2009年08月25日

下痢を起こす腸内細菌が大腸のがん化を促進する。

腸内細菌、大腸のがん化促進 米グループがマウスで解明

 下痢を起こす腸内細菌の一種が、大腸のがん化を促進することを、米ジョンズホプキンス大のグループがマウスの実験で明らかにした。胃がんでは、胃の中にいるピロリ菌が原因の一つとされているが、この腸内細菌も、似たような役割を果たしている可能性を示している。23日付米医学誌ネイチャー・メディシンに発表される。

 バクテロイデス・フラギリスという、人の腸内に常在している腸内細菌の一種。人によっては何の症状も示さないが、下痢を起こすことで知られている。毒素を作るタイプと作らないタイプがあり、グループは大腸がんを自然発生しやすくしたマウスに、それぞれを感染させて観察した。

 すると、毒素型を感染させたマウスは下痢になり、大腸に炎症と腫瘍が1週間以内にでき、がん化が早まった。非毒素型は下痢を起こさず、大腸の炎症も腫瘍も認められなかった。菌の毒素が免疫細胞を活性化させて炎症を起こし、がん化を促進しているとみられる。

 また、毒素型を感染させたマウスは、炎症反応の引き金となる信号を送るたんぱく質が増えていた。このたんぱく質が増えると、特定の免疫細胞が活性化されてIL17という因子が作られることが、もともと知られている。IL17を働かなくさせたマウスで同様の実験をすると、腫瘍ができにくくなったことから、こうした因子を抑えることなどで大腸がんの治療につながる可能性も明らかになった。

 今回の成果について、吉村昭彦・慶応大医学部教授(微生物・免疫学)は「人の大腸がんとの関係は今後、疫学調査などがされないと、まだわからないが、人の腸内細菌の毒素ががん化を促進することを実験的に示したことは画期的だ」としている。



 毒素などで刺激され続けると、癌になるリスクとなるんでしょうねぇ。

 腸内細菌とは死ぬまでうまく付き合っていきたいものです。そのためには規則正しい生活と健康的な食事、そして時々乳酸菌。
posted by さじ at 01:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | 消化

2009年08月23日

過度の運動によって、中毒状態になる可能性がある。

過度の運動は中毒になる可能

 新しい研究によると、トレーニングをやめられないような筋金入りのランナーは、麻薬中毒に似た状態になっている可能性がある。“ランナーズハイ”として知られる状態がそれにあたる。ランナーがそのような多幸感を得るためには距離を相当伸ばさなければならないが、その状態で走ることを強制的に止めると、うつ状態に陥る可能性もあるという

 このような“禁断症状”が現れることから、運動時に中毒性のある化学物質が体内で自然に生成されているという説が唱えられている。

 アメリカのマサチューセッツ州にあるタフツ大学のロビン・カナレク氏率いる研究チームは、この説を検証するため、ラットをケージの回し車の有無で分けて実験を行った。

 7日後、回し車を与えられたラットはオス・メスともに、回し車を使って走る量が自然と増加した。「回し車で走るラットが徐々にその運動量を増やすことはさほど驚くことではない」と同氏は言う。

 9日目に、運動量の増えたラットとそうでないラットそれぞれを、さらに複数のグループに分けた。それまでエサは常に食べられる状態だったが、運動量の多いラットの約半数は食事を1日1回1時間だけに制限した。

 エサを制限されたラットは、スポーツ選手にみられる“アノレキシア・アスレティカ”という摂食障害に陥り、さらに劇的に運動量を増やして、体重を減少させ始めたのである。

 アノレキシア・アスレティカは、人間が発症した場合でも命にかかわることのある精神疾患で、競争原理のプレッシャーによって追い込まれた患者は強迫観念にとらわれて運動を続け、体重を減らしていく。

 カナレク氏は、この精神疾患が発症するときに活性化する化学経路が、麻薬中毒と同様なのではないかと考えた。

 研究チームはこれを検証するため、ナロキソンという化合物をすべてのラットに注射した。ナロキソンは麻薬拮抗薬(モルヒネなどの作用を抑える薬)として用いられることも多いが、中毒者に注射すると、身もだえ、歯ぎしり、嚥下運動といった禁断症状を引き起こす。

 同氏はその後、経緯を知らない第三者にナロキソンを注射したラットの行動を書き留めるよう指示した。すると、最も深刻な禁断症状が現れたのは最も運動量の多かったラットで、回し車のないケージにいたラットにはあまり禁断症状が出ないことが明らかになった。

 とはいえカナレク氏は、人間の過度の運動が依存症に直結すると心配しているわけではない。「運動量の多いラットがナロキソンによる禁断症状を示したといっても、程度としてはモルヒネ中毒ほど重いものではなかった。つまり、運動の中毒性はそれほど高いものではないと考えられる」と話している。

 運動に中毒作用があったとしても、それをうまく利用できる可能性もある。「薬物依存症患者の治療に運動を利用することで、実際に効果を上げられるかもしれない。それは、今回の成果のひとつといえるだろう」と同氏は語った。



 面白い。

 そういえば十数年前に、マラソンランナーの手記みたいなものを読んだことがあります。「マラソンをする前は、もう2度と走りたくないと常に思うのに、また走ってしまう」と。

 運動することによって、脳はその状況に慣れるために何か分泌物質を出したりしてるんでしょうかね?中毒性といっても悪い中毒性ではないと思うので、構わないっちゃ構わないですけど。
posted by さじ at 13:09 | Comment(1) | TrackBack(0) | 生理

2009年08月20日

脳梗塞後に神経回路を繋ぎ替えて機能を補完する方法。

脳梗塞、神経回路つなぎ替えて反対側で機能補完

 脳梗塞で体の機能の一部が失われても、左右反対側の脳が神経回路をつなぎ替えて「肩代わり」し、機能を補うことを、自然科学研究機構・生理学研究所(愛知県岡崎市)の鍋倉淳一教授らがマウス実験で突き止めた。効果的なリハビリテーションに役立つと期待される。

 米神経科学会誌に発表した。鍋倉教授らは、右脳の大脳皮質に人工的に脳梗塞を起こし、左足の感覚がほとんどなくなったマウスを使って実験。左脳の大脳皮質を特殊な顕微鏡などで観察したところ、実験後1〜2週間に新しい神経回路が生まれたり、消えたりして回路のつなぎ替えが頻繁に起きていた。4週目になると、左足の裏を軽く刺激するだけでマウスが反応するようになったという。

 鍋倉教授は「脳梗塞の回復は、神経回路の再編成と機能回復の2段階で進むと考えられる。それぞれの時期に最適なリハビリを行えば、効果が上がると期待できる」と話している。



 機能が失われても最初の半年、1年のリハビリが大事と言われています。脳の補完機能が活発な時期に、神経回路をうまく確立することで、機能を取り戻すことができるようになるのでしょう。
posted by さじ at 02:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | 介護

2009年08月19日

大気汚染にさらされると、子供の知能指数は低下する。

「子供の知能指数、大気汚染が影響」…米コロンビア大調査

 妊婦が自動車の排ガスなどの大気汚染にさらされると、生まれてくる子供の知能指数(IQ)が低下するとの調査結果を米コロンビア大がまとめ、発表した。

 研究チームは、ニューヨーク市に住む妊婦に機器を身に着けてもらい、日々さらされている大気汚染の程度を測定した。5年後、249人の子供のIQを知能テストで計測した。いずれも喫煙しない家庭だったが、大気汚染の程度が高かったグループと低かったグループの間で、IQに4ポイント以上の差が出た

 研究チームは「学校での成績などに影響しうるほどの違いだ。大気汚染に対する警鐘となる」としている。



 大気汚染が酷いようなところに住んでいるという家庭事情とか抜きにして、大気汚染だけでIQが下がるんでしょうか。

 家庭や収入の違いなどもありそうですが、どうなんでしょうかね、実際は。本当にこうなら、東京より田舎のほうが優秀な子供が育つということに・・・って実際育ってるのかもしれませんけど。
posted by さじ at 04:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | 小児

低タールの煙草を吸う人ほど吸煙量は多い。

低タール、低ニコチンのたばこを吸う人ほど吸煙量多い

 低タール、低ニコチンのたばこを吸っている人ほど吸煙量が多く、タールやニコチンが多いたばこを吸っている人と同程度の有害な化学物質にさらされていることが、厚生労働省の研究班(代表者=遠藤治麻布大准教授)の調査でわかった。

 パッケージに表示されているニコチン量が10分の1になっても、摂取量は3分の1程度にしかならず、表示通りには煙害が減らないことも明らかになった

 調査対象は、1日約19本を吸う20〜65歳の約100人。いつも吸っているたばこの種類に合わせ、〈1〉タール1ミリ・グラム表示(ニコチン量はタール表示の約10分の1)〈2〉同3〜6ミリ・グラム〈3〉同8〜10ミリ・グラム〈4〉同14ミリ・グラム――の4グループに分類し、ニコチン摂取を示す化学物質(コチニン)量、呼気に含まれる一酸化炭素量などを調べた。

 その結果、タール6ミリ以下のグループは、1回で吸い込む平均吸煙量が58・4ミリ・リットルで、それより高いタールのたばこを吸っている人(50ミリ・リットル)よりも多い傾向があった。1日当たりの平均吸煙量では、高タールグループより、約4500ミリ・リットルも多くなっていた

 コチニン量については、表示されたニコチン量が多いほど増える傾向にはあったが、タール1ミリのグループの唾液(だえき)1ミリ・リットルに含まれるコチニン量は、タール14ミリのグループの約3分の1に過ぎなかった。一方、たばこの煙に含まれ、動脈硬化などの要因とされる一酸化炭素はタールやニコチン量による差はなく、ほぼ同量を吸引していた。

 調査した国立保健医療科学院の稲葉洋平主任研究官は「表示が低いからといって、必ずしも健康への影響が表示通りには低くならないことを認識してほしい」と話している。



 これは前から言われていましたね。禁煙に向けて、いつもより軽い煙草を買っても、より深く、最後まで吸い込むためにあまり効果はないとか。やめるならすっぱりとやめないと、意味がないらしいです。
posted by さじ at 00:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | 呼吸

2009年08月18日

エイズ患者の4人に1人は仕事を離職した経験がある。

エイズ患者ら 4人に1人離職経験

 エイズ患者とHIV(エイズウイルス)感染者の約4人に1人は仕事を辞めた経験があり、離職経験者の約1割は「不当な理由で解雇された」ことが、厚生労働省の障害者保健福祉推進事業のアンケート調査で分かった。企業などでの患者への理解が進んでおらず、就職面での厳しい現実が浮き彫りになった。

 国立国際医療センター戸山病院エイズ治療・研究開発センターやエイズ治療ブロック拠点病院など全国15病院に通院するエイズ患者ら2000人に対し、今年1月までに就労状況をアンケート調査。約6割から回答があった。

 HIV感染を理由に仕事を辞めた経験があったのは全体の23%。理由を質問したところ、「不当な理由で解雇された」と答えた人が9%もいた。

 調査を行った、薬害エイズの支援団体「はばたき福祉事業団」(東京都新宿区)理事長の大平勝美さんは「私たちの団体にも、『感染者がいると企業イメージが悪くなる』『社員共有の湯飲みを通して感染しないか』などと言われて辞めさせられたとの相談が寄せられている。就職差別は今も深刻な状況。私たちの団体は企業や行政などと話し合い、就労状況が改善するように努力していく」と話す。

 就労者に感染の事実を会社に伝えているか尋ねたところ、約半数にあたる47%が伝えていないと答えた。感染を知られることで退職を迫られるのではないかとの不安が背景にある。



 HIVに関する偏見も未だにあるんですねぇ。

 感染症、というイメージや、性行為によってうつるという認識がそれを助長しているのか。

 でも個人的には、仕事をしているだけというか、普通に接しているだけなら感染することがあるはずないと思いますからねぇ。年配の人からみればまだエイズという病気は恐怖の対象なのか。

 時間が解決する問題ではありますが、今から強く修正していかないと、何年経っても変わりませんからね。
posted by さじ at 23:25 | Comment(1) | TrackBack(0) | 感染

2009年08月04日

福島県立医大で、胃管と間違えて静脈に空気を入れる医療ミス。

医療ミスで2歳男児が意識不明 福島県立医大

 福島県立医大は3日、付属病院で7月に実施した県内の男児(2)の手術で、誤って静脈に空気を注入する医療ミスがあったと発表した。男児は意識不明の状態が続いているという。

 同大によると、7月29日、男児の胃食道逆流症を治療する手術を実施。20代の女性麻酔科医が胃に空気を送ろうとした際、鼻から胃につながるチューブを使用しないといけないのに、右足から静脈につながる別のチューブに注射器で空気100ミリリットルを送ってしまった

 それぞれのチューブは太さがほぼ同じ。男児の体に手術用のシーツがかかっていたため、麻酔科医が手探りでチューブを選び、注入したという。麻酔科医は「正しいチューブと信じてしまった」と話している。

 同病院は、注射器の色を変える措置を取り、来週には外部専門家による調査委員会を立ち上げる予定。



 確かに手術時の麻酔科パートはごちゃごちゃしていますが…胃管とルートを間違えて空気を注入してしまうってのは・・・。

 未然に防げた事故です。二度とこういうことが起こらないよう、全国的に対策してほしいですね。色を変えるとか、形を別にするとか、対策方法はいろいろあるでしょうから。

関連
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posted by さじ at 22:52 | Comment(0) | TrackBack(0) | 大学

光駆動ナノマシンで赤血球の解剖に成功した名古屋大学

光駆動ナノマシン 光で操る“細菌サイズ”ロボ

 細菌サイズの医療用ロボットが、患者の体内に入り込んで病気を治してくれる−。SF映画「ミクロの決死圏」(1966年公開)のような医療技術が、実現しようとしている。名古屋大学工学研究科の生田幸士教授が開発した「光駆動ナノマシン」だ。光で加工し、光で動かすのが特徴で、今年2月には、世界で初めてロボットによる赤血球の解剖にも成功。さまざまな病気の治療法が、根本的に変わるかもしれない。

 「このカブトムシやロボットは細菌とほぼ同じサイズです。微細な立体加工技術がナノマシンを実現しました」

 顕微鏡の写真を見せながら、生田さんは語る。

 物質をナノメートル(100万分の1ミリ)レベルの分解能で加工するナノテクノロジーは、主に半導体分野で発展してきた。この分野は平面加工が中心だが、生田さんは「立体を作りたい」と考えた。長年、医療ロボットの研究に携り、ナノテク応用の必要性を感じていたからだ。

 精緻な立体加工を可能にしたのが、92年に開発した世界初の「マイクロ光造形法」という技術。紫外線照射で液体から固体に変化する性質を持つ光硬化樹脂に、凸レンズを通して紫外線レーザーを当てる方法で、液体樹脂内の焦点部分だけが透明に硬化する。液体部分を洗い流すだけで設計図通りの3次元構造が完成する。

 開発当初の分解能は5マイクロメートル(マイクロは100万分の1)だったが、その後の研究で約50倍の100ナノメートルレベルまで向上した。光造形法の利点は、光学顕微鏡程度の装置で時間も手間もかけず製造できることで、現在はナノレベル立体加工技術の主流となっている。

 医療用ロボットとして動く原理は、微小世界で作用する物質のユニークな性質を利用した。

 「液体の中に置いて赤外線レーザーを照射し、部品内で焦点を結ぶ。レーザーの焦点を動かすと、部品はそれに追従して動く」

 レーザートラップと呼ばれ、物体が透明かつ微小な場合に初めて可能になる。これを応用することで光駆動ナノマシンが実現した。



 はー。人類の歴史は地球の歴史に比べたら浅いものですが、100年前と比べて、なんという進歩でしょう。

 あと10年、20年後に、このナノマシンで治療法が出来ていても何にも不思議ではありません。

 抗生物質の発見もわずか80年前。CTやMRIに至ってはほんの何十年かの歴史しかありません。人間の想像できることなら何でも実現可能、と誰か言っていましたけれど、医療においてもそうなのかもしれませんね。

関連
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posted by さじ at 00:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | 大学

15%の人が経験するうつ病に対して理解を深めよう。

【病院の実力】精神科 15%が経験するうつ病

 うつ病は、気分の落ち込みや意欲の低下、不安、焦燥、不眠、食欲不振などが続く病気。しびれや痛みといった異変が体に生じたり、「自分は価値がない人間」などと思い込んだりすることもある。

 発症時期は、20〜30歳代と50歳代前後の二つのピークがある。15%前後の人が一生のうちに1度はかかるとされ、自殺の大きな原因でもある。

 治療は抗うつ薬、睡眠薬、抗不安薬などで行うが、カウンセリングも重要だ。

 急性期の症状は1〜3か月で治まり、完治する人も多い

 統合失調症は、高校生や大学生など20歳代までに発症するケースがほとんど。幻覚と妄想が代表的な症状となって現れる。国内の患者は70万人を超える。

 幻覚では、誰かが自分の悪口を言っている声が聞こえてくるなどの幻聴が多く、幻が見える幻視はまれだ。

 妄想は主に被害妄想で、危害を加えられるなどと思い込むことがある。ほかに、まとまりのない会話や意欲の欠如などの症状もよくみられる。

 こうした症状は、ストレスによる一過性の可能性もあるため、1か月以上続いた場合に統合失調症と診断される。ただ、統合失調症は1度発症すると、完治することはない。症状は治まっても、安定した日常生活を送るためには治療を一生続ける必要がある。

 治療の中心は抗精神病薬。かつては便秘や手が震えるなどの副作用が出たが、ここ10年ほどで新薬が次々と登場し、副作用の心配は減った。

 精神の病気には、医師、看護師以外にも様々な人がサポートにあたっている。

 臨床心理士は、カウンセリングが主な仕事で、患者が困っている点や悩み事の相談に乗る。患者が病気について理解するための教育なども行い、患者が自分の病気に対処する力を養う手助けをする。

 精神保健福祉士は、社会保障や就労支援の手続きなど、主に患者の生活向上や社会復帰などを支援する。作業療法士が、リハビリや買い物の訓練にあたることもある。

 独立行政法人国立病院機構・花巻病院の石丸正吾医師(35)は、「精神の病気の治療には、薬だけでなく、周囲のサポートが大切」とアドバイスする。

 精神的な病気の多くは、最初に不眠に陥る。ショックな出来事の直後に眠れなくなるのは当然だが、1週間近く続いた場合は注意が必要。病気の場合もあるので、医師に相談してほしい。

 統合失調症の場合、前兆として「過敏性」が挙げられる。発言が自分に向けられていると意識したり、物音が人の声に聞こえたりするなど、音や視線に過敏に反応するようになる。

 もっとも、統合失調症の患者の幻覚や妄想は、年齢を重ねると徐々に弱まっていく傾向がある。反面、意欲の欠如などは加齢とともに進行しやすい。

 うつ病の場合は、胃潰瘍、円形脱毛症、手足のしびれなどの身体症状が先に現れ、内科を受診した後に発病がわかることも多い。

 意外なケースでは、会社での昇進をきっかけに発病する人がいる。うつ病は、きまじめで几帳面、仕事熱心な人に多い。周りからは幸せそうに見える状況でも、期待に応えようと1人ですべてを抱え込んでしまうためだ

 うつ病の患者に最も大切なのは、ゆっくりと休養をとること。「さぼっている」と負い目を感じがちだが、抗うつ薬などの薬物療法も休養をとるための手助けになる。周囲の人は、励まさずに、ゆっくりと休める環境を作ってあげてほしい

 大事なことは、精神科の受診をためらわないでほしいということ。受診しなかった結果、患者が自殺するなどの事態になれば、より多くの人が傷つく。近くのクリニックでも構わないので、疑わしい場合は思い切って足を運んでほしい。



 精神疾患、特に鬱病に関しては、ここ10年で飛躍的に認知度も高まってきた気はします。まだ漠然としたイメージでしかないので、誤解などもあり、難しいかもしれませんが。

 やはりポイントとなるのは、「自分自身で精神科に偏見を持たず、具合が悪かったらすぐに精神科に行くこと」と「周囲の人は理解してあげること」でしょうね。ただ薬で治るものではなく、社会的な側面もありますので。

関連
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posted by さじ at 00:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神

2009年08月03日

ヨガでケガをする人が急増中。

香港ヨガブームでけが人増加傾向に

 香港(Hong Kong)在住の美容師イボンヌ・コンさん(40)は4度目のヨガのレッスンのその日、座ったまま体をひねり、背骨を伸ばすポーズに挑戦していた。ほかの生徒ほど体を曲げることができなかったコンさんがポーズを取れるよう、インストラクターが背中を押した。腰に激痛を感じたのはそのときだった。

 痛みはクラスが終わってもひかず、コンさんは翌日、カイロプラクティック院を訪れて治療を始める羽目になった。コンさんはそれまで、ヨガのインストラクターに教える資格があるかどうかを確認したことはなかったという。「だって、資格がなければ教えてるわけがないと思うでしょう」

 アジアの多くの都市同様、香港でもここ数年ずっとヨガがブームだ。しかし、一部の生徒や開業医らによると、流行にともない、けが人も増えている

 ヨガは、プレッシャーの大きい仕事に就き、都市生活のストレス解消を求める多くの香港人が好むトレーニング方法になり、ヨガを教えるスタジオはますます増えている。

 スポーツ障害を専門的に治療する理学療法士のエルトン・インさんによると、「香港の多忙なライフスタイルでは、1日1〜2時間のエクササイズしかできない。ヨガはほかのものよりきつく見えないのでみんなが選ぶ」のだが、ブームになって以来、ヨガで体を痛めた患者がひきも切らない。最も多い訴えは腰痛と首の痛みだという

 香港の繁華街、銅羅湾(コーズウェイベイ、Causeway Bay)で開業するカイロプラクターのエレノア・キーさんは最近みる患者の20%はヨガでけがをした人たちだという。「みんながけがをしてしまう理由のひとつは、ヨガが単なるリラックス・テクニック以上のものだということを認識していないから。ヨガをマスターするためには何年もの訓練が必要」と指摘する。

 また、インストラクターが生徒に無理やりポーズを取らせたことで、体を痛めた患者にもよく遭うという

 同じくカイロプラクターのハイディ・ぺトリックさんは、インストラクターが適切な資格をもっているかどうかをチェックすることが肝要だと忠告する。フィットネス・センターのほうは、単にブームに乗じてヨガ教室を開設したがるという。ぺトリックさんは「自分の体を誰かの手に預けるときに、信用しすぎるという大変危険な傾向がある」と懸念する。



 日本でもヨガブームですけれど、あの指導している方々はちゃんと資格など持っているんでしょうかね。よく知らないのですが。

 私も体が硬い上に、色々なところが歪んでいる気が・・・。一度整骨院でみてもらいたいなぁ。

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医学処:体の歪み矯正法のまとめ
posted by さじ at 07:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | 生理

日焼けマシンの使用は発がんリスクを確実に高める。

「日焼けマシン、発がんリスク最高レベル」 WHO

 世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(IARC)は、日焼けサロンやスポーツジムで使われ、人工的に紫外線を出す「日焼けマシン」の使用は発がんリスクを確実に高めるとして、発がんリスク分類でもっとも危険性の高い「グループ1」に引き上げた。

 IARCは、日焼けマシンと皮膚がん(メラノーマ)との関係を調べた19論文を分析。30歳未満で日焼けマシンを使った経験のある人は、使ったことのない人より75%もリスクが高いことがわかった。日焼けマシンの使用による、眼球の色素細胞にできるがんのリスクも高かった。

 従来、紫外線のうちB紫外線(UVB)にだけ発がん性があると考えられていたが、A紫外線(UVA)もUVBと同じように発がん性があることもわかったという。地上に降り注ぐ紫外線の95%がUVAだ。

 日焼けマシンは5段階の発がんリスク分類で危険性が2番目に高いグループだった。危険性が一番高いグループにはアスベストやたばこ、X線、太陽光などがある。

 紫外線に詳しい名古屋市立大の森田明理教授(皮膚科)は、「黄色人種は白人に比べて紫外線によるがんのリスクは数分の1だとされるが、油断はできない。屋外で浴びる紫外線の量が、欧米の多くの都市よりもかなり多いからだ。外出のときは、皮膚が赤くなるような日焼けをしないように、日焼け止めや日傘で予防すべきだ」と警告する。



 まぁそりゃあそうですよね。あの人工的な日焼けをつくる日焼けマシンで発癌リスクが高くならないわけがない、か。。。

 夏まっさかり、屋外プールで焼きまくりたい気持ちはあるでしょうけれど、赤くなるほど焼く必要はありません。人間、ほどほどが一番です。

 特に若い女性、若気の至りで、黒く焼くのは自己責任ですが、20代中盤あたりから泣きをみることのないように・・・。

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医学処:日焼け止めクリームの人気商品について。
医学処:日焼け止めクリームを使っても紫外線から肌を守れない問題
医学処:紫外線を浴びることで皮膚細胞の寿命が短くなっていく。
posted by さじ at 05:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | 皮膚

2009年08月02日

パキスタンの貧困層の間で、腎臓を売る人々が後を絶たない。

売るのは子どもか、腎臓か パキスタン貧困層の苦悩

 借金を返すために、子どもを売るか自分の腎臓を売るか――パキスタン農村部の貧困層の間で、経済的に追い込まれ、厳しい選択を迫られる人々が後を絶たない。同国では最近、臓器売買を禁止する法律が成立したが、腎臓移植は法の抜け穴をくぐって続けられている

 モハメド・イクバルさん(50)は地主から借金の返済を迫られ、腎臓の提供を決意したばかりだ。すでに手術に備えた検査も済ませた。これで10―15万円を工面することができる。

 農場で働くラブ・ナワスさんは、約1年前に腎臓の摘出手術を受けた。結婚式の費用から妻と子ども6人の医療費まで、地主から借金を重ねた結果、「妻子を売るか、腎臓を売るか」の選択を強いられたという。

 「子どもたちを売り飛ばすくらいなら、腎臓を売るほうがましだった。金を返すためにはほかに道がなかった」と、ナワスさんは振り返る。腹部から背中にかけて、30センチほどの傷跡が残った。体力が落ち、手術前と同じ働き方はできなくなった。農場周辺の村には同じような傷跡を持つ人々がいくらでもいると、ナワスさんは語る。

 パキスタンはこれまで、臓器売買が横行する「臓器の市場」として知られていた。年間2000件の移植手術が行われ、このうち1500件は受け手が外国人。手術を目的に同国を訪れる患者は、「移植客」とも呼ばれた。07年には臓器売買が法律で禁止されたものの、実態に大きな変化はない。ナワスさんが手術を受けたのも、禁止法の施行後だった。

 ナワスさんは、手術を受けたラワルピンディ市内の病院にCNN取材班を案内。医師に手術記録の開示を求めたが、「記録は患者が退院したら破棄することになっている」と断られた。病院側はCNNの取材に、「法律には従っている。当院は腎臓提供者と移植を受ける患者との仲介には一切かかわっていない」と繰り返すばかりだった。



 法改正してもこうなるとは・・・。

 これは他人事ではなく、臓器移植法改正を今まで無視してきて、移植数を伸ばそうとしなかった日本のせいでもあるわけです。

 結局お金で臓器を買う、という悲劇に繋がってしまいました。このようなことがおきないよう、脳死臓器移植などを行って、逆に海外での移植は取り締まるべきです。

 まあしかし、そうなると今度は子供を売らなければならなくなってしまうのか・・・。難しい問題だなぁ。
posted by さじ at 05:35 | Comment(1) | TrackBack(0) | 移植

2009年08月01日

睡眠時間を短くすることは可能なのか?

1日の睡眠時間1.5時間の人が「圧縮睡眠」方法説明

 短眠とは、短いながらも深い眠りについて体や脳を十分に休ませる睡眠のことで、これを行うことで、起きて行動する時間を長く取ることが可能となる(超圧縮睡眠やショートスリーパーもほとんど同じ意味)。

 スレッドでは、短眠の方法に関して様々な意見が挙がった。1日平均1.5時間睡眠の人は「コツは小食とよく人と話すこと、スケジュールを埋めること」だという。

 他にも、「短眠をする上で最大の問題は食事の後の強い眠気だと思いますが、朝ごはんと昼ごはんをジュースとヨーグルトに切り替えることで、私の場合は強い眠気が起こりにくくなりました」「胃に食べ物を入れないというのを実践してみたら睡眠時間2時間でサッパリ目が覚めた。他にはアイマスクとか耳栓も使ってる。それから寝る前に水を飲んでる。ジュースやお茶ではなくミネラルウォーターが良いらしい」などがある。



 要するに消化管に負担をかけない食生活をすれば睡眠時間を削れる、というものです。流動食が最も良いとかなんとか。

 まぁ普通の生活してたら無理ですし、睡眠時間はちゃんと確保したほうがいいでしょう。1.5時間で起きられることもありますが、それを何年も継続するより、ちゃんと6時間近い睡眠時間を確保した上で規則正しい生活をしたほうがよいと思います。

 と、短眠にチャレンジした経験もある私が言ってみる。
posted by さじ at 04:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | 生理

爪の伸びる速度の違いは、異常をきたしているサインかもしれない

中国紙「生命時報」によると

 爪の伸びが余りに遅かったり、速すぎたりするのは、身体のどこかに異常をきたしているサインだという。

 天津中医薬大学の医師によれば、通常、成人の爪は1週間に1〜1.4mm伸びるが、明確な根拠はないものの、爪の成長は健康状態と関連性があると話す。中国医学では、爪は「筋の余り」と捉えられ、人によって伸びる速さは異なるとされており、年齢や気候、性別などのほか、栄養状態や精神的な状態によっても伸びる速さは異なってくると考えられている。

 とくに栄養の摂取が不十分になると爪の成長にも変化が生じ、拒食症の場合には爪の成長が明らかに遅くなり、横に波打つような状態になってしまうという。心理状態も爪の状態に影響するとされ、精神的に健康な状態では血液の循環が促され、栄養が行きわたることから、爪がなめらかな状態になる

 そのほか、甲状腺機能が過剰になる甲状腺機能亢進症や、先天的心臓病、パーキンソン病、妊娠期の疾病などの場合には爪の成長が速くなるが、甲状腺機能が低下している場合や、肝機能障害、糖尿病などの場合には爪の成長が著しく遅くなるなどの変化が生じるという



 爪の伸びも人間の生理現象ですからね。ただ残念ながら、ある程度の長さになると切ってしまうため、爪の伸びるスピード等で判断することはできないでしょう。貧血の場合には爪の形が変わるので診断的価値があったりします。
posted by さじ at 03:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 生理

鶏の刺身を食べた男女8人がカンピロバクターに感染する

男女8人食中毒症状

 京都市は29日、南区東九条柳下町の飲食店「相撲鶏」で食事をした22〜44歳の男女8人が下痢など症状を訴え、検査の結果、食中毒と断定し、同日から3日間の営業停止処分を出したと発表した。

 市によると、8人は7月13日に会社の同僚らと鶏の刺し身などを食べ、翌日から腹痛や下痢、発熱を訴えた。市衛生公害研究所の検査で、このうち2人と従業員1人から原因菌のカンピロバクターを検出した。



 やーでも、あれですよね。飲食店で、鳥の刺身あったら、食べますよね。向こうはちゃんと管理していると思って、出されると思うじゃないですか。

 夏まっさかりで暑い日が続きますが、食中毒は天敵。お互い注意するしか防ぎようがありませんので。

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posted by さじ at 03:52 | Comment(0) | TrackBack(0) | 感染