2010年08月30日

急性緑内障のメカニズムにはグルタミン酸が関与していた

急性緑内障、仕組みの一端解明 秋田大研究グループ

 急性緑内障で神経障害が起こるメカニズムに「グルタミン酸」が関与していることを、秋田大大学院医学系研究科眼科学講座の石川誠講師(51)と吉冨健志教授(54)らの研究グループが解明した。研究論文は今月、米国の眼科専門誌「IOVS」(電子版)に掲載された。吉冨教授は「研究成果が、今後の治療法確立につながることを期待したい」と話している。

 緑内障は眼圧が上がり、視神経が圧迫されて次第に視野が狭まり、放っておくと失明に至る病気。国内では40歳以上の5%が発症しているとされ、急性型と慢性型がある

 石川講師によると、急性緑内障では視神経が腫れ上がり、その後に神経細胞が死滅していくことは判明しているものの、そのメカニズムについては解明されていなかった。研究グループは、神経細胞の情報伝達に不可欠なグルタミン酸が神経を過剰反応させることで細胞を死滅させる毒性を持つことに着目。緑内障においても、グルタミン酸が何らかの原因で、視神経を過剰反応させ、死滅へ誘導しているのではないかと考えた。

 実験ではラットの眼球標本を採取し、段階的に眼球に圧力を加えた。眼圧が上がるごとに視神経は腫れ上がったが、グルタミン酸の毒性をブロックする薬物を与えたところ腫れは治まった。この結果から、グルタミン酸が緑内障に関与していると結論付けた。

 グルタミン酸は通常、グルタミン合成酵素によって毒性が分解されることから、研究グループは、毒性を持ち続ける原因についても調査。酵素の働きと眼圧の関係を調べた結果、眼圧が上がると酵素の働きが落ちることも突き止めた。



 グルタミン酸ブロッカーみたいなのが今後治療法として挙がってくる日も近い・・・?

 緑内障はホント怖いですからね。視力を失うかもしれない病気の1つ。

関連
医学処:緑内障の早期発見に役立つ遺伝子配列を発見する。
医学処:日本の視覚障害者の数が164万人にも上る。
医学処:点眼後に目をぱちぱちさせる→まちがい!
posted by さじ at 04:38 | Comment(2) | TrackBack(0) | 眼科

脊髄損傷マウスに抗てんかん薬を投与して歩行を回復する

脊髄損傷マウスが歩行回復=幹細胞移植と薬剤投与で−奈良先端大

 重度の脊髄損傷で歩行不能となったマウスに神経幹細胞を移植した上で抗てんかん薬を投与し、失われた機能を回復させる治療法を、奈良先端科学技術大学院大学の中島欽一教授(神経科学)らのグループが開発した。成果は米医学誌ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション電子版に17日発表された。

 損傷した脳や脊髄は再生能力が低い。再生治療は約30年前から研究されているが、決定打はないとされ、現状では複数の方法の組み合わせが模索されている。

 中島教授らは、マウスの脊髄を損傷させて神経回路を切断、後ろ足が動かなくなるようにした。そこに神経細胞を生み出す神経幹細胞を移植し、てんかんの治療薬として利用されている「バルプロ酸」を1日1回、1週間投与した。

 この結果、新しく作られた神経細胞を通じて脳からの指令が後ろ足に伝わるようになり、6週間後には、実験に使用した21匹中15匹が、ぎこちないながらも歩けるようになった。また、残る6匹もある程度の機能回復が見られたという

 中島教授は「回復の程度をより向上させるには他の治療法との併用が必要」とした上で、「今回の成果で、脊髄損傷だけではなく脳卒中など神経細胞が失われることで発症する中枢神経疾患の治療技術の促進が期待できる。将来的にはヒトへの治療にもつなげたい」と話している。



幹細胞移植と抗てんかん薬で脊髄損傷のマウスが歩くことに成功

 これの続きニュース。

 失われた神経機能を取り戻せれば、治らないとされていた神経内科ジャンルの疾患の治療法が確立されるのではないでしょうか。

関連
医学処:脊髄損傷部位に青い光を当てると回復する。
医学処:脊髄麻痺の運動機能を電気刺激と薬物療法で改善する。
posted by さじ at 04:22 | Comment(1) | TrackBack(0) | 脳神

完全埋め込み型の人工聴覚器を京大・阪大が開発する

完全埋め込み型 聴覚器…京大など動物実験成功

 体外装置が不要な完全埋め込み型の「人工聴覚器」を、京都大や大阪大などが開発し、動物実験に成功した。音を神経の電気信号に変える蝸牛という器官の機能障害でほとんど聞こえない人も、自然な音を聞ける可能性があるという。3年後に人の臨床研究を目指す。

 補聴器でもよく聞こえない高度難聴者のためには人工内耳が実用化されている。耳にかけるマイクに入った音声を、体外の処理装置で電気信号に変え、側頭部に埋め込んだ受信機を介して耳の奥へ送る仕組みだ。

 伊藤壽一・京大教授らは、蝸牛に機能障害があっても、蝸牛内の「基底板」は音声で振動することに着目。基底板の下に、振動すると電圧が発生する圧電素子を張り付け、その信号を聴神経に伝える仕組みを開発した。蝸牛に残された機能を最大限に生かしているので、より自然な音が聞け、外見上も健常な人と変わらない

 耳の聞こえないモルモットに、長さ3センチ、幅2〜4ミリのごく薄い圧電素子を張り付けて実験。犬の鳴き声や電車の車内音に相当する80〜90デシベル以上の大きさになると、音の情報が脳に伝わることを脳波で確認した。

 伊藤教授は「より小さな音でも聞き取れるよう改良し、人用の装置を開発したい」と話している。



 画期的。完全埋め込み型ということで、電池の問題などをクリアーすればかなり画期的な発明ではないかと思います。

 そういえば補聴器も最近お洒落なものが出てきていますね。
posted by さじ at 03:59 | Comment(1) | TrackBack(0) | 耳鼻

音楽を聴きながらの試験勉強は記憶能力が損なわれる

音楽を聴きながらの勉強は学習効果を妨げる

 音楽を聴きながら試験勉強をするのは、バックグラウンド・ミュージック(BGM)によって記憶能力が損なわれるためよくないことが、新しい研究で明らかにされ、医学誌「Applied Cognitive Psychology(応用認知心理学)」オンライン版に7月20日掲載された。

 今回の研究では、被験者に提示された順番どおりに8種類の子音(consonant)を覚えるよう指示。この課題を、静かな環境、好きな音楽を聴く、嫌いな音楽を聴く、変化状態(ランダムな数字の羅列を聞く)、変化のない状態(「3、3、3、3」など同じ数字の羅列を聞く)という5種類の音環境の中で実施した。

 その結果、被験者の思い出す能力が最も低下したのは、好き嫌いを問わず音楽を聴いているときと、変化状態のときであった。最も正確に思い出すことができたのは、変化のない状態で記憶課題を実施したときであった。「音楽を聴いたときや変化状態のときに成績が低かったのは、音響の変化が原因。これによって提示された項目の順番を覚えて思い出す能力が損なわれる」と、研究を率いた英ウェールズ大学研究所(カーディフ)のNick Perham氏は説明している。

 「暗算でも、順序の情報を短時間記憶する能力が必要であり、同じように変化状態やBGMのある環境では成績に影響が生じる」と同氏は付け加え、難しい知的作業をするときは静かな環境で行うよう勧めている。



 あんまり集中できないと記憶はできませんね。

 私も音楽聴きながら、というのがなかなか出来ない。一番出来ないのはJ−POPかも。部屋でかすかに流れてるぐらいなら心地いいんですけども。

医学処:男子学生の学力向上には、音楽とチョコレートの2つが有効である。
posted by さじ at 03:55 | Comment(1) | TrackBack(0) | 脳神

自閉症は生後一ヶ月から徴候が認められることもある。

自閉症の徴候は乳児期の早い段階で認められる

 自閉症の徴候が生後1カ月から認められることが、新しい研究で示された。ただし、その徴候は目を合わせない、笑わないなどの一般的なものではなく、筋緊張の異常や視覚処理の違いなどの微妙なもので、訓練を受けた専門家が注意深く観察しなければわからないと、研究著者の1人である米ニューヨーク州発達障害基礎研究所(オールバニー)のIra Cohen氏は述べている。

 自閉症は、社会的交流や言語コミュニケーション、非言語的コミュニケーションの問題、興味や行動の制限などを特徴とする神経発達障害である。今後の研究によって今回の知見が裏付けられれば、小児の自閉症の早期発見と治療につながるはずだという。著者らは、2歳までの介入が最善の結果につながると述べている。

 医学誌「Pediatrics(小児科学)」オンライン版に8月2日掲載された今回の研究では、新生児集中治療室(NICU)に入院した乳児で、後に自閉症スペクトラム障害と診断された乳児28人を、性別および在胎週数が一致した自閉症でない乳児112人と比較した。乳児の行動および発達の検査は、生後1カ月、4カ月および約2歳まで定期的に実施された。

 生後1カ月の時点で、後に自閉症と診断された乳児は退院後に「持続的な神経行動学的異常」のみられる比率が高かった。また後に自閉症と診断された乳児では、約40%に対象物を目で追う行動に異常がみられ、半数以上に腕の筋緊張の異常(過剰に軟らかい、あるいは硬い)がみられたのに対し、正常に発達した乳児ではそれぞれ10.5%、22%であった

 生後4カ月では、異なるスピードで点滅する光を用い、乳児が視覚刺激光の多いモニターまたは少ないモニターを見ることを選べるようにし、それぞれのモニターを見ている時間を測定した。その結果、自閉症と診断された乳児は多量の視覚刺激を好む傾向がみられた。7〜10カ月では、自閉症と診断された乳児には思考能力および運動能力の低下がみられた。自閉症の小児は生後約13カ月までに正常な小児との発達の差が顕著になってくるが、これはその徴候が早期に現れたものと思われる。

 研究グループは、今回の研究はNICUに入院した乳児を対象に実施されたものである点を強調。満期産で健康に生まれた乳児でも同じような異常が早期にみられるかどうかを確認するには、さらに研究を重ねる必要があるという。

 米ケネディ・クリーガー研究所自閉症・関連疾患センター(ボルチモア)のRebecca Landa博士によると、過去の研究では、早産児や低出生体重児は自閉症の発症率が高いことが示されているが、自閉症児のほとんどは早産児ではないという。Landa氏は「今回の研究で筋緊張や視覚システムが報告されている点が重要だ。われわれは今や、従来の定番である表情やアイコンタクトなどは乳児の自閉症の主要な徴候ではないと考えている」と述べている。



 一ヶ月の段階で分かるのか…。

 早期発見の術ができて、あとは早期治療法の確立ですかね。
posted by さじ at 03:48 | Comment(1) | TrackBack(0) | 精神

2010年08月29日

音と左右の動きを学習すると音を聞くだけで物が動いてみえる

音を聞くだけで物が動く?=脳が学習、視覚に長期影響−映像に応用期待・東北大など

 テレビや映画で救急車や消防車が通り過ぎるにつれて高いサイレンの音が低くなると、臨場感が強まるが、脳がいったんこの左右の動きと音の高低の対応関係を学習すると、音を聞くだけで止まっている物が動いて見えることが分かった。東北大の寺本渉研究員と立教大の日高聡太助教、産業技術総合研究所の杉田陽一主任研究員が実験し、この効果が半年以上続くことを発見した。

 この効果は、パソコンや携帯電話の小さな動画で動きの臨場感を高めたり、視力が低下した高齢者でも動きが分かりやすい映像を作ったりするのに役立つという。研究成果は米オンライン科学誌プロス・ワンに20日発表される。

 実験は24〜57歳の男女6人が対象。このうち3人に3分間、画面の左右離れた所で交互に点滅する白い点を見せ、白い点が左で光った場合に「ピッ」と高い音、右で光った場合に「ポッ」という低い音を聞かせた。次に、白い点が1カ所に静止して点滅するのに合わせ、ピッ、ポッという順番で音を聞かせると、点が左から右に動いて見えた

 残り3人に左右逆の組み合わせで実験すると、点が右から左に動いて見えた。効果が生じる条件は、白い点の点滅位置を変えないことと、点滅間隔を0.1秒程度に短くすること。視覚と聴覚の統合が、間脳の視床や大脳の第1次視覚野という情報処理の早い段階で行われている可能性が高いという。

 杉田主任研究員は「効果が長く続くことに驚いた。自然の中で生き抜くために音と動きがすぐに結び付くようになったのではないか」と話している



 人間ぐらい発達した生き物でもこういう原始的な連絡は取れるんですね。
posted by さじ at 04:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | 耳鼻

麻酔薬ケタミンに抑うつ効果があることをエール大が発見する。

麻酔薬ケタミンに顕著な抗うつ効果、米大研究

 米エール大の研究チームが19日、麻酔薬として用いられるケタミン(日本では麻薬指定)に少量でも高い抗うつ効果があるとした研究結果を米科学誌サイエンスに発表した。

 研究チームが自殺願望を伴ううつ病患者に投与したところ、数時間で抗うつ効果が得られたという。現在、市販されている抗うつ薬は、効果が現れるまでに数週間かかる。

 研究を主導した同大のロナルド・デュマン(Ronald Duman)教授は、ケタミンを「まさに魔法の薬だ」と評した。抗うつ効果は7日から10日間持続するという。

 ケタミンは医師の管理下における静脈注射による投与が必要で、副作用で一時的な精神障害を引き起こすこともあるため、臨床での使用は制限されている。

 エール大とは別に米国立精神衛生研究所が行った研究でも、既存の抗うつ薬で効果がみられなかった患者にケタミンを投与したところ、投与から数時間以内で約70%の患者に効果が現れたという。



 数時間。電気けいれん療法並の効果の速さ。

 実際抗うつ薬は2週間ぐらいかかってしまうんですよね、効果が出るまでに。ですので、同じ薬を医師の指示どおりに飲むのが必要なんですが。

 大うつ病の治療の選択肢の1つとして成り立つかも?

関連
医学処:LSDやケタミンを使うとうつ病や強迫性障害に効果がある。
医学処:感覚を遮断することで幻覚や抑うつ状態を呈する。
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片頭痛の原因遺伝子を東大研究チームが発見する。

片頭痛の原因遺伝子発見 東大などの研究チーム

 頭がズキンズキンと痛む片頭痛の原因遺伝子のひとつを発見したと、東京大の関常司講師(腎臓病学)やベルギー・ガストフイスベルグ大などの研究チームが23日付の米科学アカデミー紀要(電子版)に発表した。病気の詳しい原因解明や、この遺伝子を標的にした治療薬の開発が期待される。

 研究チームによると、片頭痛は国内に約1千万人の患者がいるとされる。月に1〜2回、多い人では週に1〜2回痛みが起こり、治まると何の症状も残らない。発症の詳しい仕組みは解明されていないが、神経細胞の過剰な興奮が原因とみられている

 関さんらは、腎臓などの細胞膜で働き、全身の水素イオン濃度の調節に関係する「NBCe1」という遺伝子に異常がある人の中に、片頭痛の患者がいることに注目。

 培養細胞を使った実験などから、この遺伝子が脳内でも重要な役割を果たしていることを突き止めた。遺伝子に異常があると神経細胞の興奮を制御する水素イオン濃度の調節ができなくなり、片頭痛につながるという



 対症療法しかなかった片頭痛の根治治療に結びつくかもしれません。

 やはり痛みがあるということは、どこかしらに、何らかの異常があるんですねぇ。

関連
医学処:偏頭痛治療薬イミグランの高い有効性と安全性が実証される
医学処:片頭痛治療に有効な新薬「MK-0974」で痛みをなくそう。
医学処:新日本科学が偏頭痛薬ゾルミトリプタンの経鼻投与剤を開発
posted by さじ at 03:49 | Comment(2) | TrackBack(0) | 脳神

毛髪の細胞から体内時計を測定する新検査法を開発する

毛髪で体内時計測定 山口大など世界初

 山口大と佐賀大、ソニー(東京)の研究グループは23日、頭髪やひげの根元に付着する細胞からヒトの体内時計を測定する簡便な手法を世界で初めて開発したと発表した。体内時計の乱れは、うつ、糖尿病、睡眠障害など広範な疾病との因果関係が指摘される。同グループは「臨床導入が期待でき、さまざまな医療研究に貢献できる」としている。

 研究は、リーダーの山口大時間学研究所の明石真教授(36)、佐賀大医学部循環器内科の野出孝一教授(49)、ソニー先端マテリアル研究所ライフサイエンス研究部員たち、計8人が中心メンバー。

 明石教授によると、ヒトの体内時計の測定報告は十数例しかなく、2001年に米国とカナダの共同研究グループが口内粘膜から採取した細胞で、03年には米国とカナダの別グループが血液の細胞で、それぞれ測定するなどしている。しかし、いずれも身体への負担が大きく、生きた細胞が採取しにくいことから測定法の確立に至っていなかった。

 山口大などの手法は、毛包細胞を溶かし、タンパク質合成にかかわる「メッセンジャーRNA(mRNA)」を精製、測定して時計遺伝子の活動(体内時計の状態)を把握する。

 身体負担が比較的小さく、明石教授は「高い精度で測定でき、臨床導入の基盤が確立できた。生活リズムに合わせた治療、抗がん剤投与などで副作用が最も少なく効果の大きい時間治療の研究のほか、労働環境改善など広範囲に貢献できる」としている。

 交代制勤務労働者の疾病リスクを研究する産業医科大医学部(北九州市)の久保達彦講師=公衆衛生学=は「生活リズムの乱れが疾病にどう関係するのか遺伝子レベルの解析が可能になり、病因の解明にも大きな進歩」と期待を寄せる。



 確かにサーカディアンリズムの「測定」の仕方はなかなかないかもしれません。

 毛の細胞から判明できるならば、それは容易い。
posted by さじ at 03:19 | Comment(1) | TrackBack(0) | 皮膚

暴力的な夢を見る人は50年後に脳障害を発症するかもしれない

暴力的な夢は将来の脳障害の前兆?:研究結果

 鮮明で暴力的な夢は、50年も先の脳障害の発症を予告している可能性があることを、最新研究が明らかにした。『Neurology』誌の8月10日号に発表されたこの研究結果は、一部の神経疾患が、実際に診断が下される何十年も前から患者の中に潜んでいる可能性を示している。

 REM睡眠行動障害(RBD)は、不可解な睡眠障害の一種だ。RBDを生じると、見る夢の性質が突如として変化する。夢はどんどん暴力的なものになり、しばしば攻撃者を撃退しなければならないという内容になる。

 通常、夢を見ている間は筋肉が動かせないが、RBDを生じた睡眠者(多くは男性)は、パンチを繰り出したり、身をよじったり、大声をあげたりといった夢の中での動作を、実際に行動に移してしまう。そのため、ベッドで一緒に寝ている人がケガをしたりする。[REM睡眠時には脳は覚醒時に近い活動をしている一方で、全身の骨格筋は緊張が低下している。そのため、通常であれば夢で見たことを行動に起こすことはないが、RBDでは、何らかの原因で筋緊張の抑制が障害されるために、夢で見たことをそのまま行動に移してしまう]

 RBDは従来、1つの独立した障害と考えられていた。しかし追跡研究の結果、驚くほど多くのRBD患者が、その後、神経変性疾患[中枢神経の中の特定の神経細胞群が徐々に死んでゆく病気]を発症していることが分かった。たとえばパーキンソン病や、レビー小体型認知症などだ。具体的な数字は研究によって異なるが、RBD患者がのちに神経変性疾患を発症した確率は80?100%にのぼるとするデータもある。

 今回発表となった研究は、ミネソタ州ロチェスターにあるメイヨー・クリニックの神経科医Bradley Boeve氏のチームが、RBDから神経変性疾患まで、発症にどの程度の間隔があるのかを調べる目的で実施したものだ。

 Boeve氏のチームは、メイヨー・クリニックの医療記録をもとに、まずRBDと診断された患者が、次に何らかの神経変性疾患を発症するまでの期間は、最短で15年間であることを割り出した。

 基準に当てはまった患者27名(うち女性はたった3名で、RBDがなぜか男性に多い傾向を反映している)の場合、RBDの発症から神経変性疾患の発症までの期間は平均で25年だった。うち6名の患者の場合、配偶者がハネムーンまたはその直後に最初にRBDに気付いたと、Boeve氏は述べている。RBDがパーキンソン病の発症に50年も先んじていたケースも1例あった。

 これほど長いインターバルがあれば、その間に「未知の強力な神経保護物質が発見され」、脳が深刻な損傷を受ける前にその物質を使用できる望みも出てくると、ミネアポリスにあるミネソタ地域睡眠障害センターの睡眠専門家Carlos Schenck氏は指摘する。一部の研究者の見解によると、認知症は、その徴候が現われるころにはすでに手遅れであり、損傷を回復させられる段階をすぎているのだという。



 さすがメイヨークリニック・・・。

 寝相の悪い人、寝ている最中に相手を傷つけてしまった人は要注意かもしれません・・・。
posted by さじ at 03:16 | Comment(1) | TrackBack(0) | 脳神

人工角膜で視力を回復させることに成功する。

人工角膜で視力回復 他人からの提供を代替も

 人工的に合成した角膜を使って患者の視力を回復させることにカナダのオタワ大などの研究グループが成功し、25日付の米医学誌サイエンス・トランスレーショナル・メディシンに発表した。

 この技術によって、死んだ人から移植用の角膜提供を受けられない多くの患者を救える可能性があるという。

 研究グループは、遺伝子組み換え技術を用いて、酵母から人の角膜の成分であるコラーゲンを合成。2007年にスウェーデンの病院で、病気や外傷によって角膜移植を必要とする10人の患者を対象に、角膜を除去し、コラーゲンを成型した人工角膜を移植した。

 この結果、2年後に6人の視力が移植前に比べて改善され、残りもコンタクトレンズの補助があれば、他人の角膜を移植したのと同程度に回復。人工角膜への拒絶反応は、どの患者にも起きなかった。

 角膜は目の前面を覆う透明な組織。外傷や病気によって濁ると視力を失うことがあり、世界には角膜を移植すれば視力を取り戻せる人が1千万人以上いるとされる。



 おおおー。人工角膜。もし大量生産できれば助かる人は大勢いるはず。

 目の病気は治るだけで劇的に日常生活の質が改善されますので、これは大いに期待。
posted by さじ at 03:09 | Comment(1) | TrackBack(0) | 眼科

琉球大医学研究科の教授、論文不正で懲戒解雇

論文不正で教授を懲戒解雇 琉大

 琉球大学医学研究科の男性教授=40代=が2編の論文で実験結果を不適正に引用していたことが明らかになった問題で、同大の平啓介・研究担当理事らは25日、学内で記者会見し、同教授を24日付で懲戒解雇処分にしたと発表した。

 複数の論文間で、実施していない実験結果を実施したかのように装い、データを使い回したり、一度学術誌に発表したデータを出典を明示せずに転用したりしていた。不正は同教授が同大に赴任した過去8年分の論文50編のうち、38編に上った



 不正しすぎ。
posted by さじ at 03:05 | Comment(2) | TrackBack(0) | 大学

クリプトコッカス・ガッティ、日本初の感染者が出る

北米で集団発生の強毒カビ 感染患者、国内で初確認

 北米で集団発生が問題となり健康な人でも死亡することがある強毒カビに、東京都内の40代男性が感染していたことが分かった。「クリプトコッカス・ガッティ」という真菌で国内初の感染例だ。男性に北米への渡航歴はなく、国立感染症研究所は他に患者がいないか実態把握に乗り出す。

 東京大チームが突き止めた。男性は健康に問題はなかったが、頭痛やものが見えにくくなり2007年に都内の病院を受診。検査で脳に直径5センチほどのこぶが見つかり手術で取り出して調べた結果、このカビを検出した。点滴や飲み薬で1年後に快復した。

 感染者から体外にカビが出ることはなく人から人へは感染しない。植物に付着し何かの拍子で舞い上がったカビを吸い込んで感染する。このカビは、1999年にカナダ・バンクーバー島で人の感染が集団で起こり、その後、北米大陸に広がり最近は米西海岸の複数の地域で報告されている。男性で見つかったカビの遺伝子は、カナダのものと同じだった。

 米疾病対策センター(CDC)によると、7月までに米西海岸側で60人の患者報告があり、経過を確認できた45人のうち2割の9人が亡くなった。免疫力の落ちた患者だけでなく、健康な人も含まれていたという。

 東大病院の畠山修司感染症内科副科長は「北米から輸入された木材についたカビを吸い込んだかもしれないが、既に国内の植物にカビが定着している可能性もある」とみる。カビの潜伏期間は平均6〜7カ月。男性が最後に渡航したのは、受診時から8年前のサイパンで、そこからの感染は考えにくいという。

 国立感染症研究所の宮崎義継・生物活性物質部長によると、早く発見すれば治療できるが、病院で見落とす恐れがある。「1年以内に北米に行った経験があれば診断時に医師に伝えてほしい」という。



 カビが脳に感染巣をつくるなんて。

 感染症内科のある大学病院であったからこそ発見・治療が早かったのかもしれませんが。

 クリプトコッカス・ガッティ、今後はどの病院でも可能性の1つとして念頭に置かなければなりません。
posted by さじ at 03:02 | Comment(1) | TrackBack(0) | 感染

幹細胞を増やした培養液を塗るだけで皮膚が再生する

培養液に移植と同程度の治療効果

 けがなどの傷口に、皮膚のもとになる細胞を増やしたあとの培養液を塗ると、細胞を移植するのと同じ程度の治療効果があることが、名古屋大学などの研究でわかりました

 名古屋大学などの研究グループは、皮膚のもとになる幹細胞と呼ばれる特殊な細胞を増やしたあとの培養液に皮膚を再生させる力があるか、複数の患者の協力を得て確かめました。

 放射線治療の副作用などで皮膚を再生させる力を損なった患者の傷口に、この使用後の培養液を塗ったところ、傷口はいずれも半年後までにきれいにふさがったということです。さらに、マウスを使った実験で、けがの傷口にこの培養液を使うと、細胞を移植するのと同じ程度の治療効果があることがわかりました。

 培養液には、細胞の増殖に必要な「成長因子」と呼ばれるたんぱく質が10種類以上含まれていたということで、研究グループでは、この成長因子が皮膚の再生を促したとみられると結論づけています。研究グループの上田実教授は「これまで培養液は使い終わると捨ててしまっていた。今後研究が進めば、皮膚だけではなく、神経などほかの病気でも細胞を使わない再生医療が実現する可能性がある」と話しています。



 これは応用が効きそう。

 いずれは一般にも普及して、傷口を治療するような薬が出来るかもしれません。
posted by さじ at 02:57 | Comment(2) | TrackBack(0) | 皮膚

梅干ダイエットで7割が体重減少する。

梅干しダイエット:7割が体重減少 大粒2個を50日間食べ

 大粒の梅干し2個を50日間食べたモニターのうち7割の体重が減ったと、田辺市の紀州田辺うめ振興協議会(会長、真砂充敏・同市長)が23日、発表した。

 伸び悩む梅干しの消費拡大につなげようと、モニター調査を協議会が企画。紀南農協、田辺海上保安部、田辺税務署など地元機関の職員と女性向け雑誌に応募した男女計125人が参加、アンケートには20〜70代の105人(男41人、女64人)が回答した。

 体重は73人が「減」、「増」は15人。40代の女性は減量7キロと回答した。腹囲も「減」が64人で、「増」15人、「変化なし」21人だった。体脂肪率は45人が「減」、「増」は5人、「変化なし」7人で、48人は「測定なし」だった。体調変化では疲労回復35人、体調改善29人、体重減25人が上位を占めた。

 また、実践後の感想として、継続して食べたい=47人▽和食中心を好むようになった=16人▽便秘解消=13人などの肯定的な声の半面、1日2個は難しい=5人▽梅干しだけでダイエットは困難=1人▽もう少し安ければうれしい=1人−−などもあった。



 何が効くんでしょうかね。もし私がやったらコメ消費量が増えて太りそうなもんですけど。

 唾液分泌促進でアミラーゼがよく消化してくれるから?
posted by さじ at 02:51 | Comment(1) | TrackBack(0) | 消化

民間療法ホメオパシーは全く効果がない荒唐無稽な療法

ホメオパシーは「荒唐無稽」

 通常の医療とは異なる民間療法「ホメオパシー」について、日本学術会議(会長=金沢一郎東大名誉教授)は24日、「科学的な根拠は明確に否定され、荒唐無稽」とし、医療従事者が治療で使わないよう求める会長談話を発表した。山口市の女児ら死亡例が出たことを重視。通常医療から患者を遠ざける懸念があるとして、一般に広まる前に、医療現場から排除する必要があると判断した。科学者の代表機関が、特定の療法を否定するのは極めて異例だ。

 金沢会長が会見で発表した。日本医師会や日本歯科医師会、日本獣医師会など6団体も談話に賛同し、会員に周知する方針だ。厚生労働省は、普及団体について、医師法や薬事法などの観点から注目し、情報収集を始めた。

 会長談話では「ホメオパシーが医療関係者の間で急速に広がり、養成学校までできていることに強い戸惑いを感じる」とした上で、「治療効果は明確に否定されている」と指摘した。さらに「今のうちに、医療現場から排除されないと『自然に近い安全で有効な治療』という誤解が広がり、深刻な事態に陥ることが懸念される」として、医療関係者が治療に使うことは厳に慎むよう呼びかけた。一方で、「十分理解した上で、自身のために使用することは個人の自由」としている。

 学術会議の唐木英明副会長は「(ホメオパシー治療で使うのは)『ただの水』で『副作用はない』のはもちろんだが、科学的に全否定されているものを医療従事者が使えば、患者を通常の医療から遠ざけかねず危険だ。『ホメオパシーは効かない』というメッセージを伝えることが重要と考えた」と説明した。

 日本学術会議は、約84万人の科学者の代表として選ばれた210人の会員と、約2千人の連携会員からなる日本の「頭脳集団」。政府に対する政策提言や社会への啓発などを行う。

 皇室医務主管で神経内科医の金沢会長や、東大名誉教授(毒性学)の唐木副会長らが約1年半前から、この問題を議論してきたという。今年に入り、ホメオパシーを受けている人の中で通常の医療を拒否して、死亡したり症状が悪化したりした疑いの濃い例が相次いで表面化した

 山口地裁では5月、新生児が一般に投与されるビタミンKを与えられず死亡したとして、ビタミンK投与の代わりにホメオパシー療法を行った助産師を相手取り損害賠償を求める裁判も起きている。こうしたことを受けて、学術会議では急きょ、会長談話を出すことを決めた。

 談話の根拠として、2005年に英医学誌ランセットで発表された治療上の効果はないとする論文などを重視した。「物質が存在した記憶を水が持っている」などの主張も荒唐無稽だと指摘。英国下院科学技術委員会が出した科学的根拠がないとする勧告や、英国医学会が出した「ホメオパシーは魔術」という宣言も参考にした。

 国内では主に1990年代後半から、日本ホメオパシー医学協会など複数の団体が実践、普及を進めている。同協会は、この療法を指導、指示するホメオパシー療法家の養成学校を北海道から沖縄まで全国7カ所に設置している。利用者数など詳しい実態は分からないが、食品添加物や農薬など化学物質を避けようという「自然派」志向の女性らの間で広がっている。雑誌などで「効果」をPRする著名なタレントや歌手、俳優もいる。治療に導入している大学病院もある。医学協会は、計20以上の診療所や歯科医院、動物病院と提携している。

 会長談話について、日本ホメオパシー医学協会は「ホメオパシーの治癒効果は世界中で広く認められている。きちんと調査することもなく、荒唐無稽と断定する極めて非科学的な態度にあきれている。世界的にも普及しており、日本学術会議の見解、認識は世界の情勢と著しく乖離している」などとするコメントを寄せた。



 とてもわかりやすい、ホメオパシーについて書かれた記事はこちら

 別に西洋医学が全てとは思いませんけれど、ホメオパシーに関して言えば「全く効かない」と思いますね。そもそもホメオパシーの原理が「何かの成分の分子がなくなるぐらいに薄めた水を砂糖玉にしみこませる」というものですから、仮に効果があったとしてもプラセボでしょう。

 プラセボ効果というのは医学的に「効いた」とは言いません。それは「ほっとけば治る」と同じレベルのものが治った程度で、医療行為が必要な段階を治療するのとは意味がほど遠いです。

 はっきり言ってある程度の医学知識を有した人からすればホメオパシーなんぞ信じるに値するはずがありません。「胡散臭い」とかいう次元を大きく下回るほど、意味のない行為だと思います。

 もしもホメオパシーに効果があるというのなら、ホメオパシー療法を実践したがん患者や糖尿病患者の何パーセントが完治して何パーセントが死亡したのかというデータを客観的に出してほしい。そしてそれが出るまでは一般人を巻き込まないでほしい。自分が信じて自分でやるのは勝手ですけれど、それを他人に吹聴するのはやめてほしい。

【ホメオパシー療法】

 植物や昆虫、鉱物などの成分を限りなく薄めた水にして砂糖玉に染み込ませた「レメディー」を、飲み薬のようにして使う民間療法。がんや皮膚病、精神疾患などほぼすべての病気を治療できる、と普及団体は主張している

 欧州では200年の歴史があり、一部の国では公的医療保険も適用されてきた。しかし、治療上の効果はないとする研究が相次いで発表された。ドイツでは2004年から保険適用をやめた。
posted by さじ at 02:49 | Comment(1) | TrackBack(0) | 内分

飲む虫除け剤を開発。蚊が寄り付かなくなる効果あり。

飲む虫よけ剤商品化? マウス実験で効果確認

 蚊が嫌うかんきつ系の香料を飲むと成分が毛穴から発散し、蚊が寄りつかなくなる効果があることを、第一三共ヘルスケア(東京都)がマウス実験で確認した。血を吸われる回数は最大で5分の1に減少。同社は内服用虫よけ剤としての商品化を視野に特許を出願した。同社によると、内服タイプの虫よけ剤は「聞いたことがない」という。

 実験では、食品添加物として用いられる数種類のかんきつ系香料をマウスに投与。最も効果が高かったのはシトラールで、投与から1時間後の観察では、5分間に雌のシマカが皮膚にとまる回数は約4分の1に、血を吸う回数は約5分の1に減った。投与量は体重50キロの人に換算すると数〜数十ミリグラムに相当し、飲み薬として非現実的な量ではない。

 同社は「体全体をすきなくバリアできる」とメリットを強調。研究開発部の塙雅明企画グループ長は「商品化するなら、安全性や効能で相当な証拠をそろえる必要がある」と話し、実際に開発に着手するかどうかは反響をみて慎重に判断したい考えだ。

 蚊は動物や人の間で感染症ウイルスを媒介する。地球温暖化による熱帯の蚊の北上も懸念され、今回の香料を家畜の飼料に添加し、感染症拡大を抑えるなどの利用も考えられるという。



 すげぇー・・・

 これ欲しいですわ。蚊ぁ嫌いなんですよね。好きな人間いないと思うんですけど。

 というか熱帯地方で大売れするんじゃないでしょうか。マラリア予防に。
posted by さじ at 02:35 | Comment(1) | TrackBack(0) | 皮膚

2010年08月28日

2型糖尿病にアルツハイマー病発症のリスクがある。

インスリン抵抗性を伴った2 型糖尿病にアルツハイマーのリスク、九大研究

インスリン抵抗性を伴った2 型糖尿病患者は、アルツハイマー病の発症に関係があるとされるプラークが形成されるリスクが高いとの論文が、25日の米国神経学会(American Academy of Neurology)の学会誌で発表された。

 九州大学(Kyushu University)の研究チームは福岡県久山(Hisayama)町の135人(平均年齢67歳)を対象に研究を行った。対象者に血糖値の検査を行い、その後10〜15年間にわたってアルツハイマーの兆候がないか観察した。

 研究期間中に対象者の約16%がアルツハイマーを発症した。対象者の死後に研究チームが脳を調べたところ、65%にプラークが見られたという。研究チームは、血糖値の異常が認められた患者には、プラークが形成されるリスクが高いとの結果をまとめた

 論文を執筆した九州大学の佐々木健介氏は、インスリン抵抗性がプラーク形成の原因と結論するにはさらに研究を進める必要があるものの、糖尿病をコントロールすることによってアルツハイマーを予防できる可能性があると指摘した。



 脳のメインの栄養は糖ですからね。糖尿病となって糖をうまく利用できないようになってしまうとそれなりの障害が出やすいというところでしょうか。

 しっかりコントロールすれば良いとのことですので、大変だとは思いますが治療をしっかりと、というところですね・・・。
posted by さじ at 20:38 | Comment(3) | TrackBack(0) | 内分

がんを息の中の微量有機化合物で発見する技術

海外技術/オーストリア社、がんを息から判別する診断法開発へ

 オーストリアの分析機器メーカーのイオニメッド(チロル州)は、がんの個別化治療の研究調査機関であるオンコチロルと共同で、呼気からがんの手がかりとなるマーカーを見つけ出す研究に着手した。微量の揮発性有機化合物(VOC)を検知できる陽子移動反応質量分析(PRTMS)装置を使い、呼気が含むアルコールやアセトンなどの低分子化合物を解析。簡単ながんの診断法の開発につながる。

 プロジェクトの期間は2年で今年4月に開始。現在乳がん患者と健常者ら60人分のデータを採取しており、今後もデータ数を増やしていくという。将来、乳がんだけでなく、他のがんへの適用も可能ではないかと見ている。

 乳がん患者や健常人などを含む呼気のデータを採取。呼気に含まれる1000種類以下の化合物に関し、複数の化合物の量を比較し、乳がん患者特有のパターンがないかを調べる。



 なんというか、アレなんですけど、癌患者さんから特有の呼気がすること、ありません。あれ気のせいなんでしょうかね。全員が全員というわけではありませんし、癌といってもとある癌の進行期のものなんですけれども。

 気のせいかもしれません。
posted by さじ at 19:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | がん

2010年08月23日

急性期看護の日本版「ナースプラクティショナー」を養成

国内初、急性期看護のNP養成―東京医療保健大の取り組み

 厚生労働省が指定した全国の4つの大学院で、医師の包括的指示で特定の医療行為を担う特定看護師(仮称)に関する「調査試行事業」が7月からスタートした。講義や実習のデータを集め、特定看護師の要件などを検討する際に活用することが目的だ。指定校の一つ、東京医療保健大の看護学研究科は国内で唯一、急性期看護の日本版ナースプラクティショナー(NP)を養成している。8月3、4の両日には、大分県の大学から講師を招き、触診や打診などで患者の症状を分析するフィジカルアセスメントの実技演習を初めて行うなど、来年度の実習に向け、学生たちは着実に力をつけている。

 東京医療保健大の看護学研究科は今年4月の開講。全国に144病院を持つ国立病院機構と連携し、充実した臨床実習を行えるのが特徴だ。同大東が丘看護学部の学部長には、NP教育の草分け的存在とされる大分県立看護科学大の草間朋子学長が着任し、これまでに同大が培ってきたノウハウを提供している。

 同研究科の学生は現在21人で、30歳代が中心。全日制のため、学生たちは休職して勉強に専念しているという。大学では今年秋から、人工呼吸器装着中の患者のウイニング(離脱)や気管挿管など、クリティカル領域の治療や処置に関する講義、演習をスタート。2年次に筆記試験とOSCE(客観的臨床能力試験)を実施した後、病院での実習に入る運びだ。

 今回の実技演習では、大分県立看護科学大の藤内美保教授が講師を務め、フィジカルアセスメントの演習を2日間で集中的に行った。

 2日目には、腹部のフィジカルアセスメントや、耳鏡を使った診察について学んだ。同研究科の講師を患者に見立て、藤内教授が視診、打診、聴診、触診といった診断の流れを実演。仰向けになった講師の下腹部に指を差し、腸の動きを学生に目で確かめさせた。

 「(脇腹に触れながら)肝臓の部分が硬いと肝硬変の疑いもある」「腹部の打診で、便がたまっているか確かめる」―。学生たちは藤内教授の説明に熱心に耳を傾けた。

 「改めて医師に頭が下がる」。2日間の演習を終え、1年生の森寛泰さんと村田美幸さんはそう口をそろえた。

 ICU(集中治療室)での看護経験を持つ森さんは、「数値に表われていないことも大切だと知った。急性期では、フィジカルアセスメントの高い能力が必要だと実感し、これからも追究していきたいと思った」と感想を語った。一方、村田さんは「今までは、教科書や参考書を目で見て勉強していた。五感を使いながら、音を聞いてそれがつながった」と、演習に手応えを感じたようだ。

 「医師はすごいと改めて思った。だからこそ、チーム医療で一緒に患者さんを診ていきたいと強く感じた」と2人。実技演習を終え、医師を含めた多職種との連携・協働の重要性を改めて実感している。



 看護師も科によってそれぞれ行うことが異なります。急性期を対応する救急外来の看護師やICUの看護師は、それ相応の身体診察能力が要求されるため、このような養成講座が求められるのでしょう。
posted by さじ at 00:08 | Comment(1) | TrackBack(0) | 大学