2009年02月28日

Peutz-Jeghers症候群の12歳、腸重積症で死亡。

「腸重積症」誤診で12歳死亡 両親が佐賀市を提訴

 腸の中に腸が潜り込む「腸重積症」が原因で次男(当時12歳)が亡くなったのは、佐賀市休日夜間こども診療所などが誤診したためとして、同市内の夫婦が市など3者を相手取り、約7600万円の損害賠償を求める訴訟を佐賀地裁に起こした。

 ほかに訴えられたのは、小城市の医療法人「ロコメディカル」と佐賀市の社会福祉法人「佐賀整肢学園」。

 訴状によると、次男は2006年3月25日から翌26日にかけ、腹痛や下痢を訴えて市休日夜間こども診療所など三つの医療機関を受診。嘔吐下痢症と診断されるなどし、27日未明に症状が悪化、同日死亡した。解剖の結果、腸重積症による腸管梗塞と分かった

 次男は腸重積症になりやすいとされるポイツ・イェーガー症候群という遺伝性疾患があり、こども診療所の医師は母親に、この疾患があることを確認していた。口唇の色素沈着斑などから同症候群と疑うことができたとして、「超音波検査で腸重積の発症を確認すべきだった」などと主張している。

 佐賀市健康づくり課は「訴状を読んで今後のことを検討したい」としている。



 おお。。。

 焦点となるのはPeutz-Jeghers症候群を知ってかどうか、というところと、どの程度痛がっていたかどうか、というところでしょうか。

 Peutz-Jeghers症候群は国家試験にも出るぐらいの疾患で、特に「口唇や足底の色素沈着」や「腸重積」がキーワードです。いちおう母親もPeutz-Jeghers症候群があることは伝えているでしょうから、腸重積も鑑別に上がってきます。

 でも12歳で、そこまで痛みを訴えていなかったとすると。うーん。でもエコーはやるかなぁ。本当に嘔吐下痢症もあったかもしれませんし。難しいところです。
posted by さじ at 20:18 | Comment(6) | TrackBack(0) | 消化

ずさんな滅菌処理を行っていた銀座眼科で感染性角膜炎。

銀座眼科、滅菌装置1度も点検せず

 東京都中央区の診療所「銀座眼科」でレーシック手術を受けた67人が感染性角膜炎などを発症した問題で、溝口朝雄院長が2006年の開院以来、手術器具の滅菌装置を一度も点検していなかったことが、中央区保健所の調べでわかった。

 使い捨てにすべき患者用手術着の使い回しも判明し、区保健所は衛生管理がかなりずさんだったとみて、67人以外にも発症者がいないかどうか確認を指示した。

 今回の集団感染は、角膜の表面を薄く切る道具の先端を高温で滅菌する装置の故障が一因である可能性が高いとされ、メーカーの調査で滅菌温度が十分に上がらない不具合が確認されたという。ところが、溝口院長は区保健所の調査に対し、「点検を行ったことがなく、正常に作動していると思った」と話したという。取り扱い説明書も院内に保管しておらず、区保健所は溝口院長が滅菌装置が適正に動いているか確認する方法さえ知らなかったと見ている。

 さらに、溝口院長は、手袋を着用せずに手術したことがあるほか手洗い用の消毒液についても「薄めて使っていた」などと説明。手術室の清掃は溝口院長が不定期に行っていたという。



 ただでさえ10年後の効果がわからんといわれているレーシックを、何だかよく分からない滅菌技術と、ずさん極まりない操作で行うとは。

 やはり眼科はあたりはずれが大きいんですかね。。。レーシックも、良いところでやれば非常に良いし安全と言われていますけれど、、こういう眼科は怖いです。

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posted by さじ at 18:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | 眼科

iPS細胞で新薬の心臓への影響を検査する技術。

世界初、iPS細胞で新薬検査…心臓への影響を確認

 様々な臓器や組織の細胞に変化する人間の新型万能細胞(iPS細胞)を使い、新薬の候補になる物質が心臓へ副作用を起こすかどうかを検査するサービスが、早ければ4月に始まる。

 実施するのはバイオベンチャー企業リプロセル(本社・東京)で、iPS細胞を使って事業を起こすのは世界で初めて。ヒトiPSは、作製の公表から1年余りで実用段階に入る。

 新薬は、効能や副作用を動物実験などで確かめながら、数万種類の物質から絞り込んでいく。生死にかかわる心臓への副作用が、最終段階の臨床試験で初めて分かった場合、数十億〜数百億円に及ぶ開発費が無駄になりかねない。このため、早い段階で副作用を確かめる手法が求められていた。

 リプロセルは昨年、サルの胚(はい)性幹細胞(ES細胞)を利用し、心臓への副作用を検査する技術を確立。今回はこの技術を応用した。

 小さな電極60個を張り付けた皿に、iPS細胞から作った心筋細胞の塊(大きさ0・1〜0・3ミリ)を入れたところ、正常な心電図のパターンの検出に成功。心臓への悪影響が知られている化合物2種類をこの皿に加えたところ、不整脈のパターンを検出、副作用を確認できたという。

 横山周史社長によると、国内外の製薬会社約10社が関心を示している。



 なるほど。これは必要な技術でしょう。新薬開発には莫大なお金がかかります。そのバクチ度数を低くして確実にするために、心筋細胞の塊を心臓に見立てて、悪影響があるかどうかを臨床試験前に調べよう、と。良い案だと思います。

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posted by さじ at 18:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | 薬理

HIV除去精子の体外受精で71人誕生、母子ともに感染なし。

HIV除去体外受精111組…71人誕生、感染なし

 エイズウイルス(HIV)に感染した夫の精液からウイルスを除去し、体外受精する生殖補助医療を国内で受けた夫婦が110組を超えたことが、治療の窓口を担う荻窪病院(東京都)の調査でわかった。

 71人の子供が生まれ、母子ともに感染例はないが、現在治療を実施している医療機関は2か所だけだ。ウイルス除去技術の習得が難しいことなどが理由で、実施機関の拡大が課題になっている。

 治療がこれまでに実施されたのは、新潟大、慶応大、杏林大。治療法が開発された2000年から08年までに、111組の夫婦で計267回の治療が行われた。その結果、延べ59人の母親が計71人の子供を出産した。

 杏林大は担当医師がいなくなったため、現在は中止している。治療を待つ夫婦は現在、約80組。荻窪病院では、全国の医療機関に協力を呼びかけているが、「母子に感染したら責任を負えない」「産婦人科医が不足し新しい治療を行う余裕はない」などとして、引き受けるところはないという。

 同病院の花房秀次副院長は「治療法の安全性は確立したと思う。だが、医師が安全に実施するための技量を身に着けるには研修が必要で、各病院は二の足を踏んでいる」と話している。



 ううむ、こういう技術も需要はあるんでしょうけれど、需要があるということがちょっと残念というか何と言うか。日本もあと数年したらHIV患者が当たり前のようにいる時代になってしまうんですかね。梅毒なんて昔っからあって、ペニシリンという治療薬ができたにもかかわらず、いまだに根絶できませんものね。性病って凄い。生き物の営みにダイレクトに絡んでくるだけあって。

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医学処:
posted by さじ at 18:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | 感染

義手の性能が大幅に向上。日常的なことは出来るように。

新しい技術で義手の性能が向上
 
 現在使用されている義手(artificial arm)は、二頭筋や三頭筋など上肢の筋肉を緊張させることで動作を制御するが、制御が難しく、しかも不格好で重いことから、あえて義手を使用しない切断患者も多い。

 しかし、筋神経を再支配させることで脳が義手に直接情報を伝達し、バナナの皮をむいたり、洗濯物を畳めるようになることが、新しい研究によって示唆された。

 今回の研究で、米シカゴリハビリテーション研究所人工四肢神経工学センター長のTodd A. Kuiken博士らは、義手内に残存させていた神経を外科的に胸部と上腕の筋肉に移転させる新しい方法を検討。この神経によって、電気信号がコンピュータの助けを借りて義手に到達しやすくなるという。

 2007年1月〜2008年1月に、この手術を受けた腕切断患者5人と腕を切断していない対照群5人とを比較した結果、切断群では対照群と同程度の速度で肘や手首を動かすことができた。

 Kuiken氏は「この方法では基本的に、筋肉が送られた信号を解読することで腕の制御が向上する。"手首を曲げよう"と思えば手首が曲がるし、"手首を回そう"と思えば手首が回る」と説明している。

 同氏はまた、「これによって患者が料理や掃除、庭仕事などより多くの日常的なことをできるようになって欲しい。この技術はまだ開発途上で、一般的に使用できるまでには何年も要する。

 義手は6〜10万ドル(約564〜940万円)と非常に高価だが、それでも神経を用いることにより、脳と腕のつながりの向上が確認できたことは大きな進歩である」と述べている。

 米南カリフォルニア大学(USC)医療機器開発部門長のGerald E. Loeb博士は、同誌の論説でこの研究結果を称賛する一方で、「SFのルーク・スカイウォーカーの世界で登場したような義手を実現するには、数多くの技術を統合する必要がある。いくつかの技術は大きく進歩し始めたが、患者向けの製品に完成させるまでの道のりは非常に長い」と述べている。



 あと数年もすればこの技術が一般に普及するかもしれませんね。。技術的にはほとんどできているわけですから。電脳世界もすぐそこなのかも。iPS細胞で神経を再生させる研究とともに発展すれば、失った腕や脚を取り戻すことも夢ではない?

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posted by さじ at 17:46 | Comment(0) | TrackBack(0) | 介護

膵島を効率よく分離する新装置を野村ユニソンが開発する

「膵島細胞」効率よく分離 若年の糖尿病治療に新装置

 金属加工・産業機械製造などの野村ユニソン(茅野市)は、若年層が発症する1型糖尿病の治療法として研究が進む膵島移植に必要な膵島細胞を、ドナーから提供された膵臓から効率よく分離させる装置を東北大と共同開発した。従来は分離の際に酸素が不足して死滅する細胞が多かったが、同社が工業用装置製造で培ってきた中空糸膜(マカロニ状の管)の技術を生かし、酸素を供給することに成功した

 同社は2005年から、同大国際高等研究教育機構の後藤昌史准教授(膵島移植)と、豚などの膵臓を使って実験を繰り返してきた。10年度までに人体への応用が可能な装置を完成させ、臨床試験を経て14年ごろには製品化する計画だ。

 血糖値を下げるインスリンを分泌する膵島は、膵臓に島状に点在。人間の場合、膵臓全体の1%程度の約1グラムある。膵島移植では、脳死や心停止となったドナーから摘出した膵臓に、膵島細胞を分離するための消化酵素を含んだ溶液を注入。温度を保ちながら溶液を循環させる。

 分離して溶液に混ざる膵島細胞は一般に、約1時間かかる循環の過程で酸欠状態になり、死滅するものも多い。開発した装置は、酸素を透過する直径約2ミリの中空糸膜の中に溶液を通すことで酸素を取り込めるようにした

 膵島移植は海外では1970年代に始まり、脳死での臓器提供が主流の米国などで盛んだが、国内では04年に京大病院が初めて実施。開腹手術でなく点滴で移植するため患者の負担が軽いとされる

 移植に取り組む医師らでつくる膵・膵島移植研究会(事務局・福島県立医大)によると、これまで60例以上の膵島分離が行われたが、必要な膵島細胞を確保するために、患者1人に最大3人のドナーから提供されているという

 提供はほとんどが心停止後といい、後藤准教授は「心停止後は(酸素が供給されない時間が長く)臓器が傷んでいるので膵島分離には不利。新しい装置は(脳死移植が少ない)日本の移植環境では必要になる。1人の患者に必要なドナーを減らしていきたい」、野村稔社長は「1型糖尿病は子どもの時に発症する人が多い。さらに実験をして信頼性を高め、治療の役に立ちたい」と話している。



 膵島移植。インスリンを分泌してくれる膵島を取り出し、移植する方法ですが、点滴でよいというのが最大のメリットでしょうね。肝臓の門脈から点滴の要領で入れるだけですので、レシピエントにとっては非常に楽です。もちろん普通の移植と同じように、免疫抑制剤は使うんですけれども。

 日本では脳死移植がなかなか定着しそうにないので、この新しい技術を用いた膵島移植こそ、日本に馴染む膵臓移植の形なのかもしれません。

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医学処:膵臓のβ細胞の元になる幹細胞を発見する
医学処:糖尿病についてのまとめ
posted by さじ at 17:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | 移植

心肺同時移植の男性、順調に回復に向かっている。

機能正常、拒絶反応なし=心肺同時移植の男性−大阪大

 大阪大病院(大阪府吹田市)は18日、国内初の心肺同時移植を受けた30代の男性患者の心臓や肺の組織に拒絶反応は見られず、臓器の機能も正常で、順調に回復に向かっていることを明らかにした

 同病院移植医療部の福嶌教偉副部長によると、男性は一般病棟の4人部屋に移り、リハビリに励んでいる。約5年10カ月にわたってほぼ寝たきりの状態だったため、全身の筋肉が衰えており、しゃがんだ状態から立ち上がるのも困難な状態。現在は約200メートルを自力歩行できるようになった。

 また、移植前はわずかでも力むと吐血する可能性があったため、ペットボトルのふたを開けることすらできなかったが、男性は「ふたを自分で開けられるようになった」と喜んでいるという。福嶌副部長は「免疫抑制剤の影響で免疫力が落ちているので感染症に注意しなければならない」と話している。



 こちらの続きです。

 医学処:79例目の脳死臓器移植、国内初の心肺同時移植へ。

 30代の若さで5年10ヶ月も寝たきり状態・・・。そんな状態から、自力歩行できるようになるまでに回復する。臓器移植の大いなる意義が感じられます。

 順調に回復していっているようで。リハビリも血のにじむようなものでしょうけれど、頑張ってほしいと思います。
posted by さじ at 17:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | 移植

プロプラノロールは嫌な記憶を薄めることができる。

高血圧治療剤に過去の嫌な記憶を薄める効果も=研究

 高血圧治療薬には嫌な記憶を消去できる可能性があるとの研究結果を医学誌「ネイチャー・ニューロサイエンス」に発表した。将来的に、不安障害や恐怖症などの治療に活用できるかもしれないという

 アムステルダム大学の心理学者、Merel Kindt氏らの研究によると、健康な治験者が高血圧治療剤として知られるプロプラノロールを服用したところ、クモに対する恐怖の記憶が減退したという。

 これまでの動物実験では、恐怖の記憶は思い出す際に変化することがあるという。研究者らは、脳内の神経細胞に働きかけるプロプラノロールにも、記憶を薄める効果があると話している。



 プロプラノロール、いわゆるβブロッカーです。

 基本的に交感神経系を抑制するような働きをします。嫌な記憶がどういう仕組みで蓄積されているのかは分かりませんが、恐怖の記憶が減るというのは色々治療に使えそうです。

 けど、、、ただ普通に記憶が薄まるという効果はないんですかね、副作用として。なんか、あってもおかしくなさそうな気がするんですが。

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医学処:憂さ晴らしに酒を飲んでも、嫌な記憶が強化されるだけ。
医学処:恐怖の記憶にブレーキをかけるたんぱく質を発見する
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posted by さじ at 17:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | 薬理

そうめんは古いほど味が良いという常識は正しくない。

「そうめんは古いほどうまい」はウソ? 料理研究家論文

 そうめんは古くなるほど味がよいとされる常識は、正しくないとする実験結果を伝承料理研究家の奥村彪生さんが博士論文にまとめた。価格が最も高い「3年もの」は、脂肪臭や堆肥と同じにおい成分が、新物に比べ3倍に増えていた

 そうめんは、冬から春にかけて製造され、梅雨時期を1回経た新物、2回経た古物、3回経た古古物(大古物)に分けられ、古い物ほど2割ほど高くなる

 奥村さんは細めのそうめん3種(直径0.6〜0.7ミリ)を食品会社の研究所に依頼して分析、めんの油が分解して生じる嫌なにおいの成分を比べた。枯れ草のにおいの1―オクテン―3―オール、強い脂肪臭の2―ドデセナール、堆肥のにおいのヘキサナールが古いと増え、それぞれ古古物は新物の約3倍に増えていた。

 また、畿央大学(奈良県)健康栄養学科の4年生ら19人に、種類を明かさず、もっともおいしいものを選んでもらうと、新物4人、古物13人、古古物2人だった。太めのそうめん(直径1〜1.2ミリ)の新物では、全員が前者3種のどれよりもうまいと評価した

 奥村さんによれば、古いほどよいとされだしたのは、供給過剰になり始め、極細にする技術が生まれた江戸時代中期以降。細いほど作るのが難しく高級とされる。だが、細いと、ゆでたとき水分を吸って伸びやすく、新物より硬い古物の方が歯ごたえがいい。

 奥村さんは「そうめんが売れ残り、時間がたつと硬くなると偶然気づいたのではないか」と推測している。

 18日に開かれた美作大学大学院(岡山県)の博士論文公聴会で発表した。

 奈良県三輪素麺工業協同組合の寺田裕彦理事長の話「食味は個人の好みがあるので一概には言えないのではないか。何を基準にするかで好みはわかれる。こしのある方がおいしいという人は古物、大古物ほどいいという。においを気にする人もいるが、逆にそのにおいがいいという人もいる。製法や保存法も進歩して、使う油の量も減ったので、気になるようなにおいはそんなにないはずだ。」



 なるほど・・・。まぁ人それぞれってことですかね。

 日本では昔から保存食として食べられてきたものが、「うまい」と言われることもあるわけです。それはまぁその風土に合った食べ物ってことなんでしょうかね。外国人が食べたら臭いから古いそうめんは食べたくない、となるのかもしれませんけれど、日本人にしてみればその臭みこそアジなのだと。それはどの国にもあるものではないでしょうか。
posted by さじ at 01:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | NEWS

2009年02月27日

地球最後の日に備えて、種子を保管する研究所。

ノルウェーの種子保存施設、保管数が増加

 「地球最後の日」に備えて重要な種子を保管することを目的に開設されたノルウェー・スバルバル(Svalbard)の種子保存施設では、研究者らが絶滅の可能性のある約10万品種の作物を保存しようと殺到しており、保管される種子の数が増加を続けている。

 絶滅の危機にさらされている種子は、気候変動の結果として作物が壊滅的な被害を受け損失した際、世界的な食糧供給を保護するため非常に重要になると、プロジェクトの中核である世界作物多様財団(Global Crop Diversity Trust、GCDT)のキャリー・ファウラー事務局長は説明する。

 現在、農業用に使用されている作物は、予想される干ばつや気温上昇、また新種の害虫や病気に十分対処できるように自ら急速に進化することはできないという。

 ある最近の研究で、アフリカのトウモロコシ収穫量は、熱に強い新種が開発されなければ、2030年までに30%落ち込むことが判明したと、ファウラー事務局長は指摘する。

 種子を進化させるのに現時点では約10年かかるが、ファウラー氏は、GCDTは種子保存施設で保存されている種子の遺伝的特徴を分類することによって、新種の開発を加速したいと考えていると語っている。



 種子の保存って大事ですよねぇ。動物関連も永久的に保存できれば将来技術が発達したときによみがえらせることが可能、かも?精子と卵子さえあれば、人工的に生み出す技術、というのは想像つきますからね。

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posted by さじ at 03:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | 生殖

独りぼっちの寂しさは、健康にも害を与える。

孤独の寂しさは健康に被害を与える。

 心理学者によると、独りぼっちの寂しさは喫煙や肥満と同じく健康に害があるとのこと。

 他人とのつながりの欠如が、我々を不幸にするだけでなく、身体や精神にも悪いことが発見された。拒絶されたという感覚や孤立が、血圧やストレスのレベル、一般的な消耗と同様にアルツハイマー病を発症する確率も引き上げる。また、力や耐久力も減少するため、健康的な生活を送る能力も影響を受けるという。

 この研究は、シカゴ大のJohn Cacioppo教授がAAASの年次総会で発表したもの。

 独りぼっちの寂しさは行動を変えるだけでなく、心血管系を通る血流の高い圧力にも関係する、と同教授は述べる。ストレスホルモン・コルチゾールを朝のレベルにまで引き上げ、免疫システムや高血圧、鬱の段階の引き上げに影響する。また、深い睡眠の取りづらさや、アルツハイマー病の早い進行にもつながる。

 同教授は、健康に関して、孤独な人と人気者の違いを、喫煙者と非喫煙者の違いにたとえる。「この結果は、私を含め、研究チーム全員を気絶させるほどのものでした。それだけ強力なのです」

 「孤独な人は病弱になります。運動せず、静かにすることが多く、多くのカロリーを摂取します。彼らはより多くの脂肪や砂糖を摂取して自らを慰めるのです

 「孤独は自分自身のコントロール能力を引き下げます。辛い日の後、慰めに二杯目、三杯目のスコッチに簡単に手を出してしまうのです」

 「社会的神経科学」という新しい分野の創設者の一人でもある同教授は、他人とのつながりの必要を追求し、進化論的ルーツに辿り着いた。古代において生き残るためには、人々は子供を育てるためにつながりを持つ必要があった。栄えるためには、利他主義や協力を広げる必要があった、と結論付けた。

 同教授は、火から指を遠ざけるなど、物理的な痛みが行動を変えるきっかけになるように、独りぼっちの寂しさという感覚が行動のきっかけとして進化したのではないか、それが他人との関係性の修復という先祖代々の必要性を示すものなのではないか、と考えている。

 同教授は、さらに、この社会的孤独という問題が、従来の家族構成が死に絶えるに伴って深刻化するだろうと言う。なぜなら、人々はより長く生きるようになり、出産も遅く、子供も少なくなり、より世界中を動き回るようになったからだ。また、調査によると、一世代前に比べ、人々は親しい友人の数が有意に減っているとのことである。



 この領域は今の日本にこそ必要な学問なのではないか、と思います。

 確かに孤独の寂しさ、それによるストレスは計り知れないものがあります。人は一人では生きていけない、ということは医学的にもいえるのではないでしょうか。人間は強くありません。それゆえに別のほうほうで補おうとした結果、生活がすべてよろしくない方向へ傾いていく、と。

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posted by さじ at 02:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神

2009年02月25日

広島大学の小児科医師が10人一斉に退職した理由とは。

広島大小児科医師、年度末に10人辞職

 広島大学病院小児科医局の医師10人が今年度末で辞職することが、広大への取材でわかった。ほかに、昨年9月からすでに2人が辞職し、今年4月以降も1人が辞める見込み。4月に後期研修医7人が入局するが、同医局がこれまで通りに地域の各病院に医師を派遣するのは困難で、小児医療が十分提供されなくなるおそれがある。

 広大によると、同医局には約120人の医師がおり、うち約100人が広大病院以外の広島県内の公立と民間の30病院へ派遣され、常勤している。大学病院内で勤務している医師たちも、診療や研究のほかに多い人で1カ月に9回は広大以外の病院で非常勤として働き、うち3回は当直をこなしている。

 3月末で辞職するのは、広島市立舟入病院(広島市)や呉共済病院(呉市)に派遣されている医師ら8人と、広大病院内で勤務する2人。辞職する医師たちのほか、昨秋から今年度末までに3人の医師が出産にともなう休暇に入る。このため4月以降は各病院への派遣体制を見直さざるを得なくなり、入院機能を維持できずに、外来のみとなる病院が出てくる可能性もある。

 呉共済病院では、4人の小児科医のうち広大からの1人が年度末に退職するため、市内の3病院で実施している夜間救急輪番制のあり方を見直すよう関係機関に求めているという。

 13人の辞職理由は「県外の医療機関に赴任する」5人、「開業する」4人、「家庭の都合」2人、「眼科医になる」1人などだが、多くが「疲れた。体力が持たない」と述べているという。小児科は夜間に診療を希望する患者が多く、他科より勤務がハードだとされる。

 医師の大学病院離れの背景には、04年に始まった国の新臨床研修制度がある。制度によって、新人医師は大学の医局を経ずに自らの意思で全国どこの病院でも研修先に選べるようになった。大学病院の医局に入ると中山間地域へ派遣されることなどを理由として、都市部の民間病院に人気が集中。大学病院で研修する割合は新制度実施前の7割から半分以下に減少した。地域医療を担う大学の医局は、従来通りの派遣機能を維持することが難しくなり、急な人員減にも対応できなくなっている。

 広大の小林正夫教授(小児科学)は「大学病院以外の病院にも地域の病院への派遣機能を持ってもらわないと、地域医療は破綻する」と話している。



 確かにマッチングが理由で、広島大学には人が残らなくなったかもしれませんけど、それが当たり前ですからね、本来。研修医が自分で働きたいところを選べるようじゃないと・・・。そうなってしまった後の対策をどうするか、というのを考えることからスタートでしょう。

 確かに「大学病院以外の病院が派遣機能をもつべき」というのは当然かもしれません。今までは大学病院がそういう機能をもっていましたけれど、本来なら、例えば開業医がもうちょっと広い範囲で往診するとか、そういう改革が必要だと思いますね。医者の数が足りてないのは大学病院や大きな総合病院だけで、開業医は週何日もゴルフ行くぐらいの余裕がある人もいるわけで(もちろん少数であると信じたいんですけど)。たくさん働いて薄給の勤務医との格差を埋めるという意味でも、開業医が広くサポートしなければならないような法整備が必要なのかもしれませんねぇ。逆に週1日、総合病院へ勤務しなければならない、とか。

 勤務医にとって厳しい時代だからこそ、医師一丸となってサポートする体制を敷くとともに、医師を雇う側も医師が働きやすい環境にしていくこと、そして患者になりうる方々もそれを考慮して、例えば軽症なのに夜間救急に行ったりしないなどの配慮が必要であると思います。

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posted by さじ at 03:15 | Comment(1) | TrackBack(0) | 大学

歯周病が作り出す酪酸がHIVを活性化させる。

歯周病:HIVを活性化 菌が作る酪酸が作用 潜伏感染者、発症の恐れ

 歯周病の病原菌が作り出す酪酸が、潜伏しているエイズウイルス(HIV)を活性化させエイズを発症させる恐れのあることを、日本大学の落合邦康教授(口腔細菌学)らが突き止めた。米国の医学系専門誌に3月に掲載されるという。

 白血球の中の免疫細胞に潜伏しているHIVは、酵素の一種「ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)」によって増殖を抑えられている。HDACの働きが妨げられると、ウイルスが活性化し、発症につながることがわかってきた。

 一方、歯周病菌は増殖の過程で酪酸を大量に作り出す。歯周病患者の歯と歯肉の間の溝からは、健康な人の約20〜30倍の酪酸が検出される。落合教授と名古屋市立大学の岡本尚教授(細胞分子生物学)らは、酪酸がHDACの働きを妨げることに注目。HIVが潜伏している免疫細胞に、酪酸を含んだ歯周病菌の培養液を加えたところ、ウイルスが急激に増殖することを実験で確認した

 歯周病は軽度から重度まで含めると、25歳以上の国民の8割以上がかかっているとされる。落合教授は「HIVの感染に気づいていない人が、歯周病をきっかけに発症する恐れがある。今後はマウス実験や疫学調査で実態を解明したい」と話す。

 最近、歯周病が糖尿病や心臓疾患にかかわっていることが報告されている。今回の結果は歯周病がHIVなどのウイルス感染症にも影響をおよぼすことを示している。口の中を清潔に保つことの大切さが、再認識されるきっかけになるだろう。



 歯が命ー。

 歯科技術も大きく発達していますからね。今こそ定期的に歯科医を利用して、歯周病の予防につとめるときだと思います。年をとってから後悔しても遅いですからね。

 歯は全身と大きくかかわっていまして、歯茎から細菌が血液に入り込むことで、心臓で感染症を起こしたりします。結構怖いんです、これが。免疫を抑制しなければいけないときなどは、抜歯すらも要注意なほどです。歯は命、です。機会があれば定期的に歯科医を受診しましょう。

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posted by さじ at 01:56 | Comment(0) | TrackBack(0) | 歯科

生物を昔の環境に戻しても、DNAは少ししか逆進化しない。

生物を昔の環境に戻したらDNAは「逆進化」するか?

 ある生物をタイムマシンに乗せて過去に送り届けたら、その生物のDNAは逆方向に進化し、その遺伝情報は先祖返りをするだろうか?その答えが、科学誌「ネイチャー・ジェネティクス(Nature Genetics)」(1月11号)に掲載された。

 実験に使ったハエは、1975年に採集された1つのグループの子孫だ。原生種はその後の数十年間で、さまざまな環境において500回もの世代交代を重ねてきた。

 これまで、さまざまな昆虫を、餌がない、湿度が極めて高いなどの過酷な環境に置く実験が行われているが、こうした経験を経た昆虫は周りの条件に適応するために特定の性質を発達させることがわかっている。

 エンリケ・テオトニオ氏らの研究チームは、多数のミバエを古代の環境で飼育し50回の世代交代ののちに第3染色体のDNAに「逆進化」の痕跡がないかを調査した。

 その答えは「イエス」だった。ただし「ある程度までは」のただし書きがつく。
 
 研究者らによると、ハエがいったん別の環境に順応すると進化の時計の針はそれ以上回らなくなる。「ハエが(研究室で再現された)古代の環境に十分に適応した時点で、逆進化は停止するようだ。この時のハエの遺伝子情報は古代のハエのそれとは一致していないと考えられる」と、テオトニオ氏は説明する。

 「歴史的にみて、進化は遺伝子レベルにおいても偶発的なものだ」と語るテオトニオ氏によれば、この研究は進化は一般に考えられている以上に複雑かつ非直線的であることも示唆しているという。



 不思議ですね。まぁそりゃそうか。一度進化してしまったものは、ある程度環境に順応するように変化はしても、以前のようにはならんのでしょう。

 1万年後、今の人間も何らかの形で変わってるんでしょうかねぇ。頭は大きく、顔は小さくなるといわれていますけれど、果たしてどうなることやら・・・そういえばY染色体も何万年か後にはなくなる運命にあるとか・・・。どうなっていくんでしょうねぇ。

関連:しかしアメリカでは進化論が受け入れられていない。
posted by さじ at 00:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | 生理

35歳以上で初めて子供を産んだ女性は産後精神病になりやすい

35歳以上の初出産、産後精神病になる率は若い母親の2倍超

 35歳以上で初めて子供を産んだ女性が産後精神病になる確率は若い母親の2倍以上との研究結果をスウェーデンのカロリンスカ研究所が明らかにした。

 同研究所は1983年から2000年までに国内で初めて子供を産んだ母親約75万人の調査データを基に、35歳以上で初出産した母親が出産後90日以内に産後精神病になる率は19歳未満で初出産した母親の2.4倍だと指摘した

 産後精神病は重い精神疾患で、妄想、幻覚、過食、睡眠障害などを伴ったり、自殺傾向がみられたりし、生まれた子供に危険が及ぶ恐れもある。このため、薬の投与や入院などの措置を直ちに取る必要がある。

 同研究所によれば、初出産した母親の8割は精神的不安、軽いうつなどを経験するものの、産後精神病になるのはおよそ1000人に1人。また、精神病になる女性の大半は以前に精神病の病歴があるが、産後精神病になる女性の約50%は精神病での入院歴がないという

 同研究所は一方で、喫煙や父親不在といった要素が産後精神病の発症に影響することはなかったほか、糖尿病を患っていたり、高体重児を出産したりした場合は産後精神病になる率が低かったとしている。



 誰でもなるもんだとは思いますが、喫煙の有無、父親不在といったリスクになりそうな因子があっても、産後精神病の発症には関係ないとする点や、糖尿病、高体重の子供を出産した場合にはむしろ低くなるという点が不思議ですねぇ。

 出産後も含めて、周産期のケアを施すのも、これからの医療の形かもしれません。もちろん看護師や助産師などを中心とした新しい形を全国的に普及できれば、少なくとも一人で抱えることはないかな、と。

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なぜインフルエンザは冬に大流行するのか。

インフルエンザが冬に大流行する理由

 なぜインフルエンザは冬に大流行し、夏には跡形もなく消えてしまうのか。この謎は数十年にわたって伝染病学者らを悩ませてきた。

 だが、この問題にもついに答えが出されるときが来たようだ。最新の研究によると、インフルエンザウイルスは絶対湿度が低いときに存続しやすく、したがって人から人へも感染しやすいことが明らかになったという。つまり、外気が冷えて乾燥していると感染が起こりやすいことが確認されたのだ。

 「インフルエンザと湿度に関する研究はこれまでにも行われてきたが、いずれの研究でも相対湿度の方に焦点が当てられ、何の関連も見出されていなかった」と、研究を率いたオレゴン州立大学のジェフリー・シャーマン氏は話す。

 同氏の研究チームは、過去の研究でもデータは取られたものの見過ごされていた絶対湿度に注目し、再検討を行った。その結果、絶対湿度とインフルエンザには非常に有意な因果関係があることが判明した。「絶対湿度条件に基づいて考えると、ほとんどの変化に説明がつく」と同氏は語る。

 インフルエンザウイルスが絶対湿度の低い環境を好む理由ははっきりしないとしつつも、同研究チームでは、最も感染の広まりやすい病院や診療所などで絶対湿度を上げることを推奨している

 ハーバード大学の伝染病学者マーク・リプシッチ氏は、この研究について次のように述べている。「インフルエンザの感染拡大に関わる一種のメカニズムの解明において、偉大な一歩を踏み出したといえるだろう。この先の研究では、1年を通じて絶対湿度の高い熱帯地方と温帯地方における拡大スピードの比較が重要なポイントとなる。温帯で季節ごとに起きる流行のサイクルだけでなく、季節を問わず、かなりの被害をもたらしているとみられる熱帯のインフルエンザのサイクルについても説明がつけば申し分ないのだが」。



 湿度は大事ですね。昔からそれは分かっていたことではありますが。人間側が湿気によって予防されているのではなく、インフルエンザ自体も存続ができなくなっていたということらしいです。

 冬はご家庭でも、加湿器を。
posted by さじ at 00:04 | Comment(3) | TrackBack(0) | 感染

2009年02月24日

統合失調症のラットのドーパミン放出についての研究成果

統合失調症の治療に道 ラットの脳、薬剤で正常に

 幻覚や妄想を伴う精神疾患「統合失調症」の治療薬開発や発症要因の解明につながる脳の研究成果を、放射線医学総合研究所(千葉市稲毛区)の樋口真人博士(40)らのチームが、十一日付の米科学誌に発表した。覚せい剤を与えて統合失調症を模したラットに特定の薬剤を投与すると、脳内が正常な状態に戻ることを、陽電子断層撮影(PET)で画像化することに成功。同種の薬剤が統合失調症の治療薬として利用できる可能性や、この画像化技術が診断に応用できる道を示した。

 統合失調症の発症メカニズムは未解明だが、脳内での神経伝達物質「ドーパミン」の異常放出が原因の一つとみられている。

 ラットに覚せい剤を投与すると、統合失調症に似た異常行動を示し、脳内のドーパミン放出は増加する。研究チームは、この状態のラットに、脳内の「グルタミン酸神経系」を阻害する薬剤を与えることで、ドーパミンの異常放出を完全に防げることをPETで確認。ドーパミンを出す神経系を、グルタミン酸神経系が制御していることが分かった。

 動物実験では麻酔を使うことが多いため、測定結果に影響が出る可能性が高いが、今回は麻酔をせずにPET測定に成功。より人に近い状態で検証できたため、診断への応用も期待できるという。

 同チームで実験を行った徳永正希博士(37)は「治療薬開発や診断に役立てたい」と展望を語った。



 脳内が正常に戻ることが確認されたのは大きな進歩か。

 統合失調症はごらんのように、脳の分泌の異常です。幻覚が見えるからといって何も狂った人ではありません。医学が進歩していくのと平行して、一般の方々の偏見も、取り除かれていくと良いと思います。

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posted by さじ at 23:55 | Comment(1) | TrackBack(0) | 精神

東大の河岡教授がエボラ出血熱のワクチンを開発する。

エボラ出血熱:ワクチン開発…マウス実験で確認 東大

 感染者の過半数が死ぬエボラ出血熱のワクチンを、河岡義裕・東京大医科学研究所教授(ウイルス学)らが開発した。マウス実験で効果を確認した。これまで対処しようのなかった感染症だが、拡大を防ぐ可能性が出てきた。米専門誌ジャーナル・オブ・バイロロジー電子版で発表した。

 研究チームは昨年、ウイルスが自ら増殖するのを担う遺伝子を除去するのに成功した。接種しても重篤化を避けられる可能性が出てきたため、このウイルスをワクチンとして使うことができるのかをマウスで試した。

 ワクチンを接種せずに感染させたマウス10匹は6日後にすべて死んだが、接種したマウス15匹は、健康なマウス3匹と同じように2週間以上生き続けた

 エボラ出血熱は1970年代からアフリカ中央部で発生した。発熱や吐血などの症状が表れ、致死率は65%と高い。日本での感染報告はない。

 ウイルスは他の生物に寄生して生存するが、エボラ出血熱のウイルスは共存している生物も不明だ。研究は遅れ、ワクチンや効果的な治療法はなかった。河岡教授は「医療従事者や研究者がワクチンを必要としている。今後サルで実験し、早期実用化を目指したい」と話す。



 確かに、ウイルスは何かの生物と共存しつづけないと生きられないはずなのに、その共存対象となる生物がいまだに不明、というのは怖いですね。

 しかし東大の河岡教授、見事にエボラ出血熱のワクチン作成に成功、と。素晴らしい功績です。アフリカの感染者への投与が実現すれば多くの人が助かることでしょう。

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posted by さじ at 21:28 | Comment(3) | TrackBack(0) | 感染

朝鮮中高級学校の生徒や教員らが献血に貢献する。

朝鮮中高級学校の生徒たちが献血で地域貢献/横浜

 社会の一員として地域に貢献しようと、神奈川朝鮮中高級学校(神奈川区沢渡)の生徒らが二十日、献血に協力した。

 二〇〇七年に開校五十五周年の記念事業として同校生徒会の発案で始まったもので、今年で三回目。同校正面玄関に横付けされた献血車で、高校三年生のほか、教員や卒業生ら約六十人が献血した。

 三年生の李イスルさん(18)は「注射は嫌いだけど、少しでも役に立てたらと思って参加した。これを機に今後も協力したい」。生徒会担当の崔成柱教諭は「卒業前の恒例行事。協力し合う気持ちが芽生えるきっかけになれば」と話した。

 本年度、県内の高校で献血活動を行ったのは同校を含め八校だけ。県赤十字血液センターは「毎回OBも含めて協力してもらい、まとまった量が集まる。大変ありがたい」と感謝していた。



 偉すぎる。ホント、こういう学校はいいなぁと思いますよ。他の高校生も見習ってもらいたい。誰でも注射は嫌でしょう。自分のためになる予防接種や点滴と違って、ただ痛い想いをして血を抜くだけ、ですからね。それを出来るのは、相手を思う気持ちがあってこそ、です。そういう人間に育ちたいものですね。

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posted by さじ at 20:35 | Comment(1) | TrackBack(0) | 生理

親が高収入なことは、子供の言語能力に影響してくる。

親の収入が幼児の言語能力に影響、米大研究

 幼少期に親とのジェスチャーによるコミュニケーションが豊富だった子どもは、語い習得に優れ、就学後の成績も良いと結論づけた米シカゴ大学(University of Chicago)の研究結果が13日、米科学誌「サイエンス(Science)」に発表された。

 シカゴ大の研究者らは、市内に住む1歳2か月の幼児を持つ社会的背景の異なる50世帯を選び、家庭での幼児の通常行動を1時間半のビデオ映像に記録し、幼児が4歳半に成長した際に語い習得度を調べた。

 その結果、幼児期のジェスチャー量は親のジェスチャーの多さに比例することが分かった。さらに、研究を行った心理学者メレディス・ロウ(Meredith Rowe)氏は、親の社会経済的な地位の差異が幼児期の言語習得に大きく影響するという

 研究によると、1歳2か月の段階で、高収入で教育水準も高い家庭の子どもは平均24種類の意味をジェスチャーで使い分けていたが、低収入家庭の場合、ジェスチャーで表せる意味は13種類だけだった。この傾向は子どもたちの就学後、語いの習得にも見られるという



 へぇー。高収入で教育水準が高いということは、その子供にかけられる時間とか、子供のことを思う時間も多いということですかね。やはりそういう高水準な家庭というのは何か、どこか違うような気がします。もちろん低所得だから、というわけではありません。低所得であっても清貧で、子供のことを大事にしている家庭であれば、子供は立派に育っているとは思います。よくあるヤンキー上がりの夫婦が、子供に対して安易に叩いたり、言葉遣いが悪かったりすると、それだけで子供の発達は芳しくないのではないか、と。

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posted by さじ at 20:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | 小児