2010年02月27日

脳梗塞後の言語治療に、ミュージック・イントネーション療法

脳卒中の後遺症、失われた言語力を歌で引き出す

 脳卒中の後遺症で言語障害が残った人たちのリハビリで、単に話すだけの練習をするよりも、同じ言葉を歌に乗せたほうがスムーズに出てくることを20日、米国の第一線の神経学者たちが発表した。

 米国科学振興協会の年次総会でまず発表されたビデオでは、脳卒中で言語をつかさどる左脳に損傷を受けた患者に、バースデーソング「ハッピー・バースデー・トゥー・ユー」の歌詞を暗唱してもらおうとしたが患者は思い出せなかった。そこで、介助者が患者の左手を取ってリズムを取りながら、今度は歌ってもらおうとすると、患者は「ハッピー・バースデー・トゥー・ユー」という言葉をはっきりと口にすることができた。

 また、ほかの療法を何年間も試したがまったく効果のなかった患者が、歌に乗せると自分の住所を言えたり、別の患者は歌で「のどが渇いた」と言うことができた。

 左脳に損傷を受けた脳の画像を見ると、こうした歌を使った療法を受けた後では右脳の側で、「機能的・構造的変化」が起こっていた

 これまでにも、話せない状態の人が歌を歌うと言葉を口にすることができるという実例は数多くあるが、医療分野で歌を使った療法の認知度を高めることを視野に入れ、ランダム化臨床試験を行ったのは同准教授が初めてだ。

 この療法はミュージック・イントネーション療法(MIT)と呼ばれており、週5日間、1日1時間半のリハビリが行われ、また治療期間は14〜16年と長く忍耐が要る。しかし、この療法で回復した言語機能の定着度は高く、概して失われることがない。

 またシュラーグ准教授にこの療法を受けた患者の3分の2が、セラピーで100語程度を「学習」した後に、さらに多くの言葉を自分で「再学習」できているという。

 シュラーグ准教授は、脳の中で普段、言葉を発するときには連携しない部分が、音楽による刺激で一緒に機能し、発話を促すのではないかとみている。「(歌うなど)音を発するという行為は多感覚を動員する活動で、脳内の複数のシステムを同時に動かし、互いに連携させたり回路のように機能させる。脳の中の多くの領域が関わる」

 患者の手を取りリズムを取ることは「脳内の調音システムに対してメトロノームのような役割を果たし、運動活動とむすびついて発話を促すのかもしれない」



 理学療法的に、かなり有用な療法のようです。

 左脳だけでなく、脳全体を活用することができるため、言語領域をうまく刺激することができるのでしょうか。

 ミュージック・イントネーション療法、うまく使えばリハビリとしてかなり期待できるかも。
posted by さじ at 06:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神

糖尿病治療薬アバンディアに心臓発作の副作用

糖尿病治療薬に心臓発作の副作用、事実隠匿と製薬会社を非難

 米国で広く使われている糖尿病治療薬が深刻な心臓発作の副作用を引き起こしており、この事実を製造元の製薬大手グラクソ・スミスクラインが隠していたと、米上院金融委員会が20日発表した報告書で非難した。同時に、同治療薬を認可した米食品医薬品局(FDA)の監督責任も追及している。

 超党派議員がまとめた334ページからなる報告書によると、問題になっているのは糖尿病治療薬「アバンディア(一般名ロシグリタゾン)」。FDAの研究者が2007年7月にまとめた推計によれば、同治療薬が市場に出回って以来、関連する心臓発作が約8万3000件も引き起こされているという。

 一方、グラクソ・スミスクライン側は、報告書の内容を否定。FDAの認可を受けて発売している治療薬であり何ら問題はないうえ、報告書で引用されているデータは古く、最新のものではなく無意味と、真っ向から反論している。

 「アバンディア」の安全性については、数年前から懸念が指摘されている。2007年には米医師会雑誌(JAMA)と米有力医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)がそれぞれ、安全性を疑問視する論文を掲載していた。



 重篤な副作用となるのかどうか。今後の研究次第というところでしょうか。糖尿病治療の選択の幅が狭まるのは懸念されますが、心臓に負担がかかるのはあまりよろしくないですしね。
posted by さじ at 06:15 | Comment(1) | TrackBack(0) | 内分

遺伝子やウイルスを使わずにiPS細胞を作ることに成功

<iPS細胞>遺伝子やウイルス使わずに作成 米大が成功

 遺伝子やウイルスを使わずに医薬品を投与して、がん細胞のもとからヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作ることに、米ハーバード大の森口尚史研究員らが成功した。医薬品の投与のみで作成したのは初めて。ウイルスが細胞内にある遺伝子を傷つけるなどの弊害を回避できる可能性がある。23日、東京都で開催中の国際会議で発表した。また、大学は特許出願の手続きを始めた。

 iPS細胞はさまざまな細胞になるが、がん化が課題になっている。チームはその仕組みを探る一環で、肝がん細胞の元である「肝がん幹細胞」に、2種類の抗がん剤の新薬候補物質を加えたところ、2日後にはほぼ正常な肝細胞に変化することに気付いた

 また、この肝細胞に、山中伸弥・京都大教授が発見した遺伝子の働きを活性化させる別の抗がん剤4種類を4日間投与すると、2週間後にiPS細胞ができることを発見した。

 元の肝がん幹細胞は多くの染色体に異常があったが、iPS細胞になるとすべて正常化し、iPS細胞と同じように分化することも確かめた。肝がん幹細胞を肝細胞に戻した方法を応用すると、新しいがん治療薬の開発につながる可能性があるという。

 遺伝子などを使わないヒトiPS細胞作成法としては、米国の別チームが、山中教授が発見した遺伝子が作るたんぱく質を体外で作り、細胞内に入れる方法で報告している。



 2010年も

 iPS細胞を中心とする再生医療の飛躍的進歩が期待されますぞ
posted by さじ at 06:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | がん

2010年02月26日

プラセボの治療効果はかなり高いことが判明する

偽薬に高い治療効果、自然治癒力引き出す 豪大研究

 一般的に病気は薬で治すものだ。だが、医師の患者への気遣いや知恵だけで治る場合もあることを指摘したオーストラリアの科学者らによるプラシーボ(偽薬)の研究結果が19日、英医学誌ランセット(Lancet)に掲載された。

 シドニー大学のダミアン・フィニス氏が主導する国際研究チームは、新薬の有効性を試すために治験で用いられてきたプラシーボの効果を科学検証した論文を、古くは18世紀までさかのぼって調べた。

 その結果、プラシーボには薬を投与するといった初歩的な医療行為などと同様の治癒効果があることが分かった。患者の精神に働きかけることで、体が持つ自然治癒力を高めるとみられる。

 プラシーボ効果は、さまざまな症状の患者において習慣的に投与することで得られ、強い治癒効果があることが分かったという。

 研究チームが検証した論文のなかには、鎮痛剤を投与されていた患者が、投与薬がプラシーボに切り替わってからも鎮痛効果を得ていたことが脳スキャンから確認された例が多数あったという

 また、薬をコンピューター制御式ポンプで投与するよりも、医師が注射した方が効果的であることが分かった。

 フィニス氏は、AFPの取材に対し、「プラシーボ効果を得るために、偽薬を投与する必要はない」とし、重要なのは治療のあり方だと説明した。一方、ほとんど医師を信頼しようとしない患者の場合についてフィニス氏は「仮説としてだが、プラシーボ効果はあまり得られないだろう」と語った。



 プラセボ効果、結構あるようです。

 ただどういう人にどういうタイミングでプラセボを行うか、というのは、それこそ信頼関係とか患者さんの見極めとかが必要ですが。

 まぁ薬を使わずに効果が得られるんですから、良いものではありますね。医師の腕次第か。
posted by さじ at 03:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | 薬理

拡張型心筋症に透析で抗体を除去すれば回復する

拡張型心筋症に新療法、心臓移植待つ患者に光明

 心臓移植以外に根本的な治療法がない重症の拡張型心筋症について、患者の血液から病気を引き起こす抗体をフィルターで取り除く、新たな治療法が注目されている。

 主治医に「移植しかない」と言われた患者が劇的に回復する例もあり、今月、北里研究所病院と慶応大病院で重症患者(18歳以上)への臨床試験が始まった。他の6医療機関でも順次、臨床試験を実施する。

 この治療法は免疫吸着療法と呼ばれ、慢性腎不全の透析治療のように、血液から特定の成分を取り除いて浄化する。拡張型心筋症は、風邪などのウイルス感染で免疫機能に異常が生じ、本来は体を守る抗体が、心臓を異物と誤認して攻撃することが一因と考えられ、抗体を取り除く免疫吸着療法の効果が期待されている。

 ドイツなど欧米では200人以上が治療を受け、重症患者の2年後の生存率が約60%から約80%に上昇したとの報告もある。国内では、重症筋無力症などの治療として既に行われており、今回の臨床試験には、東大、国立循環器病センターなども参加している。

 北里研究所病院は試験に先立ち、重症の8人に治療を実施。3か月後、5人の心臓のポンプ機能が改善した。医師に「心臓移植を考えてほしい」と言われた20歳代の男性患者は、一昨年、この治療を受けて回復し、社会復帰した。「ひどい息切れで歩くこともできなかったのに、今は通勤や事務仕事もできます」と話す。

 同病院循環器内科の馬場彰泰副部長は「心臓移植まで長く待機を強いられても、希望をつなげる。早期の保険適用を目指したい」と話す。問い合わせは、北里研究所病院治験管理室((電)03・5791・6354)。



 これはなかなか。拡張型心筋症というと手術でしか助からないといわれていますが、この研究によれば自己免疫の抗体を除去してやることで回復するとのこと。

 移植せずに、透析だけで社会復帰できるというのならばかなり凄いことです。

 拡張型心筋症

 血液を送るポンプ機能が著しく低下する難病で、患者数は約1万8000人。国内で心臓移植を待つ患者の6割がこの病気を患っている。心臓移植は1997年の臓器移植法施行以後、先月末までに70例(1例は心肺同時移植)にとどまり、移植を望みながら亡くなる患者が少なくない。
posted by さじ at 02:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | 循環

胎児に2つの言語を聞かせると、両方の言語を区別できるように

胎児に2言語聞かせるとバイリンガルになりやすい?加研究

 母親の胎内にいる間に2つの言語が話されている環境で過ごすと、赤ちゃんはバイリンガルになりやすいとの研究結果が、心理学専門誌「サイコロジカル・サイエンス」に今週掲載された。

 新生児を2つのグループに分け、一方には胎内で英語だけを聞かせ、もう一方には英語とフィリピンのタガログ語の2つの言語を聞かせた。

 新生児の言語に対する好みを判断するにあたり、研究者らは、新生児の吸引反射に注目した。吸い付く動作は、赤ちゃんの刺激に対する関心を示すとされている。

 まず、最初の実験では、1分ごとに英語とタガログ語が交互に話される演説を、赤ちゃんに10分間聞かせた。

 その結果、胎内で英語だけを聞いていた赤ちゃんたちは、タガログ語の演説よりも英語の演説を聞いているときに「吸引行動が増加する」ことが観察された。つまり、タガログ語よりも英語の方に、より関心を示したことになる。

 一方、2言語が聞こえる環境で胎内にいた赤ちゃんグループは、英語とタガログ語の両方に等しく関心を示した

 この結果から、研究者らは、出生前からバイリンガルの環境にある新生児は2つの母国語を覚えるための準備をしているとみられると結論づけた。

 さらに研究者らは、赤ちゃんたちが2つの言語の違いを区別しているかどうかについても調べた。言語の違いを区別することは、バイリンガルになるために重要な要素である。

 研究の結果、まず、赤ちゃんたちは興味がなくなるまで1つの話に耳を傾けていることがわかった。次に、赤ちゃんたちは語り手が別の人に変わった際にも関心を示し、また、言語が変わった際にも関心を示すことがわかったという。

 また、同じ言語が話されている間は赤ちゃんの吸引行動は増加しないが、別の言語に切り替わると増すこともわかった。

 これらの結果から、報告書は、「バイリンガルの赤ちゃんも、1言語だけの赤ちゃんも、2つの言語を区別することができるとみられる」と述べ、「バイリンガルの赤ちゃんが、生まれた瞬間から2つの言語を混乱せずに聞き分けることができるメカニズムがあることがわかった」と結論づけた



 3歳までに別の言語を聞かせれば、その発音の違いなども容易にわかるようになるといいます。絶対音感を身に付けるならば3歳まで、といわれているのと同じです。

 この研究では胎内にいるときから聞かせると区別する能力が身につくというもの。

 実際バイリンガルって難しいですけどね。日本語と英語という全く別のことを同時にやらせようとすると、確かに英語の発音は良くなりはしますが、逆に日本語が微妙になるというか、どっちつかずになってしまうことも多いようです。何ていうんでしたっけ、バイリンガルならぬ、セミリンガルでしたっけ。

 とりあえず英語を喋れるようになってほしい、と願う親は多いでしょうし、私も子供は楽に英語を身に付けてほしいとは思いますが、英語教育を重視するあまり日本語に不備を来たしたり、子供がそれで小学校の段階で苦労するようならば、別に英語ぐらいどうでもいいかなと思ったりもします。
posted by さじ at 02:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | 小児

思春期の経験で脳の構造は変化する

「思春期」の経験は脳の構造を劇的に変化させる、小鳥で実験

 学習過程をひもとくために行われた実験で、「思春期」の小鳥の脳が、成鳥のさえずりを初めて聴いた時に変化したことが確認されたとする論文が、17日の英科学誌「ネイチャー(Nature)」に掲載された。

 思春期におけるたった1度の経験が即座に若い脳の構造を変化させ、異なる機能を持たせる可能性があることが明らかになったと、研究を行った米デューク大のリチャード・ムーニー教授らのチームは説明している。

 鳥類でも、人類でも、一定の行為を行える能力を獲得することは、生き残る上で極めて重要だ。例えばオスの鳥は、正確に歌う能力を身につけなければ、つがいとなるメスを呼びよせることができない。

 これまでの研究では、脳の構造変化と感覚入力の関連性が指摘されてきたが、脳の構造変化が学習を導くかどうかは不明だった。

 研究チームはこのほど、レーザー顕微鏡を使って若いフィンチの脳を観察。同類のオスの成鳥のさえずりを聴かせてみると、脳内の神経細胞を結合させる樹状突起棘が劇的に変化した。これまでは、若鳥が歌をマスターするには数週間から数か月かかるため、この期間の脳は高い可塑性を保持すると考えられてきたが、結果はその逆で、さえずりを聴いたとたんに動的シナプスは安定した。

 これらの結果によって、脳卒中などの脳障害後にシナプスの可塑性を回復させる研究が進む可能性があるという



 すると思春期のときにあまりそういう経験をしてこなかった私のような人は脳の構造があまり変化してこなかったということでしょうか・・・。

 人間の成長過程に無駄なものなんてないんですね。

 これを読んでいる若い諸君らも、思春期の恋は大事にしたほうがいいですよ。
posted by さじ at 02:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | 生理

炭酸飲料で膵臓がんになる確率が上がる

炭酸飲料を多く飲むと膵癌(がん)リスクが高まる

 炭酸飲料(ソフトドリンク)を多く飲む人は膵癌の発症リスクが増大する可能性のあることが、アジア人を対象とした研究で示され、医学誌「Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention(癌疫学、バイオマーカー&予防)」2月号に掲載された。

 今回の研究は、米ミネソタ大学とシンガポール国立大学が共同して実施したもの。中高年以上の中国系シンガポール人6万人強を対象に、果汁および炭酸飲料の平均摂取量を算出するとともに、被験者を14年間追跡して膵癌の発症数を調べた。その結果、週に2回以上炭酸飲料を飲む人は、全く飲まない人に比べ膵癌の発症リスクが87%高いことが判明。果汁の摂取と癌リスクとの間には関連はみられなかった。

 研究を率いた元ミネソタ大学研究員のNoel Mueller氏は、中国系シンガポール人は遺伝的には西洋人と大きく異なるが、成人の生活習慣には西洋と同じ傾向があるため、この知見は西洋諸国にも一般化できるものだと述べている。なお、今回の研究では通常の炭酸飲料とダイエット炭酸飲料の区別はしていないが、シンガポールで消費される炭酸飲料のほとんどは通常のものだという。

 研究グループは、炭酸飲料による血糖値の上昇とそれによるインスリンの増大が、膵臓細胞の異常な分裂を促進するのではないかと推測している。米国癌協会(ACS)のEric Jacobs氏によると、砂糖入り炭酸飲料の摂取は体重増加、肥満および糖尿病とも関連があるとされており、いずれも膵癌のリスク増大の原因となるものだという。

 一方、米国飲料協会(ABA)は、炭酸飲料が癌リスクを増大させることはないと反論。今回の報告を必要以上に警戒する必要はなく、炭酸飲料を飲む成人はほかにも喫煙などの習慣があり、それによって癌リスクが増大している可能性もあると指摘する意見もある。Jacobs氏は「いずれにせよ砂糖入り飲料を控えれば正常体重の維持に役立ち、あらゆる疾患リスクを軽減できる」と述べている。



 ミネラルウォーターの炭酸バージョンというんですか、要するに炭酸水でも駄目なんですかね。そういうわけではなさそうで、結局炭酸の入っている砂糖水のようなものが駄目だということでしょうか。

 まぁ、健康には良くなさそうです。

 でも運動したときとか、飲むとスカッとするのでつい飲みたくなってしまうものですが。

 やはり日本では緑茶がいいんではないでしょうかね。あんなにおいしく緑茶飲料をペットボトルで飲めるのは日本ぐらいなものですからね。
posted by さじ at 02:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | がん

2010年02月25日

ナルコレプシーの原因は自己免疫疾患の可能性も。

ナルコレプシーの誘因を究明、スイス研究チーム

 日中に突然強い眠気に襲われる睡眠障害のナルコレプシーの誘因を突き止めたと、スイスの研究者らが研究結果を医学誌「Journal of Clinical Investigation」に発表した。新たな治療法につながると期待される。

 ナルコレプシーは、日中に繰り返し倦怠感や睡魔の発作に襲われ、眠り込んでしまうという睡眠障害で、患者数は平均して人口の0.05%程度と推定される。

 通常は、ニューロンにより生成されるタンパク質「Trib2」が、人間を目覚めた状態に保つ働きを持つオレキシン(ヒポクレチン)という物質も分泌する。これまで、ナルコレプシーはこのオレキシンの欠乏と関連付けられてきたが、正確な誘因は特定されていなかった。

 今回ジュネーブ大とローザンヌ大の研究チームは、ナルコレプシー患者120人から採取したサンプルを調べ、Trib2抗体の濃度が高いことを発見。Trib2抗体は、オレキシンのニューロンを破壊してしまうことから、「ナルコレプシーは体内の免疫系の攻撃で誘発される」と結論付けた。

 なお、神経系の自己免疫疾患の治療に使われる免疫グロブリンをナルコレプシー患者に投与したところ、「並外れた効果」が得られた。初期症状の出現直後にこれを投与されたナルコレプシー患者の大半で、睡眠障害がなくなったという



 ナルコレプシーが自己免疫疾患だったとは。今ある薬物療法以上に効果のある治療法ができるかもしれません。もし自己免疫疾患ならば、自分の体の免疫を抑えてしまえば治るわけですからね。今後に期待の持てそうな結果。
posted by さじ at 07:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神

ワサビの辛味成分が老化防止に役立つことが判明

ワサビの辛みで老化防止?=健康食品などに応用期待−中部大

 ワサビの辛み成分が、がんや糖尿病などの病気予防や老化防止に役立つ可能性があることを、中部大(愛知県春日井市)の三輪錠司教授らの研究グループが線虫を使った実験で突き止めた。新たな健康食品の開発などへの応用が期待されるという。米オンライン科学誌プロス・ワンに17日(米国時間)掲載される。

 三輪教授によると、生物の遺伝子や細胞は、喫煙や農薬などから摂取される毒物や、エネルギーを生み出す際に発生する活性酸素で傷つく「酸化ストレス」にさらされている。過度の酸化ストレスを受けると損傷が蓄積され、がんや糖尿病などの病気だけでなく、老化の原因にもなると考えられている。

 三輪教授らは、線虫に農薬などの酸化ストレスを与える実験を行った。そのままだと線虫は死んでしまうが、ワサビの辛み成分「アリルイソチオシアネート」(AITC)を与えると、酸化ストレスを排除するための酵素が活性化。与えなかった線虫に比べ、生存率は3時間後で約2倍、5時間後では約3倍になるなど大幅に上昇したという。



 日本で暮らしていないとワサビはなかなか食べられませんが、日ごろ食べるワサビって、ニセワサビといいますか、いわゆる「西洋ワサビ」の辛さのものが多い気がします。あの妙に緑色をしたアレです。

 本物のワサビは無駄に辛くなく、上品なピリカラという感じでしょうか。日本由来のものとはいえ、かなりの高級品になっていますね。なかなか手が出ないので食べる機会も少ないのですが、身体には良いようです。ワサビの効能については何度か当ブログでも取り上げていますのでご参考までに。
posted by さじ at 05:35 | Comment(1) | TrackBack(0) | 皮膚

単語などの記憶はコーヒーを飲むと記憶効果が低下する

20分の昼寝の方がコーヒーよりも記憶に効果を発揮

 アメリカの科学振興協会の年次総会が開かれ、そこで睡眠に関する興味深い発表が行われた。その中で、カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームは、「1時間半の昼寝は1晩分の睡眠に相当する」と報告。また、眠気を覚ますコーヒーよりも20分の昼寝の方が、記憶に効果を発揮すると伝えた。単語を覚えたり、電話番号や名前を記憶するのには、コーヒーはむしろ記憶の妨げにさえなるという

 研究チームは『昼と夜の睡眠効果』についての発表で、昼寝の効果を指摘。感覚に関する記憶(見聞きしたこと・感じたことなど)では、コーヒーも昼寝と同様の記憶効果を発揮するが、意識的な記憶(単語を覚える・電話番号を覚えるなど)については、コーヒーは記憶効果を低下させることが分かった。眠気を飛ばすつもりでコーヒーを飲んでも、学習効果の向上は得られない。それよりも短時間でも昼寝をした方が良いとのことだ。仮にそれが20分でも、コーヒーよりは昼寝の効果にかなわないという。

 また、年齢によって『より良い眠り方』の違いについても報告されている。研究は平均年齢68歳と平均年齢27歳の2つのグループを作り、睡眠と記憶の関係を比較。その結果、高齢者は睡眠時間が長いほど記憶が維持され、若年者は睡眠時間あたりの眠りの深さ、つまり睡眠の質の高さが記憶に良い効果をもたらした。若年者の場合、短時間でも深い眠りにつければ、記憶は維持されるとのことである。仮に短時間でも、深い眠りを得ることが仕事や勉強の効果を上げるようだ。職場や学校で寝ることは難しいかも知れないが、許される環境であるなら寝た方が良いようだ。



 試験前など、やらなければならないこと、覚えなければならない量が膨大だと、どうしても眠気を覚まして勉強しなければ、という気持ちが先行して、コーヒーを飲んで頑張ろうとします。

 実は私もそうでした。コーヒー好きですし、コーヒー片手に頑張ろうとしたものです。

 ですが、コーヒーよりも睡眠による記憶のほうが大事だと気付いてからは、記憶重視の勉強の場合はコーヒーを控え、短時間に集中して覚えるようにし、疲れたり眠気を感じた場合は短時間で仮眠をとるようにしました。そうすると、やったことを結構覚えているんですよね。

 仮眠が気持ちよい、と感じたり、起きたあとに頭がスッキリするのは、やはり睡眠の質が良いからではないかと思います。会社や学校などで一番フレキシブルに頭脳を動かすコツは、昼に仮眠を取ること、なんですが、なかなかそれを許してくれるような社会ではないですよね。スペインのシエスタのような文化を取り入れると結構はかどると思うんですけれども。
posted by さじ at 04:18 | Comment(2) | TrackBack(0) | 脳神

2010年02月22日

バレンタインデーが満たす脳科学。

バレンタインデーの歴史と愛の脳科学

 バレンタインデーは愛の祝日だが、そもそも愛とは何だろうか。

 ヘレン・フィッシャー氏はニュージャージー州にあるラトガース大学の人類学者で、『人はなぜ恋に落ちるのか?― 恋と愛情と性欲の脳科学』(大野晶子訳、ソニーマガジンズ)など、愛に関する本を数冊出版している。

 フィッシャー氏は恋愛について、求愛と生殖を可能にする3つの本能的な脳のシステムに分類している。

・性欲
・ロマンチックな愛(妄想、情熱、夢中)
・愛着(長期間のパートナーに対する穏やかさと安心感)


 これらは脳の状態ではなく脳のシステムであるとフィッシャー氏は強調している。3つのシステムのすべてが恋愛において重要な役割を果たしていて、それぞれ独立して機能することもできるが、人々は1つの理想的な関係の中で3つのシステムがすべてそろうことを強く望んでいるという。

「私の考えでは、性欲が進化したのは外へ出てパートナーを見つけられるようにするため。ロマンチックな愛が進化したのは、一度に1人の相手にだけ求愛のエネルギーを注げるようにするため。愛着が進化したのは、チームとして一緒に子どもを育てるのに十分な期間だけ相手を容認できるようにするため」とフィッシャー氏は言う。

バレンタインデーには3つのうち性欲とロマンチックな愛の2つだけが含まれていた」とフィッシャー氏は付け加える。「でも、ペットの犬にもバレンタインデー・プレゼントを贈るようになれば、ロマンチックな愛だけでなく純粋な愛着の表現だと言うこともできるでしょうね」。



 はぁ・・・

 よく考えれば今年のバレンタインデーは、バレンタインデーであったことすら忘れるほど多忙でしたな・・・。

 義理すら貰わなかったのって何歳のとき以来だろうか・・・。

 ロマンティックな愛、性欲・・・
posted by さじ at 01:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 内分

2010年02月21日

色々なことにハマる現象を研究する「依存学」が誕生

京から発信「依存学」

 熱中したり依存症になったり…、物事に「はまる」ことの功罪を多角的に研究する国内初の「依存学」が京都を拠点に立ち上がる。京都大の西村周三副学長(医療経済学)が中心になって「依存学推進協議会」を近く設立する。「はまる」「のめり込む」ことの意義をきちんと評価し、依存症との違いを科学的に解明することで、カウンセリングなどに応用していく。

 飲酒やギャンブル、ゲームなど、はまる対象になるものは、適度に楽しむとストレス発散や脳の活性化などの効果がある。文化の創造や科学的発見も、何かに没頭して達成されることが多い。ただ、度が過ぎると、生活に支障の出る依存症に陥ることもある。

 依存学は、依存症の治療をはじめ現代日本の風潮がはまることの病理やマイナス面ばかりに注目してきた反省に立って研究する。はまることの功罪を総合的に見直すことで、依存症に陥ることなくプラス面を引き出す狙いがある。

 協議会のメンバーには、京大こころの未来研究センターや高次脳機能総合研究センターの教授のほか、ギャンブル社会学の第一人者として知られる谷岡一郎大阪商業大学長も加わり、医学や人文学など幅広い手法を採る。

 例えば、何かにはまっている時、脳にどんな変化が起きているのかを科学的に分析し、日本の教育や法制度が趣味、嗜好、依存症とどんな関係にあるのかも探る。依存症の人をサポートする団体と連携、カウンセリングや提言もしていく。

 西村副学長は「簡単に言えば、阪神ファンとして野球を楽しんでいる人と、仕事も手に付かず周囲に迷惑を掛けている『阪神依存症』の人は何がどう違うのか。そんなことも研究対象になる。依存学を通して、何かに没頭することで発揮できる人間の力を最大限に伸ばしたい」と話す。

 協議会は4月にもNPO法人として発足する。発足に先立って「依存学ことはじめ」と題したシンポジウムを3月14日に京大で開く予定だ。



 なるほど。結構面白そう。

 パチンコやパチスロにはまるのは、手軽にできるギャンブルという以上の何かがありそうですからね。

 あの、あの小説なんでしたっけ。「千里眼」でしたっけ?心理学をマスターした女性の出てくる。あれでもパチンコにはまるのはあの音量と光のせい、って言ってましたね。本当かどうかは定かではありませんが。
posted by さじ at 01:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神

2010年02月20日

人が感じる不思議な錯覚「皮膚うさぎ」について。

皮膚兎:不思議な現象 道具を介しても体感

 人間の皮膚の上で、10センチほど離れた2点を連続的に刺激すると、2点間を小さなウサギが跳ねていくような錯覚が生じる「皮膚兎」と呼ばれる現象が、手にした道具上でも起こることを、高知工科大と東京大の研究チームが発見した。この仕組みを解明すれば、体になじみやすい義手など福祉装具の開発やロボットの遠隔操作技術の発展に貢献できると期待される。

 宮崎真・高知工科大准教授(神経科学)らは、男女8人(18〜23歳)に協力を依頼。人さし指の上に、幅5ミリ、長さ10センチのアルミ製の板(重さ約13グラム)を置いた。刺激装置を使って、皮膚兎を起こすのと同じような刺激を、板の上から左の人さし指に0・8秒間隔で2回、その直後に右の人さし指に1回の計3回の刺激を与えた。

 その結果、全員が2回目、3回目の刺激を両指の間(約8センチ)の板上に受けたように錯覚した。平均すると、2回目は刺激を実際に受けた位置から約3センチ進んだ位置、3回目は、さらに約3・5センチ進んだ位置に感じ、全体として板上を何かが駆け抜けたようにとらえていた。人さし指それぞれに正方形の板を置いて同様の刺激をした場合は、錯覚は起きなかった。

 皮膚兎が起きるときの脳内の神経活動はすでに解明され、身体だけの現象と考えられていた。宮崎准教授は「ヒトの脳は道具を体の延長のように認識するという従来の学説の直接的な証拠となる。今後は、道具上の皮膚兎では、脳内のどこでどのような神経活動が起こっているかを解明したい」と話している。3日付の北米神経科学学会誌で発表した。



 へー。面白いですねこれ。

 確かにこれを使えば義肢などにも有用かもしれません。

 全然関係ないんですけど、手のひらの、中指と薬指の付け根のちょっと下側の皮膚を逆の手の爪で軽く触ってると、なんかジンジンきません?この異常なまでの刺激は一体何なのか、これを何かの診断に使えないのか、と、昔からの疑問なんですが。笑
posted by さじ at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 介護

2010年02月19日

早老症「ウェルナー症候群」が起こる仕組みを解明する

早老症の仕組み解明 奈良先端科技大の北野健助教チーム

 若くして老化が急速に進む早老症「ウェルナー症候群」は、特有のタンパク質に異常が生じ、細胞内で絡まったDNAがうまくほどけなくなって起きることを奈良先端科学技術大学院大情報科学研究科の北野健助教の研究チームが発見。10日発行のアメリカの科学専門誌「ストラクチャー」で発表した。

 北野助教は「ウェルナー症候群で、タンパク質の変異が原因となる仕組みを分子の形状から明らかにできた」としており、老化の仕組み解明にもつながる研究として注目される。

 北野助教チームは、タンパク質酵素の一種「ウェルナーヘリカーゼ」とDNAの複合体の結晶に大型放射光施設「SPring−8」(兵庫県佐用町)でX線を照射し、ウェルナーヘリカーゼの構造を解析した。

 この結果、細長くとがった構造になっていることが判明。このナイフのような構造が、細胞分裂時に2本鎖構造のDNAが1本ずつにほぐれて複製される際、染色体末端にある老化時計「テロメア」を解きほぐす働きをしていることを突き止めた

 ウェルナーヘリカーゼが変異していると、「解きほぐし」能力が低くDNA複製時にテロメアが損傷しやすいため、早い老化を招いてウェルナー症候群になるという。同症候群は10代半ばから全身の老化が急激に進む病気で平均寿命は46歳。患者数は世界で数千人で、70%は日本人とされる



 アシュリーちゃん、でご存知の方も多いでしょうか。早老症のうちの1つが、このウェルナー症候群です。

 ただ、アシュリーちゃんのほうは同じ早老症でも「プロジェリア症候群」でして、このウェルナー症候群はプロジェリア症候群とは異なり、成人期以降に発症します。ですので、平均寿命も46歳と、プロジェリア症候群より長いものになっています。


 ウェルナー症候群(常染色体劣性遺伝)

 患者は低身長、低体重、白髪、両側性白内障、皮膚の硬化・萎縮、嗄声などの外観を呈し、臨床像として耐糖能低下、骨粗鬆症、性腺機能低下、尿中ヒアルロン酸量の増加が顕著である。多くの場合、平均40-50歳で動脈硬化もしくは悪性腫瘍が原因となる疾患によって死亡する。
posted by さじ at 02:00 | Comment(1) | TrackBack(0) | 内分

薬の飲み忘れを防ぐためのセンサーやキャップを販売

薬の飲み忘れ対策に無線技術 極小センサーや光るふた

 医師の指示通りに服薬を続けなければならないのに、うっかり飲み忘れたり、飲んだかどうか自体を忘れてしまったり――。そんな失敗の予防策として、最先端の無線技術を取り入れた製品が次々と開発されている。極小サイズのセンサーを埋め込んだ錠剤や、光で服薬の時間を知らせる薬瓶のふたも登場した。

 米カリフォルニア州の新興企業プロテウス・バイオメディカルが開発したのは、患者が飲む薬にセンサーチップを搭載させる技術だ。同社のアンドリュー・トンプソン最高経営責任者(CEO)によると、チップは非常に小さく、食品とビタミン類から作られているため安全性が高い。錠剤の中に埋め込んでおけば、胃酸の作用でスイッチが入った状態となり、患者の皮膚に張ったパッチに無線で信号を送る。パッチは心拍数や姿勢、体温、睡眠の状態などを測定。これらのデータを見れば、服薬状況や薬の効果、副作用を把握することができる。

 パッチを張った患者から半径約6メートル以内の位置に電話があれば、暗号化されたデータがプロテウスに転送される。同社がこれを解読し、携帯メッセージや電子メールの形で本人、家族らに送信するという仕組みだ。患者本人の許可があれば、データを担当医らに送ることも可能になるという。

 トンプソン氏によると、すでに心臓病、高血圧、結核の患者を対象に、この錠剤を使った臨床試験が始まっている。さらに精神疾患についても、近く試験が開始される予定。2011年後半の発売を目指しているという。

 一方、米マサチューセッツ州の新興企業バイタリティは、薬瓶のふたに注目した。「グローキャップ(光るふたの意味)」はその名の通り、薬の時間になるとオレンジ色に発光して患者に知らせてくれる。夜間の服薬のため、無線でつながれた付属のランプも同時に点灯する。1時間以内に薬を飲まなければメロディが流れ、さらに数時間後には電話や文字メッセージで警告が入る。服薬状況の記録は、登録しておいた家族らにも自動送信される。グローキャップはインターネット上の通販サイトなどを通し、9000円前後の価格で販売されている。

 世界保健機関(WHO)の調査によると、慢性病患者が医師の指示通り服薬を続ける率は先進国でも50%にとどまり、途上国ではさらに低いと推定される。米ニューイングランド医療研究所(NEHI)によると、服薬の指示に従わない患者のために、年間約2900億ドル(約26兆円)の医療費が失われている計算だ。こうした事態の改善に向け、先端技術の果たす役割に期待がかかっている。



 これは・・・便利すぎますね。

 意外と、毎日飲まなければいけない薬でも、飲み忘れてしまうものです。

 しかし1日飲まないだけでも身体の血液中の薬物濃度が変動してしまうため、飲み忘れは極力なくさなければなりません。でもなかなか難しい。結局自己管理になっていますからね。

 記事にある、チップ入りの錠剤は凄いですね。まさに完璧、という感じです。

 が、アメリカならではのお金持ち向けの医療だなぁという感じもしますね。これは日本では絶対に無理でしょう。国民皆保険制度ですから…。

 キャップのほうは、まだ買いやすいですね。これは日本でも売り出せば爆発的に売れるのではないか?というようなキラーアイテムな気がします。もう東急ハンズとかで売ってたりするんでしょうか?物凄い数が売れると思うんですれども。
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2010年02月18日

IQが低いと心臓病になりやすい理由とは。

IQの低さは心臓病リスクの主要な指標=英研究

 英メディカル・リサーチ・カウンシル(MRC)は10日、知能指数(IQ)が低いことが喫煙に次いで、心臓疾患のリスクが高いことを示す指標になるという研究結果を発表した。

 55歳前後の男女1145人を20年間追跡調査したこの研究では、喫煙、IQの低さ、低所得、高血圧、運動不足が、心臓疾患のリスクの高さを示す指標のトップ5に入ったという。

 デビッド・バッティ氏の率いる研究チームは、IQが低いことがなぜ心臓疾患のリスクに結びつくのか、「もっともらしいメカニズムは数多く考えられる」と説明。心臓の健康に喫煙が与える危険性や、良い食生活と運動の利点などを無視したり理解していない場合、リスクは高くなる可能性があると指摘している



 健康問題に関する意識が薄いために、生活習慣が不規則になるんでしょうね。

 確かにそういう意味では疾患のリスクは上がるか。
posted by さじ at 02:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 循環

ビールには意外にもケイ素が多く含まれている。

ビールが骨強くする可能性、ケイ素多く含む=米研究

 米カリフォルニア大学の研究チームは、ビールにケイ素が多く含まれ、骨を強く保ち骨粗しょう症を予防する可能性があるという研究結果を発表した。 

 研究チームは、市販のビール100種類のケイ素含有量を調べ、ビールのタイプや原料によってデータを分類。これまでの研究ではほとんど明らかになってこなかったビールのタイプや製造方法によるケイ素含有量の違いに注目した。

 その結果、ビール1リットル当たりに含まれるケイ素の量は6.4ミリグラムから56.5ミリグラムと幅があり、最もケイ素の含有量が高いのはペールエールで、ノンアルコールビールやライトラガー、小麦ビールはシリコン含有量が少ないことが分かったという。

 研究に参加したチャールズ・バムフォース氏は発表で「大麦麦芽とホップを多く含むビールは、ケイ素も多い。ケイ素が多く含まれるのは大麦の外皮の部分で、小麦には比較的少ない」と説明した。また、この研究では骨密度や臨床データを調べた訳ではないため、あまり真剣に受け止めるべきではないとも付け加えた



 でも、アルコールは骨粗鬆症のリスクファクターですから。

 あまりオススメは出来ませんね。 
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2010年02月17日

赤ワインとチョコレートが癌細胞を餓死させる?

赤ワインとチョコレートにがん細胞の血管新生阻害作用

 赤ワインとチョコレートはがん治療薬になりうるとする研究結果が、米カリフォルニア州ロングビーチで10日開催されたTEDコンファレンスで発表された。

 癌に栄養を運ぶ新しい血管ができないようにする物質を含む食品の特定を進めている。血液を供給させないことで、がん細胞を「餓死」させられるという。ブルーベリー、ニンニク、大豆、お茶にこのような抗血管新生特性があることが知られているが、発表した同基金のウィリアム・リー総裁によると赤ワイン用ブドウとダークチョコレートにもこの効果があることが分かったという。

 腫瘍に栄養を運ぶ血管の新生を阻害する薬は、すでに10種以上が医療現場で使用されている。同基金が一部の食品と承認されたがん治療薬の効果を比較したところ、大豆、パセリ、赤ワイン用ブドウ、ベリーなどで薬と同等またはそれ以上の効果が確認されたとしている。これらの食べ物を一緒に食べた場合、効果はさらに上がったという。

 また、遺伝的に肥満になりやすいマウスに抗血管新生特性のある食品を与える実験をしたところ、体脂肪が減って平均的な大きさになったという。

 リー総裁は、調理したトマトを週に数回食べる男性の前立腺がんリスクは30〜50%低いとした米ハーバード大医学部の研究も紹介し、「医療革命はわれわれの身近で起こっている。また、だれもががん治療薬を買えるわけではないので、こうした食事療法が多くの人にとって唯一の解決策となり得るだろう」と話した。



 なんだか健康食品関連みたいであまり取り上げたくはないんですが。笑

 まぁ効果があるということです。

 ただバカスカ食べても癌に効くというわけではないです。

 そもそもトマトとか、カカオの多いチョコレートとか、少量の赤ワインが身体に良い、というのはまぁ考えてみれば当然、というようなものですからね。

 癌に効くというより、こういったものを中心としたヘルシーな食生活ならば健康体に近い、ということでしょうか。
posted by さじ at 05:00 | Comment(1) | TrackBack(0) | がん

糖尿病性腎症に関連する遺伝子ACACBを発見する。

糖尿病腎症に関連する遺伝子「ACACB」を発見

 国際糖尿病連合の集計によると糖尿病の患者数は、全世界で3億人に迫っており、2030年には4億3500万人に増えると予測されています。

 糖尿病には若年者に急激に発症する1型と、食事や運動などの生活習慣が関係するとされる2型などがあり、2型は日本人の糖尿病の9割以上を占めています

 糖尿病は治療せずに放置すると網膜症や神経障害、腎症などの糖尿病に特有の合併症を引き起こすとともに、心筋梗塞や脳梗塞の危険を増す事が知られています。このうち糖尿病腎症は透析導入原因として最も多いものです。理研・ゲノム医科学研究センター 内分泌代謝疾患研究チームは、この糖尿病腎症に関連する遺伝子「ACACB」を発見し、この遺伝子のわずかな違い(一塩基多型;SNP)により、腎症の発症リスクが1.6倍に高まることを明らかにしました。

 腎症を発症するのは全糖尿病患者の3〜4割で、その発症には遺伝的な要因(体質)が関係していると考えられていましたが、どのような遺伝子が関係するかは今まで明らかにされていませんでした。

 研究チームは、1,312人の2型糖尿病患者のDNAを使ってケース・コントロール関連解析を行い、「ACACB」遺伝子の一塩基多型が糖尿病腎症と強く関係していることを突き止めました。

 さらにシンガポールやデンマーク、米国の糖尿病専門の研究者との共同研究の結果、このACACBは人種を超えて2型糖尿病患者の腎症発症に深く関わる事を明らかにしました。これまで、「ACACB」遺伝子が、糖尿病腎症とかかわっていることはまったく知られておらず、糖尿病腎症の発症メカニズムの解明や新たな治療薬、予防薬開発に貢献すると期待できます。



 糖尿病、というと、日本人にとっては馴染みすぎてて、なんか安易なイメージがある、と思います。

 ですがこれほど怖い病気もない、というぐらい怖い病気です。

 成人の失明原因としても糖尿病はかなりの割合を占めますし、記事にもありますように、糖尿病による腎障害は深刻です。

 年間1兆円近くの医療費が、透析に使われていますが、そのうちの最多原因疾患こそが、糖尿病性腎症なのです。

 この記事で、その原因となる遺伝子を発見したことは、治療の上でかなり大きい発見だと思います。ですが、我々にできるのはまずは「予防」です。だからこそのメタボリックシンドローム改善であり、生活習慣病予防対策が必要なのです。
posted by さじ at 03:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 内分