2009年04月09日

自身の皮下脂肪の細胞で血管を再生し、閉塞性動脈疾患を治す

脂肪の細胞で血管再生 信大医学部が共同臨床試験着手へ

 信大医学部(松本市)は国内で初めて、患者の皮下脂肪にある幹細胞を血管再生に使う臨床試験を始める。4月中に厚生労働省の審査委員会に申請し、承認され次第着手する。現在は骨髄細胞を使う手法が主流だが、患者の体にかかる負担が大きいことが課題だった。皮下脂肪ならば比較的容易に採取できる上、治療効果も高いと期待されている。実現すれば、再生医療の普及に弾みがつきそうだ。

 臨床試験は、信大、名古屋大(愛知県)、熊本大(熊本県)、福岡徳洲会病院(福岡県)の4施設で行う。いずれも糖尿病などで手足の末梢血管が詰まる「末梢閉塞性動脈疾患」の重症患者を対象にする。

 患者の皮下脂肪100−300グラムを採取し、共同研究者である米サイトリ・セラピューティクス社が開発した機器で「脂肪組織由来幹細胞(ADSC)」を分離。病気で血液が流れなくなった部分の筋肉数10カ所に注射器で移植する。脂肪採取から移植終了まで数時間で済む。

 信大は2003年以降、骨髄細胞による血管再生を26例行った。骨髄採取には全身麻酔が必要で、患者への負担が大きい。一方、皮下脂肪は局所麻酔だけで簡単に採取できる点がメリットだ。

 さらに、共同研究者の室原豊明・名古屋大医学部教授(循環器内科)は「マウスを使った動物実験の結果によると、ADSCによる血管再生の効果はヒトでもかなり期待できる」とみている。

 臨床試験は、希望する患者を対象に実施。3年間で各施設10人ずつ計40人に行い、安全性や有効性を見極める。効果が確認されればさらに参加施設を増やし、将来は骨髄細胞による血管再生と同様、「高度先進医療」として医療保険適用を目指す。4月中にも、厚労省の「ヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会」に申請する予定だ。

 信大は、付属病院の循環器内科、形成外科、心臓血管外科、先端細胞治療センターがチームを組む。池田宇一教授(循環器内科)は「ADSCは骨髄細胞に置き換わり、血管再生にとどまらず、再生医療の中心的な『細胞源』になる可能性がある」としている。



 骨髄を採取して血管を再生するのも凄いと思いますが、脂肪を採取して、血管を再生できるようになれば、まさしく画期的治療法となるでしょう。

 糖尿病などで末梢の血管が閉塞してしまうと、そこの部分に血流がいかなくなるわけですから、足の指などが壊死してしまいます。血管を再生してやることで、壊死を防ぐことができるようになるわけです。

 いずれは国の保険適用となってほしいぐらいの素晴らしい技術。成功を祈ります。

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posted by さじ at 23:51 | Comment(0) | TrackBack(0) | 内分

ウミケムシの毒物質の合成に成功。抗炎症剤の開発につながる。

ウミケムシ 毒物質の合成に成功 新しい抗炎症剤開発へ

 素手で触ると炎症を引き起こす生物「ウミケムシ」の持つ毒の正体を突き止め、その毒物質を人工合成することに慶応大と名古屋大のチームが成功した。二十七−三十日に千葉県船橋市で開かれた日本化学会で発表した。新しい抗炎症剤の開発につながる可能性があるという。

 ウミケムシは体長一〇センチ前後の多毛類。比較的暖かい海を好み、日本では本州から沖縄の干潟などに生息する。体の側面に「剛毛」と呼ばれるとげがあり、触れるとかゆみを伴う炎症が起こる。炎症は数日続き、漁師や釣り人にとっては「嫌われ者」の海の生き物として知られる。

 炎症は毒物質によって引き起こされているとみられていたが、これまで特定されていなかった。チームは、沖縄県の泡瀬干潟でウミケムシの一種「ハナオレウミケムシ」を採集。アルコールで抽出した水溶性成分中の化合物をマウスの足の裏に注射して腫れ具合を観察するという手法を用いて、毒物質を探した。

 その結果、炭素が鎖状につながった構造の神経伝達物質「ガンマアミノ酪酸」を分子内に持つ有機化合物が毒物質と判明。ハナオレウミケムシの学名にちなんで「コンプラニン」と命名した。

 コンプラニンは、炎症を起こす際に重要な役割を果たしている酵素「プロテインキナーゼC」を活性化させていることが分かった。毒性はマウスなどを死なせるほど強くなく、有毒植物のアセビの百分の一程度だった。

 チームは、人工的に化学合成することにも成功。生物から抽出する必要がなくなり、合成物質で実験できるようになることから、物質の性質の解明が一層進むと期待される。

 慶応大の上村大輔教授は「炎症が起こる詳しい仕組みを今後さらに明らかにし、新しいタイプの抗炎症剤に応用する道を探りたい」と話している。



 ウミケムシ。海の毛虫です。

 体の側部に体毛を持ち、警戒すると毛を立てる。この体毛が毒針となっており、人でも素手で触れると刺されることがある。刺さると毒が注入される構造なので、毒針を抜いても毒は残る。刺された際にはセロハンテープ等で毒針をそっと取り除き、流水で洗い流す。


参考:wikipedia ウミケムシ

 釣りをする人にとっては天敵のようなものらしいですが、その治療薬開発も時間の問題か。
posted by さじ at 23:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 皮膚

絹を使った人工血管などの再生医療技術を東京農工大が研究。

絹で再生医療 東京農工大が研究

 手術用縫合糸など長年医療現場で使われてきた絹を、人工血管などの再生医療材料として利用する研究が、東京農工大(東京都小金井市)で進められている。医療材料として有用な遺伝子をさらに導入したカイコが吐き出す新素材の絹。朝倉哲郎・同大教授は「血管、角膜、皮膚、耳、骨、歯などの再生医療材料が安定かつ安価に得られる可能性がある」と、幅広い応用に期待している。

 研究開発が一番進んでいるのが人工血管。絹で作った直径一・五ミリの細い人工血管を、ラットの大動脈に移植。通常細い人工血管として使われているフッ素樹脂製の人工血管と比較した。その結果、フッ素樹脂製はすぐに詰まったが、絹製では一年間、85%のラットの血管が詰まらず正常に働いた。現在、生物系特定産業技術研究支援センター(さいたま市)の助成を受け、さらにブタへの移植実験も進められている。

 一般に絹は高強度で生体になじみやすい。さらに絹をいったん溶かして再度、分解されやすい再生繊維にしたり、フィルムやスポンジ、不織布にすることで、多様な再生医療材料にすることができる。フィルムは、傷の治療や目の角膜再生の足場材として、再生繊維や不織布は人工血管や吸収性の縫合糸に、スポンジは骨や歯の足場材に使える。耳や骨の形をした絹のスポンジ上で軟骨細胞や骨芽細胞を培養し、移植することも検討されている。歯に埋め込めば虫歯の再生も夢ではない。

 朝倉教授がこの研究を始めたきっかけは「絹は同じ断面積の鋼鉄より強い。カイコがつくるタンパク質がなぜこんなに強いのか」という疑問。そして「カイコ体内にある絹の水溶液が、どうして口から出た瞬間に強い糸になるのか」ということだった。

 このナゾは八年前、最新の構造解析手法、核磁気共鳴分光法(NMR)を駆使してついに解明できた。二十年間追い続けたナゾが解明できた時、朝倉教授は「一週間ほど興奮して眠れなかった」と言う。

 絹は基本的に、グリシンとアラニンという二つの単純なアミノ酸が交互につながっている。これらのアミノ酸が、カイコの体内では、分子内での水素結合と分子間での水素結合を交互に繰り返し、ゆるく巻かれた構造となって水に溶けている。カイコが絹を吐く直前に受ける「ずり」(粘性流体内の摩擦)と、カイコが頭を8の字に振ることで発生する「延伸」の二つの力が絹分子にかかることで、水素結合の部分が切断され、瞬間的にすべて分子間の水素結合に移行する。これで、絹分子同士が強く引きつけられた構造となり、強い絹糸になる。

 高強度の絹を作る「仕組み」が解き明かされれば、遺伝子を操作したり、再生繊維やフィルムへの加工プロセスを工夫することで、絹糸をさらに丈夫にしたり、再生医療用として細胞との接着性を高めたり、生分解性を高めたりできる。

 かつて、絹産業は日本の「お家芸」だった。バイオの力を借りて、再び新しい絹産業を興すことも夢ではない。朝倉教授は「社会の高齢化が進む中、絹の優れた特徴を背景に、それをさらに改変することで再生医療材料の基幹産業として創生することを目指す」と意気込む。

 絹は鋼鉄より強いが、クモの糸はさらに絹の三倍も強く、クモの糸も有力な再生医療材料。カイコはかつて「おカイコさま」と尊ばれた。朝倉教授の夢が実現すれば、「おカイコさま」や「おクモさま」など、カイコやクモが世界中から感謝される日がくるかもしれない。



 アツい。

 何より教授がアツい。超かっこいいです、こういう意欲的な研究者って。

 自然物でもまだまだ未開な部分はあります。昔からあったカイコ製品の数々を、より細かいレベルで検討すれば、最新式の人工血管に生まれ変わるのです。

 なんというか、ロマンありますね。

絹の繊維と織物の技法を用いて作った人工血管の世界。
再生医療が商業化の段階に入り、培養皮膚の製造販売が承認される。
posted by さじ at 23:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | 移植

2009年04月08日

着たままで医師が聴診できる「聴診衣」を開発。

着たままでOK「聴診衣」 学校健診向けに開発

 着たままで医師が聴診できる「聴診衣」を、帝人の子会社、帝健(大阪市)が開発した。衣類の上から聴診器を当てるので、下着を脱ぐことに抵抗のある人もスムーズに健診を受けられ、時間短縮にもつながる。学校などへのレンタルを始めたが、好評なようだ。

 下着をつけたままで健診する学校や医療機関もあるが、聴診器や皮膚との摩擦で雑音が起き、心音や呼吸音を聴くのが難しい。時間もかかるうえ、医師が聴診器を下着の中に入れるなどしてトラブルになった例もある

 直径数マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の極細繊維を高密度で編んでしなやかな素材にし、摩擦を大きく減らして雑音を低減したという。近畿大学の医師との共同開発。

 3月末、第1号で使用した日本工業大学(埼玉県)の健診担当者は「男女同時に健診でき、いちいち服を脱ぐ手間も省けた」と話す。レンタルは1枚500〜千円程度、5月末をめどに販売も始めるという。



 まぁこれを使っても男女同時に検診することはないとは思いますけれど、それにしてもいい発明です。

 いや、医師側からしてみれば別にいやらしい目的でやるわけではないし、異常を見逃さないよう必死で聴いているわけですけれど、多感な年頃にはそういう理屈も通じないんでしょうね。でも服の上から聴くより直にあてたほうがそりゃ聞きやすいですよね。

 学校検診のトラブルが減るならこういうのを学校側で導入したほうがいいんじゃないですかね。

女子高生への内科健診は、下着をつけたまま行うべきではない。
posted by さじ at 08:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | NEWS

ハリセンボンの箕輪はるかさん、肺結核で入院。

お笑いハリセンボン箕輪さん肺結核 東京都が接触者調査

 女性お笑いコンビ「ハリセンボン」の箕輪はるかさん(29)が東京都内の病院で肺結核と診断され、入院していることが6日、分かった。東京都は、劇場やテレビ局で観客らが感染した可能性がないとは言えないとして、調査を始めた。

 東京都福祉保健局によると、箕輪さんは昨年12月ごろにせきの症状が出て、今月3日に都内の病院で肺結核と診断された。箕輪さんの所属事務所「よしもとクリエイティブ・エージェンシー」によると、2カ月の入院が必要という。入院まで吉本グループの劇場やライブ会場、テレビ番組の収録スタジオなどで活動していた。

 同事務所は「応援してくださった一部の皆様に感染した恐れがあります。長引くせきなどの症状がある方は、すぐに病院や診療所で受診ください」とのコメントを出した。

 都によると、結核は空気感染のおそれがある。都は感染症法に基づき、所属事務所から箕輪さんの活動報告を受け、昨年12月以降に箕輪さんと接触した人について調査を始めた。都は、せきや微熱が2週間以上続く人には近くの診療所や病院への受診を勧めている。平日午前9時〜午後8時、緊急の電話窓口(03・5320・4572)でも相談に応じる。



 あの幸薄そうな人(失礼)ですか。

 今では結核は薬で治療できる病気ですが、長期の治療になってしまうために、完全に治りきらずに治療を中断してしまうケースなどがあるようです。

 最近カラオケボックス等を媒介とした結核が増加傾向にあるようで。決して「昔の病気」ではありません。診断されたらしっかり治してから社会復帰しましょう。

関連
医学処:女性看護師が肺結核に感染したまま4ヶ月間勤務していた。
医学処:福岡大病院の医師が結核の徴候がありつつも勤務を続けていた
posted by さじ at 08:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | 感染

2009年04月06日

鳥取大学病院救命救急センターの新体制が整う。

鳥大救命救急センター:新体制 安心してほしい

 専属医4人が一斉退職した鳥取大医学部付属病院(米子市西町)・救命救急センターの新体制が整った。病院は2日、記者会見し、従来は10人だった医師を13人にするなど体制強化を図ったことを明らかにした。豊島良太院長は「地域住民に不安が生じた点はおわびしたい。院内の応援態勢も整って新体制ができた。期待に応えられるので安心してほしい」と述べた。

 センターは3月31日付でセンター長だった八木啓一教授(54)ら4人が退職。補充、再編を迫られていた。

 新体制は、センター長に国立病院機構災害医療センター(東京都)の救命救急センター部長だった本間正人教授(46)を起用。ほかに各診療科の助教8、県派遣1、研修医3の医師12人を組み込んだ。救命救急の専門医は鳥取大出身の本間教授のみ。

 これと別に1、2カ月間は助教2人を緊急応援要員として確保。7月には2人目の救命救急専門医が着任する。看護師32人は専任制にした。

 また、1500万円かけて医療機器を近く更新し、一部施設を改修する計画

 センターは第3次救命救急センターながら、年間患者約1万2000人のうち軽傷で急がない患者が87%を占めているのが実情。このため豊島院長は、センターの負担軽減と第3次機関として充実を図るため、他の医療機関が積極的に患者を受け入れるよう各医師会を通じて要請していることを強調した



 こうやって病院が動いたのも、八木教授一同が退職したためか。「遅すぎる」というのが正直なところでしょう。最初からこのようにしていれば八木教授たちも残っていたでしょうし、より良い救急体制が整っていたのでは。

 しかし軽症患者が87%もいるというのは地元住民と地域の医療機関の問題ですね。鳥取大学は最後の砦。重症の患者に対応しなければならないわけですから、軽症患者は他の病院で診てしかるべきです。まぁ他の医療機関が非協力的というのと、患者側も安易に来院するという点でこのようなことになってしまったんでしょうけれども。救急機関の維持・存続のためには周囲の協力も必要です。

関連:鳥取大学病院の救命救急センターの惨状。

posted by さじ at 02:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | 救急

不登校の子供たちに、箱庭療法を行う医師。

不登校の子に寄り添う箱庭療法に取り組む医師 紫英人さん

 福井県鯖江市にある小児科・内科「ともだち診療所」。院長の紫英人さん(38)は、風邪や痛みなど一般診療のほかに、不登校の子どものために「箱庭療法」を手がけている。同時に診療所そばの真宗大谷派円立寺の住職。「ともだち」の名前は「倶会一処」の倶が「とも」と読めることから名付けた。「ありのままの自分を大切にして一緒に生きていこう」との願いを込めた診療所を訪れた。

 JR北陸線鯖江駅からタクシーで十五分。カウンセリング室にはいろいろなおもちゃが置かれ、ほっとする雰囲気があった。

 紫さんは「箱庭療法は、砂遊びを通して子どもの心を開放し、自分で自分を癒やす力を掘り起こしていくのが目的」と話す。何らかの理由で心と体の調子を崩し、学校に行けなくなった小中高生たちが、主に学校の先生の紹介で訪れる。

 原因不明の腹痛を訴えた十二歳の中学生。最初の箱庭作りの時、兵士や戦車の模型を砂箱に雑然と置いた。本人は「戦いをしているんだ」と言う。その生徒が付けた作品名は「紛争」。二回目では人形の配置が二つのグループに整理される。タイトルは「挟み撃ち」。

 三回目になると、自分たちの墓を守る日本軍が、アメリカ軍と戦う―というストーリーが生まれる。少年はぽつりと言った。「英語塾の先生がアメリカ人だけど、その先生の言っている英語がさっぱり分からない」

 このころから学校に行くようになった。腹痛があると保健室で休むなど痛みと上手に付き合うようになった

 四回目は「終戦」。その後、一時、不登校になったが、最後に作った作品は「救出」だった。「学校でのごたごたや塾での葛藤などを自分から語りながら心の混乱に整理をつける。それでもやはりいやなことはあるけれど、自分で自分を救出する、ということを知ったのだろう

 その中学生のように箱庭作りに自発的に取り組むのは、訪れた子どもの三、四割。関心を示さない場合は対応が難しい。紫さんはいきなり家族構成を聞くことはせず、とにかく一緒に遊ぶことを心掛けている。将棋、人生ゲーム…。「子どもと心が通い合うのは何か方法論があるのではなく、たまたまぴたっと合うものが見つかった時にそうなる」

 紫さんは円立寺で生まれ、十二歳で得度。福井大医学部を卒業し心臓血管外科医になったが、激務が続き疲れ果てた。二〇〇〇年、医師をやめるつもりで京都市にある大谷派の教学施設「大谷専修学院」に入学した。

 そこに講師として訪れた小児科医の梶原敬一さんとの出会いが転機になった。梶原医師も僧侶。精神科の領域とみられていた箱庭療法にあえて挑戦する姿に心を揺さぶられた。医師はこうあるべきだという思い込みにしばられていた。やりたい医療は自分でつくればいいんだ―。

 それまでの経験を全部捨てて、一からやり直すつもりで梶原医師が働く病院に勤めた。福井県敦賀市の国立福井病院(現在の国立病院機構福井病院)を経て、昨年十月に郷里の鯖江市で開業。父の順英さん(66)から住職を任され、寺の仕事と診療のやりくりに悩むが、ジレンマを感じることで学べることもある。

 「浄土は、あの世のことと考えられているが、私は生きているこの世こそ浄土にならないといけないと思う。誰もが気安く集まれる公民館のような診療所でありたい」

倶会一処

 多くの人が一つの場所で集うという意味。阿弥陀経は阿弥陀仏の浄土に往生すれば上善人(宗教的善を身に付けた人)と会うことができると説く。

箱庭療法

 砂箱と模型玩具を使って一つのまとまった世界を表現する心理技法。スイスのユング派心理療法家カルフによって開発され、日本では1965年、故河合隼雄さんが紹介した。砂箱は縦57センチ、横72センチ、高さ7センチ(規格サイズ)。治療者は箱庭を作る子どもの横で静かに見守るのが原則。子どものさまざまな表現を受け止めることで自己治癒力を促進していく。



 うーむ、素晴らしい医師です。自身の中で葛藤があったからこそここまで善い医師になれたんでしょう。

 今の社会、子供たちは当然のように学校にいき、大学まで行かされます。(行くのではなく、行かされている場合のほうが多いと思います)

 そんな中で子供たちを個別にサポートする学校や家庭などの環境に不備があったりすると、子供たちもどうしていいのかわからなくなってしまうでしょう。周囲から押し付けることが当たり前の社会ですからね。

 不登校になった子供の心を開いていく、途方もないほど難しいことにあえて挑戦し、会得した医師ほど、子供たちにとって心強い味方はいません。

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posted by さじ at 02:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神

京大「一人でパソコンをするより仲間とマージャンを」

1人でパソコンより、仲間とマージャンを

 コンピューターのひとり遊びより、みんなでマージャン卓を囲もう――。京都大工学部の大嶌幸一郎学部長は2日、入学式を控えた新入生ら約千人を前に、遊びから人間関係を築く大切さを説いた。人付き合いが苦手な学生は就職活動でも苦戦するとも語り、「大学にいる間に克服して」と呼びかけた

 「30、40年前と違い、京大に入ることが就職のパスポートには全くならない」。大嶌氏はやや厳しい言葉であいさつを始めた。

 ものづくりの世界でも様々な分野の人と協力する協調性が重視されていると説明。「クラブ活動でも、マージャンをするのでもいい。自分の輪を広げてほしい。絶対に下宿でコンピューターとだけ遊んでいることはやめて」と語りかけた。就職活動で苦戦する学生が多いことにも触れて「集団討論でしゃべれない学生が多い」と、友達との会話で社会性を磨くことを勧めた

 建築学科に入学する男性(18)は「コミュニケーション能力が就職するには大切と、大学4年の兄からも聞いた。学部長の話はその通りと思った」と話した。



 いい演説。

 コミュニケーションが出来ない大学生は、往々にして自分の世界を「正しいものだ」と思って閉鎖的になりがちです。まず相手の意見を聞くこと。それを正しいかどうか吟味すること。こういったプロセスを最初から拒否している場合が結構ありますね。

 まぁ大学生になってしまうと人格というものはなかなか変化しにくいものですが、最初から諦めずに自分をより良い人間にしようという努力が必要なのだと思います。

 特に京大のように優秀な学生が揃っている場というのは、コミュニケーションが非常に出来る人と、勉強ばかりしてきていてコミュニケーションが全くとれない人と両極端です。身近にいる人を参考にして少しずつ変わっていってほしいですね。

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posted by さじ at 02:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神

世界で4人しかいない、出来事をすべて記憶する病気

謎の病気で5歳以降の出来事を逐一記憶している男

 アメリカに、5歳以降に起きた出来事を逐一記憶している男性がいる。専門家によると、このようにズバ抜けた記憶力を持っているのは世界でわずか4人しかいないとのことだ。

 イギリス「デーリー・テレグラフ」24日付の報道によると、このアメリカ人男性とはロサンゼルスに住むテレビプロデューサー。自分がズバ抜けた記憶力を持っていることは中学に入ってから気づいたという。学生時代、勉強内容を難なく覚えることができたとのことだ。

 現在58歳のこの男性は、5歳以降、自分の誕生日をどのように祝っていたのか、40年間の正月の過ごし方などを事細かに思い出すことができるという。また1971年以降、誰がアカデミー賞を受賞したかもしっかりと覚えているとのことだ。彼の携帯電話のアドレス帳は「真っ白」で、友達の電話番号はすべて頭の中に入っているという

 専門家によると男性は「超常記憶総合症」という珍しい病気で、患者は現在世界にたった4人しかいない病気の原因については特定できていないとのことだ。



 どの分野にいても、記憶力というのもは必要なスキルです。覚えないより覚えているほうがいい。

 しかしこの方のように「何でも覚える」ということは「忘れられない」ということであり、人間に備わった「嫌な記憶を忘れる」という事象も起きないのでしょう。

 それは記憶力がいいから得をしたという点よりも、大きいことかも。案外苦しいものなのかもしれませんね。

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posted by さじ at 02:19 | Comment(1) | TrackBack(0) | 脳神

何故女性はおしゃべりなのかを科学的に検証する。

科学的に検証。女性が死ぬほど話すワケ。

 日本の女性は「やまとなでしこ」。おしとやかで、周りの空気を読んで、口数が少なく・・・なんて昔の話。「女性=マシンガントーク」といわれるほど今の女性はおしゃべり。南アフリカの研究所では、そんな女性の不思議に科学的立場からメスを入れるという勇気ある研究を行なった。
 
 女性がよく話す理由、それは脳にあった。アフリカ科学会(the SciFest Africa)でマイク・ブルトン教授は、女性と男性の脳の違いから、なぜ女性がおしゃべりなのかを発表した

 ブルトン教授の発表によると、女性と男性の脳には28の違いがあり、それらは性別によるものというよりも経験からできる後天的なものだという。ブルトン教授のチームは、1日の女性と男性の会話の違いを調査した。調査の結果、女性は8千〜1万のジェスチャー、6千〜8千の単語、2千〜3千のサウンドを用いて会話をしていた。一方男性は、ジェスチャーが2千〜3千、単語が2千〜4千、そしてサウンドが千〜2千と女性に比べて格段に少ない。

 また、女性と男性では「話す」という行為の意義も違っているという。女性はストレス発散のためや、他の女性との関係を築き上げるために会話するという。しかも、女性は話しながら相手の話を聞くという能力を持っているので、女性同士でも会話が成立する。一方男性のほうは、情報を交換するために会話をし、順番に話すタイプが多い

 この違いは右脳と左脳を繋いでいる部分が、女性のほうが大きいからだとブルトン教授は言う。この右左脳を繋いでいる部分が女性のほうが大きいので、女性は一度に複数のことをこなせる。また、同じ理由で、脳の障害から回復する可能性が大きいのも女性だという。脳の障害を持っている部分の役割を、障害のない部分が引き継げるからだという。男性の脳には、全体を見る能力が女性より優れているが、全女性の約10%はこの能力が男性と同等だという。



 たまーに、たまーにですけど、ホント余裕のないときには、女性の心底どうでもいい話にイラッとすることもあります、正直。

 私自身も、情報を交換するためにしゃべってる感は否めません。まぁ男の場合は、自分のことばかりしゃべるような人間はかっこ悪いと思っているっていうのもありますけど。

 脳の違いなんですねぇ、やはり。女性のほうが会話1つにしても色々なことを知るという意味では優秀なのでしょう。男は1つの側面からしか判断できない(=頭が固い)のかもしれません。反省すべき点ではありますが、、、脳のつくりが違う以上仕方ないことなのかも(ということで諦めています)
posted by さじ at 02:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | 生理

2009年04月05日

熱々のお茶を飲むと食道がんのリスクが2倍になる。

熱々のお茶は食道がんリスクを高める、イラン研究

 熱々のお茶を飲むと食道がんのリスクが高まるとしたイランの科学者による研究結果が、27日付けの英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical Journal、BMJ)」に掲載された。

 これまで、喫煙や飲酒と食道がんとの関連は指摘されているが、今回の研究結果によって、熱い飲料が喉の組織を損傷し発がんリスク要因となり得る可能性が示された

 テヘラン医科大学(Tehran University of Medical Sciences)の消化器系疾患研究センターの研究チームは、食道がんの罹患率が高いゴレスタン(Golestan)州で、のどに腫瘍があると診断された300人と、健常者571人を対象に、調査を実施した。お茶の摂取量の多いことで知られるゴレスタン州では、1人あたり1日平均1リットル以上の紅茶を飲んでいる。一方、喫煙や飲酒の習慣は低い。

 結果、65-69度のお茶を飲む被験者グループは、65度以下でお茶を飲む被験者よりも、食道がんの罹患率が2倍高いことが分かった。さらに、70度以上のグループでは、罹患リスクは8倍に高まった。

 テヘラン医科大の研究結果について、英医学専門誌「ランセット(Lancet)」、極めて高温の液体は、喉の上皮層を損傷し、発がんリスクにつながっている可能性があるとする論評を掲載した。

 一方で同誌は、人びとが好むお茶の温度の平均は56度から60度なので、パニックになる必要はないとしている。



 お茶大好き、コーヒー大好き、紅茶大好きな日本人も関係あるかもしれません。たまに熱いのを一気に飲んでしまうことありますよね

 そう、あの、なんかプラスチックのフタのついたカップのコーヒー。カフェで頼むとついてくるアレ。アレがホント苦手です。慣れればいいんでしょうけれど、一向に慣れません。いつ熱々の液体が飲み口から出てくるか分からない。出たと思ったら一気に喉に到達してしまう。いつもはずしますけどたまにかたーくフタしてあるのもあるんですよね。

 口の中は熱に弱い粘膜です。そんな熱々のお茶飲んでもしょうがないんで、適温で飲みましょう。冷ましながら飲みましょう。

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posted by さじ at 04:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | がん

恋に落ちた男性は魅力的な女性を8.2秒見つめる。

8.2秒の壁

 初対面の場合、男性が女性を見つめれば見つめるほど、その女性に興味を持つようになる。凝視の持続時間が4秒程度なら、全く関心を持っていないかも知れない。しかし、8.2秒という第2の壁を突破すると、恋と称するものに落ちてしまうのだ

 しかし、女性には当てはまらない。女性は、相手が魅力的かどうかに関係なく、男性を8.2秒以上見つめ続けられるのだ

 実験では、俳優や女優と会話している115人の学生の視線を、隠しカメラで気付かれないように追跡した。その後、学生は、会話した相手の魅力について評価するように求められた。

 Archives of Sexual Behavior誌に掲載された論文によると、男性は、魅力的だと評価した女優の目を平均8.2秒間見つめていたが、魅力的でないと評価した女優は4.5秒しか見つめなかった

 一方、女子学生では、どちらの俳優も同じ時間だけ見つめていた。研究者らは、男性が相性がよくて繁殖力のある相手を捜すのにアイコンタクトを使うのではないかと考えている。女性については、望まぬ妊娠や片親といった危険があるので、望まぬ相手の注意を惹き付けることに
対して用心深いのではないだろうか。

要旨

 我々は、会話中に異性を見つめる時間が、相手の肉体的魅力によってどれだけ影響されるのかを調べた。

 独身の被験者115人と、肉体的な魅力について「高い」か「低い」にランク分けした協力者を会話させた。交配についての戦略から考えて、魅力的な相手とデートしたいという男性の願望が見つめる時間を伸ばす一方で、女性では相手の魅力に影響されないだろうという仮説を立てた。

 男性が魅力的な相手を有意に長い時間見つめ、女性ではどちらの相手でも有意な差がなかったという結果は、仮説通りだった。デート願望について肉体的な魅力の影響が男女で変わらないという、これまでの先行研究とは異なる結果である。この結果について、求愛中の肉体的に魅力的な相手の好みや会話戦略という観点から考察した。



 確かに自分の好みの女性だとそれぐらいは見つめるかもしれないですね。男性で女性を8秒も凝視するとなると結構よほどのことかもしれません。女性には当てはまらないそうですけど、面白いですねこういうの。意外と誰が誰にホレてるのか、というのは傍から見ていて分かっちゃったりするものですし。

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posted by さじ at 04:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | 生理

医師不足で透析受刑者が刑の執行を停止されている。

透析受刑者:島根の新刑務所、収容見合わせ 医師・看護師不足で

 刑務所で透析が受けられず全国で100人以上の受刑者が刑の執行を停止されている問題の解決を期待され整備された、PFI刑務所「島根あさひ社会復帰促進センター」(島根県浜田市)が、医師・看護師不足のため透析が必要な受刑者の受け入れを見合わせていることが分かった。国は刑務所内の診療所を運営する島根県に対し、早期受け入れを強く要請している。

 PFI刑務所は民間の資金や運営ノウハウを導入、殺人などの凶悪犯罪以外の受刑者を収容。全国4番目の「島根あさひ」では、刑務所で全国最多の人工透析治療装置15台を診療所に備え、透析が必要な受刑者30人を受け入れる予定だった。

 ところが、刑務所がある同県西部の深刻な医師不足から08年10月の開所時に人工透析専門医を確保できず、県は受け入れを半年間延期。この間に地元医師会の協力で開業医5人が交代で透析治療をするめどがついたが、今度は看護師不足の問題が浮上した。

 診療所は9診療科で常勤医1人、非常勤医19人、常勤看護師9人が勤務する。ところが既に入所した男性受刑者約500人の健康診断で約8割が内科などで受診が必要なことが判明。「想定以上」(島根県医療対策課)の受診者数で、9人の看護師だけでは透析治療の対応が困難に。さらに同刑務所は今秋までに約2000人を収容予定で、看護師からは仕事量増加に対する不安や過酷な労働環境への不満の声もあがっている。県は看護師3人を追加募集しているが、応募は1人だけという。

 法務省によると、全国69刑務所中で人工透析治療装置があるのは「島根あさひ」を除くと8施設計35台。3月末で透析治療が受けられず、115人が刑の執行を停止され、自宅などから通院治療している。こうした事態に、同省矯正局は「遅くても5月中に受け入れてほしい」と話し、受刑者の選定手続きを進めている。



 難しい問題。無下にするわけにもいかんですし。週3回の血液透析が難しいなら腹膜透析にするしかないのかなぁ。でもそうすると8年ぐらいしか出来ないわけですし。国が費用出して透析完備かつ医師を派遣するシステムを作らないといけないですね。

関連
医学処:刑務所でも医師不足。1人もいない刑務所も8箇所に上る。
医学処:刑務所でもジェネリックを導入して医療費削減へ
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2009年04月03日

鳥取大学病院の救命救急センターの惨状。

救急医も研修医も足りない

 3人の研修医には3日に1度ずつ、宿直してもらっていた。2人に減ったからといって、さすがに2日に1度にはできない。「もう持ちません」。鳥取大病院救命救急センターの八木啓一・前センター長は06年度末、病院側に伝えた。

 当直は、センター常勤医と研修医の2人体制。だが、06年度からは研修医の減少分を7人の常勤医で穴埋めする状況になっていた。

 八木さんは医学部の教授も務めていた。ともにセンターで働く准教授と2人で、学生の教育や実習を年45コマ以上担当。土日は救急隊や開業医向けの講習などにも追われる

 医師不足は他の診療科も同様だ。同病院では06年2月以降、宿直をやめてオンコール体制(緊急時は自宅待機の医師を呼び出す)への移行が進んでいる。現在は21科のうち精神科など6科が宿直を廃止し、胸部外科など3科も一部の日しか宿直しない。このためセンターの宿直の負担が増す悪循環に陥った。

 それでも何とかセンターの運営を続けた。08年12月には常勤医が1人減り、八木さんは自身の宿直を月1回から4回に増やすことで乗り切ろうとした。

 だが、50代半ばの体には負担が大きい。夕方には動けないほど疲れ果てていることもしばしば。「続けるのは無理」と感じ、今年3月末にセンターの他の3人とともに退職した。鳥取大は4月以降、各科からの派遣医師でセンターを維持するが、前途は険しい。

 「放り出して辞めるのはひどい、という声も分かる。本当に申し訳ないが、退職という形で訴えないと、この状況は変わらないと思った」

 宿直について、労働基準法に基づく通知は「病室の定時巡回など軽度・短時間の業務で、十分な睡眠時間が確保されなければならない」とする。

 だが、次々と患者が搬送され、日中と変わらない激務の「宿直」をする勤務医は多い。労基法を守ろうとすれば、宿直を廃止せざるを得ない病院が続出するのは必至で、解決策の一つは交代制勤務を導入することだ。

 医師8人で3交代制勤務を敷く市立広島市民病院救急診療部。08年度は約5300件の救急搬送を受け入れたが、医師は4週間で8日の休みがとれ、残業はほぼない

 同部は初期診療が中心で、入院した患者は各科の宿直医が対応する。内藤博司部長は「交代制勤務ができるのは、病院全体の協力があるから」と話す。

 しかし、同病院は例外的な存在だ。06年度から2交代制勤務を導入した和歌山県立医科大病院救命救急センターの篠崎正博センター長は「いつまで維持できるか分からない」と不安を漏らす。

 所属医師約15人に加え、各科から約10人の応援を受けている。だが08年度、派遣の難しい科が出始めた。研修医の応援でしのいでいるが、10年度以降の体制は未定という。

 篠崎センター長は訴える。「救急は赤字だと言うが、必要な費用は診療報酬で賄えるようにしてほしい。職員を増やし、労働環境が改善されれば、救急をやりたい人も増えるはずだ」



 悲惨な状況ですね。

 なんか、地方だから医者が少ないというより、今まで何も考えてこなかったから、魅力的ではない病院になってしまったのではないでしょうか。例えば救急に力を入れるとして、病院全体で協力してくれさえすれば、鳥取大学付属病院の救急のような非常事態にはならなかったのではないか、と。
posted by さじ at 01:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | 救急

医師を全国に適正配置する第三者機関をつくる。

医師配置に第三者機関を

 地域や診療科の医師不足問題について、厚生労働省「医療における安心・希望確保のための専門医・家庭医のあり方に関する研究班」(班長=土屋了介・国立がんセンター中央病院院長)は、医師を適正配置するための第三者機関創設を要望する報告書の骨子をまとめた。今月、報告書を厚労省に提出する。

 骨子では、欧米諸国の多くには医師を適正に配置する仕組みがあるのに対し、日本のように診療科や勤務地を自由に選ぶのでは「医師の配置は最適化されない」と、指摘。医学部卒業後の専門医教育を担う「卒後医学教育認定機構(仮称)」の設立を要望した。

 機構は、病院や医学会、大学医学部、診療所、研修医などが参加して組織。地域、診療科ごとに必要な医師数を算出する。研修病院の専門医養成プログラムの評価や是正を行い、専門医の質向上を図りつつ、適切な配置によって医師不足の解消を目指す。

 骨子ではまた、患者の日常的な病気の予防、治療を担う家庭医・総合医を専門医のひとつと位置づけ、養成を促進。勤務体制が厳しい救急、産科、小児科医などの負担軽減につなげることなどを盛り込んだ。



 できない医師は地方に下り、できる医師だけが大学病院でやることができる、という感じになってくるんでしょうか。モチベーションの高低で決めるのならば平等といえば平等ですけれど。うーむ。

 まあ確かに大学病院クラスなら絶対的に人数は足りていませんけれど、開業医を分散させるのは、まぁいいかなって気もしますね。先を見据えた上で動かすなら構わないんですけど、医師不足だから緊急的に初期臨床研修を動かすとか、大学の定員を増やすとかしないで、もっと将来像を組み立ててからにしてほしいです。
posted by さじ at 01:29 | Comment(1) | TrackBack(0) | 大学

2009年04月02日

夜10時以降に寝る幼児は、発達が遅れやすい。

夜更かし幼児、遅れる発達…就寝夜10時以降で急増

 平日夜10時以降に寝る幼児は、発達が遅れたり、アンバランスになったりする危険性が高いことが、久留米大学の松石豊次郎教授(小児神経科)らの調査で分かった。

 子供の睡眠と行動との関係はこれまでも指摘されているが、幼児期の発達との関連が裏付けられたのは初めて。

 松石教授らは、大阪府と三重県で約400人の乳幼児を長期追跡する「すくすくコホート」調査で睡眠の分析を担当。生後18か月時点で、手足や視線の動き、言語・認知能力、社会性などの発達の程度を調べ、睡眠との関係を調べた。

 データのとれた298人のうち、59人が発達がやや遅れていると診断された。平日寝る時刻が夜10時より遅い場合、1時間遅くなるごとに、発達に問題のある幼児の割合が約3倍ずつ増えた。一方、10時前に寝る場合、寝る時刻と発達に関連は見られなかった。

 総睡眠時間や昼寝の回数などと、発達との相関は見られなかった。

 松石教授は「睡眠が原因なのか、発達の問題が睡眠に影響を与えるのかはまだ分からない。発達の問題は成長とともに変わる可能性があり、寝る時間を早くすることで改善するか調べていきたい」と話している。



 色々な因子が考えられますが、まぁ常識的に考えて、夜10時以降に眠るような幼児にしてしまう家庭というのはロクなものではありません。

 何度もこのブログで書いていますが、以前深夜のコンビニに小さい子供を連れてくる親御さんをみたことがあります。深夜に子供が起きている、という現実に直面して少し恐ろしく感じたものです。

 子供は寝るのが仕事。成長ホルモン分泌など、内分泌系に悪影響を来たしますので、子供の発達を妨げるような生活は極力避けるべきです。

関連
医学処:日本人は睡眠時間が短くなっており、とうとう世界で最短に。
医学処:週末に朝寝坊する子供は、成績が悪くなる。
医学処:中学生のときに朝食を抜いていた子供は性体験が早まる。
posted by さじ at 23:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | 小児

アクションゲームをすると目が良くなるかもしれない

アクションゲームで目が良くなる――米大学が報告

 成人がアクションゲームを多くプレイすると、目が良くなるかもしれない。研究者らが3月29日に発表した。

 彼らは、被験者にビデオゲームトレーニングプログラムを受けさせたところ、グレイの陰影の微妙な差を知覚する能力に優位な向上が見られたと報告している。この発見は、夜間の運転に問題を抱える人々の助けになるかもしれない

 「通常、コントラストの知覚能力の向上は、眼鏡の着用か目の手術――視覚に対する何らかの変更――によってもたらされる」と米ロチェスター大学のダフネ・バベリア氏は語る。同氏の研究はNature Neuroscience誌に掲載されている。

 「だがわれわれは、アクションビデオゲームは脳が既存の視覚情報をより効率的に処理するトレーニングになり、その改善効果はゲームをやめてから数カ月続くことを発見した」

 研究チームは22人の被験者を2つのグループに分けた。1つ目のグループはアクションゲーム(Acitivision Blizzardの「Call of Duty 2」とEpic Gamesの「Unreal Tournament 2004」)をプレイした。2つ目のグループは、手と視覚の連係がそれほど必要でないElectronic Arts(EA)の「The Sims 2」をプレイした。

 2つのグループは9週間にわたって50時間ゲームをプレイした。トレーニングが終わった時点で、アクションゲームをプレイした被験者は、陰影の識別能力が平均で43%向上していた。Simsをプレイした被験者にはそうした改善は見られなかった。

 アクションゲームをかなりやり込んだ被験者は、コントラストの微妙な差を知覚する能力が58%向上したという

 「アクションゲームをプレイすると、視覚処理に関連する脳の経路が変わる。この種のゲームは人間の視覚系を限界まで使い、脳がそれに適応する」とバベリア氏は発表文で述べている。

 同氏は、今回の研究で、アクションビデオゲームトレーニングが視力矯正を補完する上で有用かもしれないことが示されたとしている。



 成人に効果があるようです。

 眼を積極的に動かすことで筋肉のコリをほぐすことができるとか何とか。マジカルアイみたいな本もその一種でしょう。効果があるのかどうかは分かりませんが。

関連
医学処:ゲーム好きな外科医は、内視鏡などの手術の腕が良い。
医学処:ゲーマーは、自分自身が殺されたときに喜びを感じる。
医学処:テトリスをプレイするとPTSDの治療として効果がある。
posted by さじ at 03:02 | Comment(2) | TrackBack(0) | 眼科

医者の現実2 -国民の立場から-

産婦人科医あなたは当直の日は夜も働きなさい。
もちろん翌日は通常の勤務だから連続して32時間+残業してもらうよ。
入院患者の診察は毎日してね。
当然土・日・祝・盆・暮れ・正月も出勤してね。
出勤できないときは、あなたが代診の先生をお願いしてね。
休日出勤しても超過勤務手当ては出ないからね。
当直しても実態は時間外勤務だから時間外勤務に準じた税金を払ってね。
急患が来たら午前2時でも3時でも出勤して対応してね。
もちろん飲酒診療は訴えられるから、ここに就職したら酒は飲めないよ。
もちろん救急車を断るなんてとんでもない。
最近は軽症でも平気で救急車を使うけど、たらいまわしはしないでね。
眠くてミスをしたら自分が悪いから訴訟は自分で受けてね。
年俸制だから何年勤めても給料は上がらないからね。
もちろん年俸制だから何年勤務しても退職金は出ないからね。
退職しても医者は失業保険の給付を受けることはできないからね。
10年に1件は訴訟で負けて3億の賠償を払うことになるよ。
ミスは無くても事故があれば過失ありの報告をして示談金を保険料から払わせてね。
もちろん訴訟対策の保険料は自腹で払ってね。
過失ありの報告書を書いた以上、業務上過失致死罪で刑事事件になるよ。
学会に参加するときの出張代金は自腹で払ってね。
病院が赤字なのは医者の給料が高すぎるせいだからまず医者の給料から減らすべき。
自己都合で退職したら、マスコミと議会で「医者の使命感が足りないせい。」と言うからね。
住民は病院存続のため署名はしてくれるけど、選挙では公共事業を優先する議員に投票するからね。
自分の息子や娘は東京に行かせるけど、医師は使命感をもって僻地で働いてくれよ。
受験勉強では都会の高校生に勝てないから地元枠を作って優先的に医学部に入学させてくれ。
看護婦のお礼奉公は許さないけど、医師は地元のために貢献して当然。
都会からやってくる先生は名医だけど、地元の医者は藪ばかりだから安く買い叩いて当然。


・・・・これで公立病院で産婦人科医を続けろって言うほうが無理だと思うよ。



関連
医学処:医者の現実 -医療者の立場から-
医学処:医者の仕事
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医学の嗚咽8

14. 名無しさん 2008年09月30日(火) 07:26

俺のかーちゃん、俺が高3に上がったときに
いきなり倒れて入院した。

検査をして入院が決まったが
俺は内容を詳しくきかされなかった。
夏頃から受験勉強もあって
かーちゃんに会いにいく時間も取れなくなっていった。

俺は決して頭が良くはなかった。かーちゃんは立教出身。
俺は小さい頃良く「かーちゃんと同じ大学にいく」と言ってた。
実際に受験となると、ハードルは高かったけど
立教を目指してがんばった。
冬になり、かーちゃんは次第に痩せていった。
飯も食わなくなり、俺の手を良く握るようになった。
かーちゃんは俺に色々と話をさせた。
学校 進路 夢
何であのとき気がつかなかったんだろう…

涙が…ちょヤバ…
最後の模試の結果が出た。
努力の甲斐か、立教大B判定が出た。
俺からすれば奇跡に近い
おれは帰りに病院に行き結果を見せた。
俺「かーちゃん、おれ立教大いくよ。判定もホラ」
得意げに模試を見せた。
かーちゃん「がんばってるのね
タケシ(仮)が後輩になってくれたらかーちゃん嬉しいよ」
その日もかーちゃんは俺にたくさん話をさせた
俺の手を握りながら…楽しそうに
それからすぐ、俺は大学入試を迎えた。
大本命の日、朝早く起きて下に降りるとかーちゃんが台所にいた
俺:何やってんだよかーちゃん、寝てなきゃ
母:今日は本命の日でしょ、お弁当持ってきなさい

一年ぶりのかーちゃんの弁当だった
俺は涙が出るのをこらえながら準備をして出かけようとしたとき
かーちゃんが急に苦しみだした
俺は急いで病院に電話し、救急車がきた
家には俺しかおらず、付き添って行った。
意識が飛びそうになるくらい
混乱しながら苦しむかーちゃんの手を握った。
病院についてすぐ親父も駆けつけた。しばらくして担当医に呼ばれた。
最期になるかもしれないのでついてあげて下さい

俺と親父が病室に入ったときかーちゃんは無惨なほどだった
血の気は引き、やせ細り…しばらくして意識が戻った
かーちゃんはいつもみたく手を握った
病人とは思えないくらい強く
俺は子供みたいに泣いていた…
かーちゃんは声にならない声で何かを呟いていた。
俺は耳を近づけて聞き取ろうとすると確かにこう言っていた
「受けてきなさい」
そしてかーちゃんは俺から手を離した
そんなの無理に決まっている。
かーちゃんを置いて受験に行くなんてしかももう8時を回っている
間に合うとしてもギリギリだった。困惑した俺に親父が声をかけた。
「行ってきなさい、母さんもそうしなさいと言ってくれてるんだ」

俺はかーちゃんの手をもう一度握ると弾けたように病室を飛び出していた。
そこからどうやって来たかはおぼえていない。
走って…乗り換えて…池袋駅を疾駆して
何とか一限の筆記を受けたときやっと正常な時間の流れに戻った気がする。

昼休み、何も食べる気がしなかったがかーちゃんの弁当を思い出した。
俺は中庭でそれを広げた時
何とも言えない懐かしさと何かこみ上げるものを感じた。
それは俺が中高5年間食べたかーちゃんの弁当だった
おいしい…涙をこらえ食べた かーちゃん…
それからは流れるように時間がたち手応えも何も感じないまま
フラフラと地元まで帰った…

病室に入ると、かーちゃんは居なかった
看護婦さんに聞いて霊安室につれていってもらった。
数名の御遺体の中、変わり果てたかーちゃんを見つけ
俺は叫びともつかない嗚咽をし、かーちゃんを抱きしめた。

担当の看護婦さんに連れられてラウンジで落ち着くまで色々な話を聞いた。
かーちゃんは俺が来た数日は本当に機嫌がよかったそうだ
看護婦さんや医者、同じ病室の人にも よく俺の話をしていたらしい。
逆に俺が来ない日が続くと元気がなく、泣いている日もあったという。
帰り際に、一枚のメモをもらった。
病院備え付けの薄っぺらいメモ用紙には
震えた力無い「お疲れさま」の文字があった。
葬式や通夜が終わり、俺は発表を見に行った。
結果は合格
俺は泣いた
合格も嬉しかったけれど
何より心で叫んだ
かーちゃん、ちゃんと受かったよ!!!!
お祝いしてくれよ、かーちゃんの弁当で花見行こうよ
何で…こんな時にいないんだよ…

かーちゃん…

俺は合格通知をかーちゃんの墓に見せに行き
たくさんの話をした。
端から見たら変な人に見えるだろう
でも俺はこの18年間のごめんなさいと ありがとう を全部語った。


関連
医学処:医学の嗚咽
医学処:医学の嗚咽2
医学処:医学の嗚咽3
医学処:医学の嗚咽4
医学処:医学の嗚咽5
医学処:医学の嗚咽6
医学処:医学の嗚咽7
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医学ちょっといい話13「祖父は医者だった」

21 名前: 大人になった名無しさん 投稿日: 2008/04/10(木) 22:47:27


俺の祖父は医者だった。
 
 
 
っていっても金はなく家はボロボロで
食事なんか庭の野菜とお茶漬けと患者さんからの頂き物だけ。

毎朝4時に起きて身寄りのいない体の不自由なお年寄りの家を
診察時間になるまで何件も往診して回る。

診察時間になると戻ってきて待合室に入りきらないで
外まで並んでる患者さんを診察していく。

昼休みはおにぎりを片手にまた往診。

午後の診察をこなし食事をすませてまた往診。

夜中に玄関口に患者が来たり電話があればいつでも駆けつける。
一年365日休みなど無かった。

自分の体調が悪くなっても自分を必要としている人がいるからと
病院にもいかず診療を続け無理矢理家族に病院に連れて行かれた時にはもう手遅れ。
末期がんだった。

でもどうせ治らないなら入院はしないと痛みをごまかし死ぬ間際まで往診続けてた。

遺産なんか何もなし。
残ったのはボロボロの家だけ。

聞けば治療費を支払えない人ばかりを診察・往診していて
ほとんど収入なんか無かったんだって。

でも葬式のとき驚いた。

患者だけで1000人ぐらい弔問に訪れ、中には車椅子の人や
付き添いの人に背負われながら来る人もいた。

みんな涙をボロボロ流して「先生ありがとう、ありがとう」と拝んでいた。

毎年命日には年々みんな亡くなっていくからか
数は少なくなってきてはいるけど患者さんたちが焼香に訪れる。
かつて治療費を支払えず無償で診ていた人から毎月何通も現金書留が届く。


いつも忙しくしてたから遊んだ記憶、甘えた記憶など数えるぐらいしか
ないけど今でも強烈に思い出すことがある。


それは俺が厨房のときに悪に憧れて万引きだの、恐喝だの繰り返していたとき。
万引きして店員につかまって親の連絡先を教えろと言われて親はいないと
嘘ついてどうせじいちゃんは往診でいないだろと思ってじいちゃんの連絡先を告げた。

そしたらどこをどう伝わったのか知らないけど
すぐに白衣着たじいちゃんが店に飛び込んできた。

店に着くなり床に頭をこすりつけて

「すいません、すいません。」

と土下座してた。

自慢だったじいちゃんのそんな無様な姿を見て
自分が本当に情けなくなって俺も涙流しながらいつの間にか一緒に土下座してた。

帰り道はずっと無言だった。

怒られるでも、何か聞かれるでもなくただただ無言。
逆にそれがつらかった。

家にもうすぐ着くというときふいにじいちゃんが

「おまえ酒飲んだことあるか?」

と聞いてきた。

「無い」

と言うとじいちゃんは

「よし、着いて来い」

と一言言ってスタスタ歩いていった。

着いた先はスナックみたいなところ。
そこでガンガン酒飲まされた。

普段仕事しているところしか見た事がないじいちゃんが酒飲むのを見るのも、
なによりこんなとこにいる自体なんだか不思議だった。

二人とも結構酔っ払って帰る道すがら川沿いに腰掛けて休憩してたら
じいちゃんがポツリと


「じいちゃんは仕事しか知らないからなぁ。
 おまえは悪いことも良い事もいっぱい体験できててうらやましい。

 お前は男だ。
 悪いことしたくなることもあるだろう。
 どんなに悪いことをしても良い。ただ筋の通らない悪さはするな。」


と言われてなんだか緊張の糸が切れてずっと涙が止まらなかった。


それから俺の人生が変わった気がする。


じいちゃんのような医者になるって決めて必死で勉強して
もともと頭はそんなに良くは無いから二浪したけど国立の医学部に合格した。

今年晴れて医学部を卒業しました。

じいちゃんが残してくれたボロボロの家のほかにもうひとつ残してくれたもの。

毎日首にかけていた聴診器。
あの土下座してたときも首にかかっていた聴診器。

その聴診器をやっと使えるときがきた。
さび付いてるけど俺の宝物。

俺もじいちゃんみたいな医者になろうと思う。



関連
医学処:医学ちょっといい話8
医学処:医学ちょっといい話11「筋ジス患者の笑顔を永遠に」
医学処:医学ちょっといい話12「根路銘国昭氏の話」
posted by さじ at 01:40 | Comment(1) | TrackBack(0) | 日記
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