2009年10月31日

エーザイ社長、頼もしい発言。

アリセプトの米特許切れ克服に自信―内藤エーザイ社長

 エーザイの内藤晴夫社長は10月30日、今年4―9月期の決算説明会で、自社創製の乳がん治療薬などの開発が順調に進んでいるとした上で、「2010年11月に米国で起こるアルツハイマー型認知症治療剤アリセプトの特許切れを中期的に乗り越える大変力強い新製品群をいよいよ掌中にしつつあるという実感を強めている」と述べた。

 国内の医療用医薬品の売り上げは、前年同期比11.4%増の1436億円。アリセプトが457億円(19.6%増)、プロトンポンプ阻害型抗潰瘍剤パリエットが262億円(20.8%増)と好調で、内藤社長は「全社をけん引するパフォーマンスをした」と評価した。

 全体の売上高は1.0%減の3950億円、営業利益は5.5%増の491億円、経常利益は3.6%増の452億円、純利益は7.7%増の309億円だった。通期予想は期初(5月14日)から変更していない。

 研究開発面では、自社創製の抗がん剤エリブリンが欧米での局所進行性・転移性乳がんを対象としたフェーズ3試験で主要評価項目を達成したことを明らかにし、今年度中に日米欧で承認申請する方針を示した。



 勢いにのってる、という表現が適切ですね。

 不況といわれておりますし、患者さんの命最優先な現場ゆえに、利益は度外視しがちではありますが、こういう業界をみていると少し頼もしく感じます。
posted by さじ at 21:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 薬理

重症のインフルエンザに高脂血症薬スタチンが効果あり

重症インフルに効果か 高脂血症薬のスタチン

 血中のコレステロールを下げる薬「スタチン」を服用している人がインフルエンザに感染した場合、症状が悪化して死亡する確率が、服用していない人の半分になるとの研究結果を米オレゴン州保健当局の研究チームが29日、フィラデルフィアで開催中の米国感染症学会で発表した。AP通信などが伝えた。

 重症インフルエンザ患者に対する新たな治療薬としての可能性を示す成果。米国の専門家は「優先して効果を調べるべきだ」と訴えている。

 研究チームは2007年から08年にかけ、季節性インフルエンザに感染し入院した2800人を調査。スタチンを服用していない患者約2千人のうち3%は入院の翌月までに死亡していたが、高脂血症などのためスタチンを服用していた約800人は、心臓病などの健康問題を抱えていたにもかかわらず死亡率が半分だった



 感染を抑えるわけではなく、重症化を抑制しているということでしょうか。

 なんとも不思議な話ですね。

 ですが、こういう偶然から、思いもかけない効果を見出す、というのは、結構よくある話です。

 何故スタチン剤が効くのか、といった点を含めて研究を進めれば、少なくともインフルエンザによる重症化、そして死亡を防ぐことが出来るようになるかもしれません。
posted by さじ at 12:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 薬理

病院の赤字、報酬改正で若干改善するも未だ赤字続き。

病院の赤字、1院当たり195万円 報酬改定でやや改善

 厚生労働省は30日、病院や診療所の経営状況を調べた医療経済実態調査をまとめた。09年の1病院当たりの収支は、前回調査時(07年)より改善したものの、195万円の赤字。診療所は128万円の黒字だった。月額給料は、開業医の平均約207万円に対して、介護収益2%未満の病院の勤務医は約107万円で、倍近い差となった

 中央社会保険医療協議会(中医協)で公表した。調査は、原則として2年ごとの診療報酬改定にあわせて実施される。長妻昭厚労相は来年4月改定で病院の報酬を手厚くしていく方針を示しており、この日は病院勤務者を増やした中医協の体制に変更して初めての会合だった。

 調査結果によると、民間や国公立の病院全体の利益率はマイナス0.8%。08年度診療報酬改定の効果で前回より0.9ポイント改善したが、依然として厳しい経営状況にある。とりわけ収益に占める介護の割合が2%未満の病院では、1249万円の赤字になる

 一方、診療所の利益率は、12.5%の黒字。前回より4.9ポイント悪化したが、病院と比べると格差は歴然としている。

 調査は今年6月時点で、全国の1619病院と2378診療所を対象に実施。有効回答率は病院が56.6%、診療所が44.0%だった。



 理想論では、医療費は増えて当たり前なんだから、病院側が赤字にならないように国が補填すべき、なんでしょうけれど

 まあそんなお金は逆さにしても出ないらしいんで

 ならば利益の上がっている開業医がもう少し地域の中規模〜大規模病院に協力するとか、そういう方法がいいんじゃないか、という気はしますね。過酷な勤務医の病院が赤字になるというのは、まぁおかしい話ですし。どこを削る、という話になっちゃいますけど、患者さんの命が大事ならそりゃ削れないでしょう、常識的に。

 タバコ税上げて全部医療費に充てりゃいいんじゃないかな、って気はしますけど。
posted by さじ at 06:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | NEWS

コーヒーを飲むことで肝臓疾患を食い止めることが判明

1日数杯のコーヒーは、肝疾患の進行を妨げる 米研究

 1日数杯のコーヒーが、肝疾患の進行を食い止めてくれる可能性がある――。米国立がん研究所(US National Cancer Institute)が21日、このような研究結果を発表した。詳細は医学誌「Hepatology(肝臓病学)」11月号に掲載された。

 研究チームは、抗ウイルス薬が効かないC型肝炎患者766人を対象に、3.8年間の調査を行った。患者はいずれも長期治療を行っており、肝疾患がやや進行した患者も含まれる。

 1日何杯のコーヒーを飲んだかを回答してもらうとともに、3か月ごとの診断と2回の生検(調査開始から1.5年後と3.5年目)で病気の進行を調べたところ、1日3杯以上飲んだ患者では、全く飲まなかった患者に比べて進行リスクが53%も低減されたことがわかった。

 この理由について研究チームは、コーヒーは肝疾患に関連のある2型糖尿病のリスクを軽減する、あるいは、線維症や肝硬変の原因となる炎症を軽減するのではないかと考えている

 コーヒーに含まれるカフェインは、マウスの肝ガンを抑制したとするいくつかの研究結果が報告されていることもあり、注目されていた。

 なお、コーヒーと同じくカフェインが含まれる紅茶や緑茶を飲んだという患者は調査対象の中に少数しかいなかったが、そうした患者では肝疾患の進行への目立った影響は見られなかった。



 タバコ、アルコールなど、様々な嗜好品がありますけれど、コーヒーほど身体に良い嗜好品はないんでしょうね。

 もちろん飲みすぎ、は身体に害ですけれど、日常生活でそんなにバカスカ飲むものでもありませんし。

 身体に良い生活、をすることで、将来きっと、「病気になっていないこと」を実感すると思います。

 よく医学においては、何千人に1人の割合でその病気にかかる、という基準がありますけれども、

 実際には、10人に1人だったり、100人に1人だったりする疾患のほうが多く、1万人に1人という割合のほうが少ないくらいです。

 つまり死ぬまでに、何からの大きな病気にかかるものです。

 それを予防できるかどうか、が今後の医学の発展と同時に求められるものだと思います。
posted by さじ at 01:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | 消化

2009年10月30日

熱ショックタンパク「HSP」の役割とは

熱ショックタンパク質損傷で脳疾患 金大・山嶋准教授ら研究

 金大大学院医学系研究科・再生脳外科学教室の山嶋哲盛准教授と三重大の共同研究グループは23日までに、ニホンザルの脳を使った実験で、脳梗塞やアルツハイマー病など脳疾患の原因である神経細胞死が、細胞を保護する「熱ショックタンパク質」(HSP)の損傷によって生じることを突き止めた。ヒトの脳疾患にもHSPの保護や補給が有効とみられ、新薬開発や治療への応用が期待される。

 山嶋准教授らは、人工的に脳梗塞を起こしたニホンザルの脳からタンパク質を抽出。三重大と島津製作所(京都市)の協力を受けて詳細に解析した。

 この結果、熱ショックタンパク質の一つである「HSP70」の損傷が平常時と比べ、10倍以上に増えていることが判明した。

 HSP70は細胞内の小器官「リソソーム」から、タンパク質を分解する「カテプシン」の漏出を防ぎ、細胞が壊れないようにしている。解析結果では、HSP70が損傷を受けたことにより、リソソームが破裂して細胞成分が破壊されていた。

 これまで脳疾患にはカテプシンの漏出が関係していることは知られていたが、リソソームが破裂する原因は分かっていなかった。

 山嶋准教授によると、ニホンザルの脳はアミノ酸の構成がヒトと極めて近く、共通性が高いと考えられる。HSP70の損傷と脳疾患の因果関係が明らかになったことで、酸化からHSP70を守る抗酸化剤の活用や、HSP70を使った医薬品、健康食品の開発も期待できるという。

 研究成果は23日までに、オランダの医学雑誌「プログレス イン ニューロバイオロジー」の電子版に掲載された。山嶋准教授は「脳疾患の多くにかかわる神経細胞死の全容解明に大きく近づいた。一日も早い臨床応用を目指したい」と話した。

 九州大生体防御医学研究所の中別府雄作教授(脳機能制御学) 今回の研究成果によってHSP70の酸化を制御できれば、神経細胞死を防ぐことができると考えられる。分子標的の一つが判明したことで、創薬などへの活用も期待される。



 蛋白質関連。

 治療に役立つものですね。
posted by さじ at 15:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神

メニエール病の内リンパ水腫の原因は耳石片だった

メニエール病、原因は「耳石片」?

 難聴や激しいめまいを伴うメニエール病の原因とみられる耳の病変を、大阪市立大の山根英雄教授らが見つけた。

 これらの症状は平衡感覚をつかさどる耳の奥の「内耳」にリンパ液がたまって水ぶくれになり、正常な機能が損なわれて起きるが、原因は不明だった。

 山根教授らは内耳にある炭酸カルシウムの集まったもの(耳石)から小片がはがれ、液が流れる管を詰まらせるのを確認した。メニエール病は国の特定疾患に指定されている病気だが、今回の成果で詰まりを除去する根本的な治療法の開発などに期待が寄せられる。

 耳石は、人間の内耳にある袋に入っている。山根教授らは、メニエール病の患者12人と病気のない12人の協力を得て、耳石の入った袋のうち「球形のう」と呼ばれるものとその周辺をCTで観察した。

 患者8人で、袋の真下にある直径0・1ミリほどの管に耳石からはがれた小片がたまっている様子が確認できた。他の個所が詰まっているとみられる患者4人に病変はなかった。



 めまいという症状は、日常生活をおくる上でかなりつらい症状の1つです。

 メニエール病は回転性めまいと蝸牛症状を来たす代表的な難病ですが、内リンパ水腫が原因と分かってから、治療薬としてイソソルビドや、外科手術による治療が可能となりました。

 確か最近ではMRIによる画像診断も出来つつある、ということです。

 その原因となる、内リンパ水腫が何故起こるのか、という原因を突き止めた今回の研究。

 この耳石の詰まりを取り除けられれば、メニエール病の完治も可能、かもしれません。
posted by さじ at 14:11 | Comment(0) | TrackBack(0) | 耳鼻

感覚を遮断することで幻覚や抑うつ状態を呈する。

「感覚遮断」で幻覚出現:情報源の判断エラー説

 実際にはそこにない色や物体が見えるようになるのに、幻覚剤は必要ない。感覚をほぼ遮断した環境にほんの15分間ほど身を置くだけで、精神的に正常な人の多くが幻覚を見る可能性があるという研究結果が発表された。

 研究では、健康な被験者19人を、光と音を完全に排除した感覚遮断室に15分間入れた。その結果、通常なら脳に絶えず押し寄せている感覚情報を絶たれた被験者の多くが、幻覚や妄想、抑うつ感を経験したと訴えた

 この実験結果は、脳が自らの経験していることの出所を正しく認識できない場合、幻覚症状が現われるという仮説を裏付けるものだ。このような概念は、研究者の間で「ソース・モニタリングの誤り」と呼ばれる。

 ソース・モニタリングは、ある特定の記憶について、その情報源が何であったかを判断するメタ記憶の一種。中でも、事実と空想を判別するソース・モニタリングはリアリティ・モニタリングと呼ばれ、精神錯乱や薬物中毒などではこの能力が失われる。子どもにおいては不完全であり、正常な大人でも時おり混乱する


 実験では、すべての光を遮断し、音を吸収する無響室に被験者が入り、中央のクッションの効いた椅子に腰掛けた。「部屋の中にある部屋」と研究チームが表現するこの環境は、周囲に分厚い外壁をめぐらし、その内側の部屋には吸音パネルを張って床を浮かせた構造になっている。外壁と内壁の間には大きなくさび型のグラスファイバーが入っている。「これによってノイズが極めて少ない環境ができあがり、外部からの音圧は耳に聴こえないレベルになる」と研究チームは記している。

 被験者は非常ボタンを持たされたが、誰もそれを使うことはなかった。視覚と聴覚を15分間遮断された後、被験者たちは『精神異常発現性状態に関する質問表』(Psychotomimetic States Inventory)というテストを受けた。これは精神疾患に似た経験を評価するためのもので、元々はドラッグ使用者の研究用に考案された。

 テストの結果、最初の質問表でスコアの高かった被験者では、9人のうち5人が、感覚遮断を受けている最中に幻覚で人の顔を見たと訴え、6人はそこにあるはずのない物や形を見たと報告した。さらに4人が、嗅覚が異常に鋭くなった、2人が室内に「邪悪な存在」を感じたと答えた。これら9人のほぼ全員が、実験中に「非常に特別な、もしくは重大なことを経験」したと述べている。

 一方、幻覚を見る傾向の低い被験者は、予想どおり、前者のグループほど知覚の変容は起こさなかったが、それでもさまざまな妄想や幻覚を経験したと報告した。

 「感覚遮断は、ケタミンや大麻といったドラッグに近い効果を自然な状態でもたらすもので、精神疾患の症状を引き起こす条件として作用する。もともと精神疾患的な傾向を有する人には特にその作用が強い」とMason氏は述べている。

 感覚遮断の研究は新しいものではない。現在研究を行なっている者は少ないが、1950〜60年代に行なわれた少数の研究が、感覚入力の欠如によって精神疾患の症状が引き起こされる可能性があるという説を裏付けている。

 感覚遮断状態を長時間続けると、まず自分で刺激を作り出すようになる(独り言が多くなったり歌を歌い出したりする)。この状態を過ぎると幻覚を見る場合がある。感覚遮断から解放した後に計算や方向感覚や論理などのテストをしてみると、著しく能力を低下させている者が多い




 結構有名?なことですけれど、実際にやると本当に幻覚を呈するんですね。

 この感覚を遮断するっていうアレは、一度やってみたいんですよね。音が聞こえなくなるだけでも面白いでしょうけれど、やはり光も絶ってみたいです。

 本当に、幻覚などを呈するのかどうか、やってみないとわからないですし。

 まあでも、何となくですけど、呈しそうな気はします。寝る前に、真っ暗な中でじっとしてるだけで、眠くないときは何かしら考えが浮かんだり、何かを思い出したり、しますし。それの、環境が異常な状況を考えれば、出そうといえば出そう。

 幽体離脱なんかも、似たような状況で起こるんじゃないかなと思うんですけど、どうなんでしょう。
posted by さじ at 00:00 | Comment(1) | TrackBack(0) | 耳鼻

2009年10月29日

蛋白質の輸送・移動の調節を阪大教授が解明。

たんぱく質の出荷調整役、解明…ひも状組織が輸送の合図

 免疫や神経の形成などにかかわる重要なたんぱく質を細胞の表面につなぎ留めるひも状の組織が、たんぱく質を細胞の内側から表面に運ぶ際の出荷調整役をしていることを、大阪大の木下タロウ教授(糖鎖生物学)らが突き止めた。この組織の欠損が原因で起きる難治性貧血や静脈血栓などの原因解明につながると期待される。

 細胞の表面では、生命維持に必要な約150種類のたんぱく質が、糖鎖と脂質でできた「GPIアンカー」と呼ばれる組織で固定されている。たんぱく質を錨(アンカー)で細胞膜に係留しているような構造だが、ロープに当たる糖鎖がなぜ複雑な構造をしているのかは、これまで未解明だった。

 GPIアンカー型たんぱく質は細胞内の小胞体という器官で作られた後、袋状の「輸送小胞」に乗り、ゴルジ体経由で表面に輸送される。木下教授らはまず、輸送が滞る異常があるハムスターの細胞から原因遺伝子を特定。この遺伝子は、糖鎖の真ん中から枝分かれした側鎖2本のうち1本を外す酵素を作るが、遺伝子が機能せずに側鎖が2本のままだと輸送が遅れることが明らかになった。

 糖鎖の構造変化が輸送の合図になり、出荷を調整していると考えられ、木下教授は「輸送が遅れたり過剰に活性化したりすることで、様々な疾患が引き起こされている。酵素を制御できれば新たな治療法につながる可能性がある」としている。研究成果は、米科学誌セルに発表した。



 今年もあと2ヶ月ほどとなりましたが、昨年に続いて今年も、新しいタンパク質が発見されたり、その蛋白質と疾患との繋がりを見出したりしました。

 その蛋白質の、より根本的な研究ですね。蛋白質がどう移動するか、などを解明することで、今まで難病とされていた疾患や難治だった疾患も治療法をみつけられるかもしれません。

 アメリカの、セルに載るあたりが一流の研究であることを裏付けています。
posted by さじ at 22:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | NEWS

切除された胃を人工シートで再生することに埼玉医大が成功

切除した胃壁を人工シートで再生 埼玉医大、がん手術に応用も

 生きているブタの胃の4分の1を切り取って作った大きな穴を、薄いスポンジ状の人工シートでふさいで胃壁を元通りにする実験に、埼玉医大の宮沢光男教授(消化器外科学)らが27日までに成功した。

 シートが土台となり、周囲の細胞がスポンジの細かい穴に入り込んで胃が再生するという。シートはその後溶けてなくなった。 宮沢教授らは、このシートで血管などを再生させる方法を既に開発しているが、胃でこれほど大きな部分の再生は初めてという。人間に応用できれば、胃がんの手術で切除した部分を再生させ、患者の生活改善に役立つことが期待される

 再生医療は、新型万能細胞のiPS細胞などを使った方法が注目されているが、目的とする細胞を作るだけでなく、立体的な構造にして機能させることが大きな課題になっている。

 宮沢教授らは、奈良県立医大の筏義人教授(医工学)が開発したシートを利用した。このシートは生体に吸収、分解されやすい物質でできており、厚さ1ミリ。ブタを使った実験で、胃から縦、横各6センチの胃壁を切り取って、そこにシートを3枚重ねて縫い付けた。

 ブタは食べる量が減らないままで、シートには周囲から徐々に細胞が集まった。途中で潰瘍ができたがやがて消え、10週間後、シートも完全に溶け、胃は元通りの形になった。粘膜や筋肉などの胃の層構造が形成されているのも確認した。

 胃の再生には、さまざまな細胞になる可能性がある骨髄由来の細胞が関与しているとみられ、仕組みの解明を進めている。

 宮沢教授は「このシートは人間に対する毒性はないと確かめており、臨床試験ができれば実用化は近い。十二指腸、大腸、食道などでも、良い実験結果が出つつある」と話している。



 何じゃこりゃ。凄いですね。革新的といってもいいほど。

 胃がんのときの手術になると、胃を切除しなければなりません。胃がんの大きさや浸潤具合によって、切り取る範囲が広がるのですが、胃の容積が小さくなってしまうと様々な不具合が起こります。食物の入る量が少なくなるほどだけではなく、例えば糖分がドカッと腸に入ることでダンピング症候群を来たしたりすることもあります。

 そういった合併症を克服するだけでなく、胃をほぼ元通りに直してしまう、まさに再生医療の真髄。
posted by さじ at 20:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 消化

雷が落ちたところにキノコが発生しやすい、は正しかった

雷落とすとキノコ育った 岩手大成果、言い伝えがヒント

 高圧電流をかけてキノコの生育を活性化させ、収量を増やす研究が盛岡市で進められている。名付けて「かみなりきのこ」。適度な電圧をかければ従来の2倍以上の収穫量が得られる成果が実証された。キノコ栽培だけでなく、野菜など他の農産物にも応用できる可能性があると、関係者は期待している。

 岩手大学工学部電気電子工学科の高木浩一准教授らのグループが、4年前から盛岡市玉山区藪川の同市外山森林公園で研究を進めている。岩手県洋野町の食品企業、森林公園を管理する盛岡市森林組合などとの産学連携だ。

 ヒントは「雷の落ちたところにはキノコがよく生える」という昔からの言い伝え。高圧電流の産業応用が専門の高木准教授は、周波数の高い電圧で細胞などの働きを変える技術を応用、蓄電器(コンデンサー)を4台並べて直列で高圧電流をキノコの菌床や菌を植えたホダ木に流す装置を考案した。

 昨年度まで3年間の実証実験では、長さ90センチ、直径10センチのシイタケの菌をうえたホダ木に、キノコ発生時期の2週間前から1カ月前の間に5万ボルトから10万ボルトの電圧を1万分の1秒ほどかけると、発生量が大幅に増えた。ホダ木1本あたりの収量は、電圧をかけない場合に比べ最大で約2.2倍。ナメコで1.8倍、クリタケで1.6倍、ハタケシメジでも1.3倍となった。この10月にも実験で大量のハタケシメジが収穫できた。

 メカニズムの詳細はまだよくわかっていない。高電圧をかけるとがん細胞が「自殺」を始めることが他の研究機関で知られており、適度な強い電流の衝撃を受けて「危機感」を抱いたキノコの菌糸が、子孫を残す本能で活発に生育している可能性があるという。ただ、マイタケは電流をかけると、死滅してしまったという。



 へーーー

 きのこ、結構好きなんですけど、あれって菌の塊なんですよねぇ。なんかそう思うと不思議、じゃないですか。きのこ。

 がん細胞が死滅する高圧電流を、うまい具合に当てることで、きのこ自身がヤバイヤバイと思うんでしょうね。刺激を与えることで逆に促進するという。

 やっぱり昔からの言い伝えって凄い。

 科学的なエビデンスというか、そういうものがなくっても、昔から伝えられていることというのは何かしらの根拠があってのことです。いわゆる経験則ってやつですかね。

 雷が落ちたところにキノコが生えやすい、ということを発見した人も凄いですし、それを言い伝えてきたことも凄いですし、何より実証したことが、凄い。

 意見というのは無下に否定せず、一度は省みて評価してみるのがいいんじゃないかなと改めて思わされました。
posted by さじ at 18:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 生理

肥満ホルモン「レプチン」が糖尿病を防ぐことを発見。

肥満ホルモンが糖尿病防ぐ 生理研がメカニズム解明

 体内の脂肪細胞から出る肥満ホルモン「レプチン」が血糖値を下げ糖尿病を防ぐ効用があるメカニズムを突き止め、自然科学研究機構生理学研究所(愛知県岡崎市)の箕越靖彦教授のグループが近く、米国の糖尿病学会の専門誌で発表する。

 箕越教授は「インスリンの投与をしなくても済む新しい糖尿病治療薬の開発につながる可能性がある」と話している。

 研究グループは正常なマウスにレプチンを投与する方法で実験。レプチンは脳の満腹中枢に作用し、食欲を抑制する「摂食調節神経」を活性化させるため、筋肉の糖の取り込みが促進されて血糖値の上昇を防ぐ効果があるという

 レプチンは、脂肪組織が欠落するなどの「脂肪萎縮性糖尿病」の特効薬として既に使用されているが、仕組みはこれまで明らかにされていなかった。新しいメカニズムを活用すれば、一般的な糖尿病でも新しい治療法の開発に結び付く可能性があるという。



 生物が生きるためには糖分が絶対に必要で、しかしその糖分を吸収できなかったりするだけで体中に異常を来たしたりと、なかなか難儀なのが糖尿病です。

 インスリンも、毎回自己注射しなければいけないという大きな負担がありますので、新しい治療法の確立はかなり大きいかと。
posted by さじ at 17:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 内分

魚を食べても心不全の予防にはならなかった。

魚食べても心不全予防ならず?

 過去の研究では魚を食べると心不全の予防に役立つと考えられてきたが、魚を摂取しても心不全を食い止める作用はないとの調査結果がオランダの研究者らから示された。

 ウェブサイトの「アルファガリレオ」に掲載された発表文書によると、1990年からロッテルダム近郊に暮らす55歳以上の男女5299人を対象に実施した調査から、魚を食べる人と食べない人の間で心不全になるリスクに影響がないことが浮かび上がった

 調査を実施したオランダ・ワーゲニンゲン大学のマリアンヌ・ヘレインセ氏は、発表文書で「たとえ少量であっても魚を摂取すれば、致命的な心筋梗塞、つまり心臓発作のリスクを軽減できると信じる医学関係者や保健当局がますます増えている。だが、魚の摂取が心不全を抑えるという強固な証拠は何一つない」と指摘する。

 心不全は心臓発作のように偶発的に起きるものではない。心臓のポンプ機能が徐々に弱まることで血行の悪化、息切れ、痛みを伴う足のむくみなどを引き起こし、肺の流れを弱めていく。欧州では心不全の患者数は約3000万人に上るという。

 研究者らは魚に含有される脂肪酸やビタミンが、摂取した人の心不全を防止し、心臓発作を抑える働きがあるかどうかを調査した。11年以上にわたり追跡調査を行ったところ、心不全が悪化していたのは699人だったという。

 さらに、対象者に魚を食べる頻度や量、摂取する魚の種類を個別に質問。食べ方についても温かいメーンディッシュとしてなのか、サンドイッチなどにして間食として摂取するのかを聞いた。オランダでは魚の摂取量は非常に少なく、回答者の1週間の平均摂取量は1食に満たなかった。1日当たりでは20グラムを上回る程度で、心不全の予防効果は見られなかったと研究者らはまとめている。ヘレインセ氏は「もしかすると魚をもっと大量に摂取すれば、心不全の予防に役立つのかもしれない」とも述べている。



 魚は身体に良いとは思いますけれど、医学的根拠としては乏しい、という結果。

 これ日本でやったらどうなるんでしょうか?

 日本は海産物を、生で食べることが多いので、もしかすると心不全の予防に役立っているのかもしれません。

 食の欧米化によって魚の摂取量が減っているので、大規模的に考えれば将来日本人の心不全は増えるのかもしれませんが。
posted by さじ at 15:00 | Comment(1) | TrackBack(0) | 循環

ハエに人工の記憶を植え込むことに成功する。

「人工記憶」ハエに書き込み 英米チームが成功

 脳に人工の「記憶」を書き込んだところ、経験していない、その記憶をもとに行動するようになった。オックスフォード大など英米の研究チームが、そんな試みに成功し、米科学誌セル(電子版)に発表した。もっとも、人間ではなくショウジョウバエでの話だ。

 ショウジョウバエに、ある種のにおいと同時に電気ショックを与える「訓練」を繰り返すと、その記憶をもとに、同じにおいを避けて動くようになる。研究チームは、そうした仕組みを担うショウジョウバエの脳の組織が12個の神経細胞(ニューロン)でできていることを突きとめた。

 光を当てる特別な方法で、訓練を受けていないハエの神経細胞を活性化させて「人工記憶」を書き込んだところ、ハエは危険を体験していないのに、そのにおいを避けるようになった。

 人間に応用できるかとなると、ヒトの脳は複雑なので、ハエ限定の話という。



 いやしかし、ハエとはいえ記憶を植えつけることができるようになったというのは凄いです。

 記憶というより、条件反射、というイメージですが。

 人間にも恐怖症というものは存在しますが、もしこの研究が成功すれば、例えば蜘蛛嫌いでなかった人を蜘蛛恐怖症にすることもできるかもしれないです。

 逆に言えば恐怖症の治療にもなりうる、と。

 もし出来たら私をやってほしいですね。蜘蛛嫌いなんで。蜘蛛嫌いだと結構日常生活で困るんですよね。老朽化した場所に座ってて、壁に大きな蜘蛛がいたりすると、もういてもたってもいられなくなりますんで。
posted by さじ at 13:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神

インターネットで検索することで認知症を予防することができる

インターネット検索で認知症予防

 日頃からインターネットの検索エンジンを利用することが、認知症や記憶障害の予防につながるかもしれないという最新の研究結果が発表された。普段、インターネットに縁のない複数の中高年者に毎日1時間ずつ利用させたところ、2週間後には脳の主要部位で活動レベルが上昇していることが確認できたという

 今回の研究に参加したカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の神経科学者スーザン・ブックハイマー氏はこう語る。「重要なのはインターネットそのものではなく、新しい情報を探し出して触れることで、絶えず脳が刺激を受けるという点にある」。

 研究チームによると、パズルや新しい趣味に没頭することにも同様の効果があるという。ただ、これらと違い、インターネットには長時間利用してもなかなか飽きないという特長があるとブックハイマー氏は話す。「ネットの先には無限の情報が存在する」。

 実験は、55〜78歳の中高年者24人を半分に分けて行われた。検索を含めインターネットを日頃からよく利用しているグループと、利用経験がほとんどないグループの2つである。

 まず、対照基準を設定するため、両グループの被験者に実際には作動しないキーボードとマウスを操作させながら、インターネット検索を行っているところを想像させる。そのときの脳をfMRI(機能的核磁気共鳴画像法)でスキャンし、血流に基づく脳の活動レベルを測定した。

 その結果、利用経験がほとんどないグループの方が、短期記憶をつかさどる下前頭回と、意思決定をつかさどる中前頭回という部位の活動レベルが低かったことがわかった。

 続いて両グループの被験者に、「毎日散歩すると健康上どのような利点があるか」、「最良のコーヒー豆を見つける方法は」などの設問を課し、2週間にわたって毎日1時間ずつGoogleの検索エンジンを使って答えを調べさせた。

 この実験後に各被験者の脳をスキャンしてみると、利用経験がほとんどないグループの中前頭回および下前頭回の活動レベルが、もう一方のグループと同程度にまで上昇していることがわかった。

 研究チームは、インターネット検索を利用すると認知症の予防や認知低下の抑制に効果があるのではないかとみている。

 もっとも、この見解はまだ科学的に実証されておらず、こうした脳の活性化が一時的なものであるかも依然不明だという。ただ、今回の実験結果にも表れているように、脳を活性化するためには、具体的な内容を問わず何かに打ち込んだり挑戦したりする心構えが大切なようだ。



 何歳になっても、新しい情報を求める、ということが認知症予防には良いらしいです。

 確かにインターネットは飽きません。

 私も昔はテレビ三昧だった時期がありますけれど、インターネット普及以来、テレビは全く見なくなりました。

 受動的なテレビより、自分で好きな情報を検索するほうが性に合っていたんでしょう。

 今、当医学処を見てくださっている方の多くは、検索でたどり着いたのではないでしょうか。それほどまでに、ネットというのは普及してきています。簡単に情報を取り出せる媒体として。

 もしかすると何十年後か先には、認知症の発症率が下がっているのかも。コンピューターおばあちゃん激増で。
posted by さじ at 11:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 介護

中性脂肪やコレステロールが高い人のほうが脳梗塞を起こしにくい。

脂質高い人、脳卒中リスク低い=4万8000人データ分析

 コレステロールや中性脂肪の値が高い人の方が脳卒中を起こしにくく、発症した場合も状態が良いとのデータを、大櫛陽一東海大教授らがまとめ、24日までに日本脂質栄養学会誌に発表した。

 同教授らはこれまでにも、これらの値が低いほど死亡率が高いなどの研究結果を発表。「(悪玉とされる)LDLコレステロールも中性脂肪も実は善玉なのに、リスクが強調され、無駄な治療がなされている」と問題視している。

 同教授らは、脳卒中患者のデータベースに登録された男性約2万8000人、女性約2万人のデータと、福島県郡山市の一般住民のデータを比較。計約4万8000人のうち、脳梗塞を起こした患者を見ると、高脂血症でない人と高脂血症を治療している人の比率が一般住民より高く、高脂血症(未治療)の人の割合は低かった。

 年齢や性別の影響を除いて解析したところ、高脂血症(未治療)の人の脳梗塞発症リスクは、高脂血症でない人の約4分の1にとどまり、治療している人のリスクは、未治療の人の4.6倍だった。



 脳梗塞にも色々な原因があります。心臓でできた大きな血栓が飛んで詰まったり、小さい血栓が飛んだり。

 高脂血症はどんな疾患のリスクにもなりうるほど、という認識でしたけれど、中性脂肪やLDLコレステロールといった害となる因子にも何らかの役割を担っていた、と。

 まあ確かに、食事して中性脂肪が上がるというのは、生物にとっては自然なことですからね。

 高すぎるのは良くないと思いますけれど、何もしないでもこのような結果になるという。

 おそらく個人差というか、その人その人にとっての適切な中性脂肪の量というのはあるんでしょうね。今は、高脂血症を予防するためにも、メタボリックシンドロームという基準をつくって、スクリーニングしているわけですけれど、将来的にはその人の基準、を簡単に判定することができる時代になるのかもしれませんね。
posted by さじ at 09:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 循環

カテキンでインフルエンザウイルスの増殖を抑制する。

インフルウイルス、カテキンが増殖抑制 文理大・葛原教授ら発表

 徳島文理大学薬学部の葛原隆教授(43)=生化学=の研究グループが、緑茶の渋み成分のカテキンに、インフルエンザウイルスが増殖するために不可欠なタンパク質の働きを抑える効果があることを突き止めた。新型インフルエンザウイルスの治療薬開発につながると期待される。

 インフルエンザは、ウイルスが人などの体内で増殖することで発症。ウイルスの増殖は、三つのタンパク質からなるウイルスの酵素「RNAポリメラーゼ」が人の遺伝子に結合することで起きる。

 葛原教授らは、インフルエンザウイルスから酵素を抽出。これに代表的な5種類のカテキンを加えて反応を調べたところ、エピガロカテキンガレートとエピカテキンガレートの2種類でウイルスの増殖が止まった。

 この結果を受け、ウイルスの酵素分子と2種類のカテキンの立体構造をコンピューターで解析したところ、酵素分子の表面にあるくぼみにカテキンが結合し、すっぽりと収まっていることを確認。カテキンがウイルスの酵素と結合することで、人の遺伝子との結合を阻む働きをしていることが明らかになった。

 カテキンは腸で分解されるため、緑茶を飲むだけでは効果は期待できない。葛原教授は「カテキンの構造を変え、腸内で分解されないようにすれば効果的な治療薬ができる」と話している。

 研究内容はインフルエンザの研究成果を発表するため、今夏インターネット上に開設された「PLoSカレントインフルエンザ」に13日掲載された。日本人が同サイトに発表するのは初めてという。



 胃で。カテキンも胃で分解されて効果を失ってしまうんですねぇ。

 日本人にとってはお茶に含まれるカテキンのおかげで胃がんが少ないといわれているほどです。

 そのカテキンを用いた治療薬が出来れば、まさに日本ならでは。身体にも害はなさそうですし、期待したいところです。
posted by さじ at 07:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 感染

経鼻、経皮による、痛くない注射の開発が進む。

鼻から吸って、肌にはって…痛くないワクチン開発進む

 「注射じゃないので、子どもが嫌がらないんです」

 東京都世田谷区にある「ふたばクリニック」の広瀬久人院長は言う。鼻の粘膜にスプレーするタイプの季節性インフルエンザワクチンを米国から輸入して使っている

 米国では今月5日、新型の豚インフルワクチンの接種も始まった。使われたのが、このスプレー式ワクチン。

 日本ではまだ承認されていないため、医師が個人輸入した。接種は自己責任、費用は自己負担だ。

 ただ、季節性用は量が限られ、新型用は輸入されていない。

 日本で使われているワクチンは体に注射する方式で、最初にウイルスが感染する場所である鼻やのどの粘膜には増えにくい。

 聖マリアンナ医科大学(川崎市)の清野研一郎准教授は「スプレー式だと、鼻や気道の粘膜にも抗体が分泌されるようになり、ウイルスの体内への侵入を防げると考えられている」と話す。

 国内の研究機関でもスプレー式の実用化を目指して研究開発が進められている。

 京都薬科大学の高田寛治教授らは、実用化に向けて肌にはるタイプのワクチン開発に取り組む。

 直径約1.5センチのシートに、長さ0.5ミリの突起が100〜250本並ぶ。突起はマイクロニードル(微小針)と呼ばれ、ワクチン液が付いている。腕などにはると溶け出し、体内に吸収される仕組み。皮膚に刺さるのは突起の長さの半分ほど。痛みを感じる真皮には届かないという

 海外では、はるタイプのインフルワクチンが、注射式の5分の1の量で、同レベルの効果が得られたとの報告も。

 接種する部位を数秒間、指で圧迫してから注射方式で接種するとどれほど痛みが減るか。札幌市で9月にあった日本ワクチン学会で、川崎医大(岡山県)の寺田喜平准教授はこんな演題を発表した。

 学生約1200人を対象にB型肝炎ワクチンを、圧迫するグループとしないグループに分けて、本人に圧迫の意味などを伝えず接種。痛みを6段階で評価してもらうと、圧迫したグループに痛みを感じない人が多かった。

 個人差もあるが、「痛みが少ないと感じる子が少しでもいるならばやる価値はある」と寺田さんは感じる。

 インフルワクチンでは、防腐剤のチメロサールが痛みに関連するのでは、との指摘もある。有機水銀化合物のため、世界保健機関(WHO)はなるべく除くよう勧めているが、除かれたものには痛みが少ないという声が多いという。

 名鉄病院(名古屋市)の宮津光伸予防接種センター部長は、チメロサールに代わって入るようになったフェノキシエタノールに「痛みを抑える効果があるのでは」という。

 看護学生や職員約200人で調べると、フェノキシエタノール入りに痛みが少ないという人が多かった。

 東京都立駒込病院では、今年から子ども向けの5種混合ワクチン(ジフテリア、破傷風、百日ぜき、ポリオ、Hib)を導入した。任意接種なので自己負担となり約4万5千円かかる。

 「子どもが何度も痛い思いをせずに済み、連れてくる親の負担も減らせる」と中山栄一小児科医長。これまで20人ほど接種し、大きな副作用などはないという。



 注射、やっぱ嫌ですもんね。

 私も、まあこういっちゃアレですけど、注射は嫌いです。痛いですもん。仕方のないことだとはいえ、嫌ですね。今からもう、来月注射予定の季節性インフルエンザの予防接種が、憂鬱なくらいです。

 注射の腕ってのも、そんなにあると思えませんし、痛みの感じ方は人それぞれってのもありますし、たまたま痛くないところに刺さってくれれば全然痛くないんですけれど、痛いときはホント痛いです。

 大人ならまだ仕方ない、ですみますけど、この世に生を受けたばかりの子供にとっては、もうたまらんでしょう。

 今でも幼少の頃の注射で泣いた覚えがあります。

 注射ではなくて出来るのならば、それに越したことはないです。
posted by さじ at 05:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | 薬理

2009年10月22日

南田洋子さん、くも膜下出血でお亡くなりに。

南田洋子さん死去 長門号泣「この4年間本当に楽しかった」

 「太陽の季節」など多くの映画やテレビ番組で活躍し、夫の長門裕之(75)とおしどり夫婦として親しまれた女優の南田洋子(みなみだ・ようこ、本名・加藤洋子=かとう・ようこ)さんが21日午前10時56分、くも膜下出血のため東京都内の病院で死去した。76歳だった。数年前から認知症を患っていたが、17日に体調が悪化して入院していた。長門はこの日、公演中の東京・浜町の明治座に直行し、南田さんの最期はみとれなかった。

 20日夜、南田さんがくも膜下出血によって植物状態に陥ったと報告した夫・長門の悲痛な会見からわずか14時間余り。南田さんは21日朝、静かに旅立った。東京・浜町の明治座で川中美幸主演の舞台「幸せの行方 お鳥見女房」に出演中の長門はこの日も昼夜に公演があり、最期をみとることはなかった。

 南田さんは約4年前から認知症の症状がみられ、06年に撮影された映画「ひいろ」(07年公開)を最後に女優業を休止。昨秋に長門からテレビ番組で病が公表され、反響を呼んだ。長門の献身的な介護を受けていたものの、17日夜に都内の自宅でくも膜下出血に倒れ、都内の病院で緊急手術。人工呼吸器をつけての植物状態が続いていた。

 長門は夜、明治座のけいこ場で連日の会見。公演後、憔悴しきった表情で「僕を信じて待っていてくれた、ただ一人の女性。この4年間本当に楽しかった」と号泣した。

 愛妻が亡くなったのは、舞台の開演4分前。悲報は昼の部終演後に届いたが、午後4時からの夜の部も悲しみをこらえ、ステージに立った。4年間、一生懸命介護を続けたが、「(なぜ、亡くなったのが)『今日なのかい』って向こう(天国)に行ったら聞いてみたい」。しかし、すでに「一生分のキス」をしており、「後悔はしていない」と声を絞り出した

 17日夜、意識を失う直前には力の入らない右手で、長門の指2本を「白くなるほど」握ったという南田さん。48年連れ添った女房の突然の行為に「あれが最後の意思表示だったのかな」。

 22日はつかの間の休演日。「明日はゆっくりお別れできると思うんでうれしい」と2人だけの時間をゆっくりと過ごす。



 日本のおしどり夫婦の代名詞とも言われたあの夫婦。南田洋子さん、くも膜下出血でお亡くなりになってしまいました。ご冥福を、心よりお祈り申し上げます。

 今の日本では、離婚率も増加していますし、認知症という日常生活に関わる疾患によって、思うように平穏な老後をおくることが出来ない、というのが現状です。

 しかしこのご夫妻のように、ゆったり流れる時間の中で、心の平穏を保ち続ける生き方も、できるんです。

 認知症という病を克服するのではなく、受け入れること。病気と一緒に相手を受け入れることが大事なんじゃないかなと思います。

 できれば、長門裕之さんと南田洋子さんのような素敵な夫婦のような老後を送りたいです。

 そういえば私の好きなabsorbも、このご夫妻の愛をテーマにした曲を作っていました。

absorb、長門裕之さん1人に捧げるコンサート

 昨年11月、初音ミクをフィーチャーしたネット発卒業ソング「桜ノ雨」でデビューした3人組absorb。4月15日に発売した2枚目のシングル「愛ノ詩」のジャケットに、長門裕之・南田洋子夫妻が主演した映画『太陽の季節』のスチール写真を起用したことで話題を呼んでいるが、本日都内スタジオに長門裕之さん本人を迎え、1人のためのコンサートを開催した。

 「愛ノ詩」は、長門裕之・南田洋子夫妻の献身的な愛のあり方をテレビのドキュメンタリー番組で知り感銘を受けたabsorbが、若い男女のラヴ・ソングを「未来永劫あなたを愛す」というテーマで制作しなおした新曲。番組内で長門さんが語った「洋子よりも先には死ねないんだ」という言葉から、「一日でも長く生きるんだ ひとりじゃいやでしょ」という歌詞も生まれたとのこと。コンサートではその「愛ノ詩」をふくむ3曲が披露された。

 absorbリーダーの森晴義は「歌いながら長門さんを見ていて、ちゃんと僕たちの思いが伝わっているなと感じた。とても嬉しい。洋子さんにも届くように歌いました」とコメント。長門さんも「素晴らしいプレゼントをありがとう。この感動を洋子にも伝えますよ。それにしても、absorbの歌は本当にやさしい。涙をこらえるので精一杯でした。心からの励ましありがとう」と感謝の気持ちをのべた。

 なお、妻の南田洋子さんも「愛ノ詩」を何度も聴いているとのこと。両者にとって忘れられないコンサートになったようだ。




 若かりしころのお二人の写真を用いた愛ノ詩ジャケットはこちら

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posted by さじ at 10:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神

2009年10月19日

帯状疱疹は脳卒中のリスクを増大させることが判明

帯状疱疹が脳卒中リスクを増大させる

 帯状疱疹(帯状ヘルペス)に罹患した成人は脳卒中リスクが高く、特に眼の周辺に発症した場合は注意が必要であることが報告された。帯状疱疹と脳卒中リスクとの関連はこれまでにも報告されていたが、全国規模の集団を対象とする研究は今回の研究が初めてであると、筆頭著者である台湾、台北医学大学Taipei Medical University病院のJiunn-Horng Kang博士は述べている。この知見は、医学誌「Stroke(脳卒中)」オンライン版に10月8日掲載された。

 帯状疱疹は、水痘帯状疱疹ウイルスよって生じる痛みのある発疹。このウイルスは水痘を引き起こすが、水痘が治癒した後も体内に残り、再活性化して帯状疱疹の原因となる。Kang氏らは、1997〜2001年に帯状疱疹の治療を受けた台湾の成人7,760人のデータを検討。治療から1年以内に133人(1.7%)が脳卒中を発症したのに対し、帯状疱疹の治療を受けていない対照群2万3,280人での発症率は1.3%(306人)であった。

 データ分析の結果、帯状疱疹群では1年以内の脳卒中発症率が31%高いことが判明。眼やその周辺に発疹が出た場合は脳卒中の発症率が劇的に高く、対照群の4.3倍であった。脳卒中には血栓により脳動脈が閉塞される虚血性脳卒中と、血管の破裂による出血性脳卒中があるが、帯状疱疹群の虚血性脳卒中は31%高く、出血性脳卒中は2.79倍高かった。帯状疱疹ウイルス(herpes zoster virus)により脳への血管が閉塞または破裂する血管損傷が誘発されることにより脳卒中が発生すると考えられると、Kang氏は述べている。

 帯状疱疹による脳卒中リスクを軽減する方法はわかっていない。「今後の研究では、早期に抗ウイルス治療を実施すれば脳卒中リスクを軽減できるのかどうかに焦点をあてるとともに、帯状疱疹に罹患した患者には脳卒中リスクについて知ってもらい、高血圧、脂質異常症および糖尿病などの危険因子(リスクファクター)の管理を強化する必要がある」とKang氏はいう。帯状疱疹は通常、身体の片側に発疹が現れ、痛み、痒みおよびしびれ感を伴う。症状は2〜4週間続く。発症率は年齢とともに上昇し、米国疾病管理予防センター(CDC)は60歳以上の人にワクチン接種を推奨している。



 帯状疱疹ウイルスって神経に潜んでいるような気がしたんですけど、それが脳の血管付近にも潜んでいて障害を与えるということでしょうかね?

 確かに血管と神経は近いところにありますから、もしかすると帯状疱疹で脳卒中を引き起こすこともあるのかもしれませんが、にしても結構数値的に上がってますねぇ。今後は目の周囲に帯状疱疹が出来た人や高齢者の場合は脳卒中の発症リスクが上がることを念頭においていたほうがいいのかもしれません。
posted by さじ at 04:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 皮膚

ギネ〜産婦人科の女たち〜とノーフォールト岡井崇

 今日たまたま書店で、ノーフォールトの文庫版を発見したんですけど

 あれの帯が、今やっているドラマ「ギネ」のものでした。

 何でだろうか、と思ったんですけど、あのドラマって、ノーフォールトが原作なんですね。

 知らなかった。

 単なる産婦人科ドラマかと思ってスルーしていましたが、よりによって大好きな小説が原作だったとは。



 その小説のあとがきのところに、文庫版では追加されている箇所がありました。ドラマ化にあたってプロデューサーと話をした、という内容なんですが、岡井先生はギネという名称に反対したというエピソード。確かに語感めちゃくちゃ悪いですよね、ギネって。私も、このドラマの題名聞いたとき、流行んないだろうな、と思っちゃいましたし。

 ただノーフォールトという題名も、分かりにくいから、ドラマだったらいいのかなぁと。一度も観たことないんですけど、原作に忠実なんですかね?というと結構現実的といいますか、医師の過酷さがありありと描写されるんじゃないですかね。結構面白そうじゃん、観てみようかな。

関連:上地雄輔が医師役のドラマ「ギネ〜産婦人科の女たち〜」
posted by さじ at 03:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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