹細胞の移植が出来るということもあり、ドナーの増加に繋がるかもしれません。

 未だ治療法が多くない血液内科の領域においては画期的な一歩ではないでしょうか。
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描写のリアルな医療漫画が今人気を集めている

リアル医療漫画が人気

 医師や看護師らが活躍する医療漫画が、漫画の一ジャンルとして定着してきた。テレビドラマ化される作品も多いうえ、いまや学術研究のテーマになるほど注目されている。

 医療がテーマだったり、医師らを主人公にしたりした漫画173作品を調べあげ、傾向を分析した論文を発表するのは、東大医科学研究所の医師、岸友紀子さん(36)。

 論文によると、医療漫画は1980年代後半から徐々に増え始め、これまで約1割がテレビドラマや映画、アニメへと映像化された。岸さんは「患者意識の変化で、医師が従来の聖職者から身近な存在となり、医療がだれでも関心を持ちやすいテーマになっている」と指摘する。最近の傾向は臨床心理士や理学療法士など医師以外の医療従事者を主人公とする作品が出てきたことだという。

 「医療漫画は、野球漫画やグルメ漫画と同様、いまや定番のジャンル」と話すのは、18万冊の蔵書を誇る現代マンガ図書館(東京都新宿区)の西智子さん(30)。同図書館は昨年、企画展「医療マンガ傑作選」を開いた。

 西さんによると、70〜80年代の作品では、超人的な技量を持つ医師が多く登場した。手塚治虫の「ブラック・ジャック」が代表例だ。しかし、90年代以降は新米医師の成長を描く「研修医なな子」など等身大の主人公とそれを取り巻く人間ドラマが増えた。

 最近では医師不足や医療事故をテーマに採り入れた「医龍」「麻酔科医ハナ」「最上の命医」などが「医師が見てもリアリティーがある」と評判だ。

 それもそのはずで、昨今の医療漫画は医師が監修したものが多く、内容も専門分化してきた。漫画研究家のヤマダトモコさんは「大人が漫画を読む時代になったのに合わせ、内容の方も本格的でリアルさが追求されるようになった。このため、専門家が監修したり、実態を詳細に調べたりして描かれた作品が増えている」と説明する。

 60〜70年代、「巨人の星」を見てプロ野球選手を夢見た子どもたちがいたように、若者の職業選択への影響も見逃せない。東大の岸さんは「私の周りでも漫画の登場人物にあこがれて医師になった人は多い。漫画は関心を持つきっかけになりやすい」と話す。

 昨年テレビドラマ化されて大ヒットした「JIN―仁―」は、幕末にタイムスリップした脳外科医の活躍を描いたものだが、「JINの効果なのか、脳外科の希望者が増えた」と喜ぶ大学病院関係者も。医療漫画のヒットが医師不足解消に一役、なんてこともありそうだ。



 漫画の登場人物に憧れて医師になったという人を未だに一人もみたことありませんが・・・

 でも確かに魅力あるキャラクターが増えてきた、という感じはしますね。特にJINはリアリティある手術描写が好評です。

 どんな形であれ医師に憧れて医学部に入学する学生を、医学処は応援しています。
posted by さじ at 01:29 | Comment(1) | TrackBack(0) | NEWS

矯正歯科治療の知識を養おう

矯正歯科治療の知識、「知らない」が多数

 矯正歯科治療に関する知識について、知らない人が多いことが、日本臨床矯正歯科医会が行った歯並びと矯正歯科治療に関する意識調査で分かった。

 調査は7月2-6日、全国の10-50歳代の男女1000人を対象にインターネット上で実施した。

 それによると、「自分の歯並びを気にしたことがある」について、「あてはまる」「ややあてはまる」と回答したのは66.5%、「自分の歯並びを良いと思わない」では43.8%だった。

 また、「美しい歯並びを手に入れたい」について、「あてはまる」「ややあてはまる」と回答したのは62.3%だったが、「歯並びについて歯科医に相談したことがある」は24.8%だった。

 調査では、矯正歯科治療に関する知識について、「歯茎が健康ならば、何歳でも治療できる」「矯正歯科治療を専門に行う歯科医院がある」など15項目を挙げ、知っているかどうかを尋ねた。

 それによると、「知っている」と回答した人が半数以上だったのは、矯正歯科治療をすることで「食べ物がよく噛めるようになる」「力が入りやすくなる」「顔全体の形がよくなる」の3項目のみだった。

 半数以上の人が「知らない」と回答した12項目のうち、「知らない」人の割合が8割以上だったのは、「十分な学識と経験を持つ矯正歯科医に対する認定医制度がある」(90.4%)、「妊娠中でも矯正歯科治療ができる」(87.6%)、「医療費控除を受けられる場合がある」(82.5%)、「歯茎が健康ならば、何歳でも治療できる」(81.8%)、「保険がきく場合がある」(81.6%)の5項目だった。

 同医会の平木建史会長は、今回の調査で「歯並びへの関心の高さが顕著に表れた半面、矯正歯科治療についての理解不足も明らかになった。矯正歯科医療に関する情報の発信に一層力を注いでいきたい」としている。



 歯並びをよくすると見た目がよくなるだけでなく、咀嚼能力が向上して健康にも良いとされています。

 まあデメリットは矯正中の見た目が悪いこととお金がかかることぐらいですかね。最近は歯の裏側に矯正する器具をおく、見た目上問題のないやり方も出てきているみたいですが、こちらは表側に器具をおくときの倍近く費用がかかることと、舌のろれつがまわらなくなること、舌に器具が当たって痛みが生じることなどがあります。
posted by さじ at 01:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | 歯科

うつ病の発症を防ぐ脳内分子機構を解明する

うつ病発症防ぐ脳内分子機能を解明 群大研究グループ

 ストレスを受けた際、特定の脳内分子が反応し、うつ病の発症を防ぐ働きをしていることを、群馬大生体調節研究所・的崎尚客員教授らの研究グループが発見し、4日付の米科学誌「ジャーナル オブ ニューロサイエンス」に発表した。既存の抗うつ剤では効果の表れない患者に適応する新たな治療薬開発につながる可能性があるという。

 的崎教授によると、外部からのストレスに反応していることが分かったのは「SIRPα」といわれる脳内分子。

 研究グループでは、この分子はストレスを受けると細胞内の酵素と結合し、「リン酸化」という化学変化を起こす点に着目。「SIRPα」を取り除いた「ノックアウトマウス(KOマウス)」と通常のマウスのそれぞれに「強制水泳テスト」を行い比較。その結果、KOマウスの脳細胞内では「リン酸化」が起きず、うつ状態を示す無動の時間が増加する結果が出た

 うつ病を発症する仕組みとしてはこれまで、ホルモンや神経伝達物質の機能異常が指摘され、対応した薬物などが治療に用いられてきた。しかし、薬の効かない患者もおり、発病原因は十分に解明されていない。

 的崎教授は「『リン酸化』を制御できる方法を考案し、自殺の大きな要因にもなっているうつ病対策につなげたい」としている。



 今後のうつ病治療の要はやはり遺伝子解析を軸としたものになるのでしょうか。それぞれに対応する治療薬が開発できればなおのことよし
posted by さじ at 00:51 | Comment(1) | TrackBack(0) | 精神

2010年08月05日

ビールを飲めるアルコール依存症治療施設

ビールのほろ酔いで依存症の克服を目指す、オランダの治療施設

 アルコール依存症の女性、ジャネッタ・ヴァン・ブリュッヘンさん(51)は、クリニックの椅子にゆったり腰掛けるとタバコに火をつけ、キンキンに冷やした霜つきのビアマグから、ぐいっとビールを飲んだ−−朝食から6杯目だ。以前は人の目を盗んでは、1日にワイン2リットル、ビール3リットルを飲むこともあった。

 ブリュッヘンさんのほかに20代中盤から50代後半の男性15人、女性4人の計19人が、この画期的なオランダのクリニックでアルコール依存症の治療に取り組んでいる。全員、10年以上のアルコール依存症歴。飲むことを禁止はせず、量を管理してほろ酔い状態を保ちながら依存症からの脱却を目指すクリニックだ

 クリニック内の簡易バーではビール500ミリリットルに0.4ユーロ(約45円)をソーシャルワーカーに払う。バーカウンターの冷蔵庫には缶ビールのストックがあり、洗剤の泡が浮いたバケツにはビアマグが漬かっている。そのカウンターの内側でスタッフが、記録帳にあるブリュッヘンさんの名前の横に印をつける。

 09年10月の開設以来、ここオランダ中部アメルスフォールトのアルコール依存症治療施設、マリーバーン・センターでは入院するリハビリ患者たちに、1時間に1回以下、1回500ミリリットルを条件に1日5リットルまでのビールをセンター内で飲むことを認めている。センターが購入するビールは1か月に500ミリリットル缶で4000本。卸売で仕入れて、そのままの値段で売る。資金的にはおおかたを市の予算に頼っている。

 「飲み過ぎを止めること、これが目標です。本人のためにも、周りの人のためにもそのほうがいい」。おそらく欧州初の試みだろうと、同センターの精神科医ユージン・スハウテン(Eugene Schouten)医師は言う。目標を達成するため、「ビールしか飲ませていない」という。

 センターが対象としているのは「最悪の状況」、つまり家族も仕事も住む家もなく、酒を止めたいとも思わないアルコール依存症者だ。

 チームリーダーのピーター・ピュアイク氏は説明する。「アルコール依存症の人は朝起きると、まず不快感を覚えます。それでその不快感がなくなるまで飲むのです。朝食を待たずに、マティーニやポルト酒のボトルをあっという間に飲みきってしまうことさえあります。そうやって酔っ払い、周りの人間の迷惑にもなる。物を盗んだりケンカをしたり、大声で怒鳴ったり。それに飲み過ぎは、肝臓や脳、心臓にも深刻な害を与えます」。

 センターでは午前7時半から500ミリリットルのビールをオーダーできる。「これで朝の不快感をなくせます」。ラストオーダーは午後9時半だが、1度飲んだら1時間我慢しないと次のオーダーはできない決まりだ。「これで血中のアルコール濃度を『ほろ酔い』程度に保てます。頭はクリアなので、医師や精神科医と会ったりもできるし、食事もシャワーもできます。何よりも自分で自分の行動をコントロールできる範囲です」

 1日3回の食事のほかにセンターではビタミン剤や、アルコール量を減らしていくことで夜間に現れる禁断症状を抑える薬も支給する。ホームレスとしての行政への届け出や医療給付を受ける手続きも支援している。

 治療に取り組む人たちは一緒にビリヤードやトランプをして遊んだり、テレビを見たり、マグカップを手におしゃべりを楽しんだりできる。ピュアイク氏は「飲みたいという欲求はいつでもつきまといます。色々な活動や治療、食事などを提供することで、その欲求は和らぎます。ここには平和がある。警察や嫌がらせをする住民に見下されることもない。トラブルに巻きこもうという人間がいないので、仲間との交流を楽しめます」。入所者のマリアン・クロイハ(Marjan Kryger、45)さんも「朝ビールを飲んでいても、誰にも笑われたり、とがめられたりしないから、ここは安心よ」と言う。

 しかし「家にいるような気分になっちゃいけないと思う。出ていけなくなるからね」と言うのは、ボブ・ヴァン・ドブレンさん(28)。家と子どもが欲しいというドブレンさんは、「酒を完全に止めるのではなく、酒量を減らしたい」と思っている。

 最初は依存症者にビールを飲ませるというコンセプトが理解できなかったというソーシャルワーカーのケース・デ・ブロインさん(24)も今では納得している。センターでいくら禁止しても、外で飲むのを止めさせることはできないからだ。「人間に強制はできない。ここにはそれがない。その結果、みんな飲む量が減ってきているし、前よりも節操あるマナーで飲むようになっている。健康状態も良くなっている」

 スハウテン医師は言う。「ここにいる人たちは模範的な市民だとか、働き者の納税者とは呼べないかもしれない。けれど、ここでやっているような方法で人生にもっと喜びが増えれば、周りに迷惑をかけることは少なくなるし、健康にもなる」。ピュアイク氏が続ける。「ここでやろうとしていることは、かれらに尊厳をもってもらうこと。人間なのですから」



 禁止、という抑圧の方向から、自制・節制というコントロールの領域に。

 依存症との闘い方はそれぞれですが、少なくとも酒量を減らすコントロールが出来れば日常生活を営めます。それを目標とすることもアリなのではないでしょうか。リベラルな国だからこそ出来ることではありますが。
posted by さじ at 03:09 | Comment(1) | TrackBack(0) | 内分

精神科と心療内科の区別をはっきりさせよう

心療内科(5)心身症を治療 精神科と別

 心療内科について、盛岡友愛病院副院長で日本心療内科学会専門医の千葉太郎さんに聞きました。

 ――心療内科とはどんな診療科ですか。

 体の病気が発症したり症状が悪くなったりする時、ストレスが関係することがあります。こうした病気の状態を「心身症」と呼び、普通の治療法だけでは良くなりにくいことが多いのです。このような患者さんを診断し、治療するのが心療内科です。

 ――具体的にはどんな病気が対象ですか。

 たとえば薬を使っても良くならない高血圧や、再発を繰り返す胃潰瘍、ストレスと関連して起きる気管支ぜんそくなど。ほかにも慢性の痛み、糖尿病、摂食障害など、あらゆる病気が対象となり得ます。

 ぜんそくの患者さんに対し、心と体の両面から診る「心身医学」的な治療をした方が、通常の内科の治療より改善度が高い――という研究結果もあります。

 ――精神科とどう違うのですか。

 よく誤解されるのですが、精神科は、うつ病や統合失調症、不安障害といった心の病気(精神疾患)を診る診療科です。心療内科は、内科の病気に対して心理療法も行う科として誕生しており、そもそもは内科の病気を診る科なのです

 ――でも、うつ病も診ている心療内科クリニックはたくさんありますね。

 実は、「心療内科」という看板を掲げている医療機関の多くは、精神科医が診療しています。精神科の受診に抵抗のある人が多いからです。一方で、うつ病の診療をしている心療内科医もおり、違いが分かりにくくなっています。

 ――すると、どうすれば“本物の”心療内科医の診察を受けられるのですか。

 そもそも数が少なく、日本心療内科学会が認定した専門医は27都道府県にわずか107人。学会のホームページに専門医の一覧が載っていますので、参考にしてください。

 現在、心療内科医を養成する講座のある大学は全国に5大学しかなく、もっとこうした大学が増えないと医師も増えません。

 また、治療に手間と時間がかかる割に、心身症患者への「心身医学療法」の診療報酬が非常に低く、このため心療内科は病院の不採算部門になっています。診療報酬を上げ、心療内科医が活躍できるよう環境を整えることも必要です。



 今の日本で果たして「心療内科」が機能しているかというと正直疑問です。何故なら精神科との区別が全くなされていないばかりか、「一般の人の精神科に対するイメージが悪いばかりに、駅前に心療内科クリニックを掲げる」ケースが多いからです。

 一般の方に対しても、うつっぽいからという理由で、「じゃあ心療内科に行ってみたら」というアドバイスが蔓延している。これは間違いです。

 では精神科に比べて心療内科は必要ないかといえば答えはNOです

 特に日本では「根性根性」と、精神で何とかしようとする姿勢が未だ根強く残っている国です。

 ストレスによる胃潰瘍、過敏性腸症候群などは本来心療内科で診るべき領域です。

 また、実はうつ病だけれども、うつ症状よりも体の症状が出てしまい、診断がつかないという「身体表現性障害」のケースも増えています。

 心療内科に対する知識と理解を、広く一般の方にも知ってもらいたいです。
posted by さじ at 02:26 | Comment(1) | TrackBack(0) | 精神

脳梗塞のt-PA療法、救急医療として川崎市が成果を挙げる

「t―PA療法」脳卒中救急医療に成果、横浜・川崎市がシンポで

 脳卒中の救急医療を考えるシンポジウムが31日、横浜市中区桜木町の日石横浜ホールで開かれた。横浜、川崎市では、多くの脳卒中患者を救える可能性がある「血栓溶解療法」(t―PA療法)に対応可能な医療機関に搬送するだけでなく、搬送から治療までの患者データを集積するなど、全国でも先駆的な体制を整備している。両市が最近1年間の実績を発表。症状の改善など一定の成果があった一方、地域間連携の重要性や啓発の課題も浮上した。

 t―PA療法を行った場合、発症から3時間以内なら劇的に改善する可能性があるとされている。川崎市では治療実績のある10医療機関でつくる「川崎脳卒中ネットワーク(KSN)」が市消防局と連携。救急隊がt―PA適応可能性のある患者をKSN病院に搬送する体制を全国で初めて導入した。横浜市では市健康福祉局が搬送先医療機関として募った31医療機関に搬送する仕組み。

 川崎市では昨年度、KSN病院に搬送された552例のうち、t―PA療法を実施したのは約15%の86例に上り、全国に比べて高水準という。治療後、就業復帰可能レベルまで改善した患者は30%を超えた。死亡は2例あったが治療の副作用が原因ではないという。

 また、症状判明から病院に到着するまでの時間は昨年度下半期は約30分で、同上半期から半減。KSN事務局で聖マリアンナ医科大学の山田浩史医師は「一定の成果がある」と強調しつつ、t―PA適応可能性患者の約10%が横浜市内へ搬送されていることから「両市でデータを共有することが重要」と課題も挙げた。

 横浜市では昨年度、31カ所の医療機関に搬送された患者のt―PA実施率が約13%(177例)。約30〜40%の患者が就業復帰可能レベルに改善する効果が見られた。死亡者は約10%を占めた。

 一方、t―PA適応可能性患者の約15%が、時間帯などを理由にt―PA療法ができない病院に搬送されている実態が判明。市消防局救急課の吉田茂男さんは「患者家族からかかりつけ医への搬送などの強い要望もある」と打ち明け、「市民にもt―PAの効果や搬送システムを理解してもらうことも必要」と話した。

 また、国立病院機構神奈川病院の齋藤良一医師が湘南地区の搬送状況などを報告した。



 救急疾患ながらも「発症から3時間」というタイムリミットがあるのが課題ですね。しかしそれでも劇的な効果があるのならばやるべきでしょう。川崎市というと聖マリアンナ医科大学が中心にやっているのでしょうけれども、そのデータを共有しうまく生かすことでその地域の脳梗塞患者の社会復帰率を大幅に上げることができると思われます。
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アメリカの医師の3/1は問題のある同僚を報告していない。

米国の医師の3分の1は問題のある同僚や無能な同僚を報告していない

 米国の医師の3分の1以上は、能力がないか薬物乱用や精神衛生上の問題で職務を遂行できない同僚について報告することを躊躇していることが、新しい大規模調査によって示された。

 米国医師会(AMA)や他の専門医学団体では、問題のある同僚に関して“医師には倫理的に報告義務がある”としている。米マサチューセッツ総合病院/ハーバード大学医学部(ボストン)助教授のCatherine M. DesRoches氏は「現状では自己規制(self-regulation)が最良の選択であるが、今回の知見は本当にそれを強化する必要があることを示唆している」という。

 米国医師会誌「JAMA」7月14日号に掲載された今回の研究で、同氏らは、1,900人ほどの麻酔科医、心臓病専門医、小児科医、精神科医、家庭医学医、一般外科医、内科医を対象に調査を実施。過去3年以内に“医療を実践するのに問題がある、または能力のない医師を個人的に直接知っていたか”、 “その同僚について報告したか”を尋ねた結果、17%の医師が知っていたが、実際に報告したのは3分の2に過ぎなかった。

 ただし、全回答者の64%が報告すべきであることに同意し、ほぼ70%は報告する“覚悟がある(prepared)”と考えていた。少数派の医師や海外の医学部を卒業した医師のほうが報告する可能性が低く、病院や大学の勤務医は小規模施設の医師に比べて報告する可能性が最も高かった。

 報告しない理由は、誰かがその問題に対応するとの考えが最も多く、ほかには報告しても何も変わらないとの思いや報復の恐れがあり、特に小さな町や小規模施設の医師はそうであった。同氏らは、報告した医師へのフィードバックシステムの導入や機密性保護の支持を提案している。



 日本の場合はどうなのだろうか

 医師としての能力が劣っている人というのは少なからずいるでしょう。論理的に物事を考えられない人、勉強不足な人、能力以上のことをやろうとしてしまう人、などなど…。

 ただそれを報告してもどうにもならんのが日本なんでしょうかね。ナァナァでいってしまうというか。アメリカだと完全に実力主義でしょうから淘汰されていくんでしょうけれども。
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救急医療情報を冷蔵庫に入れておく運動を広めよう

雲南「救急医療情報を冷蔵庫に」

 緊急情報は冷蔵庫に入っています−。雲南市木次町八日市地区の地域自主組織「八日市地域づくりの会」が1日、緊急連絡先やかかりつけ医などの記録を筒に入れた「救急医療情報キット」を、各家庭の冷蔵庫で保管する取り組みを始めた。独居老人が倒れた時などに、家族に急を知らせ、持病など不明点の解消につなげ、迅速な対応に役立てる。

 同地区の全350世帯、1036人が対象。木次総合センターによると、同地区の独居老人は今年4月1日現在で72人。また、地区内で市に申請した災害時要支援者数は46人に上った。

 地域ぐるみの安全・安心対策として、同会の生活安全部5人が中心となり、1年がかりで準備。県内の先進地の取り組みを参考に、指定の用紙に氏名や住所、かかりつけ医療機関、担当医を記入。診察券や薬剤情報提供などの写しと一緒に筒に入れ、すぐに見つけ、取り出しやすい冷蔵庫に保管することにした。

 個人情報保護の観点から、消防署員と警察署員のみが情報を見ることができるよう配慮。全世帯に1本ずつ筒を配布した。

 同会生活安全部長の布野良男さん(67)は「今は、隣近所でも名前も知らない人がいる。しっかり記入して、1人でも助かってほしい」と話した。



 これ素晴らしい考えですね。考えて実行にうつした人、偉い。

 実際、こう、いざ救急車で病院に行ったとして、まず現場の医療関係者が困るのが「どういう病気でどういう薬を飲んでどういう経過なのか」という点です。飲んでいる薬が分からないことには治療に制約が出てしまう。本人に聞いても何とか言う薬という感じで明確な答えが出てこないことが多い。

 そんなときに、お薬手帳とか、こういった病歴を書いた紙があるととても便利です。この手法、全国で普及させてくれませんかね。救急隊の方もこれがあると探しやすいし便利だと思うのですよね。冷蔵庫がミソ。開けやすいし。
posted by さじ at 01:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | 救急

こどものホスピスプロジェクト発足。課題は資金難か

子どもホスピス、大阪府内設立へ医師ら団体29日発足式

 難病の子と、その家族らを支える子ども専門のホスピス設立に向け、大阪の小児科医らが29日、任意団体「こどものホスピスプロジェクト」を発足させる。子どものホスピスは国内にはまだなく、資金や人材の確保とともに、知名度の低さが課題となるが、医師らは「当面は看護師らによる訪問ケアなど出来ることをしながら、日本の実情にあったホスピスを実現したい」としている。

 子どもホスピスは難病や重い障害の子が家庭的な雰囲気の中で、専門的な治療や緩和ケアを受けられる施設。1982年に英国で誕生以来、ドイツやカナダなど欧米を中心に広がっている。親子で滞在するのも、子どもだけ預かるのも可能で、看病疲れの親の心身の回復や、子を亡くした後の遺族ケア機能なども持っている

 日本では奈良市や神奈川県、福岡県などで設立に向けた動きが出ているほか、大阪では、英国で小児緩和ケアを学んだ大阪市立総合医療センター(都島区)の多田羅竜平・緩和医療科兼小児内科医長(40)らが中心となって準備してきた。

 大きな課題は、資金面の確保だ。建設費はもちろん、英国では1施設あたり、年間数億円かかるとされる運営費は主に地域住民の寄付などで賄われることが多く、多田羅医師は「寄付文化の定着していない日本では、まず施設への理解を深めてもらうことが大切」と指摘。

 団体の発足を機に、勉強会を重ねながら、今年秋頃から、看護師らが難病の子らを訪問して一緒に過ごし、家族に休息をとってもらう活動や、英国で「プレイワーカー」と呼ばれる医療現場での遊びの専門家養成などを計画している。

 また寄付金を受けやすいよう、任意団体を社団法人にすることも検討中という。

 発足式は29日午後7時から、同医療センターのさくらホールで。入場無料。



 資金か・・・。

 ペットボトルのフタを集めたりするボランティアやら、エコ商法にノってしまったり、数年前にはホワイトバンド詐欺などが大ブームを起こしている日本人ですが、

 実際に「寄付」という形でお金が絡むと、全くもって受け入れられないんですよね

 これ不思議です。ペットボトルのフタを集めてワクチンがどうのとやる無駄な労力とフタの郵送費があるならば、直接寄付すればいいのに、そういうことは文化として根付かない。フタを集めるだけで「良いことをした気になれる」んでしょう。不景気だ何だといいながらも世界的にみて最も恵まれている国の1つだからこそできる行為です。

 ホスピスという施設が日本になかなか根付きにくいのもこういった面でしょうね。善意の寄付というものがなかなか得られにくい。それでも最良の医療を安価で受けようとする、というのは虫の良い話ではあるまいか。

 この子どものためのホスピスプロジェクト、果たしてどうなるのでしょうか。資金的に運営するに足りて波に乗ることが出来れば、日本の医療にとって大きな一歩でありますし、日本人としても一歩進んだメンタリティが得られることでしょう。
posted by さじ at 00:28 | Comment(1) | TrackBack(0) | 小児

子どもが虐待を受けたかどうかを医学的に判断する

虐待か?判定支援チーム結成へ 臓器提供巡り小児科医ら

 小児科医や小児救急医らでつくる日本子ども虐待医学研究会(会長・小池通夫和歌山医大名誉教授)は、子どもが虐待を受けたかどうか医学的に判断する医師を、専門知識を生かして支援するチームを作ることを決めた

 7月に本格施行された改正臓器移植法で15歳未満の子からの臓器提供が可能になった一方、同法は虐待を受けた子からの提供がないよう求めている。脳死判定などが行われる提供病院が虐待の疑いを見極めないといけないが、慣れていない医師には、子どもの傷や画像診断から判断するのが難しい場合がある。

 そこで研究会は日本小児科学会に連携を呼びかけ、提供病院の支援チームを目指すことにした。虐待を受けた子を多く診てきた小児救急医、脳出血の画像診断に詳しい脳外科医、体を激しく揺さぶられた子に特徴的な眼底出血に詳しい眼科医、虐待された子の骨のけがに詳しい整形外科医のほか、放射線科医や歯科医、虐待の疑いがある親との対話にたけた医師らが参加する。

 コンピューター断層撮影(CT)の画像などの提供を受けて助言したり、主治医から家族の説明を聞いて状況分析を手助けしたりする。

 研究会は、院内の虐待防止委員会のあり方や児童相談所、警察との連携についての指針、虐待判断のための手引書も作る。



 こういった場合にも、法医学のジャンルは有用です。

 法医学者は死体を見るだけでなく、臨床の場において、虐待や傷などをみるプロフェッショナルです。

 うまく病院間で連携をとれば不可能ではないと思うのですがね。まだ現実的には難しいのか。虐待を発見する一番身近な存在として「医師」がいますので、虐待による傷に関しては知識としても覚えておきたいところ。
posted by さじ at 00:10 | Comment(1) | TrackBack(0) | 小児

2010年08月02日

手術の醍醐味を伝える、金沢大学病院の手術体験会

醍醐味 伝えたい 金大病院の手術体験会

 「子どもたちに、医療の素晴らしさを実感してもらいたい」−。七月二十六日に金沢大病院で開かれた子ども手術体験学習会。医師不足、偏在が社会問題となる中、企画した同病院心肺・総合外科の渡辺剛教授は「医師自ら小中学生に手術現場を伝えることで、志を持って医療の世界に入ってくる若者を増やしたい」と話す。後進の育成へ、医師側からの発信も注目されている。

 電気メスや超音波メス、自動縫合器を実際に使ったり、内視鏡手術をテレビモニター上で疑似体験したり。事前に申し込んだ中から選ばれた二十四人の小中学生は、国内に十数台しか導入されていない最新鋭の手術ロボット「ダ・ヴィンチ」の操作も体験した。

 学習会は渡辺教授が全国各地で実施し、金沢では四回目。渡辺教授は「外科はつらい、見合った対価がもらえない、リスクが高いというイメージが先行している。命を救うという外科医の醍醐味を少しでも感じてもらえたら」と趣旨を語る。

 学習会では、肺がんに対して背中からおなかまでを切る約十五年前の開胸手術と、体に三、四カ所穴を開ける現在の内視鏡手術の映像も視聴した。リアルな現場を知ってもらおうと、生々しい手術映像も見ながら、同外科の小田誠臨床教授が解説。「僕も小さいころ、血を見るとぞっとしていたが(慣れるので)問題ない」と語りかける場面もあった。

 参加した金沢大付属小四年の佐藤侑奈さんは「将来、ダ・ヴィンチのような難しい機械が使えるお医者さんになりたい」。

 医師を目指すかほく市宇ノ気中三年の長原周平君は「機器の操作などいろんな練習の積み重ねで手術が成功するんだと思った。医師たちは格好良く、医者になりたい気持ちが強まった」と話した。

 渡辺教授が学習会を始めたのは「医師には、医療現場で起きていることや仕事内容を社会に発信する責任があるから」。産科医や小児科医と並び、指摘される外科医不足も「医師が忙しさにかまけて将来を担う子どもたちに向けて伝える機会をつくってこなかったことの結果でもある」と厳しい。

 実際、医師不足と偏在の問題は県内でも深刻だ。同大でもここ数年、外科系を志望する学生が激減。人口十万人当たりの医師数は、県内全体では全国平均より多いが、金沢市を含む石川中央圏に集中し、特に能登北部(輪島、珠洲両市と能登、穴水両町)では県平均の約半数だ。

 学習会で子どもたちを指導した医師たちは「この中から一人でも将来外科医を目指してくれる人が出れば」と口をそろえる。長期的な視点での医師確保対策が求められている。

 ◇後記◇

 「何年か前の東京の学習会に参加した子が、数年前、金沢大医学部に入ったんですよ」

 渡辺教授がうれしそうに教えてくれた。医師不足、偏在の問題解決にすぐに結び付かないかもしれない。が、子どもたちの手術器具を操作する真剣な表情、集中して医師の話を聞く姿を見て、長い目での医師確保につながる試みだと感じた。

「医者になるには英語も勉強しないとね」。親や先生に言われるより、子どもたちには響いたに違いない。



 スゲェ、ダヴィンチもやらせてもらえるんだ。最先端いってますねぇ。

 実際、外科っていうのは凄く面白いものです。内科はセコセコとやるイメージですけれど、外科は手術がとても面白い。いくら医学が発達しても、内科だけで治療できるということにはならんでしょうね。外科があってナンボ。これだけ医学が発達した現代においても、外科でスッパリ治すということは多いです。

 昔と違って外科が不足している最大の原因は、医学生のモチベーションの大きさによるのではないでしょうか。親の病院を継ぐとか、開業するとか、そういう人は外科に行っても意味ないですもんね。心臓外科をやって循環器内科に行くとか、消化器外科をやって消化器内科に行くとかなら分かりますけれど。

 まぁそんなこんなで、この受験戦争が招いた弊害といっても過言ではないと思います。もし偏差値ではなく純粋に医学をやりたい人を集めたら、半数は外科に入るような感じはありますね。間違いなく。
posted by さじ at 04:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | 大学

日本の1〜4歳児死亡率は何故先進国の中でも高いのか

先進国で飛び抜けて高い日本の「1〜4歳児死亡率」

平均寿命が世界でトップ、新生児の死亡率も極めて低い日本。ところが、その間の1〜4歳児の死亡率は先進国のなかで飛びぬけて高いことが最近の調査で分かった。

浮かび上がったこのちぐはぐさの原因は、重篤に陥った小児の診断をした経験に乏しく、適切な処置が行えない医師たちが多いこと。加えて、重篤な小児を集中的に治療する医療体制の不備。そして、何よりも「社会がその不備に気付かないまま、埋もれてしまった」(小児科医)ことだという。

長い不況のなかで親による子供の虐待が頻発している。子供を大切に育てる考えが社会全体で希薄になっているのだろうか。

はいはいからようやく立って歩けるようになる1〜4歳児は、ただでさえ危険な年ごろだ。交通事故や転落事故、病気になると基礎体力が弱く症状が急変しやすく、言葉での表現ができない子供の診断や治療は大人より難しいからだ。

WHO(世界保健機関)のデータによると、1〜4歳児の死亡率で日本は先進国の平均を大幅に上回る状態が過去20年間続いているという。その背景には何があるのか。

番組が取材した医師たちがあげたのは、重篤の子供を見るケースがほとんどないため、経験を積んで診療技術を磨く機会が少なく、助かる可能性がある命が失われている実態だった。

実例として取り上げたのは、子供の命を救えなかった救急現場で働く30代の医師。夜間当直中、3歳児が「息ができず苦しんでいる」と運ばれてきた。大人の急患ばかりを診てきた医師は、幼い子供を前に動揺し、不安を抱えながらぜんそくと診断して治療した。ところが病状は回復せず、結局亡くなった。

後でわかったことは、気管がつぶれて呼吸しにくくなる気管軟化症という病気で、医師の診断ミスだった。しかし、短兵急に医師を責めるのは酷というものだ。幼い子供を頻繁に診ている小児専門医でなければ、診断するのが難しい病気なのだという。

こうした診断ミスの多さを裏付けるデータがある。藤村正哲医師(大阪府立母子保健総合医療センター)が、1〜4歳児の高死亡率の原因を調べるため、子供たちの死亡場所を記録した国の資料を分析したデータだ。

それによると、05年〜06年の2年間、病院でなくなった1〜4歳児は1880人で、全国各地の病院に分散している。これらの病院の67%が、2年間でたった1〜2例しか1〜4歳児を扱ったことがない事実が浮き彫りになった

さらにもう一つの課題として指摘されたのは、1〜4歳児を専門に診る小児ICU、集中治療室の整備の遅れ。現在稼働しているのは全国で10病院以下で、関東では東京にあるだけという。



 まぁ新生児の死亡が圧倒的に低いのも、実は裏があって、「両親の感情などに配慮して、統計的に新生児の死亡として届け出ない」から低いみたいですけどね。

 確かに小児集中治療的な施設が不足しているのは事実。そこらへん難しいですね。社会が医療に対しておいついていないために起こった弊害か。
posted by さじ at 04:29 | Comment(2) | TrackBack(0) | 小児

インフルワクチン接種で看護師の13%がヒヤリハットを経験

ワクチン接種で看護師13%がミスやヒヤリ…

 医療機関などで新型インフルエンザのワクチンを接種する際、看護師の13%が準備作業でミスをしかけたり、実際にミスを犯したりしていたことが8日、米系医療機器大手の日本ベクトン・ディッキンソンの調査で分かった。多くの看護師が「多忙」を理由に挙げており、大勢の接種希望者や感染者への対応に追われる新型インフル医療の難しさや危うさが伺える。

 同社が今年5月、全国の看護師を対象にインターネットを通じて調査し、1千人から回答を得た。その結果、実害はなかったがミスを犯しかけた「ヒヤリ・ハット」を経験したり、実際にミスを犯したりしたという回答者は13%に上った。

 最も多かったミスやヒヤリ・ハットは、瓶から注射器に充填する「ワクチン量」で114人。次いで、注射針を曲げるなどの「器具の破損」(106人)▽「注射器の取り違い」(65人)▽「ワクチンの取り違え」(52人)−と続いた。

 少数だが、「患者の取り違い」といった回答もあった。

 原因には、「多忙」を挙げた回答者が最も多く、全体の52.3%。ほかにも「疲労のため」(25.4%)、「緊急の仕事で接種を中断したため」(8.5%)といった回答が目立った。

 また、ワクチンの廃棄経験についても調査。新型ワクチンの一部が10ミリリットルの瓶(約18人分)で製造されたことから、使用期限の開封後24時間以内に使い切れないなどの理由で、廃棄した経験がある看護師は、49.1%に上った。



 まぁ、看護師さんという職は、ある意味医者以上に忙しい職業です。

 看護師をいくら病院で増やしても、忙しさは変わらんでしょうねぇ。やる業務が異常に多いのが実情です。正直病院で、病人の方針を決定するのは医師かもしれませんけれど、その実行には看護師がいなければ全く機能しません。

 昔は医師が威張るということもあったかもしれませんが、最近では医師のほとんどが「看護師がいなければ何もできない」という、頭の上がらない状況になってきていると思います(良い意味で、ですよ)

 患者の看護と一口にいっても、その内容は多岐に渡ります。点滴を投与するとか、注射薬を混ぜるとか、そういうことも全て看護師業務の1つなのです。

 その多忙さで、ミスが起こらないほうがおかしい。個人的には看護師の給料を今の1、5倍ぐらいにしても良いと思うほどの労働量です。
posted by さじ at 03:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | 大学

癌周囲の血管を新生して抗がん剤を効きやすくする技術

難治性がんの克服に向け、がんの血管を修復する治療技術を開発

 旭川医科大内科学講座の水上裕輔講師らは、マウスを使った実験で、骨髄細胞の移植によって、がん細胞周辺の血管の機能を修復・再生する技術を開発した。これにより抗がん剤の供給路が確保され、治療効果が高まり、膵がんなどの難治性がんに対する新しい治療法として期待できるとしている。現在、ヒトへの臨床応用を目指した研究体制を整備中。研究の成果は米医学誌「Cancer Research」のオンライン版に掲載された。

 7月13日に東京都内で記者会見した水上氏の説明によると、難治性がんでは、がん細胞周辺の血管の多くが機能していないため、抗がん剤を投与しても細胞に十分に行き渡らない。また、酸素の少ない環境に置かれたがん細胞は、抗がん剤などの外的ストレスに耐える力を強め、高い悪性度を得ているという。

 そこで、水上氏らは、自然に膵がんができるように遺伝子改変したマウスに、血管を安定化させる働きを持つ骨髄細胞を移植した。その結果、血管が修復・再生されたことを確認した。



 癌そのものを攻撃する技術ではなく、癌に抗がん剤がいきわたるよう、血管を新しく作ってやる技術。これが成功すれば、今まで以上に化学療法の効きが良くなることでしょう。手術も出来ず、化学療法しか効果のないような難治性癌に対しての臨床応用に期待です。
posted by さじ at 03:44 | Comment(3) | TrackBack(0) | がん

メタボリックシンドロームは腹囲とはあまり関係がなかった。

<メタボ>腹囲とやはり無関係? 男性も裏づけ…新潟の病院

 メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の診断基準となる血圧などの検査値の多くは、日本人男性の場合、腹囲(腹部肥満の有無)に関係なく体重が増えれば悪化する傾向が強いことが、立川メディカルセンター(新潟県長岡市)の調査で分かった。3月には厚生労働省研究班の大規模調査で、女性の腹囲と循環器疾患発症の関連性が低いとの傾向も明らかになり、腹囲を必須とする現在の特定健診のあり方も問われそうだ。今月号の米糖尿病学会誌「ダイアベティス・ケア」に発表した。

 調査は、同センターの人間ドックを08〜09年に受診し、風邪などをひいていない男性1271人(平均年齢51.6歳)を対象にした。メタボ診断基準の血圧、血糖値、中性脂肪、HDL(善玉)コレステロールと、体重変化との関係を、国内でメタボの主因と位置づける腹部肥満がある群とない群でそれぞれ分析した。

 その結果、血圧と血糖値は、腹部肥満の有無に関係なく、体重が増加すれば悪化した。また、HDLコレステロールは、腹部肥満がない群だけが体重増加によって悪化し、いずれも腹部肥満との関係は見いだせなかった。一方、中性脂肪は、腹部肥満がある群で体重増加との関係があった。

 世界では、メタボ診断基準作りの中心になってきた国際糖尿病連合などが昨年、腹囲を必須とせず、他の血液検査値などと同列に扱う統一基準を発表した。一方、日本の診断基準は、腹囲が必須条件になっている

 分析にあたった小田栄司・同センターたちかわ総合健診センター長は「腹部肥満がなくても、体重が増えれば検査値が悪化することが分かった。腹部肥満を必須条件に生活指導を実施する現在の特定健診は合理的とは言えず、早急に見直すべきだ」と話す。

 日本のメタボ診断基準が腹囲を必須とするのは、腹部に蓄積する内臓脂肪が心筋梗塞などの循環器疾患を引き起こす主因との考え方に基づいてきたからだ。ところが、日本人の循環器疾患発症の傾向を調べた解析によると、内臓脂肪の蓄積だけではなく、血糖値など一部の血液検査値の悪化や食生活によっても危険性が高まる。このため、腹囲を必須とする現在の特定健診は、やせていて循環器疾患の危険性のある人を見落とす恐れがあると指摘されてきた。

 男性は40〜50歳代の比較的若い世代で腹部肥満が増えており、現在の健診に意味があるとみられていた。だが、今回の研究成果では、50歳前後の男性も腹部肥満の有無と検査値悪化の明確な関係を見いだせなかった。

 これらの調査結果は、内臓脂肪の蓄積が循環器疾患の原因の一つにすぎないことを示しており、それ以外の要因についても等しくチェックする健診体制の検討が求められることになりそうだ。



 まぁね・・・冷静に考えれば、腹回りの長さでメタボリックシンドロームの診断基準にするというのはある意味おかしい話ですな。

 1つの目安として用いるのは構いませんが、必須の基準になっているというのがいかんのでしょう。まぁメタボの概念が浸透しただけでも大きな意味がありました。今後はより実際の医学に直結した診断基準に変更する必要があります。
posted by さじ at 03:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | 消化

ピロリ菌に加え2種類の酵素が胃潰瘍発症に関係している

<胃かいよう>酵素が左右 発症しやすさ事前に診断

 胃かいようの発症や悪化にかかわる酵素を、反町洋之・東京都臨床医学総合研究所参事研究員らのチームが発見し、29日付の米科学誌プロス・ジェネティクス(電子版)に発表した。酵素を作る遺伝子の特徴を調べることで、胃の弱い人を事前に把握することが可能になるため、予防や治療法開発に道を開くと期待される。

 チームは、胃粘膜表面の粘液分泌細胞に多く存在する2種類の酵素に注目。これらの酵素が働かないマウスを作り、ウイスキー程度のアルコール溶液を飲ませると、通常のマウスより胃粘膜の損傷が大きくなることに気付いた。

 また、二つの酵素の働きを調べたところ、二つが一体となって胃粘膜を保護し、損傷があると粘液を多めに出したり、新しい細胞を供給する「修復」に携わっていることをうかがわせた。いずれの酵素も、酵素を作る遺伝子の配列の一部が異なると機能が失われた。こうした遺伝子のタイプの人は発症しやすいとみられる。

 厚生労働省によると、国内の患者数は約43万5000人。ピロリ菌や抗炎症剤の副作用で粘膜が傷つけられ、ストレスやアルコールといった刺激で発症、悪化するとされる。反町さんは「2種類の酵素がこれらの要因に加え、発症しやすさや、悪化するかどうかの鍵を握っているのではないか」と話す。



 将来的には事前にどういう病気になるリスクがあるのか、子供の頃の段階で分かってしまうのかもしれませんね。今もそういう傾向はありますけれども。リスクが分かれば極力病気の発症を抑えられるので、ありといえばありですが、倫理的に難しいのかもしれません。
posted by さじ at 03:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | 消化

生活保護受給者が向精神薬を重複処方してネットに転売

<向精神薬>生活保護受給者2700人に重複処方 厚労省調査

 大阪市内の生活保護受給者から不正入手した向精神薬の違法転売事件を受け、厚生労働省が実施した全国調査で、2746人の生活保護受給者が今年1月の1カ月間に、複数の医療機関から向精神薬を処方されていたことがわかった。不正な処方が含まれているおそれがあるとして、同省はさらに調べる。

 調査は4月、全国106の都道府県、政令市、中核市を対象に実施。1月の診療報酬明細書(レセプト)を調べ、受診した生活保護受給者4万2197人が複数の医療機関から向精神薬を処方されていないか確認した。

 重複処方の多い自治体は、東京都781人▽大阪市146人▽徳島県130人▽北九州市112人など。

 この問題を巡っては、神奈川県警が今年4月、大阪市西成区の受給者から入手した向精神薬をインターネットで転売したとして、同県横須賀市の男を麻薬及び向精神薬取締法違反で立件している。

 生活保護受給者は医療扶助で薬代を負担してもらえるため、転売目的で向精神薬を大量に入手したり、受給者に入手させる、新手の貧困ビジネスの可能性もあるとみられる。



 なんか、こう、申し訳ないんですけど、タダで医療が受けられるということを逆手にとって利用するというのは、もうホントずるがしこいというか、人として汚いとしか言いようがありません。

 実際仕事できなくなったとか、そういう人はいいんですけれど、こういう不正行為をした人を徹底して取りしまるとか、過剰乱用を防止するシステムを作らないといけないなぁと。ただでさえ医療費が抑圧されているのに、何故こういうことがまかりとおってしまうのか。人の善意を悪意をもって利用するのはどういう神経なんでしょうね。
posted by さじ at 03:26 | Comment(1) | TrackBack(0) | 精神

室内でも熱中症になる―高齢者の台所に注意―

熱中症、室内でも危険…高齢者の台所ご用心

 高齢者の90%近くが「熱中症」を知っているのに、室内で発症する危険性は65%程度しか知らないことが、兵庫県立健康生活科学研究所などの調査で分かった。

 この夏の高齢者の熱中症の多くは室内で起きており、同研究所は「正しい知識の普及を急ぐべきだ」と指摘している。日本生気象(せいきしょう)学会の論文誌最新号に掲載された。

 調査対象は京都府内で生涯学習講座を受講した350人で、55歳から87歳の204人が回答した。熱中症の意味は89・8%が知っていたが、室内で発症することを知っている人は65・7%だけだった。

 室内で暑さによる体調不良を感じた経験は、室内の発症を知っている人が41・9%だったのに、知らなかった人は59%に上り、知識がある人ほど予防策を講じている可能性がうかがえた。体調不良の体験場所は、男性は寝室や居間が67・7%、女性は40%が台所だった。

 調査した柴田祥江・消費生活専門員は「日常生活でも特に台所は危険。火を使う時は換気扇を必ず回すなど、室内の温度上昇を防ぐ工夫が必要」と話している。



 外に出なければいいというわけではありません。夏は暑いものですが、だからといって昔のように「我慢」てしまうと、熱中症になります、たとえ室内でも。

 まず水分を補給して下さい。特に高齢者の場合、喉の渇きを感じにくいので、食事をするように、薬を飲むように、こまめに補給しましょう。
posted by さじ at 03:22 | Comment(1) | TrackBack(0) | 循環
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