2010年07月30日

腹部大動脈留破裂の104歳、金沢大学病院で手術に成功

成功 腹部大動脈瘤破裂

 金沢大病院(金沢市)が、腹部の大動脈瘤破裂で緊急搬送された104歳の男性患者の救命手術に成功したことが30日、明らかになった。同病院によると、大動脈瘤破裂の手術成功例としては国内最高齢とみられる。

 大動脈瘤破裂は生存率10〜20%とされ、高齢者は体力面から手術しないことも多い。患者は4月25日、腹部の痛みを訴え、同病院に到着した時は出血性ショックで心臓が止まりかけていた。医師らは心臓マッサージをしながら破裂部の上下の血流を止め、こぶ状の部分を人工血管に付け替えて一命を取り留めた。


 執刀医の大竹裕志医師(46)は「破裂したら終わりの『時限爆弾』と言われるが、60〜70代でも破裂前の手術で95%は助かる。年齢であきらめず、専門医を受診してほしい」と話している。



 予防的に大動脈瘤が破裂する前に治療することはありますが・・・破裂してから、しかもこの年齢で、とは。

 しかし術後どうなったんでしょうね。大きな手術なので、痛みとか血圧とか、コントロール難しいんじゃないでしょうか。無事退院して元気に歩き出すぐらいであることを願います
posted by さじ at 20:59 | Comment(5) | TrackBack(0) | 循環

2010年07月23日

潰瘍性大腸炎の画期的新治療法を浜松医大が発見。

指定難病の潰瘍性大腸炎 新治療法へ道 浜松医大などが共同研究

 厚生労働省指定難病(特定疾患)の潰瘍性大腸炎は、免疫細胞が分泌するタンパク質の一つを増やすと大腸の粘膜を保護する物質が作られ、症状を改善できることが、浜松医科大第一内科の杉本健助教(42)と米ハーバード大の共同研究で分かった。杉本助教は炎症部分にだけ、このタンパク質を増やす方法も開発しており、新しい治療法につながると期待される。

 杉本助教は、自然に潰瘍性大腸炎を発症するマウスの大腸で、タンパク質のインターロイキン22(IL−22)と結合する受容体が多く存在することを発見。IL−22と大腸炎の関係に注目した。

 実験でマウスの大腸のIL−22を増やすと、受容体と結合して細胞内にある情報分子STAT3を活性化した。STAT3は、粘膜を保護する働きがある物質のムチンを作る杯細胞を増加させ、できたムチンによって症状は改善された。逆にIL−22を中和することによりSTAT3を抑制すると、症状は悪化した。

 杉本助教はこれらの実験からIL−22、STAT3、ムチンと、症状の関係を解明。IL−22で症状を改善できることを示した。

 潰瘍性大腸炎の治療法は現在、抗炎症剤や免疫抑制剤で炎症を抑えるのが主流。これに対し、IL−22の働きを生かし、粘膜を保護することで症状を抑えるのは、まったく新しい考え方だ。

 IL−22は、腸以外では別の働きをしており、単に与えただけでは別の臓器に副作用が出る恐れもあるが、炎症部分にだけIL−22遺伝子を導入する方法も開発した

 杉本助教は「ヒトでもマウスと同じであることを確認し、遺伝子導入の倫理的課題を解決した上で、新しい治療法につなげたい」としている。

滋賀医科大大学院の安藤朗教授(消化器免疫学)の話

 われわれもIL−22の発現が潰瘍性大腸炎の病変粘膜で増強していることを見いだしていたが、IL−22が何をしているのか分からなかった。この研究はIL−22の機能を明らかにしただけでなく、局所投与による効果を確認し、将来の臨床応用への可能性を示した点が画期的だ。



 IL、インターロイキンは多くの種類があり、それぞれに特有の作用があります。今回のようにいまだ作用が分かっていないものもありますが、やはり何らかの働きをしているんでしょうね。IL−22も、今までは何でこんなもんあるのかわかんない、という状態だったようです。

 しかし粘膜保護作用があることが分かった、と。すなわち、治療に使えるのではないか、と。こうやって臨床医学は発達していくのです。潰瘍性大腸炎という難病の患者数は、難病の中でもかなり多いほうで、苦しんでいる方は大勢います。彼らが問題なく日常生活を送れるようになるための第一歩となる研究かもしれません。
posted by さじ at 18:49 | Comment(3) | TrackBack(0) | 消化

iPS細胞に、もとの細胞の性質が残る可能性もある。

材料の性質が残る場合も=iPS細胞、マウスで確認−米チーム

 増殖能力が高く、身体のあらゆる細胞に変わる万能細胞「人工多能性幹(iPS)細胞」は、血液細胞から作った場合は血液に変えやすいなど、材料の体細胞の性質が残る場合があることがマウスの実験で確認された。米ハーバード大などの研究チームが20日、英科学誌ネイチャー電子版に発表した。

 特定の細胞に変えて再生医療や新薬開発試験に使う場合、この傾向は便利だが、さまざまな種類の細胞に変えて幅広く利用する場合は、材料の体細胞の性質をほぼ完全になくす工夫が必要という。

 iPS細胞は、血液や皮膚、神経、内臓など多様な体細胞が材料となる。山中伸弥京都大教授らが開発した3、4種類の遺伝子をウイルスなどを使って導入すると、細胞が特定の役割を果たすように遺伝子群を制御していた「メチル化」という作用が解除され、受精卵に近い状態に初期化されると考えられてきた。



 iPS細胞の定義というか、存在意義にも抵触しかねん研究結果です。

 これを無くさないことには使えない・・・とまではいきませんけれどね。むしろ早期の臨床応用のためにはこの研究結果を踏まえた上で、iPS細胞を作る場所を選択するべきか。
posted by さじ at 18:45 | Comment(1) | TrackBack(0) | 移植

針まで溶けて吸収されるインフルエンザワクチンを開発

パッチはるだけでインフルワクチン接種 米研究チーム
  
 微小な針が多数ついたパッチを皮膚にはるだけで接種できるインフルエンザワクチンを、米ジョージア工科大などの研究チームが開発し、動物実験で効果を確認した。針は皮膚に刺さると溶け、ワクチンと共に吸収される。実用化すれば、自分でも接種でき、輸送や保存も簡便になり、接種費用が抑えられる。米医学誌ネイチャー・メディシン(電子版)で発表した。

 開発したパッチは、生体に吸収されやすい物質でできた高さ0.7ミリの針が100本ついている。針の中に、液体ワクチンを凍結乾燥させた粉末が入っている

 人の皮膚に似た豚の皮膚を使った実験で、親指でパッチを皮膚に押しつけただけで表皮に刺さり、数分以内に溶け、ワクチンと針が皮膚に吸収されることを確認した。深く刺さらないため、研究チームは「痛くはないはずだ」としている。

 このワクチンを接種したマウス6匹にインフルウイルスを感染させたところ、すべて生き残り、体重も5%以下しか減らなかった。通常のワクチンを注射したマウスも同様だったが、接種しないマウスは6日以内にすべて死んだ。

 研究チームは「通常のワクチンと同等の効果がある。製造費用も同程度だが、接種に医師や看護師が必要なく、注射針の処理もいらず、費用は安くなる」とみている。



 進歩するものですねぇ。これでも結構高そう・・・と思いきやそこまで高くないとのこと。不思議すぎますね。
posted by さじ at 18:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | 感染

排水に含まれる抗うつ剤で海老の行動が変化している

排水中の抗うつ剤、エビの行動に影響

 世界各地の下水道などに垂れ流される抗うつ剤の残留物の影響で、エビの行動が変化し、捕食されやすくなっているという最新の研究が発表された。抗うつ剤プロザックを飲んだエビは“ハッピー”にはならないようだ。

 研究では自然の状態を再現するために、一般的な下水処理後の排水に含まれる濃度の抗うつ剤フルオキセチンの水溶液に、河口などの入江に生息するヨコエビを入れた。フルオキセチンは、代表的な抗うつ剤製品であるプロザックやサラフェムの主成分だ。

 エビは安全で薄暗い物陰にいることを好むのが常だが、フルオキセチンの影響を受けたエビは、水中の明るい場所に向かって泳いていく確率が通常の5倍であることが実験でわかった。イギリスにあるポーツマス大学の生物学者で研究の共著者アレックス・フォード氏は、「こうした行動の変化によって、エビは魚や鳥などの捕食者にかなり襲われやすくなる」と説明する。フルオキセチンの作用によってエビの神経は、心的状態や睡眠のパターンを変化させることで知られる脳内化学物質セロトニンの影響を受けやすくなるという。

 抗うつ剤の使用量は近年急増しつつある。「Archives of General Psychiatry」誌に2009年に掲載された論文によると、2005年に抗うつ剤を使用したアメリカ人は約2700万人で、アメリカの全人口の10%を超えるという。抗うつ剤の使用が拡大することで、エビ以外の生物へも大量のフルオキセチンが影響を与えるのではと研究チームは懸念する。

「今回の実験は、どこにでもいて食物連鎖の中でも重要な位置を占めるエビに焦点を当てて行ったが、セロトニンは魚などエビ以外の生物の行動の変化にも関係がある」とフォード氏は指摘する。同氏は、抗炎症剤や鎮痛剤など他の多くの一般的な処方薬も水生生物に被害を及ぼす可能性があると警告する。

 しかし、人間が服用する薬の弊害から水生生物を守る方法もあると同氏は主張する。例えば、責任ある薬の廃棄について社会の認識を高めたり、下水処理で薬を分解する技術を改良したりするなど、問題解決に向けでできることはたくさんあるという。



 そんなに濃度の高い排水が流れるんですか・・・確かに最近抗うつ剤の使用頻度は増加しているとは思いますけれども。

 もともとうつに対抗するための薬理作用は、脳内分泌物質をどうこうするものですからね。それを他の生物が摂取した場合の影響もそれなりにあるというわけか。だからといって減らすわけにもいかないし。
posted by さじ at 18:41 | Comment(1) | TrackBack(0) | 薬理

グリベック耐性の慢性骨髄性白血病に有効な新薬の開発

慢性骨髄性白血病の新薬候補を発見 木村佐大教授ら

 慢性骨髄性白血病の新薬候補物質を佐賀大学医学部の木村晋也教授(48)=血液内科=らの研究グループが発見した。従来の治療薬で効かなかった変異性のがん細胞を抑え、生存率を高める効果を動物実験で確認。慢性期の難治性患者を救える特効薬の開発につながるとして、米国の血液学専門誌「Blood(ブラッド)」で発表した。

 研究グループは木村教授と京都大医学部付属病院の前川平教授(57)、英国の医療ベンチャー企業「アステックス」。

 慢性骨髄性白血病は、血液細胞のもとになる造血幹細胞の遺伝子異常で起きる病気。がんタンパク質が発生し、がん化した白血球が増殖する。年間で10万人に1・5人の割合で発症している。

 がんタンパク質に結合して活動を抑える分子標的薬「グリベック(イマニチブ)」が2001年に登場し、生存率は飛躍的に上がった。しかし、「T315I」と呼ばれる遺伝子変異でグリベックへの耐性ができた場合、後発の治療薬でも利きにくく、骨髄移植をするしかなかった。

 木村教授らは、抗がん剤や難治性の血液疾患の新薬としてアステックスが開発を進めていた低分子化合物「AT9283」に着目。ヒトの白血病細胞を免疫不全のマウスに移植し、この物質を投与して実験した。その結果、「T315I」タイプのがん細胞の活性や増殖を極めて低濃度で抑制できることを突き止め、マウスの生存期間を延ばすことに成功した。

 臨床試験はまだ、毒性を調べる第一段階だが、木村教授は「難治性患者を救える可能性を秘めている」として実用化を目指し、「従来の薬剤と効果的に組み合わせて、短期間で治す方法を確立したい」と話す。



 これ結構画期的です。

 そもそも白血病などの、血液内科ジャンルの病気の難しいところは、治療薬が限られているという点もあります。固形癌ならば、取れれば外科的に、取れなければ放射線や化学療法といったチョイスがありますが、血液内科ジャンルは基本的に薬が武器です。武器のレパートリーが増えれば、個々の白血病に対抗することもできるでしょう。
posted by さじ at 18:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | がん

育児でストレスを抱える母親は全体の7割

7割超が育児でストレス

 子育てで時間や体調面にストレスを抱える母親が多い実態が、ベビー用品メーカー「コンビ」(東京都台東区)の調査で浮かび上がった。同社が5月、生後6カ月〜2歳の子供を持つ母親993人にアンケート。育児にストレスを感じたことのある母親は約77%に上った。

 ストレスの原因(複数回答)は、「自分の自由な時間が取れない」26%と「自分の体調が悪い。睡眠不足」22%で半数近くを占め、育児による時間的、身体的な拘束が大きな影響を与えていた。このほか、「子供が言うことを聞かない」13%、「社会からの疎外感、孤独感」8%、「母乳育児のつまずき」7%など。 「夫が育児に理解がない」は7%だった。

 夫の育児への満足度は「満足」31%と「多少満足」40%を合わせ、約7割に上った。一方で、夫の育児で不満なこと(複数回答)は、「妻を精神的に支えない」と「家事をしない」がともに24%。「子供の身の回りの世話をしない」15%、「子供の相手をしない」13%、「育児知識がない」11%などだった。



 うまいこと社会で解決していかないといけない問題ですよね、本来は。

 育児で負担がかかるのは当たり前の話で、それでも赤ん坊を優先にした生活をしなければいけない。その負担を少し、社会で解決できればと思うんですが。

 最近では病院に併設した保育所などもあるようです。もっともっと広がってくれれば女医や女性看護師も助かるはず。医療従事者を守るためにも必要です。
posted by さじ at 18:29 | Comment(1) | TrackBack(0) | NEWS

臓器移植法改正。そして施行へ。

改正移植法施行 家族で事前の意思確認を

 ドナー(臓器提供者)を増やすために改正された臓器移植法が施行された。世界的なドナー不足のなか、この改正移植法を有効に活用し、臓器移植でしか命が助からない患者を一人でも多く救っていきたい。

 13年前に施行された旧移植法は、家族の同意に加え、ドナー本人の生前の意思が確認できないと、脳死下での心臓や肝臓、肺などの臓器が提供されないという厳しい条件が付いていた。その結果、脳死移植は年間平均7件ほどしか実施されてこなかった。

 改正移植法では欧米と同様、ドナー本人の意思が不明な場合や提供を拒否していないときは、家族の同意があれば提供できるようになった。提供の意思が表示されたドナーカードを持っていなくとも提供者になれるわけだが、その分、家族の負担が重くなった。

 だからこそ、脳死についてどう考え、臓器提供をするのか、それともしないのか、自分の意思を伝えるなど日ごろから家族みんなで話し合っておく必要がある。日本臓器移植ネットワークの移植コーディネーターから説明を受け、臓器提供の判断で家族を悩ませないようにしたい。家族は、突然の悲報に冷静な判断が難しい状況に置かれがちであるからだ。

 これまでのように自らの意思をドナーカードに示したり、運転免許証や健康保険証に新たに設けられる欄に記入したりしておくことも忘れないようにしたい。家族の判断で提供できるとはいえ、本人の意思がはっきりしていればそれにこしたことはない。

 日本は子供への移植を欧米ドナーに頼ってきたが、家族の同意で提供が可能になった結果、15歳未満の子供からの臓器提供ができるようになった。これは改正移植法のもうひとつの大きな柱だ。

 ただ、大人のドナー以上に家族は判断に悩むことになろう。十分な配慮が求められる。厚生労働省は子供の脳死判定や虐待の問題に対して指針をまとめているが、きちんとした運用が必須だ。

 今年4月、日本移植学会などが全国の男女1000人に実施したアンケートによると、改正について「内容を含めて知っている」と回答したのは、わずか3・8%だった。厚労省や移植ネットによる周知が不足しているためだ。ドナーを増やす法改正を意味あるものにするため、啓蒙活動に力を入れてほしい。



 日本に変わってほしいです。

 そもそも本来、臓器移植に対する募金やらで多くの人が協力している日本で、自分や家族の臓器提供に関してあまり話されていないのが疑問です。

 普通は家族でどうするか話し合いますよね。私の家族が臓器をどうするかという意思確認はもう10年以上も前に話したものですけどね。

 すぐそこにある現実に対して、家族で話し合うぐらいの良識とハイソサイエティな環境で子供を育てたいものです。
posted by さじ at 18:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | 移植

多発性骨髄腫治療薬、レブラミド登場

多発性骨髄腫治療薬レブラミドで「治療の幅が広がった」

 日本赤十字社医療センター血液内科部長の鈴木憲史氏は7月20日、セルジーン社が同日新発売した多発性骨髄腫治療薬レブラミドカプセルの記者発表会で講演し、「当初はサリドマイドの誘導体というイメージだったが、似て全く非なる薬。サリドマイドが効かなくなった人にも効くということで、治療の幅が広がったと考えていい」と述べ、同薬への期待感を示した。

 国内の再発、難治性の多発性骨髄腫の治療薬には現在、サリドマイド(藤本製薬のサレドカプセル)、ボルテゾミブ(ヤンセンファーマのベルケイド)があるが、鈴木氏は「最も効くと言われているのがレブラミド」と紹介。また、足がしびれる末梢性ニューロパシーや、血小板の減少などの副作用がほかの薬剤に比べて少なく、モニタリングが簡単などの利点を紹介し、「今後恐らく爆発的に市場が広がっていくと思う」との見方を示した。

 レブラミドと、同剤と併用で用いられるレナデックス錠4mgは、セルジーン社が日本で初めて発売する製品となる。同社セールス・マーケティング本部長の高木実加氏は、「日本ではまず、セカンドライン以降の治療薬として、しっかりとした位置付けを確立していきたい」と述べた。高木氏によると、全国に70人のMRを配置しており、日本血液学会の研修施設を中心とした650施設を対象に営業活動を展開する。

 また、同剤はヒトでの催奇形性の可能性があるため、胎児への曝露を防止するため適正管理手順「レブメイト」が定められており、高木氏は「早急に日本の医療現場に根付かせていきたい」と述べた。同社によると、現時点で90施設が同手順に登録、25施設で処方が可能な状況にあり、既に患者数人にレブラミドが処方されている。



 サリドマイドというイメージが強すぎる日本でも、最近は結構、サリドマイドそのものの有用性が見直され始めています。血液内科の領域においてはこういう薬の選択肢が増えることは大変ありがたいことです。
posted by さじ at 18:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | がん

2010年07月19日

デジタルドラッグ(i-dosing)がアメリカで蔓延

青少年に蔓延する「麻薬音楽」

 米国の青少年の間で、インターネット上のMP3音楽で「ハイ」になり、エクスタシーになる「デジタル・ドラッグ」が流行している――カンザス州オクラホマのテレビ番組『News 9』は、そう報道している。

 「デジタルな一服(i-dosing)」に必要なのは、ヘッドホンを着けてある種の「音楽」を聴くことだ。こうした音楽は、大部分は単調な騒音にしか聞こえないが、販売しているサイトは、聴けばハイになれると主張している。

 こうした音楽の一部は『YouTube』で無料公開されている(ドラッグはいつでも、最初はタダだ)。ティーンエージャーたちがこれらを聴いて「ハイ」になる様子の動画が、YouTubeにはいくつも掲示さている(たとえば、「Gates of Hades」(ハデス=冥界への門))

 これらの「デジタル・ドラッグ」は、マリファナやコカイン、アヘンやぺヨーテ等と同じ効果を生み出すとされている。ただし、街で売られているドラッグに取扱説明書が付いていることはまずないが、デジタル・ドラッグの利用者は40ページの説明書の購入を勧められる。これにはMP3で適切にハイになる方法が書かれているのだ。

 カンザスのMustang公立学校学区では、この脅威を軽く受け流すことはせず、この新たな流行に警戒するよう、保護者たちに手紙を送った。学校関係者たちは、生徒たちがサイバードラッグの常習者になることを阻止するため、学校での『iPod』の使用禁止まで行なっている、と『News 9』は伝えている。



 前回取り上げた記事はこちら

耳で聞く麻薬「i-doser」を韓国で取り締まる。

 こんなどうでもいいもんを使ってまでハイになろうとするのは残念な人生、といってしまうのは容易いですけれども、現物のドラッグやマリファナだって同じですもんね。まぁマユツバなものだとは思いますけれど、取り締まって損はないかなというところ。
posted by さじ at 23:55 | Comment(1) | TrackBack(0) | 薬理

2010年07月14日

国立病院機構仙台医療センターの後期研修医が殺人か

大牟田の旅館経営者殺害容疑、仙台の26歳医師を逮捕

 福岡県大牟田市の旅館「南風荘」で5月、経営者の江崎京子さん(当時79)が殺害される事件があり、県警は10日、国立病院機構仙台医療センター(仙台市)の研修医で非常勤医師のI容疑者(26)を殺人の疑いで逮捕し、発表した。県警によると「知りません」と容疑を否認し、違う名前や住所を告げているという。刑事責任能力の有無についても慎重に調べる。

 大牟田署捜査本部によると、I容疑者は5月28日午前10時ごろ、宿泊していた南風荘で江崎さんの首を布のようなもので圧迫し、窒息死させた疑いが持たれている。

 当時、旅館の宿泊客は1人だけで、捜査本部は現場の状況などから江崎さん殺害はこの客の犯行と断定。人物が特定できなかったため、6月22日、氏名不詳のまま殺人容疑で逮捕状を取った。翌23日、I容疑者が山口市内で軽乗用車を盗んだとして窃盗容疑で逮捕され、旅館内に残された指紋と一致したという。

 I容疑者とよく似た人物の姿が事件後、熊本、鹿児島、宮崎、大分の各県の駅やインターネットカフェの防犯カメラに映っていた。九州各地を転々とし、山口県に向かったと捜査本部はみている。大牟田市に来る前は、山口県下関市内に2泊していたらしい。それぞれの滞在先でも他人の名前や虚偽の住所をかたっていたという。山口市内で逮捕された時の所持金は数百円だった。

 捜査本部や仙台医療センターによると、I容疑者は徳島県が本籍で、2008年4月から仙台医療センターに勤務。敷地内の寮に住んでいたが、今年5月12日、手術の集合時間の午前8時半になっても出勤せず、部屋に携帯電話や財布、医師免許証などを残したまま行方がわからなくなった。職員が同日、宮城県警仙台東署に行方不明者の届け出を出していた。

 I容疑者は今年4月から心臓血管外科を専門に、後期研修医として、指導医と共に臨床と研究に取り組んでいた。無断欠勤や職場内でのトラブルの報告はなかったといい、医療センターの久保瀧哉事務部長は「今回の長期欠勤で免職処分の手続きを進めているところだった。とにかく驚いている。逮捕容疑が事実であれば、大変申し訳ないことだと思う」と話している。



 後期研修医を平気で研修医と書くようになってきたのか…。

 心臓外科の順風満帆な医師が何故このようなことになってしまったのか。

 情報が入ってきていないので何ともいえませんが。
posted by さじ at 23:54 | Comment(1) | TrackBack(0) | NEWS

2010年07月11日

スイミングスクールに通う子供は風邪を引きにくい。

【フラッシュナビ】スイミングは風邪予防の効果あり

 セントラルスポーツ研究所が、スイミングスクールに子供を通わせる保護者(有効回答698人)を対象に「子供の体力としつけに関するアンケート調査」を実施したところ、73・5%の親が「風邪をひかなくなった」と実感していることが分かった。

 これをスクールの在籍年数でみると、1年未満では61・8%だったのに対し、3年以上在籍の場合は94・2%と大幅増。スイミングの継続が風邪の予防につながっていた。また、61・7%の親が「体調が悪くなることが少なくなった」と実感していた。

 スイミングスクールは、しつけの面でも効果が期待でき、「何事にも我慢強くなった」と回答した親は55・7%、「挨拶ができるようになった」は53%だった。

 そのほか、コミュニケーション面でも成長がうかがえ、「友達が増えた」は72・1%、「親子の会話が増えた」は62・3%だった。いずれの回答も長くスイミングを続けていることでポイントが上昇していた。



 しつけ、礼儀の面でいえばダントツに優れているのは「剣道」を習わせることだと思いますが、スイミングスクールは健康面では抜群に効果があります。

 実は私も幼少の頃は病弱、小児喘息持ちで、最低週1回は病院に行くぐらいの虚弱体質でした。

 ところが水泳を始めてから、肺活量も増えたんでしょうかね、喘息も治り、病院に行くこともほとんどなくなりました。以来風邪もあまり引かない身体に。水という負担の少ない環境で、泳ぎを覚えることは何かと有用です。子供にやらせたい習い事ベスト3のうちの1つです。

 大事なのは、親が泳ぐことに対して強要しないことですね。習い事全てにいえますけど、中でも楽しく泳げばいい水泳に関して記録がどうとか強要してはいけません。子供のやる気を削ぎますので。
posted by さじ at 19:56 | Comment(1) | TrackBack(0) | 小児

2010年07月06日

小児心臓移植に3施設が認定される。

小児心臓移植に3施設認定 17日施行の法改正に向け

 脳死者から提供された臓器の移植実施施設を決める移植関係学会合同委員会(世話人・高久史麿日本医学会会長)は5日、15歳未満の小児の心臓移植施設として東京大、大阪大、国立循環器病研究センター(大阪)の3施設を正式に認定した。大阪大と国立循環器病研究センターは、心肺同時移植施設にも選ばれた。

 17日の改正臓器移植法施行で、小児の心臓移植が可能になることに向けた対応。

 15歳以上の心臓移植施設は、新たに北海道大、埼玉医大国際医療センター、岡山大を認定。計9施設となった。

 肝臓移植施設は自治医大(栃木)、国立成育医療研究センター(東京)、順天堂大(東京)、金沢大、三重大、京都府立医大、神戸大、熊本大の8施設を新たに認定し計21施設。自治医大と国立成育医療研究センターは、過去の実績から18歳未満の患者に限定した。

 膵臓移植は、独協医大(栃木)と京都大が新たに認定され、計18施設。



 最近映画化した「孤高のメス」は、原作が小説ですが、その小説は、10年以上前の漫画「メスよ輝け」の原案を小説化したものです。

 「メスよ輝け」における医療者のスタンスとしての醍醐味は「中堅の市中病院でも能力と設備があれば肝臓移植を行える」というもの。確かに移植において、大学病院などの大規模病院に制限することが全てにおいて得策かというとそういうわけではないでしょう。難しいところではありますが。

 臓器移植の認定施設が増えるのはいいことです。技術的にはおそらくもっと色々な病院で出来るんでしょうけれどね。脳死臓器移植法改正に伴って、認定施設も今後増えつつあると思われます。小児心臓移植が3施設だけ、というのも難しい問題ですね。逆に言うと3施設だけで十分事足りるほどしか脳死臓器移植が増えない、ということなんでしょうか。なんか残念ですねぇ、考え方が。
posted by さじ at 01:07 | Comment(2) | TrackBack(0) | 移植

離島医療と医師を守るため与那国町が独自の制度を整備する

島で守る 命と医療 代診医招き休暇保障 与那国町立診療所

 離島の医療環境を守ろうと、与那国町は独自の制度を整備し島にたった1人の医師を支援している。町が代診医を招いて休んでもらうことで、24時間365日気が休まらない離島の医師の待遇を改善する取り組みだ。かつては短期で医師が入れ替わることもあったが、町の支援が奏功し、現在の花村泰範医師(48)は10年目を迎えた。

 人口1600人の与那国町で唯一の医療機関、町立与那国診療所に花村医師が赴任したのは2001年6月。当時は医師2人態勢だったが4年半後に1人退職し、募集したがなり手がいない。町の財政難もあり、そのまま1人態勢になった。「仕事量は特別多くはない。ただ、いつ患者が発生するか分からないし、すべて1人で対応しないといけない」と花村医師。

 布団に入っても携帯電話は手放せない。自由に酒を飲むことも、学会などで島を離れることもできない。町立のため県立病院からの代診医派遣もなく、花村医師1人に島の命がのしかかった。

 勤務状況を改善しようと、町は06年6月から地域医療振興協会(東京)を通し代診医の派遣を開始。毎月1度、代診医が月曜朝から土曜朝まで5日間勤務し、花村医師が完全に休めるようにした。花村医師は「趣味の釣りに行けるし、気分転換ができる」。環境を整えたことで、1年や数か月など短期間で交代した医師が多かった中、花村医師は10年目を迎えた。

 診療に訪れた30代女性は「ずっと同じ先生に診てもらえて安心感がある」と信頼を寄せる。

 全国各地から医師を呼ぶため、往復約20万円の交通費と宿泊費、そして日当など負担は大きい。それでも糸数永久町診療所班長(49)は「医療が整備されなければ島に人が住めない。まず第一に医師が働きやすい環境を整備することが島の未来にもつながる」と独自の制度を維持する意義を強調した。



 素晴らしいです。

 こういう僻地医療に対して、医師が勤めやすい環境を町全体で整えているところが非常に好印象です。

 結構こう、僻地医療とか離島医療とか、問題になったりしていますけれど、正直言って、「環境が悪いから医師が来ない」という点も大きい。環境といっても都会ではない、という意味ではないのです。要するにそこにいる人たちが、医師を受け入れるのかどうかという問題。医者はいて当たり前、働いて当たり前、といったスタンスで田舎的な疎外感をいつまでも持ち続けているようでは、せっかくきた医師も半年か1年で嫌になって出てしまいます。

 医師は患者を治すことに全力を注ぎ、その医師も一人の人間であり一人の町民であることを町ぐるみで認識してサポートすることが、僻地医療を成り立たせる上で大事なことだと思います。それが出来ずに医師不足だと嘆くのは、町全体の怠慢に他ならないとすら思います。
posted by さじ at 00:22 | Comment(3) | TrackBack(0) | NEWS

2010年07月05日

24時間訪問看護サービスの提供のあり方について

24時間訪問看護の調査研究開始へ―全訪看

 社団法人全国訪問看護事業協会は近く、「24時間訪問看護サービス提供の在り方に関する調査研究事業」を開始する。訪問看護師の業務実態を把握し、訪問介護士との連携を考える一指標にするのが目的で、来年3月までに報告書をまとめる。

 同事業は今年度の厚生労働省老健局の「老人保健健康増進等事業」の1つ。具体的には、「訪問看護師の業務内容に関するタイムスタディ調査」「訪問看護ステーションを基盤とした介護職等との連携モデル事業」などを行う。

 厚労省は訪問看護と訪問介護サービスの24時間化を「地域包括ケアの要」と位置付け、「24時間地域巡回型訪問サービスのあり方検討会」などで両者の連携について議論を進めている。



 訪問看護という領域が今以上に発展すれば、つまり今以上に人材と医療費をかけられるならば、病院に入院せずとも自宅で療養することができる人というのは大勢いると思います。
posted by さじ at 23:58 | Comment(1) | TrackBack(0) | NEWS

冷却保存した自分の肺を再度戻すことに成功する

冷却保存し肺自家移植、 岡山大 世界初、がん切除治療法を拡大

 岡山大病院は2日、肺がん患者の片肺をすべて摘出し冷却保存した状態で患部と周辺を切除後、肺を体内に戻す「自家移植」手術に成功したと発表した

 肺を戻すことで、術後の呼吸機能の低下を抑えられる。冷却保存は、摘出した肺の機能を一時的に保持し、より安全な治療につなげるのが目的。執刀した呼吸器外科の大藤剛宏講師によると、肺の自家移植成功は国内で初めてで、冷却保存したケースは世界初という。

 国立がん研究センターのデータ(08年)では、肺がんで年間約6万6千人が亡くなっており、がんの中で、男女合わせて死亡者が最多。

 今回の手法は、肺の全摘に耐えられず手術をあきらめていた進行がん患者に役立ち、治療の選択肢を広げると期待される。

 患者は広島県の60代男性。右肺中枢部や気管支、肺動脈でがんが進行し、がん病巣のみの切除は難しく、右肺の全摘が必要と診断された。右肺は肺活量の55%を担うため、摘出すると息切れするなど生活の質(QOL)が低下するのが特に問題だった。



片肺摘出→がん切除→体内へ 岡山大病院「自家移植」手術に成功

 岡山大病院は2日、肺がん患者の片肺を全摘後、患部を切除した上で体内に戻す「自家移植」手術に成功したと発表した。

 摘出した肺は機能保持のため、一般の肺移植手術の際に用いる冷却保存技術を応用しており、同病院によると、こうした手法による肺がん治療は世界で初めてという。呼吸不全を防ぎ、術後の患者の生活の質(QOL)向上が期待できる。

 病院によると、患者は広島県在住の60代男性で、右肺中枢部や気管支、肺動脈でがんが進行していた。

 6月中旬の手術では、右肺の全摘後、移植用の保存液を注入して冷却保存。患部を切除し、がん細胞がないことを確かめた上で肺の下部を体内に戻した。

 男性は術後16日で歩いて退院。約70%の肺活量を確保し、趣味のゴルフなどの運動もできるという。



 凄い技術。肺を切除するときに、片方の肺を全部取るとか、肺葉ごとに取るとか、そういう大きなくくりでしか出来ないときがあります。そういったときに、冷却保存して癌だけを取り除き、体内に戻す手法です。術後の生活の質も大幅に向上することでしょう。
posted by さじ at 02:04 | Comment(2) | TrackBack(0) | 呼吸

百日咳、過去10年で2番目の多さに急増中

「百日ぜき」急増中 過去10年で2番目の多さ

 長期間せきが続く百日ぜきの感染報告が急増していることが4日、国立感染症研究所の調べで分かった。6月20日までの1週間で、1医療機関当たり0.09人の報告があり、過去10年間で最多だった平成20年のピーク時の0.11人に次いで2番目の多さになっている。厚生労働省は「予防接種前の子供が発症すると重症化し死亡する可能性もある」と注意を呼びかけている。

 百日ぜきは「百日ぜき菌」による感染症で、熱は出ないケースが多い。長期間のせきが特徴で、1〜2カ月続くこともある。インフルエンザと同様、くしゃみやせきなどによってうつるといい、マスクや手洗い、うがいなどが感染防止に有効とされる。

 成人が重症化することはまれだが、子供は肺炎や脳症など重い合併症を併発することがあり、過去10年で5人が死亡している

 感染研によると、春から夏にかけて流行することが多い。今年は5月中旬から報告が増え始め、同月末には昨年のピーク時(同0.07人)に並び、6月中旬時点では20年のピーク時に迫る勢いになった。

 増加の原因などは不明だが、20歳以上の成人の感染が目立つのが最近の特徴で、今年も成人が51.3%と過半数を占める。

 最も有効な予防策はワクチンだ。厚労省は予防接種法に基づく定期接種としてジフテリアと破傷風のワクチンを入れた三種混合(DPT)ワクチンを接種しており、十数年は効果があるとされる。ただ、対象は生後3カ月以上なので、小さい子供は受けていない場合がある。

 厚労省は「成人は、自身が重症化しなくても、予防接種を受ける前の子供にうつしてしまう懸念がある。せきが続く場合は、人ごみや小さい子供との接触を避けてほしい」と話している。



 ここ数年、毎年のように百日咳がトピックとして挙げられますねぇ。

 ワクチンが出来て感染が収束しつつあると、人々も、医療従事者も、軽視しがちになってしまいます。しかし感染症との闘いは人類の歴史の闘いでもあります。なくなることは期待できません。百日咳の可能性がある、ということを念頭において医療を行う必要がありそうです
posted by さじ at 00:54 | Comment(1) | TrackBack(0) | 感染

精神科の往診により助かる人がいる

精神科の往診 患者らに朗報 県内でも開始 医につなぐ

 統合失調症やうつなどで医療機関に行くことが困難な人々に対する医師の往診が、県内で始まっている。現在治療中や退院後の患者宅への訪問看護はあるが、新規患者の家に医師が出向くことはまれ。他人を信用できず独りで苦しむ患者や、病気の自覚がない当事者にどう対応していいか分からず家族が悩むケースも多く、往診を受けて適切な診断や治療につながり、救われる人も出ている。

 那覇市の50代男性が、兄に異変を感じたのは20年以上前。当時、東京で働いていた兄は、軽いうつ症状で沖縄に帰ってきた。次第に独り言が多くなり妄想で暴れる兄を見て、何かおかしいと感じていたが「病院に行こうと言うと、怒り出す。どうしていいか分からなかった」。

 保健所に何度も相談し、兄が深刻な暴力行為に及ぶと、やむを得ず警察を呼んだ。だが病気と診断する医師がいないため、場をいったんおさめるだけで、医療にはつながらない。昨年12月、医師が往診するクリニックを知り、兄の相談に駆け込んだ。

 話を聞き、エステルクリニック(那覇市首里石嶺町)の玉城尚所長は2人が住む家を訪問。兄を統合失調症と診断し、週1度の往診を始めた。最初は警戒していた兄も、4カ月をすぎると自ら医師を招き入れ、自身の状態を話すようになった。

 薬を飲むのはためらったため、往診で見守りを続けていたが、5月に暴力行為がエスカレート。駆けつけた玉城所長が兄に「病院に行ってみようか」と促すと素直に受け入れたという。

 「今は入院し、落ち着いてきている」と玉城所長。男性も「やっと医療につながった。何かあれば先生と連絡が取れるようになり安心した」と話す。

 同クリニックは2008年に開院し、週2日の往診を実施。新規患者の場合はまず家族らと面談し、状況を把握して会いに行く。現在約25人、月に約50件の往診を行う玉城所長は「無理に病院に連れていくわけではなく、投薬治療しながら家で暮らす人も多い。必要な医療が提供されず、放置される状態も人権侵害ではないか」と指摘する。

 だが往診にかける人的・時間的な余裕がないなどから、精神科での往診は進んでいない。県障害保健福祉課によると、県内の精神科施設は09年4月現在で50件だが、往診を掲げる施設は把握できていない。

 04年、日本初の往診専門精神科クリニック「たかぎクリニック」(京都市)を開いた高木俊介院長は、約100人の統合失調症患者宅を回り、地域医療を支えている。全国でも訪問支援が進まない状況に、高木院長は「往診は手間がかかるとか、医療側から患者に接するのはよくないといわれる。だが私は生活できているし、患者や家族の生活の場で起こることに対応しながら、信頼や安心が生まれる」と意識改革の必要性を訴える。

 玉城所長は「地域で困っている方は多いはず。連絡してほしい」と話した。エステルクリニックは電話098(979)5905。



 偉すぎる。精神科開業医の鑑です。

 こういう精神科の往診制度がすすまないのは何でなんでしょうかね。やはり保険的に難しいとか、あるのでしょうか。国がこういう制度を保障してくれれば成り立つ医療もあると思うのですけどね。

 開業医の先生方が、積極的に往診に出てくれるような医療制度になりはしないでしょうか。

 内科の開業の先生で、「何故自分が勤務医ではなく開業したか」という、開業の醍醐味の最たるものとして、自身の生活の質ではなく、往診ができるから、という点を挙げて先生がおります。その姿勢は素晴らしいものだなと思うわけです。古来からの、医師としてのあり方の1つでありながらも、現代で失われつつある「往診」。その往診医療を支えるのは開業医の先生の気持ちと努力次第なのではないかなと思います。
posted by さじ at 00:17 | Comment(2) | TrackBack(0) | 精神