2010年03月03日

富山大学医学部・薬学部の一般入試で出題ミス

富山大入試で出題ミス=医、薬学部「化学」で

 富山大学は1日、先月25日に行われた2010年度一般入試前期日程の化学の問題で、出題ミスが1カ所あったと発表した。化学のほかの問題に配点を加点して採点するという。

 化学は、医学部医学科では選択科目として230人のうち227人が、薬学部では必須科目で281人が受験した。



 国公立医学部の前期試験も先日終わりましたね。

 物理・生物受験が3人いるということでしょうか。なんか、そこにちょっと驚き。時代の流れでしょうか。
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2010年03月02日

奈良妊婦搬送死亡事件で、産科救急の充実が求められる

奈良・妊婦転送死亡:賠償訴訟 「救急充実願う」大阪地裁判決言及 

 奈良県大淀町立大淀病院で06年8月、同県五條市の高崎実香さん(当時32歳)が分娩中に意識不明となり、19病院に受け入れを断られた末、転送先で死亡した問題を巡り、遺族が町と産科医に約8800万円の賠償を求めた訴訟の判決が1日、大阪地裁であった。大島真一裁判長(島村雅之裁判長代読)は遺族の請求を棄却した。しかし、3時間以上も転送を待たされた経緯に触れ「産科救急医療の充実を願う」と付言した。

 原告は、夫晋輔さん(27)と転送先で生まれた長男奏太ちゃん(3)。主な争点は、産科医が頭部CT検査を実施せず、死因となった脳内出血ではなく妊娠高血圧症の子癇とした診断の過失と、救命可能性の有無だった。

 判決は、脳内出血が発生した時刻を、実香さんが頭痛を訴えた06年8月8日午前0時ごろと推認。その上で、「設備の整った医療機関にできるだけ迅速に搬送することを優先させた判断は不適切とは言えない」と産科医の過失を否定した。

 転送時期と実香さんの死との関係については「仮に(初期段階で)脳の異常を診断し、(設備の整った)奈良県立医大に搬送したとしても、手術開始は午前3時半ごろと考えられ、救命の可能性は極めて低かった」と述べ、請求を全面的に退けた。

 一方、判決要旨の朗読後、大島裁判長は産科救急医療の現状に触れ、「重症患者でも現場で搬送先を探しているケースが多く、『救急医療』とは名ばかりだ。人の命を守ることは国や地方自治体に課された責務で、産科など救急医療の再生を強く期待したい」と述べた。

 遺族の願いはかなわなかった。奈良県大淀町立大淀病院で分娩中に意識不明となり、19病院に転送を断られた末、死亡した高崎実香さん(当時32歳)の医療訴訟。大阪地裁は1日、町と産科医側への賠償請求を退けた。しかし判決は、実香さんの死後に浮き彫りになった産科救急医療体制の不備を指摘した。夫晋輔さん(27)は「判決は残念で実香に申し訳ない気持ちだが、裁判所の意見は良かった」と複雑な心境を語った。

 晋輔さんは法廷の原告席に背筋を伸ばして座り、じっと目を閉じたり、ハンカチで目を押さえたりしながら、判決に聴き入った。

 晋輔さんは毎回、裁判に出席する一方、各地で講演会などに参加し、産科医療の改善を呼びかけてきた。訴訟を起こしたことで、インターネットの掲示板でいわれのない批判や中傷も受けた。それでも法廷に足を運び続けたのは、実香さんが亡くなる直前に出産した長男奏太ちゃん(3)に「お母さんのおかげで産科医療が良くなったんだよ」と伝えたかったからだった。

 判決後、記者会見した晋輔さんは、請求棄却について「頭が真っ白で言葉が出ない」と唇をかみしめた。しかし、産科救急医療体制の改善を求めた裁判所の付言には、期待を込めた。「実香の命が重いことを改めて感じた。奏太に説明できると思う。医療界が受け止めて、早急に産科医療の体制を整備してほしい」と語った。また、石川寛俊弁護士は「主張が十分、受け入れられなかった。控訴するかどうかはまだ考えていない」と述べた。

 一方、西浦公章・大淀病院院長は「審理が尽くされた結果と受け止めている。産科救急医療体制の充実を強く希望するとともに、医療体制充実に努力したい」とのコメントを出した。

 19病院に受け入れを断られた高崎実香さんの死は、危機的な産科救急搬送システムの実情を浮き彫りにした。賠償請求は棄却されたが、産科医不足や、産科と一般の救急医療システムとの連携の不備など、医療システム全体の問題点に一石を投じた意義は大きい。

 実香さんの問題などを受け、厚生労働省は今年1月、産科救急医療を脳神経外科などと連携させるよう都道府県に通知。しかし、厚労省が昨年11月に発表した医療施設調査結果によると、分娩可能な医療施設は08年までの3年間で1割以上も減少した。背景には深刻な医師不足や過重労働があり、連携強化だけでは不十分だろう。

 実香さんの遺族は「二度と同じ事故が起きてほしくない」との思いから体験を講演などで訴えているが、医療界には「訴訟が多いから産科医が減る」などと遺族側を批判する意見もあった。救急医療体制の充実に向けて、患者側と医療界が手を携えて動いてほしい。

 06年8月7日、高崎実香さんが分娩のため奈良県大淀町立大淀病院に入院。8日午前0時ごろ頭痛を訴え、間もなく意識不明になり、けいれんを起こした。産科医は妊娠高血圧症の子癇と診断。病院は産科救急の転送先を探し始めたが、19病院に受け入れを断られ、午前5時47分ごろ、約60キロ離れた国立循環器病センター(大阪府吹田市)へ搬送。頭部CT検査で血腫が見つかり、帝王切開で奏太ちゃんが生まれたものの、実香さんは同月16日、脳内出血で死亡した。



 この事件当時の詳細は下記をご覧下さい。

 分娩中の脳出血を、18病院が受け入れ拒否して死亡。

 産科医の対応は、その人の診断で実行したものなので、責められるものではないと思いますが、救命救急システムに不備があるのは事実。

 とはいっても、医療側の責任なのかというと難しいところです。国民皆保険制度で運営している以上、全国どこの医療従事者、病院経営者も同じ想いなのではないでしょうか。

 「予算がない」と。

 医者は患者を助けたいと思っているにもかかわらず、受け入れ体制が整っていないというのは、誰の責任なんでしょうか。公共事業費やらどうでもいい私腹をこやすための税金投入をやめて、医療費に注ぎ込めばいいのでは。

 そもそも医療費が高騰している現状をみた上で、国、国民がどう思っているのか。こういう不幸なことがなければ変わらないというのが、情けないですけどね。

 消費税が増えることに政治家でも反対している人がいますけれど、じゃあどこから医療費を捻出するのでしょうか。疑問ですねコレ。国民皆保険制度を廃止しなければ国として医療水準を維持できないのでは?税金が医療費として適切に使われるのならば、別に消費税を上げても構わんと思いますけれど。ワカランです。どうしたらいいのか、ワカラン。ただ、こういう事件が起こったという事実と、今後こういう事件が起こらないようにするにはどうすればいいかを考えて、動いていかなければいけないんですわ。
posted by さじ at 23:53 | Comment(1) | TrackBack(0) | 救急

アナフィラキシーショックの児童に学校側は注射薬を使わず

ショック症状の児童、学校が自己注射薬使わず

 兵庫県姫路市の市立小学校で1月、食物アレルギーの男児が給食を食べて急性反応・アナフィラキシーショックを起こした際、学校が保護者から預かっていた緊急用の注射薬を使わずに119番、搬送直前に駆けつけた母親の注射で回復していたことがわかった。

 文部科学省は昨年、ショック状態の児童生徒には教職員が注射をしても医師法に触れない、との通知を出していたが、学校側には正しく伝わっていなかった。専門家は「学校の危機管理の問題。症状が重い場合は、ためらわずに教職員が注射を」と呼びかけている。

 市教委によると、男児は1月15日の給食で脱脂粉乳入りのすいとんを食べた後、目の周りが赤くなる症状や頭痛、嘔吐などを訴えた。学校は、症状を和らげる自己注射薬を保管していたが、「注射する取り決めを保護者と交わしていない」などとして使わず、119番。連絡で駆けつけた男児の母親が、学校を出る直前の救急車に乗って注射を打つと男児の症状は軽快し、2日間の入院で回復した。

 自己注射薬は、円筒形容器の先端を太ももに強く押しつけると針が出て、薬剤が体内に入る仕組み。服の上からでも打てる。男児については、食育担当教諭と保護者が給食の献立表でアレルギー食材の有無を確認していたが、この日は脱脂粉乳が入っているのに気付かなかったという。

 文科省は、アナフィラキシーショックで危険な児童生徒に対しては、教職員が自己注射薬を打っても医師法に触れない、として適切な対応を取るよう求める通知を出している。しかし、市教委は「通知は認識し、各校にも伝えていたが、注射は児童本人や保護者、搬送先の病院の医師らが使うものと考えていた」と説明。今後は研修会などで教職員に周知する。

 同省によると、埼玉県内の小学校で2008年12月、発症した男児に養護教諭が注射をして回復している。また、東京都教委は教員向け手引に「児童生徒が自ら注射できない場合は、ためらわず注射して命を救う必要がある」と記している。



 まあ注射などの講習を行っていない教職員が、いざアナフィラキシーショックの子供を目の当たりにして、使うのをためらってしまうのは、分かります。

 これは教職員が責められるような事態ではないような気もしますが

 ただ記事にもありますように、アナフィラキシーショックの人に対してアドレナリンを注射するのは医師法違反ではありません。命に関わることですので

 今後は講習を行って、教職員でもこういう万が一の事態に備えることが必要でしょう。

 アナフィラキシーショック

 体に入った異物に過剰に反応するアレルギー症状。ハチ刺されや食品、医薬品が原因となり、呼吸困難や血圧低下で意識を失うことがあり、死に至るおそれもある。文科省によると、児童生徒の有病者数は全国で約2万人とされる
posted by さじ at 23:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 循環

性同一性障害の女子、学生服で登校することが認められる

性同一性障害の女子「受け入れて」願い深く

 県内の性同一性障害に悩む中学1年の女子生徒(13)が、4月から男子学生服を着用して登校できることになった。女性から男性として学園生活を送ることは、生徒だけでなく、家族にとっても大きな決断だった。

 昨年6月、母親(41)は、娘から「ほかの人と何かが違う。僕は変なのかなあ」と打ち明けられた。さらに「好きな人ができた」と切り出され、口にしたのは、女の子の名前だった。動揺した母親は自分に言い聞かせるように、「大丈夫だよ、大丈夫」と娘に声をかけていた。

 小さい頃から男の子の服装を好み、アニメのヒーローになりきる様子は、明らかに2人の姉とは違っていた。

 「もっとしっかり、娘のことを知りたい」。母はインターネットなどで、性同一性障害のことを調べた。そして、翌7月、ブログを通じて知り合った性同一性障害の人に頼み、娘に会ってもらった。

 「好きな女の子がいるけど、どうやってつきあったらいいの」。娘はせきを切ったように悩みを質問し始めた。相手は女性と交際していると話し、胸の手術跡を見せてくれた。

 「お母さん、僕、初めて同じ人に出会えた」。その時、娘が抱えていた孤独の深さを思い知ったという。

 これまで「セーラー服を着ると、吐き気がする」と訴えていた娘は、これを機に、周囲に自分の悩みを打ち明けるようになった。

 理解されないこともあったが、「悩んでないで相談しろよ」と、好意的に受け止めてくれる友人もいた。「背中の重荷が取れて、なんだか息がしやすくなった」と、笑顔で学校から帰ってくるようになった。

 クラスで一人だけ体操服で登校するようになって約半年。4月からは、晴れて学生服で登校できるようになる。先日、家族で学生服を買いに出かけた際、娘は、ずらりと並ぶ学生服を前に、「これだよ、これ。僕には」とはしゃいだ。

 両親は「娘の判断は間違っていないと思っている。みんなに受け入れてもらって、まっすぐに育ってほしい」と話している。

 性同一性障害(GID)の児童、生徒に学校がどう向き合うのか。多感な時期だけに、学校の理解やサポートが必要不可欠だ。

 岡山大大学院の中塚幹也教授(保健学)らは2006年、過去10年間に同大のジェンダークリニックを受診したGIDに悩む661人を対象に、問題行動の発生率を調査したところ、不登校が24・4%、自殺を考えた人が68・7%、自傷・自殺未遂は20・6%に上った。問題行動は、2次性徴が始まる中学時代に時期が集中していた。

 はりまメンタルクリニック(東京都)の針間克己院長は、「教諭がきちんと理解し、子どもたちに教えることが大切」と話す。性に違和感を感じていた男子生徒に「男らしくしろ」などと教諭が頭ごなしにしかったことが、いじめにつながったケースもあるという。

 誰にも打ち明られず、心と体の不一致に悩む子どもたちがどれぐらいるのかは未知数だ。文部科学省も、まだ対応指針は定めていないのが実情だ。

 生徒の通う学校では養護教諭を中心に、定期的な勉強会を開くなど、支援に向けての活動を始めている。2月中旬、生徒の母は保護者会で、今回の決定を報告し、理解と協力を求めた。すべてが手探りの中だが、女子中学生が学生服での登校を認められたことをきっかけに、GIDを個性として受け入れる社会に向かうことを期待したい。



 こう、幼い頃から悩み苦しむ類のものですので

 こうやって、学校単位で支援というか、個が認められるのは非常に良いことですね。

 日本でもようやく欧米に追いつこうとしている、というところでしょうか。

 偏見はあるでしょうけれど、無理やり性別を身体に強制するより、身体を性別に近づけられるようになったのは、性同一性障害の方にとっては何よりなのでは。

 案外、同じ年代の子のほうが受け入れられるかもしれません。社会や大人が変わっていかなければならないことであります。

【性同一性障害】

 世界保健機関(WHO)で認める医学的疾患で、健全な身体でありながら、持続的な自分の性の違和感と異性への一体感を持つ。国内には1万〜3万人いるとされ、原因は不明。通常、男性よりも女性の方が自覚症状が早く、物心ついた頃から自分の性別に違和感を感じる人が多い。
posted by さじ at 23:17 | Comment(1) | TrackBack(0) | 生殖

ランニングはやり方を間違えると身体に害となる

「走る=健康」じゃない!?ランニングブームの落とし穴

 2009年は、皇居ランを始めとする空前のランニングブームだった。今週末行われる東京マラソンでも、参加希望者の倍率が8.9倍と高倍率だったほか、女性誌でランニング特集が組まれ、オシャレなランニングウエアを着た女性ランナーも増え続けている。理由は“痩せたい”“健康になりたい”などさまざまだが、一方で慣れない運動に体を壊す人も増えているという。

 話を聞いたのは、東京クリニックの笹沼仁一先生。一般的に「走ること=健康」だと思われがちですが、逆に体を壊す人も多いとは、一体どのような理由なのでしょうか。

 「特に女性ですが、ダイエット目的で節食をされた方は、骨密度や体の筋肉量が低くなりがち。その状態の人が急にランニングを始めることで、膝や腰を痛める例も多くあります。走る前に自分の筋肉量を把握することが重要ですね」。

 また、平日の夜18時〜21時に約4500人が走っている(※千代田区調べ)人気の皇居ランには、こんな落とし穴も。

 「皇居周辺は、車の通行が多いため大量の排気ガスが出ています。排気ガスと紫外線、それにランニングによる激しい運動で、体には活性酸素が発生するんです。活性酸素とは、酸化ストレスと言われ、いわゆる“さび”と呼ばれる体のストレスダメージ度。そのストレスに対抗する“抗酸化力”が備わっていないと、ランニングをしたことで逆に健康を損なってしまうんです」。

 ランニングをしたことで、逆に体がさびてしまうなんて恐ろしい! それでは、走らない方がいいんですか?

 「そんな事はないです! 適度な運動は、体はもちろん、心にもいい影響を及ぼす事があります。現に走っている方の“気持ちが前向きになった”“毎日が楽しい”という声もよく聞きます」。

 やっぱり、ランニングは健康の第一歩のよう。それでは、体を壊さず楽しく走るためにはどうしたらいいでしょうか?

 「今は、ランナーズドックといって、骨の丈夫さや筋肉量を計測したり、身体の抗酸化力が分かる体内環境チェックが増えてきています。気軽に受けて自分の体を知って、ケガのないようにランニングを楽しんでください!」。



 なんだか「美味しんぼ」に出てきそうな話ですが・・・

 確かに「ブーム」とはいえ、いきなり過度の負担をかけるのは身体によくありません。

 日々ランニングしている人は問題ないのでしょうけれど、ブームに乗って走ろうとした人はご注意を。

 まずは今までどれだけ運動してきたのか、どれほどまでなら運動できるのか、自分の身体を見つめて、それに合わせた負荷から始めたほうがよさそうです。骨密度の測定などは病院で簡単にやってもらえますからね。インストラクターなどの走る専門家に指導してもらうのもいいかもしれません。走るフォームなども重要ですし。
posted by さじ at 07:41 | Comment(1) | TrackBack(0) | 内分

カルシウムを摂ることで糖尿病のリスクを減らすことができる

ビタミンDとCa摂取で糖尿病リスク低減も

 厚生労働省の研究班はこのほど、ビタミンDとカルシウムの摂取により、糖尿病の発症のリスクを「低減させ得る」とする研究結果を発表した。研究班では「一般的に日本人の食事にはカルシウムが不足しており、その摂取量を増加することにより、糖尿病を予防する可能性が考えられる」としている。

 今回発表されたのは、1990年と93年に岩手県二戸、秋田県横手、茨城県水戸、新潟県長岡、長野県佐久、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県中部・宮古の9保健所管内に住んでいた40−59歳の男女約6万人を5年間追跡調査し、ビタミンD、カルシウムおよび乳製品の摂取量と糖尿病発症との関連を調べた結果。



 小魚などを食べなくなったせいもあるのでしょうけれど、日本人の食からカルシウムが失われているようです。

 特に女性の場合は、ただでさえ閉経後のエストロゲン欠乏によって骨粗鬆症が起こりやすいので、カルシウムは心掛けて摂ってほしいものですが

 そして糖尿病のリスクも低減してくれるようです。カルシウムの含まれている食事を心掛けてみてはいかがでしょうか。
posted by さじ at 07:34 | Comment(1) | TrackBack(0) | 内分

脳卒中のリハビリに、Wiiが有効であるという研究が出る

脳卒中後のリハビリに“Wii”のゲームが有効――EVRESTから

 身体を動かして楽しめるゲームが人気の“Wii”を、脳卒中後の運動機能の回復に応用できるのではないか――。このアイディアの実現可能性が無作為化比較試験で検証された。

 報告者は、カナダ・トロント大学St. Michael病院のGustavo Saposnik氏ら。同氏らは、スポーツや家事の動きを取り入れたWiiのバーチャルゲームを実践した患者群では、同じ時間を娯楽要素の強いゲームに費やした患者群に比し、運動機能の回復が良好であったとするEVREST(Effectiveness of Virtual Reality Exercises in STroke Rehabilitation)試験の結果を、2月24日から26日まで米サンアントニオで開催された国際脳卒中会議(ISC2010)で発表した。

 EVREST試験の対象は、脳卒中発症から6カ月以内で、手・腕にChedoke-McMaster scaleスコア3以上の機能障害のある患者22人。これらの患者は、娯楽的要素の強いゲームを行う群とWiiのバーチャルゲームを行う群とに無作為に割り付けられ、それぞれに課されたゲームを1セッション当たり60分、2週間で8セッション行ってもらった。

 VRWii群に課されたゲームは、ラケットに見立てたリモコンを振ってプレイする「Wiiテニス」と、同じくリモコンを調理器具に見立てて食材を切ったり盛りつけたりする「クッキングママ」の2つ。大きな筋肉の運動が要求される前者と手先の細やかな動きが要求される後者を30分ずつ、計60分のプレイが1セッションとなる。一方、RT群には、カードゲーム、ビンゴ、Jengaなどが供された。

 試験の第一の目的は、このアイディアが実行可能かどうかを確認することである。したがって、主要評価項目には安全性とともに、セッション完遂率やセッション時間など、患者が実際にこなせたかどうかを評価する項目が設定された。

 その結果、全8回のセッションを完遂した患者の数は、RT群が8人(80%)、VRWii群が9人(90%)であり、1人当たりのセッション総時間は、それぞれ388時間、364時間であった。また、一部の患者が軽い疲労を訴えた以外に目立った副作用もみられなかったことから、これらの課題は十分実行可能だと考えられた。

 一方、4週間後の有効性の各指標は、両群ともにベースライン時より若干改善されていたが、年齢とベースライン時のMWFT、脳卒中重症度について補正後のWMFT変化は、VRWii群の方がRT群より有意に大きかった(-7.4秒、95%信頼区間;-14.5〜-0.2)。また、統計的有意には至らなかったが、握力変化についてもVRWii群がRT群より優れる傾向にあった(1.9kg、95%信頼区間;-2.5−6.2)。

 以上のように、Wiiのバーチャルゲームは、脳卒中後のリハビリ手段に求められる安全性と実行可能性を満たし、運動機能の回復を助ける有用な手段であることが、小規模ながらも無作為化比較試験によって世界で初めて示された。この結果が普遍的なものであることを証明するためには、より大きな規模の試験による検証が必須だが、Saposnik氏らのもとではすでにその計画が進行中である。低コストで治療効果の向上が望めるこの技術の有用性が、大規模試験によって証明されることを期待したい。



 Wiiと医学のニュース。

 運動に良いとされたり、あまり効果がないと報道されたりするWiiですが、脳卒中後のリハビリに有用とのことです。

 確かにWiiのゲームは単純ながらも皆でやると楽しいものが多いですね。昔、ファミコンをやるときに皆で集まっていたときと違って、まさに協同作業といいますか、一緒になって楽しめるものが多いように思います。

 作業療法の一環としてWiiを使う日も来るのでしょうか。「Wii はじめてのリハビリ」的なソフトで。
posted by さじ at 07:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | 介護

強毒性鳥インフルエンザにも効果のある治療薬を開発する

強毒性鳥インフルに効果、第一三共が申請中の新薬

 第一三共が国内での製造販売を厚生労働省に申請中のインフルエンザ治療薬「CS―8958」は、従来の治療薬タミフルが効きにくいタイプの強毒性の鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)にも効果があることを、東京大学の河岡義裕教授と木曽真紀研究員らが動物実験で確かめた。米医学誌「プロス・パソジェンズ」に26日、発表した。

 研究チームは、マウスにH5N1型ウイルスを感染させ、その2時間後に、人への標準的な投与量に相当する新薬をマウスに与えた。すると、6〜8割が3週間たっても生き残った。

 また、感染7日前に投与した場合もほぼ同じ結果で、予防効果も確かめられた。薬を投与しなかったマウスは2週間以内にすべて死んだ。

 新薬はタミフルと同じように、ウイルスの表面に結合して増殖を妨げる。タミフルは1日2回、5日間続けて飲む必要があるが、新薬は、1回口から吸入するだけでよい

 同社は1月末に治療薬としての承認を申請しており、2010年度中に販売が開始できる見通し。



 劇的な効果。

 タミフル耐性のインフルエンザも出来ていますし、この治療薬がパンデミックの救世主となるかもしれませんね。
posted by さじ at 07:22 | Comment(1) | TrackBack(0) | 薬理

内科勤務医によるMRの好感度ランキング、第1位は第一三共

内科系勤務医のMR好感度 1位第一三共 2位ノバルティスと武田薬品

 ミクス編集部とMCIが共同で内科系勤務医100人に行ったMR好感度調査によると、第1位は第一三共、第2位はノバルティスファーマと武田薬品が同数、第4位はアステラス製薬、第5位はアストラゼネカの順となった

 第1位の第一三共と第2位の武田薬品のMRは、ともに自社製品の情報提供の正確性が高く評価された。第2位のノバルティスは、学会情報を含む情報提供の迅速性が高く評価されている。第4位のアステラス製薬も同様の傾向。一方、優秀なMRがもつべきスキルについては、製品知識以外に、コミュニケーション能力や場の空気を読む能力などを求めていることが分かった



 大学病院などの大きな病院で、黒いスーツに身を包んだ人が廊下に立っていたら

 それはMRさんかもしれません。

 MRさんとは、医薬情報担当者、英語でいうとMedical Representative、略してMR。

 医薬品の適正な使用に資するために、医薬関係者を訪問すること等により適正使用情報を提供し、収集することを主な業務として行う者のことを指す。

 多くのMRは製薬会社に所属し、自社の医薬品情報を医師をはじめとする医療従事者に提供し、副作用情報を収集することを主な業務としている。

 かつてはプロパー(宣伝者という意味のpropagandistに由来)と呼ばれていた


 要するに医師と製薬会社を繋ぐ情報マン件営業マンといったところでしょうか。

 彼らがいてくれるから、医師は最新の医薬品情報を得ることができるのです。

 傲慢な医師はMRさんをこきつかうこともあるようですが、全くけしからん次第です。

 自分の職が立派なものであるぞ、と奢り高ぶっている姿は非常に滑稽です。そういう態度に覚えのある医師の方がいらっしゃいましたら、すぐに改めたほうがいいですよ。周囲に訝しく思われてますから。
posted by さじ at 07:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | 薬理

神戸市で精神科医とかかりつけ医を連携する取り組みを開始

自殺食い止めへ一般開業医と精神科医連携 神戸 
 全国の自殺者が12年連続で3万人を超える中、神戸市医師会は3月から、一般のかかりつけ医と精神科専門医の連携を緊密にする「神戸G‐Pネットワーク」を稼働させる。自殺の大きな要因となっているうつ病などをかかりつけ医が早期発見し、専門医や総合病院と連携し、自殺を食い止めるのが狙いだ。

 兵庫県内では1998年、自殺者が1000人を超えて以降、高止まりの傾向が続いている。2008年、1300人を切ったが、09年は再び増加し、1354人になった。このため、同市医師会は08年12月から、神戸市や県精神科病院協会、県精神神経科診療所協会などとともに検討委員会を設置し、同ネットワーク設置を決めた。

 同医師会によると、情報を集約するセンターを、精神科専門病院内に設置精神保健福祉士が、一般のかかりつけ医と専門医のつなぎ役を務め、患者の治療状況などについて追跡調査もする。

 具体的には、同医師会会員の1500開業医を受診した患者に、幻覚、妄想などの訴えがある▽自殺念慮が強い‐などの症状が出た場合は、同センターを通じ計20カ所の専門診療所、専門病院に患者の容体や生活状況を記した「G票」を送り、患者を紹介する。また、約130カ所はうつ病などの早期治療を施す「登録かかりつけ医」に指定する。

 専門医は患者を治療するとともに、病名や治療計画、薬の処方内容を記した「P票」を作り、かかりつけ医と情報を共有。そのほかの病気との合併症がある場合などは総合病院とも連携する。

 同医師会の近藤誠宏理事(55)は「将来的には、産業医や企業、学校にもネットワークに入ってもらい、県内全域の取り組みにしたい」と話す。

 同医師会は、同ネットワークの稼働に合わせ、3月20日午後2〜4時半、同市中央区橘通4の市医師会ホールで「神戸自殺総合対策拡大会議」を開き、民間団体との連携を考える。入場無料。定員100人。申し込みは同12日まで。神戸市医師会TEL078・351・1410



 これは良い試み。神戸市の、自殺者を減らそうとする意志が強く感じられます。

 自殺を食い止めるためには、早期発見が何より大事で、そして早期の適切な治療に結びつける必要があります。

 開業医の先生方と、精神科専門医との連携がうまくいけば、自殺企図のある患者さんを見つけ出して、すぐに必要な治療を行うことができるでしょう。こういう地道な試みで、命を絶つ人は減らせるのではないでしょうか。全国に先駆けてのモデルケースとなるか。
posted by さじ at 07:07 | Comment(1) | TrackBack(0) | 精神

日本医師会が、医学部新設に反対の姿勢をみせる

日医、医学部新設には「反対」

 日本医師会の中川俊男常任理事は2月24日の定例記者会見で、医師数を中長期的に増やすことは妥当だが、医学部の新設には「反対」とする日医の見解を発表した。3私大が医学部新設の準備を進めているとの一部報道を受けたもの。

 見解では、中長期的に医師数を1.1−1.2倍にすることが妥当とし、その前提条件として、▽財源の確保▽医学部教育から臨床研修制度までの一貫した教育制度の確立▽医師養成数の継続的な見直し―の3点を挙げた。

 その上で、文部科学省が公表している来年度医学部入学定員の増員計画では、過去最多となった今年度(8486人)からさらに増加して8846人になるとして、「医学部を新設する必然性はない」と指摘した。

 さらに具体的な問題点として、▽医療現場の医師が教育確保のために引き揚げざるを得ず、地域医療崩壊が加速する▽教員が分散し医学教育の水準や医療の質の低下を招く▽人口減少など社会の変化に対応した医師養成数の柔軟な見直しを行いにくくなる―の3点を挙げた。

 また、2008年の1医育機関当たりの医師数は289人、医療施設(病院・診療所)医師数は27万1897人とする厚生労働省の「2008年医師・歯科医師・薬剤師調査」などのデータを挙げ、「仮に医学部が1つ新設され、医療現場から289人が失われると、医療施設医師数は0.1%減少する」と指摘した。加えて、二次医療圏の約4割で医療施設に従事する医師数が289人以下だとして、地域での医療崩壊の進行への懸念を示した。

 中川氏は会見で、「医師不足だから医学部を作ればいいというあまりにも短絡的な発想。日本の医療制度全体を見通さない発想には本当に驚かされる」と述べ、19日に全国医学部長病院長会議が関係省庁などに提出した医学部の新設と急激な定員増に慎重な対応を求める要望書について、「非常に的確な反論だった」と述べた。



 まあ言わんとすることは分かります。正直、現場の医療従事者で、医学部が増えることを強く望んでいる人はあまりいないのでは。

 というのも、今の歯学部の現状のように、飽和状態になってしまっても困るわけです。今は医師不足ですが、昨年から医学部の定員を10%増しました。このままいけば少しずつ増えていくはずです。

 そこへ医学部を更に新設すると、その医学部を支える大学病院の運営で何百人もの勤務医、そして医学教育に携わる人員が増え。更に人口減少で医師の必要性も減じていくのでは、という点を危惧しているのでしょう。

 個人的には、単純に、あと2,3個あっても面白い、と思いますけれどね。自治医大システムで地方に私大を作れば、地域医療の医師不足も賄えると思いますし(早稲田大などが医学部を新設する、のは論外というか必要性を全く感じませんが)
posted by さじ at 06:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | 大学

秋田大学医学部付属病院の救急医がみる、自殺未遂者

救える命・自殺未遂者を支える:第1部・現場/1 繰り返し防止策、急務 /秋田

 秋田大医学部付属病院(秋田市)の救急医、中永士師明医師は、数年前に救急部に運ばれてきた27歳の男性を忘れられない。

 やけどが全身に広がり、真っ赤に焼けただれていた。灯油をかぶって焼身自殺を図ったらしい。だが彼は意識を失ってはいない。動く目は、何かを見ていた。

 懸命の治療と強い生命力で、男性は一命を取り留めた。

 仕事がうまくいかず自暴自棄になった末のとっさの行動。容体が安定すると、家族にこう語ったという。

 「死にたいなんて思いは一生続くわけではないのに、とんでもないことをした。これだけ支えてくれる人がいたんだと気付いた」「これからは人の役に立つ側に回りたい。大学に入り直そうかな」

 しかし熱傷で弱った体はその後かかった肺炎に抗しきれず、1年たたないうちに息を引き取った。

 中永医師は「自殺を図る人も、本当は生きたいんだ」と改めて思う。追い詰められ異常な精神状態で起こしたことで、ただやり直したいだけだと。

 自殺を図って秋大病院に運ばれてくるのは年間30人前後。救えた人も、処置が及ばなかった人もいる。中永医師の目には、傍らで泣き崩れる家族の姿が焼き付いている。

 「死にたいやつは死なせてやれとか、苦しませるなとかいう人もいるが、間違いだ。亡くなってよかったなんてことは一つもない

 内閣府の09年度版自殺対策白書によると、08年に自殺した男性の13・5%、女性の28・6%に未遂歴があり、20、30代の女性では約45%に上った。

 一度救われた命を自ら再び断ち切ろうとする現実。懸命に救っても、その後のケアがなければ同じ選択をせざるを得なくなる背景が多くの未遂者にはある。

 秋大病院では救急部に運ばれた未遂者について、家族と相談のうえ院内の精神科か心療センターにつなぐようにした。中永医師は強調する。「自殺も未遂も、対策をすれば確実に減らせる。未遂者の命は救える命だ」



 救命救急の現場において、精神科との連携が求められる時代になってきています。

 失ってよかった命なんて1つもない、そのことを改めて認識させられるニュースでした。
posted by さじ at 06:51 | Comment(1) | TrackBack(0) | 救急

和歌山県立医大病院で流行性角結膜炎の院内感染

院内感染:県立医大病院で5人に 流行性角結膜炎、医師から患者へ

 県立医大は23日、付属病院の眼科医師から入院患者5人へ流行性角結膜炎の院内感染が発生したと発表した。いずれも軽症という。同医大は「この規模の感染は過去に例がない」としている。

 2月15日、眼科医が流行性角結膜炎と診断され診療を休んだ。病棟で担当した入院患者8人のうち、5人が同20、21日に同じ病気と診断された。同医大は医師から感染したと判断。新たな患者発生を防ぐため、眼科などの病棟への入院を原則2週間延期した。医師は同病院では外来診察をしていない。

 流行性角結膜炎はウイルス性の急性結膜炎で、感染から1〜2週間で発症、接触感染する。同病院は診察・点眼の際の手袋の使用や患者ごとの交換など感染防止策をしている。



 接触感染ですので、手洗いや手袋の着用で防止策は行われているはずなんですが、今回はそういう対策をしていたにもかかわらず院内感染として広まってしまったとのこと。
posted by さじ at 06:46 | Comment(0) | TrackBack(0) | 眼科

分娩中に医師が殴りあいの喧嘩を始め、死産に

分娩中、医師が殴り合い=母親放置で死産−ブラジル

 ブラジル中西部マトグロソドスル州の病院で、女性(32)の分娩中に担当医が他の医師と殴り合いのけんかを始め、死産となった。地元メディアが25日伝えた。2人の医師は懲戒免職となり、警察は職務怠慢による過失致死の疑いで捜査に入った。

 報道によれば、同病院で23日、分娩の準備をしていた医師に対し、当直医が「担当は自分」などと抗議。床に転げるほどの乱闘となった。女性は分娩室の扉が開いたまま下半身裸で放置され、泣き叫んでいたという。1時間半後に別の医師が帝王切開を試みたが、胎児は窒息死していた。

 警察当局者は「この状況下でけんかなど考えられない」とあきれ顔。女性の夫も「出産の瞬間まで、生まれてくる娘は健康そのものだった」とその死を悔やんだ。



 たまに海外から、わけのわからないニュースが飛び込んできますが・・・
posted by さじ at 04:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | NEWS