2009年05月31日

フコイダンの肝臓がん増殖抑制効果を世界で初めて解明する

フコイダン肝がん抑制 長嶺群馬大教授が初解明

 沖縄産モズクに含まれるフコイダンに、肝臓がんの増殖を手助けするタンパク質「CXCL12」を抑制する効果があることが、群馬大医学部の長嶺竹明教授(那覇市出身)の研究で分かった。4月にアメリカの専門誌「栄養とがん(Nutrition and Cancer)」で論文を発表した。フコイダンが肝臓がんを抑制する仕組みを解明したのは世界初。肝臓がん予防などに応用できる可能性があるという。

 研究では、培養した肝細胞がんに濃度を変えたフコイダンを加えて実験。濃度が濃いほどCXCL12が減少したが、ほかのタンパク質は変化がなかった。発がん物質を投与したラットの実験では、フコイダンを与えたラットが与えないラットより肝臓がんの大きさが小さく、数も少なかった。

 沖縄産モズクのフコイダンが、北欧や北太平洋に生育する海藻ヒバマタのフコイダンより、医薬品や医療機器で安全性の指標となる細胞毒性が軽いことも分かった。

 今後は、フコイダンがほかのがんにも効くかどうかや、副作用があるかなど研究を進めるという



 以前よりフコイダンの抗がん作用は言われていましたが、それを世界で初めて実証した群馬大の長嶺竹明教授。おめでとうございます。

 沖縄モズクに含まれる成分ということで、ご当地モノとしてはかなり期待できそうです。

フコイダン

 モズク、コンブ、ワカメなど海藻類に含まれる多糖類の一種。抗がん作用があるという研究結果が多く報告されている。モズクから精製し、食料品や化粧品に応用している県内業者も多い。

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posted by さじ at 23:52 | Comment(0) | TrackBack(0) | がん

虚弱体質の人のほうが聴覚は鋭敏化している。

虚弱体質の人ほど危険な音を早く察知

 新しい研究により、虚弱体質の人ほど聴覚が鋭敏化しており、迫りくる危険をいち早く察知できることが判明した。体力のない人ほど、徐々に迫ってくる音が実際よりも近くで鳴っているように聞こえるという

 研究チームがまず、徐々に迫ってくる音が人間の耳にどのように聞こえるのかを調べた。その結果、ほとんどの被験者は個人の体力とは関係なく、近づいてくる音源が実際に自分のところまで到達する前に“到達した”と感じていた。人間が危険を察知して回避できるのは、このような順応性が役立っている可能性がある。

「用心深い人は、その種の遺伝的特徴を親から受け継いでいる」と、アメリカのオハイオ州にあるウースター大学の進化心理学者であり、今回の研究リーダーを務めたジョン・ノイホフ氏は指摘する。

 しかし、降りかかってくる脅威を力でねじ伏せるだけの体力がない人や、心臓が弱くて走って逃げることのできない人などは、聴覚に基づく危険察知能力が極度に発達していることがさらに示されたのである。

 一般的に男性より体力が劣っているとされる女性も、徐々に迫ってくる音には男性より早く反応することが以前の研究で確認されている。

 ノイホフ氏の研究チームは今後、多くの身体特性の中で、どのような特性が備わっていれば脅威にうまく対処できるのかを調べる予定だ。同氏はまた、体力以外に精神も大きな役割を果たしていると考えている。

「不測の事態に対する対応力は多くの要素で決まる。今回、体力がその1つであることが証明されたが、リスクを負う勇気など性格も要素として考えられる」と、ノイホフ氏は解説した。

 今回の研究成果は、アメリカのオレゴン州ポートランドで今週開催されるアメリカ音響学会の会合で発表される予定だ。



 へぇー。面白いですね。別に虚弱体質ではないけれどビビリ気質な私とかも音が鋭敏に聞こえているんでしょうか。どうかなぁ。結構すぐ気付きますけども(救急車の音とか)

 まあでも最終的には危険察知能力の高い人が生き残るんでしょうね。人間に備わっている危険察知能力を超えたことを軽々出来る人は勇気があると賞賛されますが、万が一にも何かある可能性もありますし。

 聴覚が鋭敏になるというと内耳のリンパ流あたりに変化がでるのでしょうか。そうなるように脳が調節しているとか?まだまだ未知ですが面白いので取り上げてみました。
posted by さじ at 23:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | 耳鼻

貝類のコハク酸が大腸がんと胃がんの増殖を抑制する。

貝のコハク酸にがん抑制効果

 貝類や清酒のうまみ成分のコハク酸が、大腸がんと胃がんのがん細胞の増殖を抑制することを、広島大大学院生物圏科学研究科の加藤範久教授(57)=分子栄養学=らの研究グループが発見した。日常に近い摂取量で効果が得られることから、新薬のほか、広島名産のカキや清酒を使った新しい機能性食品につながる可能性がある。

 研究グループはまず、ラットにポリフェノールを摂取させると、大腸内のコハク酸の濃度が高まることを見いだした。その作用の応用実験で、大腸内のコハク酸の濃度が20ミリモルになると大腸がん細胞の増殖が約50%減ることがわかった。胃がん細胞でも増殖抑制効果を確認した。

 加藤教授は「がんの増殖抑制に、身近なコハク酸が有効なことが明らかになった意味は大きい。別の疾患への作用もありそうだ」と説明。今後、ヒトへの応用が期待される。研究成果は21日、長崎市である「日本栄養・食糧学会」で発表される。



 よくサプリメントなどでありますけれど、これは日常的な食事摂取量で適切な量を取れるという点が嬉しいですね。

 そういえばシジミ汁が肝臓に良いとか色々いわれてたりしていますが、シジミは大腸がんなどにも有用、ということでしょうかね。
posted by さじ at 23:08 | Comment(1) | TrackBack(0) | がん

不眠症の克服にはトークセラピーが有効である。

不眠症の克服にトークセラピーが有効=研究

 不眠症の人が眠れるようにするには、依存リスクのある睡眠薬を継続的に使用するよりも、トークセラピーが効果的であることが19日に発表された研究で分かった。

 カナダ・ケベック州のラバル大学の研究チームが、慢性的な不眠症と診断されている大人160人を対象に、トークセラピーを受けた場合と睡眠薬を服用した場合を比較した。

 最初の6週間は、毎週グループセラピーを受けたグループと毎晩薬を服用したグループの両方に効果がみられ、およそ6割の人が早く寝付けたうえ、長く眠れたと、研究者のチャールズ・モリン氏は記している。

 その後の6カ月間では、セラピーを受けたグループのほうが、必要に応じて薬を服用したグループよりも眠ることが出来たという。最も効果的だったのは、患者が不眠の原因となっている問題を話すことが出来る、個別に行った隔月のトークセラピーだった。

 このセラピーでは、患者はベッドでは睡眠だけに集中し、読書やテレビの視聴、悩んだりするのは避けるよう指導された。もし20分経っても眠れないときは、いったん起きて、眠くなった場合にだけベッドに戻るようにし、毎朝同じ時間に起きるようにとも言われた



 不眠の原因は何だったのか、というところでしょうか。

 脳の伝達物質の不具合によるものなのか、それとも一日のリズムの乱れによるものなのか。多くの場合、生活リズムが不安定で不眠に陥ったというケースが考えられます。また、ストレスによるもの、ということも考えられます。

 トークセラピーによって睡眠を促す生活習慣を心がけること、毎朝同じ時間に起きてリズムを整えることで不眠が改善されたのではないかな、と。日本ではなかなかここまでやってくれるところはないですけれど、理論的には自分で出来ることだと思うので、眠れなくて困っている方はやってみてはいかが。

参考:GIGAZINE 不眠症になる10の原因

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posted by さじ at 23:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神

親友のいない人はお酒を飲むと脳卒中のリスクが上がる。

脳卒中:親友なき「孤独な酒」 リスク2倍 厚労省調査

 親友がおらず、お酒好きな人が脳卒中になる危険性は飲まない人に比べて、約2倍高いことが、厚生労働省研究班の調査で分かった。また、頼れる人がいる人が適量に飲酒していると脳卒中が少なかった。「孤独な酒」は大敵と言えそうだ。米医学誌アルコーリズム6月号に掲載される。

 調査は、93年に40〜69歳だった全国5県の男性約1万9000人を10年間追跡し、飲酒と循環器疾患の関係を調べた。また、「秘密を打ち明けられる人の有無」などの人間関係を聞いた。

 その結果、1日平均ビール大びん1本(日本酒1合)未満を飲み、頼れる人がいない人の脳卒中の発症率は、飲まない人に比べて、1.2倍高いことが分かった。2本未満で1.8倍、3本未満で1.9倍の差が生じた。一方、頼れる人がいる人は、2本未満まで0.7〜0.8倍と、飲まない人より脳卒中になりにくく、それ以上の大量飲酒になると1.2倍前後に高まった。

 これまで、酒は脳卒中の危険性を高めるとされてきたが、頼れる人の有無で違いがあり、頼れる人がいれば適量の飲酒に良い効果があった。一方で、心筋梗塞では、頼れる人の有無に関係なく飲酒で発病の危険性が低かった。

 研究班の磯博康・大阪大教授(公衆衛生学)は「上手に飲めば、酒は百薬の長。休肝日を設け、みんなで楽しく飲めばストレスを解消し、脳卒中予防に役立つのではないか」と説明する。



 私も一人で酒を飲むのがどうも苦手で。そもそも酒あまり強くないんで一人で飲んでもなんかむなしいだけなんですけれど。

 飲み会の雰囲気は好きですね。やはり少数で馬鹿な話をしながら飲む、というのが最もストレスを解消する酒の飲み方だと思います。

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posted by さじ at 22:51 | Comment(0) | TrackBack(0) | 生理

長期記憶の仕組み「シナプスタグ説」を解明する。

長期記憶の仕組み解明 シナプスタグ説実証

 長期にわたって記憶が維持されるのは、特定のシナプスだけが記憶関連タンパクを受け入れる目印が働くためという仮説を、三菱化学生命科学研究所のチームがラットを使った研究で実証した。

 シナプスは神経細胞同士が接近した部位で、神経細胞同士の情報伝達がここで行われる。研究チームが実証した仮説は「シナプスタグ仮説」と呼ばれているが、実際にタグ(目印)があるかを含め、これまで確かめられてはいなかった。

 井ノ口馨・三菱化学生命科学研究所グループリーダーらは、既に知られている記憶関連タンパクに蛍光を発するタンパクを結合させ、ラットに長期記憶が生じる状況を作った際、このタンパクが神経細胞の中でどのような動きをするか観察した。この結果、記憶関連タンパクは神経細胞の樹状突起を通り神経細胞内に満遍なく運ばれるものの、長期記憶に対応するシナプスにだけ取り込まれることが確認できた。受け手側となる樹状突起の先端にある1ミクロン弱の突起「スパイン(樹状突起棘)」が、タンパクを取り込む「門」の開け閉めの役目を果たしていることも突き止められた。

 今回の成果は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)や統合失調症など記憶を結びつける機能の異常が原因とみられる病気の治療法や、新たな脳の部位で機能を代替することによって効果が現れるリハビリの効率改善などにつながることが期待できる、と研究チームは言っている。

 研究には昨年ノーベル化学賞を受賞した下村脩・ボストン大学名誉教授が発見した緑色蛍光タンパクが使われた。

 この研究成果は、科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業チーム型研究(CREST)の一環として得られた。



 PTSDなどの精神疾患領域のみならず、記憶するということは社会で生きる上でどんな職の人にも関わってくることですからね。

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放射能に耐性を持った大豆をチェルノブイリで発見する

チェルノブイリで放射線耐性植物、スロバキア科学アカデミーが発見

 1986年に起きた放射能漏れ事故以来、20年超が経過したのにも関わらず依然として高い放射能によって汚染されているチェルノブイリの周辺地域で耐放射能性を持つ珍しい大豆系の植物が繁殖していることが学術専門誌「Journal of proteome research」に掲載された論文「Proteomic Analysis of Mature Soybean Seeds from the Chernobyl Area Suggests Plant Adaptation to the Contaminated Environment(DOI: 10.1021/pr900034u)」によって明らかとなった。

 この大豆は植物内に特殊な酵素を保持することによって外部から取り込まれる有害な放射能や重金属を植物外に排出する機能をもっており、結果として生じる大豆には放射能は蓄積されていないことが判ったとしている

 論文発表を行ったスロバキア科学アカデミーの研究グループでは、この大豆の研究はまだ始まったばかりで、今後は、この植物から生まれた大豆が成長した場合、同じような能力をもつか、研究を継続したいと述べている。



 凄いなぁ。進化の力?

 植物だけは地球最後ギリギリになっても生きながらえるかもしれませんね。藤子F不二雄の短編で、ウイルスによって全生物が死滅した世界、というのがありましたけれど、その中でも植物の多様な進化が描かれたりしていました。

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脳の特定のニューロンをレーザーで活性化することに成功する

「レーザーで脳ニューロンを正確に刺激」する新しい治療法

 MITメディア・ラボの研究者たちが、サルの脳にある特定のニューロン(神経単位)をレーザーを使って活性化することに成功した。この技術は、魚、ハエ、ネズミの神経回路の制御と研究に用いられ大いに喧伝されてきたが、霊長類に使用されたのは初めてだ。

 この研究の中心になっているのは、MITで神経科学を研究するEd Boyden教授と、研究員のXue Han氏だ。「この技術を発展させれば、いくつかの精神疾患の新しい治療法につながる可能性がある。これはトランスレーショナル・リサーチ[基礎的な研究から実用的な開発にまで及ぶ研究]の観点から言って非常に刺激的だ」と、Boyden教授は述べる。

 「特定タイプの細胞に生じた変化と関係のある疾患は多い」と、Boyden教授は言う。「臨床目的では、特定の細胞に影響を与えても、正常な細胞はそのままにしておきたい。光を使って特定の細胞を正確なタイミングでオン・オフできるとなると、原理的には新しい療法につながる可能性がある」

 この光遺伝学的(optogenetics)技術の利点は、対象とするニューロンを限定できることだ。レーザーと遺伝子工学を組み合わせて使うことにより、限定されたニューロンの発火をミリ秒単位で制御できる。問題のある細胞と神経回路だけに照準を合わせ、関係のない細胞を対象から外すことで、副作用が起きる可能性を最小限に抑えることができる

 もともと藻類で発見された、青い光に反応する特殊なチャネルを発現する遺伝子を、ウイルスを使ってニューロンに送り込む。このニューロンに青いレーザーを当てると、チャネルが開いて細胞内にイオンが流入し、ニューロンが発火する、という仕組みが利用されている。

 この技術にとって決定的に重要なのは、ウイルスが脳のごく小さな部分だけに注入されるようにすることだ。つまり、限定されたニューロンだけにウイルスが感染し、チャネルが開くようにする。そして、レーザービームの照準を、脳の限定された部分に正確に合わせる。これに対し、薬剤や電極を使う現在の治療技術では、ずっと広い範囲に影響を及ぼしてしまう。

 4月30日付けで『Neuron』誌に発表されたBoyden教授の新しい研究は、霊長類にもこの技術を適用できるだけでなく、安全でもあることを示している。複数回にわたってウイルスを注入されたアカゲザルは、8〜9カ月にわたってレーザー刺激を受けてもニューロンに損傷はなく、ウイルスを使う場合は当然懸念される脳の免疫系の発動も見られなかった。

 将来の応用としては、現在すでに使われている脳深部刺激療法(ニューロンを電極で活性化・非活性化する療法)の代わりに、光を発する神経補装具を使うことが考えられる。脳深部刺激療法はパーキンソン病、てんかん、鬱病などの治療に役立つことが分かっているが、刺激を与える対象となるニューロンが限定的でないことも一因で、いくつか副作用が生じる可能性がある。



 ここまで細部の操作が可能になると、あとは脳の細かい領域区分が分かってしまえば、ある程度までの難病を治療することができるようになるかもしれません。鬱病や統合失調症なども原因となる場所は分かっているわけですから、あとはそこを狙って叩いてやるといった治療法も可能となるかも。正常なニューロンには影響を与えない、という点が大きいですね。

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海洋の生物から新しい医薬品の開発を狙う。

医薬品の次期ヒット作は海から

 新しい医薬品の源泉は、陸上では枯渇してきているのかもしれない。次世代医薬品の大ヒット作を狙う“医薬品ハンター”は次々と海に飛び込み始めている。研究者たちが新しい抗生物質やがん治療薬を探し求める中、医療目的で海洋生物を採取する生物資源探査(バイオプロスペクティング)が近年活発化している。

 ネレウス・ファーマシューティカルズ(Nereus Pharmaceuticals)社の社長コビー・セトナ氏は、「海洋微生物を取り巻く自然環境は、まだ開発が進んでおらず、多様性にあふれている」と話す。同社はアメリカに拠点を置く海洋微生物専門の小規模バイオテクノロジー企業だ。

 過去50年間にわたって医薬品開発競争が繰り広げられる中、地球の青き領域に目を向ける者はほとんどいなかった。しかし、これからは海を無視することはできないと専門家たちはみている。

 生物の分類では「界」の下に「門」という区分がある。「動物界を36門に分ける説に従えば、陸上には17門、海洋には34門が分布している。つまり、海洋は地球上で飛びぬけて生物多様性に優れた環境であり、医薬品開発において見過ごすことのできない源泉だ」と、アメリカにあるカリフォルニア大学サンディエゴ校の海洋学・薬学の専門家ウィリアム・フェニカル氏は話す。

 現在、海洋生物に由来するおよそ25種の医薬品が臨床試験中で、バクテリアや海綿動物、あるいはホヤなど海中に住む尾索動物がそのターゲットになっている。

 生物利用の医薬品開発が大きな節目を迎えたのは1928年のことである。この年の9月、イギリスの細菌学者サー・アレクサンダー・フレミングが、バクテリアの培養皿に起きたわずかな異変に気が付いた。偶然にも別の実験室からアオカビの一種、ペニシリウム・ノタータム(Penicillium notatum)の胞子が空気中を漂いながら培養皿に付着し、バクテリアの一部を死滅させていたのだ。

 この発見が世界初の抗生物質「ペニシリン」に結実し、世界中に広まった。それ以後、同じような医薬品の開発を目指して、地球各地の森林地帯や未開地の探検が精力的に行われることになる。今日の主要医薬品の過半は、天然の“貯蔵庫”から生まれたものだといわれている。

 光が皆無に近く温度が非常に低い厳しい環境で、海洋生物は独自の生存戦略を採用してきた。地上の人間には想像が及ばないユニークなその術は、医療に多大な貢献をする可能性がある。「彼らの何億年もの進化の歴史を利用すれば良いのだ」と、前出したネレウス社のセトナ氏は話す。

 カナダにあるブリティッシュ・コロンビア大学の化学者で、海洋生物の代謝産物を研究しているレイモンド・アンダーセン氏は、「初期の海洋医薬品開発は抗生物質とがん細胞治療薬に集中していたが、現在ではさまざまな分野に広がっている」と話す。

 例えば海綿動物や菌類などの海洋生物には、ある種の腫瘍が分泌する体内酵素「インドールアミン2,3ジオキシゲナーゼ」を抑制する化合物が含まれている。「インドールアミン2,3ジオキシゲナーゼは、免疫反応を欺いて腫瘍への攻撃を止めさせてしまう」とアンダーセン氏は話す。

 また、海洋生物が持つ化合物の中には、白人に広くみられる嚢胞性線維症という遺伝性疾患に対する“中和剤”となるものもある。嚢胞性線維症は、体内分泌液の粘度が増しさまざまな症状が発症するが、海洋生物由来の化合物を活用すれば、体内タンパク質が細胞膜に達する経路を滑らかにすることができる。そこでタンパク質は気道の感染症を防ぐ上で欠かせない粘液産出機能を回復していく。

 アンダーセン氏の研究所では、2つの化合物が臨床試験のフェーズ2(100〜300人規模で有効性や安全性の試験を行う)に入っているという。軟部組織がんと喘息の治療がその目的だ。

 ネレウス社でも、2つの医薬品が臨床試験中だという。1つはバハマ諸島の海草で成長する菌類から作り出されたもので、現在フェーズ2の臨床試験を行っている。この医薬品は腫瘍の脈管系を破壊する機能があり、化学療法と組み合わせることにより、非小細胞肺がん(NSCLC)治療に効果が期待されている。非小細胞肺がん患者の平均生存率はわずか7カ月である。

 2つ目は海洋堆積物中のバクテリアから採取されたもので、タンパク質を分解する強力な酵素「プロテアソーム」から、抗がん作用のあるタンパク質を保護する。この医薬品は多発性骨髄腫や黒色腫、肺がん、膵がんの患者を対象としており、現在、臨床試験のフェーズ1が完了したところだという。

 しかし現段階では、海洋生物資源探査はその支援者が望むような大きな成果を上げていない。その理由の1つに、大手製薬会社が本気になっていないという点がある。資金投入量も少なく、まだ遠くから様子を見ている状態だ。

「いま、大手製薬会社の役員会議で海の話を持ち出したら笑われるだけだろう。しかし、海洋医薬品が本格化するのは時間の問題だ」と、ネレウス社のセトナ氏は話す。「2〜3年のうちに開発に成功し、製薬会社が次々と買い求めるようになる。そしてこう尋ねてくるはずだ。『どこでこれを手に入れたんだ?』、『量産は可能なのか?』ってね」。



 素晴らしい目のつけどころ。海は本当に未知ですからねぇ。人間の病気に有用な生物資源が眠っている可能性は大いにあります。

 その中には未だ難病とされているものや、今よりも副作用の少ない効果をもつものなど、様々なものが眠っていることでしょう。

 大海原のもつロマンは、医療の分野でも健在です。

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posted by さじ at 03:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 薬理

インプラント治療用のチタンの劣化を紫外線で防ぐ。

インプラントのチタン性能向上 紫外線で2−3倍に

 歯科のインプラント治療で使われる人工歯根などのチタン材料は製造後、骨細胞との接着力が半分以下へと急速に劣化するものの、紫外線の照射で回復することを、米カリフォルニア大ロサンゼルス校歯学部の小川隆広准教授(修復・インプラント学)らのチームが17日までに発見した。研究の一部を近く英国の専門誌に発表する。

 劣化後の接着力を2−3倍に高める技術を、日本で年内に実用化させるための準備を進めている。世界で年間数百万人が利用しているとされるインプラントなどの治療効果向上に役立つと期待される。

 失った歯を再建するインプラント治療では、ねじのようなチタン製の歯根を手術であごの骨に埋め込み、骨の細胞が歯根を覆って固定される4、5カ月後に、人工の歯をかぶせて完成させる。

 チームによると、チタン材料は製造直後から空気中の炭素が表面に付着し、細胞との接着力が1カ月後に約半分に、実際に使われることの多い数カ月後には約3分の1に、それぞれ低下することが分かった

 小川准教授によると、接着力が低下すると歯根が抜け落ちるリスクが高くなる。

 一方、チームは特定の波長の紫外線を照射すると炭素が除去され、接着力は照射しない場合に比べ、埋め込み後の早期には3倍、最終的には1・8倍に高まることを、ラットの実験で確かめた。



 へぇー。これは日本でも広がってほしい技術です。

 歯のケアって大事なんですけれど、やはり歯医者さんは「痛い」というイメージが強いですからね。今は昔より技術が向上しているため痛くないことが多いみたいですけれども。

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posted by さじ at 03:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | 歯科

コーラの飲みすぎで低カリウム血症になった症例。

コーラの飲み過ぎで不整脈や呼吸筋麻痺に、ギリシャの医師らが警鐘

 19世紀後半に米国で誕生して以来、世界中で愛飲されているコーラ。独特な風味と炭酸の爽快感が多くの人を虜にしているが、糖分が多いことから、肥満や虫歯、さらには骨密度への影響など、健康を害することがたびたび問題視されている。こうした中で、ギリシャの医師らがコーラを毎日大量摂取した人に起きた健康障害の事例を、英医学誌インターナショナル・ジャーナル・オブ・クリニカル・プラクティス最新号に発表した。

 ギリシャ・ヨアニナ大医学部のモーゼス・イリサフ博士らは、オーストラリアの男性に起きた事例を紹介。この男性はダチョウを飼育する44歳で、カンガルー狩りを楽しんだ夜に、突然筋力が低下して立つことも困難になり、自発呼吸もできなくなったという。病院での検査の結果、血液中のカリウム濃度が極端に低下する低カリウム血症に陥っていることが分かった。話を聞いてみると、男性は3年にわたってコーラを1日4リットル、さらにカンガルー狩りのときは1日10リットルも飲んでいたそうだ。医師がコーラの量を減らすようアドバイスした結果、血中カリウム濃度が正常に戻り、筋力の低下も回復した。

 別の事例では、21歳の妊婦が疲労感や食欲不振、持続的な嘔吐を訴えて入院。検査をすると、不整脈のほかに血中カリウム濃度が低いことが判明した。この妊婦も1日3リットルのコーラを飲み、入院前の10か月に限れば最高で1日7リットル飲んでいたという。コーラを控えてカリウムのサプリメントを摂取した結果、病状は完全に回復した。

 低カリウム血症は心臓を含む筋肉や腎臓などに障害を及ぼし、重度になると両手両足や呼吸筋の麻痺などを引き起こす。イリサフ博士らは論文で、個人差があるとしながらも「コーラなどに含まれるブドウ糖や果糖、カフェインを大量に摂取すると、低カリウム血症を引き起こすことを示唆した」との見解を示している。

 また同博士は、2007年度における世界の清涼飲料水消費量は1人当たり年間83リットルで、2012年には同95リットルに増加すると推計。特に米国は、すでに1人当たり年間消費量が212リットルに達しているという。

 コーラを含む清涼飲料水消費量の増加予想に、イリサフ博士らの論文を解説した米クリーブランド退役軍人医療センターのクリフォード・パッカー准教授は、飲料メーカーに対して警鐘を鳴らす。ガーディアン紙によると「飲料メーカーは、全年齢層に安全で適度な消費を促す必要があり、容量を小さくするなど健康的に飲めるよう、増加する需要に注意を払うべき」とコメントした。これに対し、英清涼飲料水協会は「すべて極端な事例で、食事や生活の中で適度に飲む分には、コーラは全く安全な飲み物だ」と反論している。



 インスリンの作用によって糖分を細胞内に取り込むときに、同時にカリウムが取り込まれることで血液中のカリウムが減少してしまったために起こった、と考えられますかね。

 まぁこれはコーラに限った話ではないとおもいますけれども、コーラってのはそれだけ世界中の人々に愛される飲み物、ということでしょうかね。

 何事もほどほどが一番です

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posted by さじ at 03:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | 内分

2009年05月28日

宮崎大学医学部が臨床技術トレーニングセンターを開設する

臨床技術訓練所を開設 宮崎大学医学部

 宮崎大医学部(清武町)は、学生や研修医が救急医療や診察、治療方法を学ぶ「臨床技術トレーニングセンター」を開設した。実際に患者を診察する前に技術を身に着けるとともに、若手医師らに医療への関心をより深めてもらうことが狙い。

 センターは同学部福利棟2階を改装して活用。以前からあった上半身、下半身、腕など体の各部位の形をした訓練器具に加え、肺疾患を調べる気管支鏡、胃カメラを体験できるシミュレーター、気管切開や乳児の気道管理を学ぶ模型(トレーナー)などを新たに導入した。改装及び機材購入費は計約7000万円

 例えば、気管支鏡のシミュレーターは、装置に内視鏡を入れると気管支が画面に映し出され、無理な操作をすると装置が患者のせきのような音を発する。また、心肺蘇生法を学ぶ模型は、心臓マッサージの位置や強度、早さが適切かどうかなどをランプで知らせる。こうした装置により、誤りを確認しながら、技術を体得できる。

 同センターによると、日本の医学教育はこれまで講義中心で、知識偏重の傾向があった。臨床実習は教授や医師らが治療する様子を見て学び、その後、教授らの指導の下で、実際に治療する形だった。

 センター開設で、学生や研修医は実際に治療に当たる前に練習できるようになる。〈1〉危険がない〈2〉時間を掛け、繰り返し訓練できる〈3〉チームによる治療を訓練できる――といったメリットがあるという。

 同学部は今後、高校生など大学外への開放や、他大学と合同の専門医養成にも取り組む計画。

 センターは25日、報道陣に公開された。同学部医学教育改革推進センターの小松弘幸准教授は「充実した設備を持つことで、若い人が医学により興味を持ち、さらに医師の確保にもつながれば」と話していた。



 心臓マッサージの人形などはよくあるでしょうけれど、気管支鏡のトレーニング器具まで完備しているとは。確かに若手医師は患者さんに触れながら学んでいきますけれど、こういう手技はできるだけ危険のない方法で習得していったほうが安全ですからね。

 こういうセンターを有効活用できるようになると良医育成が促進しそうです。決して無駄な出費ではないです。

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posted by さじ at 19:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 大学

2009年05月27日

神奈川県助産師会立の助産院「とわ助産院」が開院する。

産科医不足に助産師会立ち上がる 来月、鶴見区に助産院開院

 産科医不足が深刻化する中、神奈川県助産師会立の助産院「とわ助産院」(横浜市鶴見区、山本年映院長)が6月1日に開院する。助産師会による助産院は全国的にも極めてまれといい、周産期医療の厳しい現状を打開する切り札の一つとなるか注目される。

 「昭和30年ごろまでは自宅出産が主流で助産師会も地域で大きな役割を果たしていた。バトンを受けた私たちは、次代の助産師につないでいく役割があると認識している」−。同会の山本詩子会長はこう話す。

 同院は同区で長く開業していた「鈴木助産院」の閉院に伴い、施設を引き継ぎ横浜市の助成や会員からの貸し付け、寄付を受けリニューアル。助産師は常勤2人、非常勤3人を確保し、ベッド数は9床。嘱託医療機関は同市立市民病院で、月10〜15件の分娩取り扱いを目指す。産後の母親が不安を解消できるよう、施設を開放して子育て支援などケアしていくことも検討している。

 ただ同院の目的はそれだけではない。院内には研修会施設や実習受け入れ施設を併設、助産師育成の場として活用し、人員確保や質の向上を図っていきたい考えだ。同会は「これからのモデルとなるような助産院を作りたい」としている。



 正常分娩ならばこういう助産院のほうが良い出産できそうです。医師は異常分娩に従事し、出産のプロである助産師のもとで正常分娩する。産後のケアもしっかり行う、という。

 今後はこういう助産院が全国的に増えてゆくことでしょう。メリットもニーズもありますし。

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posted by さじ at 04:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | 生殖

日本でも第三者機関が医師の配置を行うようになるかも

医師配置、新機関で…厚労省研究班が提言

 医師不足や地域、診療科による偏在を解消するための抜本対策として、医師の計画配置がクローズアップされている。

 多くの先進国が何らかの計画的な医師配置策を取っているなか、厚生労働省研究班(班長=土屋了介・国立がんセンター中央病院院長)もこのほど、日本でも第三者機関が診療科ごとの専門医数などを定める計画的な医師養成を行うべきだとの提言を打ち出し、さらに論議が高まりそうだ。

 厚労省研究班は、舛添厚労相の諮問機関である「安心と希望の医療確保ビジョン」具体化検討会が2008年9月、医学部定員の1・5倍増などの提言を打ち出したのを受け、発足。質の高い専門医を養成するための制度改革などについて検討を重ねた。

 報告書では、〈1〉専門医の質の向上を図る〈2〉患者を幅広く診ることができる家庭医・総合医を養成する――ことなどを掲げたが、その具体策として打ち出したのが、専門医の定数を定め、計画的に養成するための第三者機関の設立だ。

 現在の専門医制度は、各診療科の学会が独自に認定。選考基準もまちまちで、定数も決まっていない。これが、産科や小児科、外科など激務の診療科で医師が不足する原因にもなっている。

 研究班は、専門病院や学会、医学部、開業医、自治体らで組織する「卒後医学教育認定機構(仮称)」の設立を提言。地域ごとに、患者数に応じた適正な数の専門医が養成されるよう、研修病院に対し定員枠の策定を求める。

 先進諸国の多くは、診療科や地域ごとに専門医の数を決めるなど、医師を計画的に配置する何らかの仕組みを設けている。フランスなどでは国による専門医数の規制が行われているほか、米国では医師らで作る第三者機関が専門医の養成数を定めている。

 医師に診療科や地域ごとの定数を設けることについては、「職業選択の自由を奪うのではないか」、「居住地の自由もないのか」など、医師の自由意思を無視した強制的な配置ではないかとの誤解に基づく、反発の声も一部に聞かれる。

 研究班では、医師が診療科や勤務場所を自由に選べる日本のように「市場に委ねる方法では、医師の配置は最適化されない」としたうえで、「強制的に行われるものではなく、患者数などに基づいて必要な専門医を養成することで、適正な医師配置に結びつけようとするもの」(土屋班長)と説明する。

 国は今年度の医学部入学定員を昨春より693人増やし、過去最高の8486人に増員。また初期研修について、来年度から都道府県ごとの募集定員の上限を設けるなど、「医師不足対策」を講じているが、いずれも診療科別の定数などを規制するものではなく、医師不足・偏在解消の抜本策とはならない。

 厚労省は、「今回の研究班提言を踏まえながら専門医のあり方を検討していきたい」(医政局総務課)としている。

 医師不足や偏在の影響は、とりわけ地方の救急現場などで深刻な人手不足となって表れている。鳥取大病院(米子市)救命救急センターでは今年3月末、人手不足などによる激務を理由に、八木啓一教授以下4人の医師が一斉に辞職する事態に見舞われた。

 同センターは専任の救急医7人に応援医師を加えた9人態勢で、年間約900人の救急患者を受け入れていたのが、2006年秋に2人が退職。月6回の宿直回数は10回ほどに増え、残った医師の負担は大きくなった。現在、横浜市立みなと赤十字病院救命救急センター長を務める八木医師は「救急専門医を育てようと頑張ったが、医師が集まらず心が折れた」と振り返る。

 厚生労働省による06年の調査によると、日本の医師数は27万8000人と10年前に比べ約15%増えているのに対し、勤務が厳しいとされる外科、産科医は8〜10%減少。また救急医は、最低でも約5000人が必要との試算もあるのに対し約1700人しかおらず、慢性的な医師不足状態にあえいでいる。

 鳥取大病院救命救急センターは現在、新しい救急医1人に、外科や整形外科などからの応援で急場をしのいでいる。豊島良太・同大病院院長は「何らかの医師配置の仕組みがないと、地方での医師確保は難しい」と話す。



 だいたい、いいんじゃないですかね。

 科ごとの人数を決めて、実力順に埋めていけば、生涯学習を怠っているやる気のない医師以外はだいたいやりたいところに行けるわけですし。

 開業医と勤務医もやっていることのレベルが全然違うわけですからねぇ。そこらへんうまく金銭面や義務の格差化でうまく調整できればいいんですけれども。
posted by さじ at 04:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | 大学

こうのとりのゆりかご、2年間で42人の子供を救う。

赤ちゃんポスト25人…昨年度

 熊本市は25日、親が育てられない子供を匿名で受け入れている慈恵病院(熊本市)の「赤ちゃんポスト」(こうのとりのゆりかご)について、昨年度1年間に預けられた子供が25人に上ることを明らかにした。

 運用が始まった2007年5月〜昨年3月末の初年度に比べて8人増え、この2年間の総数は42人となった。

 内訳は男児13人、女児12人。子供とともに残された手紙や医師の診断によると、生後1か月未満の新生児が21人、生後1歳未満が3人、就学前の幼児が1人。うち2人は治療が必要な状況だったが、虐待の痕跡はなかったという。



 42人もの尊い命が救われた、という結果に。

 思うんですけど、国は慈恵病院に多額の資金を支払わないといけないよね。

 「国に代わって」、42人もの人生を救ってきてるわけだし、国は病院に費用の全額を支払ってもいいくらいです。むしろこのような先進的試みを成功させているわけですからプラスアルファ払ってもいいぐらいですし、少なくとも人件費ぐらいは負担すべきでは?なんか運営当初は捨て子が増えるとか馬鹿けたことを言う人が大勢いましたけれど、落ち着いてきたようですね。

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2009年05月25日

アリの脳髄を食べ、アリを操るタイコバエの脅威。

アリをゾンビ化して操るタイコバエ

 タイコバエというハエの繁殖方法は実におぞましい。特定のアリに産みつけられた卵からかえったウジはアリの脳髄を食べ、アリを操るかのように移動させ、さらに頭を切り落としてその中で蛹となる。しかし、このハエの繁殖方法を、害虫であるアカカミアリの駆除に利用する取り組みが、アメリカ南部で進められている。

 タイコバエは、アカカミアリという毒針を持つ凶暴なアリの一種を見つけると、その体内に針のような管で卵を産み付ける。ふ化したタイコバエの幼虫(ウジ)はアカカミアリの頭の中へ移動し、そこで脳髄をすすりながら成長する。しばらくすると、アリはウジにコントロールされているかのように動き始める。

 同じ巣のアリからの攻撃を避けるため、アカカミアリはタイコバエの幼虫に操られるかのように巣を出て行く。たいていは、湿り気のある緑の多い場所にたどりつく。中には巣を離れてから50メートルもさまよい続ける“ゾンビ”アリもいるという。

 やがて、タイコバエのウジは、そのホストの首を切り落とし、内部を食べながらさらに成長する。そして卵が産み付けられてから約40日後に、ほぼ成虫に近い蛹になる。

「このハエのウジは、アリを断首するだけではなく、アリをゾンビに変えてしまうようだ」と、アメリカ農務省の昆虫学者サンフォード・ポーター氏は言う。

 アカカミアリは1930年代初期に、おそらくは農産物の貨物船でアルゼンチンからアラバマ州モービルに入ったと考えられる。ここ50年の間にアメリカ南部全域に生息域を広げ、在来種のアリが多数被害を受けている。そのためアメリカの研究者らは現在、外来種であるアカカミアリの繁殖を抑制するため、定期的に数種のタイコバエを野に放している。



 Koeeeeeee!!

 カタツムリと広東住血線虫の関係を思い出しますね…。

 しかしただ脳髄を食すだけなら操れないと思うんですけど、このように最適な場所に移動させるための工夫ってどのようにしてるんでしょうね。謎ばかりです。

関連:生焼けのカタツムリを食べた70人が広東住血線虫に感染し髄膜炎に。
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家族が喫煙者だと、子供は虫歯や歯茎の黒ずみが酷くなる

「家族の喫煙で子どもは虫歯になりやすい」 岡山大調査
  
 父母など同居する家族に喫煙者がいると幼稚園児や小学生は虫歯になりやすくなったり、歯肉が黒ずんだりする傾向のあることが、岡山大学の下野勉教授(行動小児歯科学)の研究チームの調査でわかった。受動喫煙が影響している可能性があるという。14日から大阪で開催中の日本小児歯科学会で発表した。

 調査は、幼稚園児85人と小学生166人の計251人を対象にした。その結果、幼稚園児の約3割(23人)、小学生の約3割(51人)で歯肉が黒ずんでいた。このうち、約8割の幼稚園児19人、約7割の小学生37人は、父母など家族が喫煙者だった。これに対し、黒ずんでいない場合では、約3割の幼稚園児18人、約5割の小学生54人のみ、家族が喫煙していた。

 また、小学生の歯肉の黒ずみ度を調べたところ、健康な歯肉の児童でも家族の5割弱に喫煙者がいたが、最も黒ずみのひどい児童らのグループでは全家族に喫煙者がいた

 また、虫歯になりやすくなっていることも示唆された。口の中の細菌の特徴から虫歯になる危険度を調べると、最も危険度の高いグループの6割は家族に喫煙者がいたが、低いグループでは4割にとどまっていた。

 チームは、煙からの防御反応で歯肉が黒ずむのではないかとみている。また、たばこの煙によって唾液の量などが減り、虫歯の原因となるミュータンス菌が増えた疑いがあるという。

 調査した岡崎好秀・岡山大講師は「まだ、因果関係ははっきりしないが、子どもに悪影響を与えないためにも禁煙をして欲しい」と話している。



 そもそも子供を育てるということは、子供の前で煙草を吸わないことと同義とすら思います。

 明らかに害があると分かっている煙草を家庭内で吸うのは、もはや自分だけの問題ではありません。子供だって親を選んで生まれてきたわけではないのです。自分だけが癌で死ぬリスクを増やすのなら構いませんが、子供にまでそのリスクを増加させるような真似はしないで下さい。

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posted by さじ at 02:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 呼吸

コラボクリニック新宿を作った城口社長がミニブログサービスを開始

東大、東工大の学生がミニブログ会社設立

 東大と東工大の現役学生が4月に設立したIT会社「ミログ」が注目されている。“ポストブログ”いわゆる“ミニブログ”サイトの運営で、その名を縮小して会社名にした。

 東大法学部4年生の城口洋平社長(21)はこう説明する。

「ミニブログは、会員が短文(ミログは140字程度以内)で投稿するのが最大の特徴です。例えば“今、何している?”という問いかけに、“起きたばかり”とか“電車で通勤中”“洗濯物を取り込んだところ”などと何げなくコメントできます。米国の先発サイト“Twitter(トゥイッター)”は、短文で気軽に書き込みができると大人気。ボクはシリコンバレーで昨年、数カ月間、トゥイッター(日本語に訳すと“つぶやき”)サイトを体験し研究しました。日本ではケータイだけで投稿するシステムです」

 会員は登録料無料。運営費はサイトに参加する法人や団体からのスポンサー料で賄う。東工大4年生(22)が副社長で、ほかに学生や大学院生たちがスタッフ。サイトの本格稼働は25日からで、年内会員数は50万人が目標だ。

 大学発ベンチャーは一時もてはやされたが、軌道に乗ったところはほとんどない。「ミログ」は3年後に株式公開を目指している。



 これは流行らない気が。twitterと何が違うのか分からないというか、現行のサービスのおいしいとこどりという点がウケるんでしょうか。最大のメリットは携帯のみというところか。

 いやそんなことを言いたいんじゃなくてですね、

 この社長、何か見覚えあるなと思ってたら、あの1年近くで廃業した「コラボクリニック新宿」の社長なんですよね。

講師紹介 「コラボクリニック新宿」 プロデューサー 城口洋平

 灘校出身、灘校時代に、灘校テニス部を全国3位に導き、生徒会長をつとめ灘校改革を行いながらも、灘校文系1番の成績で東大文一に現役合格を果たす。昨年末、東大医科学研究所と共同で日本初のコンビニクリニックとして「新宿コラボクリニック」設立のプロデューサーをつとめ、TV、新聞等に数多く掲載。現在は、医療ビジネスに取り組む一方で、民主党参議院議員鈴木寛のゼミ長として日本の社会創造に奔走中。


 そのー、果たしてコラボクリニック新宿というものを設立して、どうだったんでしょうか。採算合わないから早々に撤退、で改善もなく2年ほど経ったわけですけれど、それを含めて医療に対してどのように感じたのでしょうか

 そういった反省点とか改善点が生かされなければ、せっかくの大勢の方の協力も無駄になってしまうのではないかと。コラボクリニック新宿で協力してくださった医師の方々(実際に診療に力を貸してくれた方)にも申し訳ないというか…。

>日頃はコラボクリニック新宿にお越しいただき、ありがとうございます。
>当院は2007年12月28日をもって診療を終了いたします。
>定期的に通院いただいている患者様には、適切な医療機関を
>ご紹介いたします。


一番、たちわりい。

心療内科庭先開業(予定)


ビジネスとしてどのように考えていたのか分かりませんが、1年で撤退、ということはビジネスモデルとしてはおいしくなかったということでしょうか。

「聴診器一本だけでは日本ではあまりに初・再診料が安くて生きていけない」ということが逆に証明されてしまったような気がします。

多くのマスコミが注目していたようですが、いつの間にか消えてしまったようです。

>フランチャイズ化
という言葉そのものを理解していたかどうか分かりませんが、ぜひ設立前のビジネスモデルを見せていただきたいものです。

いろいろと参考になる気がします。
決して狙いは悪くはないと思うのですが、現実の医療行政からすると
「医療費は徹底的に削る。そんな甘いレヴェルじゃない」ということでしょうか。

勤務医 開業つれづれ日記



 なお、どうやら「ミログは、東大・東工大産学連携の協力を得て「大学発ベンチャー」として展開し、3月には東大医科学研究所と共同研究で、禁煙、メタボ患者向けの健康管理サービス「医療版ミログα」をスタート。」とのことですので、まぁこの機能も既存の域を出ないものではありますが、より簡単に、手軽に出来るようになると良いですね。

 例えば生活習慣病外来などで、よく「手帳」として血圧や血糖値などを記すものを手渡しますけれど、血圧計や血糖値測定器に赤外線送信機能のようなものをつけて携帯に送ると、その数値がそのままグラフとして表示されるようなシステムなどあれば、正確な数値が確実に積み重なるわけです。社長はやる気はあるみたいなんで、頑張ってもらいたいですね。医療で日本を変えるという言葉、有言実行してほしいと思います。

 ネットを介した医療モノってイマイチ連結しにくいんですけど、個人的に一番有益かもなと思うネタが1つあるんですよねぇ。患者さんの本音が綴られた日記って結構あるんですけど、それを主治医が知ったら治療内容とかももう少し改善されるのかなと思うことがしばしばあるんですよね。精神科の日記療法みたいな感じに、より本音を書きやすいmixiなどの公開日記だからこそ治療に有益な内容とか出てくると思うんですよね。まあそんなものを患者さんが医師に見せるはずもないし医師もそういったものに頼らず信頼を勝ち取って本音を言ってもらうしかないんでしょうけれど、言いづらいことも日記形式なら伝えられるという患者さんもいるかもしれませんしね。ニーズさえあればうつ病治療や人格障害などでは有益そう。
posted by さじ at 01:49 | Comment(3) | TrackBack(0) | NEWS

医療クラークの導入で勤務医の過重労働を軽減できるか

医療クラーク導入は勤務医の過重労働軽減となるか

 岩手県は四国四県に匹敵する広い県土に,二十二県立病院,五診療所があり,九つある二次医療圏の基幹病院として県民の医療を担ってきた

 県立病院全体では常勤医五百三十人が勤務していたが,今年もこの三月で大学人事を除き約一割,五十名ほどの医師が退職し,多くは開業医となる

 面積一平方キロメートル当たりの医師数を医師密度というが,岩手県は〇・一七人で北海道に次いで二番目に少なく,東京都の約一〇〇分の一である

 岩手県では,都会の医師不足とは異なり,医師不足イコール医療不足となっている.診療科の閉鎖は,産婦人科,小児科だけでなく,基幹となる内科,外科にも及び,五つある県立地域診療センターは四月から無床化された.医療の集約化など抜本的な対策が急務となっているが,現状では県立病院から他の県立病院への診療応援で何とか綱渡りをして凌いでいる.

 センター病院である当院からは,二〇〇七年度二千二百三十八件の診療応援を行った.一日七名前後の医師が,それぞれの地域に診療応援を行っている計算となり,留守を守る医師たちの負担も限界に達している.

 未曾有の高齢化社会,医療技術の進歩,高度医療の推進,平均在院日数の短縮,診療録の記載や患者への説明書類の作成,画像検査の予約,入退院サマリーや診断書,保険書類の作成など事務的な作業の増加により,医師の業務量は極めて増大している.

 劣悪な勤務環境と過剰労働に耐えかねて開業に向かう中堅医師の増加により,残された医師にますます過剰な負担がかかり,各地で診療科の閉鎖などが起こっている.勤務医の病院離れは進行し,新規開業が大都市圏を中心に集中している.開業の動機は,勤務医の処遇に対する不満とあらゆる束縛からの解放と都会志向であり,収入の増加も期待している.

 これまで日本の医療の質は医師の個人的な努力によって支えられてきた.医師や看護師は患者救済,弱者救済という使命感,倫理観を持って,劣悪な環境,安月給にもかかわらず献身的に医療を支えてきた.

 最近,医師や看護師の誇りを奪うようなクレームが増加し,勤務意欲を削ぎ,医療崩壊へと向かう大きな要因となっている.個人の努力には限界があり,劣悪な労働環境では職員の満足度の向上は望めず,職員の満足度が上がらなければ,患者の満足度が上がるはずがない.

 厚生労働省は,大規模病院勤務医の業務負担軽減を目的に,医師の事務を補助する医療クラークを平成二十年四月から診療報酬の対象にした.

 当院は七十五対一で始めることとなり,平成二十年四月,十名の医療クラークを採用した.医療クラークを導入して十カ月後の調査では,各診療科において,以下の事項について勤務軽減が図られたとの結果であった.

 文書作成関係では,診断書作成補助,退院証明書作成補助,退院サマリー文書作成補助,紹介状の返書の手配・宛名書き等作成補助など.医師が検査,手術等の同意書の説明と同意取得の際,医師が説明した内容を入力し,プリントアウトし,患者に署名をしてもらう.

 DPC入力補助,がん登録・脳卒中登録の登録補助,手術室の麻酔記録原簿の作成,心カテデータ入力など.

 各種カンファランスの準備,学会提出に必要なデータベース入力,学会発表用パワーポイント作成補助,検査伝票の整理・カルテへの添付,返却フィルムの管理と返却確認などが挙げられた.

 実際,勤務医の労働時間が減少したかどうかは不明であるが,看護師の業務は整理でき,医師は診療に集中する時間が長くなったように感じる

 現在,医療クラークに国家資格は設けられていないが,研修体制を強化することにより,医師と患者とのパイプ役としての役割を期待したい.インフォームド・コンセントの際同席し,患者の理解度を補足したり,患者の疑問や要望を医師に伝える役目も期待される.

 国民が医療に求めていることは,安全で質の高い医療であり,医療の平等性(どこでも,だれでも,診てもらえること)であり,医療費の抑制(安価でかかれること)である.この三点を同時に実現することは不可能である.医療はサービス業ではなく,必要な医療を求める行為は,商品を求める消費者行為とは根本的に異なる.

 医療者には,奉仕の精神と慈悲の心,良心的誠意が根本にある.ノーブレスオブリージュは,地位や身分に相応した重い責務,義務という意味の仏語であるが,志を高く地域医療を支えているのは,この精神である.医師である限り,地域医療を守るために頑張りたい.



 素晴らしい文章。岩手県立中央病院の望月泉副院長による文章です。

 「日本の医療の質は医師の個人的な努力によって支えられてきた」、まさにそのとおりだと思います。今まで日本の医療が世界最高レベルで誰にでも安価に提供できていたのは、ひとえに医師一人一人の努力によるものです。

 しかし何故か「医者バッシング」が加速し、医者は不当に儲けているとか、そういう馬鹿けたことを言われたり、医師が患者と対等にあろうとすればするほど、患者側から理不尽なクレームがついたりするようになりました。

 それが今の日本の現状であり、そんなところで過酷な勤務医を続けているのはやってられん、と開業に走る。それでも岩手県のような過疎地域で勤務医を続けておられる方は素晴らしく献身的だと思います。

 今まででしたら、過酷な勤務医をやめて開業に走るという選択は、残った医師に全ての仕事を押し付けて自分だけ楽しようという浅ましい考えによるところなどが多かったと思います。でも今は理不尽に押し込められているので、要するに「お上への反抗」的な意味で開業する人が増えているのかもしれません。それほどまでに過酷、激務、薄給なのが勤務医なのです。そういう状況にいろ、とは他人が言える状況ではないのです。

 医療クラークの普及、導入で、少しでも勤務医の労働を減らし、医療に専念する、というのも全国でやらなければならないことの1つだと思います。ホント無駄な書類書きのような、医療と呼べないような雑務が多いですからね。
posted by さじ at 00:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | 大学

2009年05月24日

かかりつけ医に、うつ病の早期発見のための研修を行う。

かかりつけ医のうつ病研修、県が初実施へ

 自殺との関連が指摘されている「うつ病」の早期発見・治療を目指し、県は初めて、「かかりつけ医」を対象に研修を開く。県健康づくり支援課は「身近な医師に安心して相談できる態勢をつくり、自殺防止につなげたい」としている。

 研修は、県内の全診療科の勤務医、開業医が対象。自殺の現状やうつ病の治療法、精神科医との連携のあり方などについて学ぶ。研修修了者には修了証書を渡し、県ホームページでも公表する予定だ。

 県警によると、昨年の自殺者数は3年ぶりに増え、自殺した598人のうち、うつ病が原因とみられるのは142人だった。

 うつ病は、頭痛やめまい、肩こりなどの身体症状が先に出ることも多い。日本医師会の「自殺予防マニュアル」によると、「抑うつ症状」の人が最初にかかる診療科は、約6割が内科で、精神科・心療内科は1割に過ぎず、「自殺予防で医師一般が果たす役割は極めて大きい」とする。

 研修は、8月8日に県松本合同庁舎、10月31日に千曲市更埴文化会館である。先着で各150人。県ホームページの健康づくり支援課のページから申し込める。



 たとえ内科医であっても、正しい知識さえあればうつ病の可能性を見出すことができます。そのための専門的な知識を精神科医などと共有することで、多くの潜在的なうつ病の方に正しい治療を施すことができるでしょう。

 それこそまさに地域に密着した開業医の役割です。一番発見しやすいであろう場所で見過ごしてしまうと、その人の病状が悪化して自殺に繋がりかねません。

 こういう試みは素晴らしいと思います。是非多くの方に学んでもらいたいですね。

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posted by さじ at 04:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神