2010年01月31日

父親が別々の双子が生まれる、異父過妊娠について。

双子の父親が別々=妻の浮気でまれな現象―トルコ

 DNA検査の結果、双子の男児のうちの1人が自分の子供ではないことが分かったトルコ人の男性が妻と離婚することを決めた。地元紙サバハが報じた。

 A.Kと表記されている警備員のこの男性は、妻の不貞を疑い3歳の双子のDNA検査を依頼。検査の結果、99.99%の確率で、A.Kさんは双子のうち1人だけの父親であると判明。離婚調停を担当する裁判所の法医学研究所もこれを確認した。

 母親のC.Kさんは実家からA.Kさんとの結婚を強いられる前に付き合っていた男との関係を続けていたという。

 異なる父親を持った双子ができるという現象は医学的には「異父過妊娠」と呼ばれ、人間では非常にまれだがネコやイヌなどの動物ではよく起きる。

 アンカラ大学医学部婦人科長のルセン・アイタク教授によれば、女性が1回の月経周期に2個排卵した状況で、女性が短期間に2人の男性と性的関係を持てば、別々の遺伝的資質を持った卵によって双子を妊娠することが起こり得る。

 A.Kさんは、自分が父親である子だけを引き取り、もう1人を離縁した。この子は国営の養育施設に送られることになる見通しという。



 怖い怖い

 なにが怖いって女性が怖い


 普通は1個排卵、1個受精ですが、2個排卵してそのうちの1つに別の人の精子が受精すれば、父親の違う双子、も可能です。


 異父二卵性双生児

 極めて稀ではあるが、二卵性双生児それぞれの父親が異なる可能性もある。過妊娠や過受胎のように異なる時点の性交で複数の卵子が受精するケースで、父親が異なる場合を異父過妊娠・異父過受胎と呼び、生物学上の父親が異なる双生児が生まれる。

 1992年のある研究は、父親認知訴訟で審理されたケースのうち、異父二卵性双生児が約2.4%であったと報告されている



 不妊治療などで、排卵を誘発すると、複数排卵されてしまうこともあります。不妊治療の増加に伴って、日本でも、異父過妊娠が増加しているのかもしれません…。
posted by さじ at 12:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | 生殖

2010年01月30日

リンゴを食べれば腸内の善玉菌が増えます。

“リンゴを食べれば医者いらず”のことわざの理由が明らかに

 リンゴが健康的な食品であることはすでに常識とされているが、新しい研究で、果物に含まれるペクチンと呼ばれる成分が消化器系の善玉菌を増大させることが明らかにされた。

 デンマーク工科大学国立食品研究所(コペンハーゲン)の研究グループは、ラットにリンゴをそのまま、あるいは果汁やピューレなどのリンゴ加工品の形で与えた後、ラットの消化管内の細菌を調べ、リンゴの摂取が善玉菌のレベルに影響を及ぼすかどうかを検討した。

 その結果、共著者の1人であるAndrea Wilcks氏によると、リンゴの食物繊維成分であるペクチンを多く摂取したラットでは、腸の健康状態を向上させる細菌の増加が判明したという。長期にわたり定期的にリンゴを摂取すれば、このような善玉菌が産生する短鎖脂肪酸により、有益な微生物バランスを保つのに理想的なpH状態が作られると考えられる。また、善玉菌は腸壁細胞の重要な燃料となるブチレートと呼ばれる物質も産生するという。



 ん?要するに果物などに含まれている食物繊維をとれば腸内は安定するよ、ということでしょうか。

 なんか当たり前のような気がしますけれど、それを研究で証明したところが進歩なんでしょうね。

 となるとリンゴである必要もなくなってくるような気がしますが、一応研究で使われたのがリンゴということですので。

 ただリンゴなどの果物は糖も多いですからね、ご注意を。
posted by さじ at 05:52 | Comment(0) | TrackBack(0) | 消化

靴を履くより裸足で走る方が、足にかかる衝撃は少ない。

走るならランニングシューズより「はだし」で、足に優しいと

 ランニングシューズを履いて走るよりも、はだしで走る方が足にかかる衝撃を大幅に吸収できるとする論文が、27日の英科学誌「ネイチャー(Nature)」に発表された。

 研究チームは、米国とケニアのランナーを対象に、「はだしで走る」「靴を履いて走る」「以前は靴を履いていたがはだしへ転向した」3つのグループの足の重心のかかり方を調べた。

 すると、靴を履いたランナーの4分の3が、着地時にかかとが地面に接しており、接地回数は1マイル走るごとに約1000回だった。衝撃を和らげる効果の高いスポーツシューズでも、すべての衝撃を吸収しきれないことは、ヘビーランナーの30〜75%が毎年何らかの反復運動損傷を訴えていることからも明らかだ。 

 一方、はだしのランナーの圧倒的多数は着地時にかかとが接地せず、足の側や母指球で接地していることがわかった。かかとを地面に付けない走り方は、体重の2〜3倍の衝撃がコイン大の表面に集中することによって、痛みや損傷につながる衝撃を回避できる利点があるという。 

 論文は、「今日、はだしで走ることは危険でけがの原因になると考えている人は多いが、実際には人はどんなに硬い地面であっても、はだしで痛みも不快感も感じずに走ることができる」と指摘している。

 ただし、靴を履いて走っていた人がはだしに転向する場合は、注意が必要だという。靴とはだしでは、使われる筋肉が違うためだ。論文は、「これまでずっと靴で走っていた人は、ふくらはぎと足の筋肉を徐々に作りながら転向すべき」と指南している。



 これは色々なところで言われてきてましたね。

 靴から転向する場合に支障があるなと思ったんですけれど、それも、フォームを変えながらでも転向したほうが後々のためになるとのこと。

 確かに靴の場合って、1回1回の衝撃の「吸収力」は感じられるかもしれませんけれど、結局ずっと走っているとかかる負担は相当なものになるんですねぇ。逆にはだしのほうが、1回1回の衝撃をやわらげようとする走り方になるため、ずっと走ってもそこまで影響はでない、と。

 ただ今の日本の道路をはだしで走るのは何かと勇気がいりますよね。。。ジムのルームランナーのようなところなら簡単にできそうですが。
posted by さじ at 05:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | 介護

うつ病患者増加の背景には新しいタイプの薬が関与している?

うつ病100万人超す、10年で2・4倍に

 抑うつなどの症状が続くうつ病の患者数(躁うつ病を含む)が、初めて100万人を超えたことが3日、厚生労働省が3年ごとに実施している患者調査でわかった。

 長引く不況などが背景とみられる一方、新しい抗うつ薬の登場が患者増につながっていると指摘する声もある。

 患者調査によると、うつ病が大半を占める「気分障害」の患者数は、1996年に43万3000人、99年は44万1000人とほぼ横ばいだったが、2002年調査から71万1000人と急増し、今回の08年調査では、104万1000人に達した。

 10年足らずで2・4倍に急増していることについて、杏林大保健学部の田島治教授(精神科医)は、「うつ病の啓発が進み、軽症者の受診増も一因」と指摘する。

 うつ病患者の増加は、新しいタイプの抗うつ薬が国内でも相次いで発売された時期と重なる。パナソニック健康保険組合予防医療部の冨高辰一郎部長(精神科医)は、「軽症のうつは自然に治るものも多い。しかし日本ではうつを早く発見し、薬を飲めば治るという流れが続いており、本来必要がない人までが、薬物治療を受けている面があるのではないか」と話す。



 実際、うつ病ではなくうつ状態であってもうつ病のごとき診断・治療をしている開業医の先生も数多くおられます。

 というのも開業するにあたって、いままで内科や外科で勤務してきたにもかかわらず、儲かるから、と「心療内科」を掲げるお医者さんが大勢いるからです。

 これははっきりいって医療従事者側の責任です。ろくに診断できない上に治療もただ抗うつ剤を適当に出しているだけ、では、うつ病なのかそうでないのかを見極められずに治療を円滑に進められません。

 どうすればいいか、というと、患者さん側の対処法としては、駅前の心療内科クリニックみたいなところにいくのならばそこのお医者さんが精神科で勤務していた経験があるのかどうかを調べるとか、もっと確実なのは「精神科」としてちゃんと一本立ちしているところに行ってみるのがいいんじゃないでしょうか。内科も精神もなんでもみれる心療内科医よりは、精神科医を名乗っているほうが信用度が高いのではないかと。

 日本人はどうしても「精神科」に良いイメージがないようですが、精神科こそ医者と患者の良いめぐり合わせが治療に直結すると思いますので、精神科といっても気にせずにいってみて下さい。(心療内科ってそもそもうつ病やうつ状態を治すためのところじゃありませんからね)
posted by さじ at 05:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神

パーキンソン病の原因遺伝子を持ったサルを誕生させる

原因遺伝子持つサル誕生、パーキンソン病治療に道 慶大など

 慶応大学と実験動物中央研究所(川崎市)の研究グループは、人の脳神経の難病「パーキンソン病」の原因遺伝子を持つ霊長類を誕生させることに成功した。遺伝子組み換え技術を使って、人の遺伝子を霊長類に入れた。新しい薬の開発や新型万能細胞(iPS細胞)を使った再生医療の研究に役立つ。

 研究グループは、人と同じ霊長類の仲間であるコモンマーモセットを用い、家族性パーキンソン病の原因遺伝子である「アルファ シヌクレイン」を生まれつき持たせることに成功。遺伝子が動物の体の中で働いていることを確かめた。



 パーキンソン病のような難病でも、どこが異常なのか分かっているような疾患の場合、iPS細胞による再生医療に期待が持てます。

 サルで同じように病気を意図的に起こせたわけですから、あとはこれをいかに治すか、という研究の発展と成功を願って。
posted by さじ at 05:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | 介護

2010年01月29日

臨界期を過ぎた脳でも、それ以降に変化し続ける細胞を発見

脳発達の「臨界期」が終了した後でも変化する神経細胞群を発見

 D・H・ヒューベルとT・N・ウィーセルは、1960年代に、生後初期の子ネコの片目を一時的にふさぐと、大脳皮質視覚野の神経細胞がその目に反応しなくなり、弱視になることを発見しました。この現象は、生後の特定の期間に限られており、このような変化を示す脳の発達期を「臨界期」と呼んでいます。「臨界期」を過ぎると、脳の神経細胞は可塑性を失い、このような脳の変化は起こらない、とされています。臨界期の重要性は、神経科学はもちろん、発達心理学、教育学などさまざまな分野で注目を集め、早期教育の根拠となるなど、影響を与えてきました。

 脳科学総合研究センター大脳皮質回路可塑性研究チームは、マウスの片目遮蔽実験で、大脳皮質視覚野の抑制性神経細胞が、「臨界期」を過ぎても、ふさいでおいた目の光刺激に対する反応が悪くなるという可塑性を保持していることを発見しました。一方、興奮性神経細胞は、従来の常識どおり、臨界期を過ぎると可塑性をほとんど失いました。また、抑制性細胞は、両目とも光刺激に対しよく反応する両目反応性であるのに対し、興奮性細胞では片目反応性が顕著であることを突き止めました。抑制性細胞が「臨界期」終了後も変化するという今回の発見は、これまで信じられていた「臨界期」の常識を覆すもので、成人の学習や乳幼児の早期教育の意義を考える場合、参考となる重要な知見となります。



 抑制性の細胞だけがずっと生き残ると…。

 こういうジャンルもiPS細胞で何とかならないものですかね。臨界期をすぎた興奮性細胞と置き換えて、視力を与えるようなことが。脳そのものが幼弱な段階でないと無理なんですかね。
posted by さじ at 00:46 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神

2010年01月28日

アンギャマン「リアル遠足伊勢巡礼編」1月29日発売

 わたくし、ネットで連載されている漫画をいくつか読んでいるんですが

 このたび「スカラムーシュ」さんの人気コーナー、リアル遠足が単行本化されるそうなのでご紹介。


アンギャマン リアル遠足伊勢巡礼編

貧乏な巡礼旅行青年、それをアンギャマンと呼ぶ!

極限貧乏徒歩旅行シリーズ、その第1弾は大阪~伊勢の紀伊半島横断コースだ!!

己の足でひたすら歩いていく!それがリアル遠足! ドキュメンタリー写真漫画!



 作者が、寝袋やらをもって、徒歩でどこかに遠足に行くという企画。

 この漫画が魅力的なのは、背景が全て写真(しかも単行本でもオールカラー)で、そこに漫画として人物等を書き込んでいる、という点です。

 伊勢へ向かう道中にあるお寺などの仏教系スポットもあますところなく訪れ、全てが漫画として写真で網羅されています。本を読みながら、自身もリアルに野宿して歩いているかのような感覚。

 1月29日発売ということで、応援の意味も込めて記事にさせていただきました。

 医学処はスカラムーシュを応援しております。

アンギャマン リアル遠足伊勢巡礼編
posted by さじ at 01:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2010年01月27日

宿主を性転換させ爆発的に繁殖するボルバキアについて

宿主を性転換させる寄生バクテリア

 急速にその数を増やしている寄生バクテリアがいる。このバクテリアは、宿主を性転換させて単為生殖化を引き起こすだけでなく、宿主を“気味の悪い怪物”に変身させてしまう。このような大惨事ともいえる生殖異常を引き起こす仕組みが最新の研究で解明された。その方法とは、免疫系を停止させることだという

 キョウソヤドリコバチをはじめとする寄生ハチ3種のゲノムを初めて解読した研究者チームによると、バクテリアの一種であるボルバキアはハチの遺伝子を操作し、バクテリアの侵入に対して警報を発するタンパク質を抑え込んでしまうという。その結果、バクテリアに対する防御機構が機能せず、ボルバキアは悪事を働くことができる

 この仕組みは、ボルバキアが宿主とするダニやクモ、線虫などの昆虫への感染でも使われている可能性がある。これらの生物すべてにおいて、宿主の生殖システムが改造される現象が起きているのだ。その結果は実に奇妙で、明らかにオスを不要とする生殖戦略が取られている。

 ボルバキアに感染したオスは、生殖能力のあるメスに性転換するか命を奪われる。メスの場合はオスを必要とせず、単独で子を作らせる。また感染したオスの精子は、非感染のメスと交配しても正常に受精できず子孫を残せない。

 オスがこれほどひどい仕打ちを受けるのは、ボルバキアは最小限の細胞質しかない精子に潜り込めないためだ。卵子に感染したメスのみがボルバキアを子孫に伝えることができる。

「人間の世界ではSFかもしれないが、昆虫の世界では正真正銘の現実だ」と、アメリカ、テネシー州のヴァンダービルト大学で生物学の教授を務めるセス・ボーデンスタイン氏は話す。同氏は今回の研究を行った国際コンソーシアムの一員である。

 ボーデンスタイン氏が“性の操り人形師”と呼ぶボルバキアは、フランケンシュタイン張りの改造を宿主に行うことで、ほかの寄生生物より優位に立っている。宿主を殺すことなく繁殖できるため、宿主の繁殖とともに宿主の子孫へと広がっていくチャンスが大きいのだ

 ただし、ボルバキアの仕事は常に正確なわけではない。時には中途半端に終わり、半分オスで半分メスという“気味の悪い怪物”を作り出すことがあるという。

 ボルバキアが遺伝子に破壊行為を仕掛ける正確な方法はわかっていない。ただし、ボルバキアが単に感染するだけではなく、宿主のゲノムに自身の遺伝子の一部を移しているのは確かだ。

 例えば、蚊に遺伝子を挿入し、マラリアの原因となるバクテリアへの耐性を持たせる方法は既にわかっている。ただし、この遺伝子をすべての蚊に広げる効果的な方法は見つかっていない。

 このような遺伝子をボルバキアのゲノムに組み込むことができれば、ボルバキアが“自動機械”の役割を果たし、蚊から蚊へと遺伝子が伝わるかもしれない。ボーデンスタイン氏は将来的な用途に期待しつつ、「基礎科学の見地からも非常に興味深い。バクテリアのように単純な生物が複雑な宿主の性や生殖を操作できるなんて」と今回の研究成果を喜んでいる。



 ボルバキア、頭良すぎですね。

 人の場合は、免疫機能をもつT細胞に感染するHIVも頭がいいと思いましたが、このボルバキアは生存・繁殖という意味では最高峰に頭がいいです。

 激しい症状を出して宿主を殺すわけではなく、しかも一緒に繁殖することで徐々に拡大していくという・・・もし人間がこういったものに感染したらと思うとゾッとします。まさにSFというか漫画(レベルE)の世界ですね。

 逆に応用が効けば、マラリアなどの、蚊を媒介とする感染症に有効でしょう。媒介動物の駆除、という意味では繁殖して殺すことのできるボルバキアが最適ですし。もしかすると応用されるのかもしれませんね、これ。確かに以前、当医学処でも蚊の遺伝子を変異させて殲滅するニュースを取り上げたことがありますが、それ以上に安全・確実です。
posted by さじ at 23:54 | Comment(1) | TrackBack(0) | 感染

大学医学部の新設を文部科学省が検討している。

大学医学部の新設 検討開始へ

 文部科学省は、地方を中心に医師不足が依然として深刻であることなどから、医師を大幅に増やす必要があるとして、昭和54年を最後に新たに設けられていない大学の医学部の設置を認める方向で、新年度から具体的な検討を始めることになりました。

 大学の医学部は全国に79あり、昭和54年を最後に新たに設置されていません。また、医学部の定員も平成9年の閣議決定に基づいて減らされてきましたが、政府は医師不足を受けて、平成20年度から定員を増やしており、現在、全国の医学部の定員はあわせて8400人余りとなっています。

 こうしたなか、文部科学省は、地方を中心に医師不足が依然として深刻であることや、政府がまとめた新たな経済成長戦略の基本方針でも医療分野で成長を促すとしていることなどから、医師を大幅に増やす必要があるとして、新たな医学部の設置を認める方向で新年度から具体的な検討を始めることになりました。文部科学省では、民主党が去年の衆議院選挙の前にまとめた政策集で医学部の定員を現在の1.5倍にするとしていることを念頭に、医学部を新たに設置するために必要な条件などについて、新年度中には一定の方針をまとめたいとしています。



 いいんじゃないですかね。

 自治医科大学システムで、地方の医者を育ててそこに勤める制度にすれば、学生はお金の心配いりませんし、地方は医師が潤いますし。

 特に県によっては、医学部が1つまたは2つしかないところもあるので、そういったところに作れば。勿論、自治医科大学がいまぶちあたっている壁(バカ親が卒後に全学費を払って息子を自由にする)も考慮して政策を進めるべきだと思いますが。

 ただ医学部っていうのは軌道に乗るまでなかなか難しくて、10年から20年ぐらいしないと教育やら大学病院やらも安定してこないのでは、と言われています。ノウハウや経験の世界ですからね。それを考慮して、10年後に日本の医療が十分なプラスになるというメリットがあるのならば行うべきだと思います。

 医学部の定員を1.5倍にする、という民主党の掲げている案は、あまりにも非現実的すぎるので・・・。
posted by さじ at 01:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | 大学

2010年01月26日

社会不安障害が原因で、社会的にひきこもる大人たち

失敗をきっかけに「引きこもる」大人たち

 ある一部上場企業の50代前半の部長は、朝の重役会議で、1週間の営業報告をしようと大勢の前で話し始めたとたん、30秒くらいで動悸が激しくなり、緊張で声が上ずって、話がしどろもどろになった。結局、話がまとまらずに、自分でもいたたまれなくなって、途中で発言を辞めてしまう。大失態だった。

 元々、人前で注目されるのが怖くて、会議の席ではなるべく発言することを控えていた。しかし、ここまでひどく緊張したことはなかったという。

 その後、部長は役員に叱責され、ひどく落ち込んで、会社を退職していった。

 20代後半の会社員は、職場で「うつ」になって休職。上司から「完全に治ってから、出てこいよ」と言われたが、もうダメかなと思い、1年後に退職した。その後、何とかしなければいけないと思い、人材派遣会社に登録。紹介されると、面接に出かけるものの、退職原因などを追究されるうち、面接で緊張するようになって、不採用が続いた。

 結婚式のとき、受付でサインすると、手が震える。きちんとした場で会食しようとすると、吐き気を催す。大勢の前で挨拶しようとすると、視線が気になって、頭が真っ白になる。声がひきつる。のどや口が渇く。しばらく黙ってしまって、ますます視線が感じられるので、上がってしまう。大量の汗をかく…。

 引きこもりの原因の1つとして、最近、指摘されるようになったのは、そんな「社会不安障害」(SAD)の症状だ。

「最近、3年間くらい勤めると、つらくて退職する人が増えてきました。引きこもり気味の人を調査すると、約7割に社会不安障害が認められるのです」

 こう指摘するのは、社会不安障害に詳しい、東洋英和女学院大学人間科学部教授で、横浜駅前にある「横浜クリニック」の山田和夫院長だ。

 社会不安障害のメカニズムは、失敗などのトラウマが、脳内で恐怖を司る「扁桃体」に記憶され、その傷が残ってしまうという。扁桃体の記憶は、同じような状況に置かれたとき、無意識的に心身に反応して、体が硬くなったり、心臓がドキドキしたりする。

 山田教授が、社会不安障害患者約300人を調査したところ、初診年齢の平均は、なんと33歳だった

「共通する傾向は、職種は技術系で、1人でパソコンに向かっているような仕事が多い。しかも、無職が20%いました。その大半が、会社を辞めてしまった人たちだったんです」

 山田教授によれば、初診患者の6割は、冒頭の部長のような“スピーチ恐怖”、次に多いのが、名刺を差し出したり、受付などで名前を書いたりする時に手が震える症状だ。

「それでも、ここに来れる無職の人は前向きで、将来再就職したいと思っている。逆に、あきらめちゃって、ずっと家に引きこもっている限り、緊張がまったくない。安定した快適な生活が送れて、社会不安障害もうつの症状も出ないのです。診断に使う調査票の24項目すべてで緊張して回避している人は、全般性といって、引きこもる人たちなんです」

 バブル崩壊後、日本式の家族主義的な雇用体系がガラリと変わった。自由化によって、派遣社員が製造業などあらゆる分野に進出。企業は、収益が下がったときに派遣切りでしのぎ、スリム化が進んでいる。働く側にとって、このような不安定な環境になったことも大きい。

「20〜30代の2人に1人が非正規社員の時代。定年まで働くイメージはなくなり、企業の中がきつくなってきている。成果主義になり、上司との関係もメール上でのやりとりだけになった。そんな中で、若い社員がプレゼンなどで失敗して、きつく言われると、だんだんと落ち込んでくる。それを何度か繰り返すうちに、退職を余儀なくされていくんです」
何度も苦い体験を経験し、落ち込んでくるなど、社会不安障害の症状がひどくなると、7割がうつになるといわれる。うつ状態になると、朝、起きられない。会社に行けなくなる。億劫になり、働く意欲もなくなる。

 会社を休み始めると、復職できないまま、2〜3年の休職期間を経て、退職していく。そして、前出の20代の会社員のように、面接で緊張して、しどろもどろになり、半年以上の空白期間があると、言葉が出なくなる。その後も再就職できないまま、引きこもりになるケースは、多いらしい。

 これまでは、「あがり症」とか「内気」や「神経質」など、こうした症状は個々の性格的な問題と言われ、自らの努力で克服することが求められた

「日本では1920年頃から、対人恐怖症と呼ばれていました。慈恵医科大精神神経科の森田正馬教授が名付けられた診断名です。恥の文化の延長線上に、対人恐怖があると考えられ、不安や恐怖を排除するのでなく、あるがまま受け入れようとしました。だから、避けたい場面でも逃げないで行動する、日本独特の認知行動療法に近い森田療法が有効と考えられたのです」

 しかし、1981年に米国で「不安障害」の「社会恐怖」という診断名で、社会不安障害が初めて登場。薬などで治療できることがわかってきた。

 実際、抗うつ薬の「SSRI」(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)を使うことによって、セロトニンが脳の扁桃体に作用し、過敏性を落ち着かせ、傷を癒して記憶を消すことができる

 SSRIの中で、社会不安障害の国内適応薬として、厚労省に数年前から認可されてきたのが、「フルボキサミン」。アステラス製薬の「ルボックス」と、明治製菓の「デプロメール」の2種類が発売され、国内でも「社会恐怖」という社会不安障害の診断名が医療機関などに広がった。また、昨年10月には、グラクソ・スミスクラインの「パキシル」も、厚労省から適応の承認を得ている。

場数を踏んでも、傷は変わりません。だから、その状況に置かされると、体が勝手に反応して、顔が紅潮してくるのです。しかし、SSRIを半年から1年飲むと、完全に消えますね。どんなに緊張しやすい場所へ行っても、体が冷静なんです。だから、大人としての対応もできるようになって、本来の脳の状態に戻れるんです」



 精神疾患の認知度が低い日本でも、近年「不安障害」として一般にも広まりつつあります。

 もともと日本の風土上、根性という言葉がまかり通っていますので、内気やあがり症は根性で治すべきだという考え方が、今でも根強く残っています。

 ですがこの不安障害も、精神疾患の1つなのです。根性や努力でどうにかなる類ではない。

 むしろそういう「何とかしなければいけない」と焦ることが、かえって症状を悪化させてしまいます。

 そんな中、日本人が強迫性障害や不安障害の治療として考えたのが「森田療法」です。

 神経症を「異常」と捉えず、人前であがったり、手が震えたりするものを、当たり前のことだと認識させる治療法です。時間はかかりますが効果は抜群です。

 近年では、欧米で「ネオ森田療法」なる治療法が大人気だそうで。SSRIなどの抗うつ薬による異常を減らす治療法と、森田療法による正常を延ばす治療法。不安障害によって社会生活が困難な人、またはいま不安障害を抱えつつも何とかしようとして苦しんでいる人、まずはお近くの精神科へ。
posted by さじ at 05:00 | Comment(1) | TrackBack(0) | 精神

武田薬品工業が脂肪の吸収を阻害する肥満症薬を承認申請へ

肥満症薬、武田が10年度に承認申請 米では年内に最終治験

 武田薬品工業は肥満症を改善する医療用医薬品の開発を日米で進める。2010年度中に厚生労働省へ製造販売承認を申請し、米国では年内に最終段階の臨床試験(治験)に入る。同社は肥満症と関連が深い高血圧や糖尿病の薬を主力製品とする。体重を減らして症状を改善する肥満症薬も加え営業力を高める。

 日本で開発している新薬候補は体内で脂肪を分解する酵素「リパーゼ」の働きを阻害し、食事で取った脂肪を吸収せずに便として排出する効果が期待されている。脂肪の蓄積を防ぎ、体重を減らせるという。オランダの製薬会社ノルジーンから導入した。10年度に申請すれば12年度にも発売できるとみられる。脂肪の吸収を防ぐ日本初の薬となり、数百億円の年間売上高を見込む。

 肥満症の患者数に関する明確な統計はないが、高血圧の患者数は国内で4000万人、糖尿病患者は200万人を超えると推定されている。多くは肥満症である可能性が高く、体重を減らせば症状の改善につながる。

 米国では少数の患者で薬効を確かめる治験を近く終える。すい臓や脂肪組織から出るホルモンを人工的に作って患者に投与する新薬候補で、過剰な食欲の抑制や代謝改善などを見込む。これまでのデータでは半年で体重を12%減らすことができたという。年内に始める最終段階の治験を経て、数年後には米食品医薬品局(FDA)に販売許可を申請する。米国のデータを応用して欧州でも販売許可を申請する方針だ。



 脂肪をそのまんま消化・吸収せずに便に出す薬だそうです。

 美味しいものは大体脂肪が入っているもんですからね。肉にせよ魚にせよ。そういう脂肪を味わうだけ味わって、でも体から吸収されないという画期的なもの

 ただちょっと怖いのは、脂肪も身体にとって必要だということですかね。もしこの薬を飲んで痩せたとして、その後で薬を中断したら、どうなるんでしょう?脂肪をより吸収するようになってしまうのではないでしょうか。難しいところですけれど、治験に期待です。
posted by さじ at 04:45 | Comment(1) | TrackBack(0) | 消化

2010年01月24日

日々の睡眠不足分は、一晩長く寝るだけでは解消されない

慢性的な睡眠不足は一晩では取り戻せない

 慢性的な睡眠不足による影響は、一晩長く眠っても解消されないことが示され、医学誌「Science Translational Medicine(サイエンス・トランスレーショナル医療※)」1月13日号で報告された。

 筆頭著者である米ブリガム・アンド・ウィメンズ病院(ボストン)のDaniel A. Cohen博士は「1日6時間の睡眠を2週間続けた場合の睡眠喪失による影響は、24時間起きていた場合とほぼ同レベルである」と述べている。慢性的な睡眠不足の人は、急な眠気に襲われやすく、ミスや事故を起こしやすいが、このような影響は一晩ぐっすり眠っても解消することはできないという

 米国では、16%の人が日常的に1日6時間未満しか睡眠を取っていないという。特に運送業、軍隊、医療機関、緊急対応機関など、交代勤務や残業のある職業では睡眠不足が蔓(まん)延していると考えられる。多くの人は眠れるときに長時間眠ることによって不足を取り戻そうとするが、この方法は有用なのだろうか。

 この疑問に答えるべく、今回の研究では21〜34歳の健康な男女9人を対象に、33時間起きた後10時間眠るという睡眠スケジュール(研修医などの典型的な例を模したもの。24時間あたりの睡眠時間は5.6時間)に3週間従ってもらい、1日8時間睡眠を取った群のデータと比較した。

 その結果、10時間睡眠を取った直後では、認知機能や反応時間の試験結果は正常範囲内であったが、研究が進むにつれて10時間睡眠直後の機能回復能力が衰えていき、運動能力をはじめ集中力、注意力、機敏さの持続にも低下がみられた。反応時間が比較的正常であっても、昼夜が逆転してくると有意に消失。これは、慢性的な睡眠不足と身体の概日(サーカディアン)リズムとの相互作用によるものだと研究グループは述べている。



 やはり体のリズムってのは大事ですね。

 睡眠時間単位でいえば解消できているかもしれませんけれど、24時間のうちの体のホルモンの分泌などは解消されませんし。

 毎日適切な生活をすごせればいいんですけれども。現代社会ではなかなか難しいですよねぇ。土日なくすかわりに毎日の負担を減らすような職場があったとしたら結構フレキシブルな日々を送れる、かも?(それはそれで駄目か)
posted by さじ at 05:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | 内分

「がんの痛みに耐えられない」説得に応じず男性が自殺

説得5時間、「ごめんなさい」と男性投身自殺

 19日午後3時5分頃、静岡県西伊豆町安良里の黄金崎公園展望台近くで、海に面した斜面の手すりの外側に60〜70歳くらいとみられる男性がしゃがみ込んでいるのを観光客が見つけた。

 通報で駆けつけた松崎署員や町役場職員らに対し、男性は「がんの痛みが続いて耐えられない。死にたい」などと自殺をほのめかしたため、同署員ら約30人がかりで説得。

 「生きていればいいことがある」などと言葉をかけ続けたが、男性は午後8時10分頃、「ごめんなさい」と言い残して約30メートル下のがけ下に身を投げた。

 漁船が出て、約1時間半後に岩場で倒れていた男性を収容したが、全身を強く打ってすでに死亡していた。



 うーん

 これは、医療従事者にとってはどうなのか、と。癌の痛み、不安に対して十分にケアできていなかったのではないか、と。

 もちろん医師がどうしても、生きていくことへの不安や絶望を全員ケアできるとは限りませんが、何か、何と言うか…。

 もしかしたら癌ではなく本人がそう思っていただけ、という可能性もなきにしもあらずですが、どんな疾患であっても、出来る限りメンタル面のケアを心がけて診療にあたってほしい、と思いました。
posted by さじ at 05:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | がん

アニサキス症に新治療法。内科的治療だけで完治する。

アニサキス症に新治療法 気仙沼の医師 来月、学会で発表

 宮城県気仙沼市の離島の大島で大島医院を開いている山本馨医師(64)が、アニサキス症の新治療法の研究成果を2月6日、仙台市で開かれる日本消化器病学会東北支部例会で発表する。これまでの内視鏡手術に代わり、内服薬を処方する治療で患者の身体的、経済的負担を減らせる。山本医師は「20年間で200症例の治療を積み上げた。気仙沼方式として全国に発信したい」と話している。

 アニサキス症はサンマやサバなどの海水魚を生で食べたとき、アニサキス類の寄生虫を一緒に摂取することで起きる。急激な腹痛、嘔吐などの症状が多く、重い場合はまれに死に至るケースもある。

 寄生虫が胃や小腸の粘膜に侵入する時の刺激によって発症するとされる。一般的な治療としては痛みを抑える抗コリン薬、炎症を抑えるステロイドを投与後、内視鏡で虫を摘出する内視鏡手術が採用されている

 山本医師は長年の治療経験から「アニサキス症は虫が出す有毒な分泌物が原因のアレルギー症状」と考え、じんましん治療と同じ抗アレルギー剤をステロイドとともに投与する方法を試みた。

 大島医院でも2007年の赴任以来、年間約10人を診察し、虫が患部から消えることを確かめた。この方法で治療した症例は大島赴任以前も含めて200以上に及び、患者はすべて短期間で症状が改善したという。

 抗アレルギー剤を投与する方法は体への負担が少ない。外来治療で済み、医療費も従来の10分の1に抑えられる。

 この治療を始めたのは20年前に北海道の勤務地で、「アニサキス症はアレルギーのある型」との論文を目にしたのがきっかけ。昔の医師もじんましん療法を行っていたことが分かった。

 山本医師は「内科療法でも十分に虫が排出されることを示す」と指摘。新治療法の本格的な研究がアニサキス症予防につながることに期待を寄せている。



 へぇー

 アニサキスってのはサバとかによくいる寄生虫です。〆サバのように酢で〆てあったり火を通したものは大丈夫なんですけれど、生で食べたりするとアニサキスが体内に入って悪さをします。

 普通は内視鏡で消化管に刺さっているアニサキスを取る治療をするんですが、この方法は内科的治療で完了するらしいです。

 抗ヒスタミン薬が効くとのことですが、何ででしょうね?寄生虫がいられないような環境になるんでしょうか。
posted by さじ at 05:23 | Comment(2) | TrackBack(0) | 消化

プリオン病のアミロイド生成に関する新たな研究

酵母プリオンタンパク質のオリゴマー形成過程が感染強度を決定

 認知症や行動異常、不随意運動、人格変化などの病状を伴う神経疾患として知られるプリオン病(伝達性海綿状脳症)は、致死性の病気として知られています。原因としてプリオンタンパク質が、脳内で凝集体(アミロイド)を生成することが分かっていますが、発症メカニズムは不明で、治療法も確立していません。

 プリオン病は、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)や狂牛病が種を超えてヒトで発症する新型CJDなどと、人類に脅威をもたらしています。脳科学総合研究センターの田中研究ユニットは放射光科学総合研究センターらとともに、プリオン病の原因とされるプリオンタンパク質のように振る舞う酵母プリオンSup35NMタンパク質が、非天然の相互作用でオリゴマーを形成し、感染性の高いアミロイド構造をとることを世界で初めて発見しました。

 研究グループはこれまでに、プリオンタンパク質のアミロイド構造の違いが異なる病状となることを、酵母プリオンを使って解明してきました。しかし、同じプリオンタンパク質からどのように異なるアミロイド構造を作るかはナゾのままでした。

 酵母プリオンSup35NMを4℃、37℃と異なる温度で凝集させると、4℃では会合してオリゴマーを作り、脆弱で感染性の高いアミロイド構造を、37℃ではオリゴマーを経ずに、感染性が低い硬いアミロイド構造を生成することが分かりました。さらに、4℃下のオリゴマー生成には、プリオンドメインの123個のアミノ酸のうち、アミロイドのコア領域となる1〜35番目のアミノ酸とは別の89〜108番目アミノ酸が最初に会合する“非天然な相互作用”が重要な役割を果たしていることを突き止めました。このオリゴマーを経由するアミロイド生成機構は、プリオン病の新たな治療戦略に大きく貢献するとともに、アミロイドを生成するほかの神経疾患病態解明に新たな道を拓くと期待できます



 BSEが世界中を震撼させ、牛肉を安心して食べられなくなったのももう何年も前のことなんですねぇ。

 ウイルスや細菌ではなく「異常プリオン」による感染で発症する病気ですが、未だに有効な治療法なども出てきておりません。

 まだ発展途上な領域ですが、少しずつ新たな発見を確立して進歩しているようです。
posted by さじ at 05:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神

2010年01月21日

7000年前に前腕切断の外科手術。

7000年近く前に外科手術=前腕切断の人骨発見−仏

 フランスのパリ南方70キロのセーヌエマルヌ県内で、左腕がひじ関節上部で直線的に切断され、前腕のない推定6700〜6900年前の成人男性の骨が見つかった。仏国立予防考古学研究所(INRAP)がエックス線検査などで調べた結果、切断は重傷の男性を救うための外科手術によるものと結論付けられた

 同研究所の人類学者らが英考古学誌アンティクイティの昨年12月号に発表した論文によれば、これは「フランス最古の切断手術の成功例」。外傷で破損した関節の残存部分が切除され、止血、感染症予防など高度な医療処置も施されたらしい。当時の欧州は新石器時代で、手術は鋭利な石器で行われたとみられる。

 遺骨は2005年、砂利採取場の拡張に伴い遺跡の有無を調べる調査で、地下1.5メートルの縦穴式の墓内から発掘された。歯が抜け落ちており、高齢だったらしいが、手術後も数カ月から数年間は生存していたもようだ。



 出血を止めるためにしたのか、壊死したために切り落としたのかは分かりませんけれど、血が止まらないと死ぬ、とか、壊死したところを残しておくと命の危険が、というような経験則から「切り取る」という選択をし、実行したという点は凄いですね。
posted by さじ at 04:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | 救急

0.0000034パーセントの良き出会いに期待して。

“僕に彼女がいない理由”自分にピッタリな彼女ができる確率は

 イギリス、コヴェントリー市にあるウォーリック大学で経済学を学ぶ大学院生、ピーター・バッカスが発表した論文が話題となっている。タイトルは“僕に彼女がいない理由”。

 この論文ではバッカスに彼女がいない理由、つまり良いパートナーにめぐり逢える確率を、宇宙にどれくらい地球外生命体がいるかを推定する“ドレイクの方程式”を用いて計算した結果が書かれている。その確率、じつに0.0000034パーセント

 論文が掲載された大学のwebサイトには、「数値を見て僕は落ち込んだよ。イギリスで真の愛が見つかる可能性は、この銀河で地球外生命体を発見する確率のたった100倍しかないんだ」とのバッカスの言葉が綴られている。

 現在イギリスには約3,000万人の女性がいるが、その中でバッカスにピッタリな女性(大学を卒業している24〜34歳までの身体的にも魅力的な女性)は26人しかおらず、バッカスがロンドンで一晩外出した場合にこれらの女性と出会い、かつ相手がバッカスにも興味を持って貰える確率、それが0.0000034パーセントなのだそうだ。

 彼女のいない男性にとってはなんとも落ち込む数字ではあるが、まずは外出しないことには始まらない。彼女が欲しい人は今日から外に出てみてはどうだろうか?

 そうすれば、この論文を書いたバッカスのようにステキな彼女が見つかるかもしれない。「ロンドン出身の彼女ができたんだ。付き合って6ヶ月、もちろん僕にピッタリだよ」



 論文の著者はちゃっかりピッタリな女性を見つけたようです。

 一番難しい条件が「相手も自分に興味を持ってもらえる」ってところでしょうかね。恋愛は外見ではなく中身、といいますけれど、その中身にも色々な要素がありますから。

 好きになる、という感情を大事にして行動すれば悪い方向にはいかないのではないでしょうか。
posted by さじ at 02:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | 生殖

2010年01月19日

フレンチパラドックス、ついに解明される。

フランス人に心臓病が少ないのは…赤ワインのおかげ?

 美食にふけるフランス人に心臓病が少ない――。「フレンチ・パラドックス(フランスの逆説)」と呼ばれるこの現象のメカニズムを解明したと、仏研究チームが発表した。赤ワインの成分と女性ホルモンが作用して血管内で一酸化窒素(NO)を発生させ、動脈硬化を防いでいた

 発表したのは、仏西部アンジェ大学国立保健医学研究所を中心とする研究者ら。

 フレンチ・パラドックスとは、フランス人が肉や乳製品から動物性脂肪をたくさん取るにもかかわらず、心筋梗塞など虚血性の心臓病での死亡率が高くならないこと。食事とともに飲む赤ワインに含まれるポリフェノールのお陰だといわれてきたが、その詳細は未解明だった。

 研究チームはマウスを使って実験。女性ホルモンのエストロゲンの受容体アルファ(ERα)を持つマウスにポリフェノールのデルフィニジンを与えると、血管内皮細胞から一酸化窒素がつくり出され、血管が拡張されて血圧が下がった。ERαを持たないマウスでは変化がなかった。

 同チームは「赤ワインをあくまで適度に飲めば、心臓血管の病気の危険が低下する」と結論づけた。暴飲は推奨していない。



 ついに解明されたフレンチパラドックス。エストロゲンの作用が絡んでいたんですねぇ。血管拡張による血圧低下。なるほど。それを日常的にやっているために心疾患のリスクが減っていたんでしょうねぇ。

 ただ、これは、フランス人のような強烈なアルコール代謝能力があってこその、フレンチパラドックスです。

 よく日本で「赤ワインが身体に良い」と報道すると、毎日ガバガバ飲んで「健康に良い」とか言う人がいますけれど、誤りですから、ご注意を。
posted by さじ at 13:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | 消化

人生がもっと幸せになる9つの方法について。

<体のフシギ>もっと幸せになれる9つの方法

 中国紙・生命時報は、米国の健康情報誌プリベンション(Prevention)が近日掲載した記事をもとに、「半分以上を実践できれば、あなたはもっと幸せになれる」として9つの方法を紹介した。


(1)写真を撮るときは歯を見せて笑う

 米ドゥポー大学が発表した最新の研究結果によると、小さい頃から写真撮影の際に歯を見せて笑っていた人は、数十年後の離婚率が他と比べて5分の1にとどまっているという。「類は友を呼ぶ」というが、笑顔が人を呼び、穏やかな結婚生活が送れるのかもしれない。


(2)旅行の思い出を飾る

 旅行した時の写真や記念品を目の届く場所に飾っている人は、飾らない人より幸福感が強いという。米カリフォルニア大学の心理学教授は、旅先での楽しかった思い出がよみがえり、「また旅行したい」という気持ちになるためだと説明している。


(3)あまりテレビを見ない

 米メリーランド大学が34年にわたって約4万5000人を対象に調査した結果によると、心が満ち足りている人は、普通の人よりテレビの視聴時間が30%少ないという。彼らはこうした時間の大半を人付き合いや読書、社会活動などに活用している。


(4)冷たい飲み物より温かい飲み物を

 マグカップになみなみと注がれた温かいお茶やコーヒー。体や心が温まれば、思考も活発化し、やる気が促される。温かい飲み物が好きな人は、冷たい飲み物が好きな人よりも友好的で、他人を信頼しやすいという研究報告もあるという。


(5)どんなに忙しくても運動は欠かさない

 ジョギングなど運動が好きな人は、座ってばかりの人よりストレスが70%少ないという。毎日17〜34分程度の運動を心がけることで、心の充足感が格段にアップするという。


(6)親友を2人作る

 既婚者654人の精神状態を調査したところ、「親友と呼べる友人が2人いる」と答えた人が最も安定している結果になった。ただし、友人を2人以上作ったからと言って、幸福感が増えるわけではない。


(7)調和のとれた性生活を送る

 英ウォーリック大学の博士によると、肉体的な触れ合いは、幸せの重要なファクターだという。既婚者の性生活は未婚者より30%多く、心の充足感も強いそうだ。


(8)明るい人の近くに住む

 明るい気持ちになるためには、明るい人と付き合うこと。その人の800m圏内に住むと幸福感は42%上昇するが、3200mを超えると反対に低下するという。


(9)姉もしくは妹がいる

 英心理学会が発表した最新の研究結果によると、家族のなかに姉もしくは妹がいる女性は、社会でより多くの支持を得ているという。彼女らに共通しているのは、楽観的で問題解決力が高いという点。姉妹は兄弟よりも「支え合う」関係を上手く築く。したがって団結心も強いという。



 いかがですか。

 ちなみに参考までに私の例を。


(1)写真を撮るときは歯を見せて笑う ×

 歯ぁ見せて笑ってるときはホントに楽しいときですねー。普段は歯をみせてないですね。あんまり「めちゃくちゃ楽しい!」と思うことが少ないので…。


(2)旅行の思い出を飾る ○

 あんまり写真撮らないんで、人からもらうばかりですけど、貰った写真は飾ったりしてます。


(3)あまりテレビを見ない ○

 というか部屋にテレビないんで。まぁその分ネットやってますけれど…。ある意味コニュニケーションということで無問題。笑


(4)冷たい飲み物より温かい飲み物を ×

 冷たいほうが好きですね。暖かいので好きなのはコーヒーのみ。

 そういえばこんなニュースを以前取り上げたこともあります。

 ホットコーヒーかアイスコーヒーかで持たれるイメージが異なる


(5)どんなに忙しくても運動は欠かさない ○

 卓球は忙しくてもします。相手さえいれば最高のストレス解消法です。


(6)親友を2人作る ○

 私の中の親友の定義というかハードルって、ホント高いんで、ちょっとどうしようか迷ったんですけれども。親友って、こちらが思うだけじゃなくて向こうがどう思っているだろうかっていうのもあるじゃないですか。そこらへんの塩梅で迷いましたけど、多分いる。


(7)調和のとれた性生活を送る ×

 全然とれてませんわ。

 なんか汚い話でまことに申し訳ないんですけど、ずーっと使ってなかったコンドームがあって、この前の大掃除の時に「どうなんだこれは」と思って開けてみたら、腐ってました。ゴムとローションだけなのにこんな異臭を放つんだと、個人的にかなり驚いて。一生誰にもこの衝撃の事実を言うことなく死ぬだろうとフト思ったんで、とりあえずここに書いておきます。まあそれぐらいアレだということです。


(8)明るい人の近くに住む ○

 住むってのが分からんですけど。私自身ネガティブなんで身近にいる大勢の明るい人と会話することで助けられてます。


(9)姉もしくは妹がいる ×

 弟が一人いますけれど、仲はいいんでまぁまぁ。確かに姉がいたほうが人生は幸せだと思えるようになったかもしれませんけれど、その分こんなにしっかりしなかったと思います、自分で言うのもなんですが。笑


 ということで9個中5個のマル。まあ妥当なところでしょうかね。みなさんも幸せを感じるために、出来ることから始めてみてはいかが?
posted by さじ at 02:56 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神

エネルギーの燃焼効率を上げる方法を発見する。

楽にやせる方法を発見か?エネルギー制御機構を遮断 米研究

 マウスのエネルギー制御機構を遮断すると体内エネルギーの燃焼効率が上がり、通常のマウスよりもやせることが、米大学などの研究で明らかになった。ヒトに応用すれば肥満防止に役立つ可能性があるという。

 5日の医学誌「Cell Metabolism」に発表されたメイヨークリニック、アイオワ大、コネチカット大の研究では、動物の運動に必要なエネルギーを貯蔵する細胞内分子であるアデノシン三リン酸(ATP)に反応するカリウム・チャンネル(KATP)を遮断。すると、マウスは休息時・活動時ともにエネルギー燃焼効率が上がり、通常のマウスよりもやせた。

 効果は、いわゆる「欧米型」の高脂肪食品を与えたマウスでも明白だったという。また、当該のマウスが生涯にわたりスリムな体形を維持するなど、効果が長持ちすることもわかった

 KATPは細胞内のATP分子群を感知し、それに応じて心臓や筋肉の働きを制御する。通常は、エネルギーの枯渇を防ぐため、心臓や筋肉の運動の持続や強度を制限する役割を担っている。 

 なお、KATPを遮断したマウスでは、炭水化物を体内に貯蔵し持久力を要する運動において主要なエネルギー源となるグリコーゲンの燃焼量が増し、通常のマウスより多くの体脂肪を貯蔵することも明らかになった。これは、KATPの不活性化というダイエット法の負担が通常よりも少ないことを意味している。



 これ人に応用できるんですかね。なんか副作用強そうなイメージが。

 ただアメリカではダイエット目的で胃を縮小する人、なんてのも結構いるぐらいですから、こういうのもやってしまうんでしょうねぇ。

 向こうの人に比べて太りにくい我々アジア人は、できるだけ運動で痩せたいところですけれども。食事で痩せるのではなく、運動で痩せましょう。結局この研究も、燃焼の効率を上げるだけです。この研究が実を結ばなくても、運動によって燃焼すれば、効果は同じことですから。
posted by さじ at 02:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | 生理