2008年11月04日

神経細胞を使って計算回路を作成する。

神経細胞から計算回路を作成:イスラエルの研究チーム

 イスラエルのレホボトにあるワイツマン科学研究所の研究チームが、培養したニューロン(神経細胞)を使って計算回路を作り出す方法を開発した。

 研究チームは、ガラス板の上で神経を培養し、その結合箇所と活動を制御することによって、脳細胞回路の構成要素となるANDゲートとダイオードを作成した。

 このプロセスは次のようなものだ。細胞を寄せ付けない物質でコーティングしたガラス板の表面に回路パターンを彫り、細胞の働きを阻害しないような接着剤を使って結合する。こうすることで、細胞はプレート表面に彫られた細い筋の中でしか成長できなくなる。この筋は非常に幅が狭いので、神経細胞は一定方向にしか伸びられないという仕組みだ。

 その結果、電子回路内の配線のような結合部が形成され、2つの入力があると1つの出力を生成するANDゲートの作成が可能になる。さらに、少量の薬品でニューロンを刺激すると、信号が送信されて回路が完成する。

 『Nature Physics』紙に発表された同研究チームの論文要旨には、「機能的な超小型論理回路は、脳内の計算能力に関する最も重要な構成要素だ。しかし、単一のニューロン結合だけでは信頼性がなく、高速な応答再現性を獲得するにあたって、ニューロン集合がどのような構成をとるのかはまだ明らかになっていない」とある。



 なんか凄い話すぎて。SFの世界ですね。

 粘菌コンピューターもそうですけれど、100年後のコンピューターって、今とは全く別の形になっているかもしれませんね。情報処理するだけではなく、新たに自ら構築していくような・・・。想像もつきませんが。

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posted by さじ at 00:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神

多発性硬化症に白血病治療薬アレムツズマブが効く。

白血病薬アレムツズマブ、多発性硬化症にも効果 ケンブリッジ大報告

 英ケンブリッジ大(University of Cambridge)の研究チームは23日、白血病治療用に開発された薬剤アレムツズマブが、多発性硬化症(MS)にも効果があるとの発見を報告した。多発性硬化症の進行を阻止するだけでなく、回復も促進するという

 多発性硬化症は自己免疫疾患の一つと考えられており、白血球やリンパ球などの免疫系が中枢神経系の神経線維を攻撃してしまう結果、視力の低下や四肢のまひ、疲労といった身体障害のほか、抑うつや認知障害などを起こす。患者数は世界で数百万人とされ、英国では10万人、米国では40万人が発病している。

 試験では、アレムツズマブによって発症回数が減り、さらに障害を起こした機能が回復した。破壊された脳組織が修復されたためで、研究開始時よりも患者の健康障害が改善した。

 今回の研究を多方面で準備した同大臨床神経科学部の講師、アラスデア・コール(Alasdair Cole)博士は、「脳組織の修復を促進するMS治療薬の存在はかつてなかった。十分早期に使用されれば、MSの進行を停止すると同時に、組織修復により失われた機能も回復させる薬だ」と期待する。

 英国最大の患者支援団体、多発性硬化症協会の主任研究員リー・ダンスター氏は、今回の試験結果に対し、市販薬として承認を受けるまでにはさらなる研究が必要だとしながらも「MS治療で病状の進行を止める可能性がある薬は初めて。アレムツズマブはさらに機能回復効果もあるという。毎日症状に苦しんでいる人たちにとって、この上ない朗報だ」と歓迎を表明した。



 欧米では、青年期の神経障害の原因としては外傷に次いで頻度が高いといわれている、この多発性硬化症。

 神経には、有髄神経と無髄神経があります。軸索という中心の棒のようなものの周りに、髄鞘というカプセルが何個も覆われているのが有髄神経です。こうすることによって、カプセルごとに伝導が移動する「跳躍伝導」という形を取れるため、無髄神経に比べて伝導速度がかなり早くなります。この髄鞘が自己免疫などで壊されることで、多発性硬化症の症状が出るわけです。

 中枢神経の伝導速度の異常によって、四肢の脱力(筋力低下、疲労感、歩行障害など)や、感覚障害、視神経炎、膀胱直腸障害、など色々な症状が起こります。多発性硬化症によって死亡することは稀ですが、これらの症状がいかに生活の質を下げるか、想像に難くありません。(多発性硬化症患者の25年生存率は85%といわれており、死因の多くは、衰弱した患者に起こった肺炎などの合併症や自殺によるものと言われています)

 ステロイドなどで自己免疫を抑制したりインターフェロンやビタミンDを使う治療もあるようですが、神経そのものを回復させる治療薬として、アレムツズマブが臨床応用されれば、多発性硬化症の症状で苦しむ患者にとってはまさに救いの手となることでしょう。

関連
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2008年11月02日

介護報酬を3%上げ、介護分野の人手不足を解消する

介護報酬3%上げ、来年度から実施

 政府・与党は30日、深刻な介護分野の人手不足を解消するため、来年度から介護報酬を3・0%引き上げることを決めた。プラス改定は2000年度の制度発足後初めて。

 これにより賃金を月2万円上げ、全国120万人の介護職の人数を約10万人増員させることを目指すとしている。

 また、改定による介護保険料の急増を抑えるため、1200億円の国費を投入し負担増の一部を肩代わりする。同日発表された追加景気対策に盛り込まれた。

 介護報酬は、03、06年度と連続して下げられたため、介護事業者の収入が増えず、給与が抑えられ、人手不足が深刻化していた。

 引き上げによって市町村の介護保険料(65歳以上)は全国平均で月120円上がる見通し。このため国費を投入し、各市町村に基金を設置する。報酬改定による保険料増額分について、09年度は全額、10年度は半額を基金で肩代わりする。



 ようやく少しは介護現場もよくなるのでしょうか。国費投入という決断をした政府は誉れであると思います。

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posted by さじ at 15:30 | Comment(3) | TrackBack(0) | 介護

ヘモグロビンの低い女性から献血→数値を改ざんして製剤化

基準満たさぬ女性から献血、書類改ざんし製剤化

 長野県赤十字血液センター(長野市)で、血液成分が採血基準に満たない献血者から今年8月に誤って採った血液が製剤化され、医療機関で輸血に使われたことが29日明らかになった。

 誤採血に気付いたセンターの職員が書類を改ざんしており、日本赤十字社は関係者の処分を検討している。

 日赤によると、献血したのは同県内の30代女性。事前検査で血中のヘモグロビン値が基準を下回っていたが、複数の職員の確認ミスで200ミリ・リットル採血した。

 同僚の指摘で気付いた検査担当の看護師が、数値を書き換えた。血液は埼玉県の血液センターで製剤化され、先月、同県内の医療機関で乳児に輸血された。

 ヘモグロビンの比重が低いと、献血者が重い貧血になる恐れがあるため、採血できる基準値が定められている。日赤は献血した女性に謝罪し、健康被害がないことを確認した。乳児側から、健康被害があったとの報告も届いていない。



 そんなことをしなければならないほど血液が不足していたんでしょうか・・・?分かっていたのなら廃棄してしまえばよかったのでは

 ちなみに、一般の方が思う貧血というのは「血液の量が減っている状態」ですが、医学的な貧血というのは「血液中の赤血球が減っている状態」を指します。

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posted by さじ at 14:44 | Comment(2) | TrackBack(0) | NEWS

小児科や産婦に入れば学費を免除するコースを山形大が設置

医師不足解消へ 山形大医が学費免除コース

 山形大医学部(山形市)は16日、小児科など県内の地域医療に携わることを希望する医学部生について、4〜6年生の学費を免除し、卒業後の臨床研修まで一貫したプログラムを用意するなどの新たな専修コースを設置すると発表した。

 来年度の開始を目指しており、臨床研修まで組み入れたコースの設置は国内初という。

 医学部によると、定員は10人。主に県外出身者を対象とし、医学部4年からコースに所属する。コースは小児科と産婦人科、救急医学、外科の4科を設ける。

 学部卒業後は臨床研修のため同大付属病院に所属し、その後の専門医教育を同病院および県内で受けることが条件。これらの期間は6〜8年が目安。他県での勤務を希望する場合は、授業料に一定の利息を加えた額を一括して返還する



 短期的な、「自治医科大学システム」ですね、これ。

 卒後の自由な選択を束縛するかわりに、学費を免除。どちらが得かというと、まぁ卒後自由にマッチング先を選んで、更に初期臨床研修後に自分のやりたい道に進むというほうが良いような気もしますが、もうあらかじめ山形でやっていきたいという人や小児科、産婦人科、救急などに進みたいと思っている人にとっては学費免除のほうがオイシイですからね。

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医学処:地方医学部の定員増加を却下した厚生労働省
医学処:医学部全体に、僻地などへの地域勤務枠を設け、授業料を免除する
posted by さじ at 09:01 | Comment(2) | TrackBack(0) | 大学

76例目の脳死臓器移植。10代女児から60代男性に提供。

76例目の脳死臓器移植 10代の女児らに

 日本臓器移植ネットワークは22日、名古屋第二赤十字病院(名古屋市昭和区)に脳出血で入院していた40代女性が同日朝、臓器移植法に基づく脳死と判定され、国内で76例目の脳死臓器移植が行われる見通しだと発表した。

 心臓は東大医学部付属病院の50代男性へ、肺の片方は東北大病院の40代女性、肝臓は名古屋大医学部付属病院の40代男性、膵臓は九州大病院の40代男性、腎臓は岡崎市民病院の40代女性と名古屋記念病院の60代男性、小腸は京大医学部付属病院の10代女児へ移植される。

 臓器の摘出は23日午前8時に終了する予定で、各病院に移送される。



 76例目。前回からだいたい2ヶ月近くでしょうか。

 心臓や肺の移植も、珍しくなくなってきました。もともとあった技術力に、経験が重なった結果でしょうか。しかし、どうにもこうにも数が足りない。脳死に陥る人はかなりおられるのでしょうけれど、臓器提供の意思表示をしている人が全然いないのではないかと思います。残念なことです。こうして多くの人が助かるのが脳死臓器移植ですのに。

関連
医学処:60例目の脳死臓器移植へ。
医学処:67例目の脳死移植。7人に臓器を移植する。
医学処:75例目の脳死判定。心肺肝腎膵を移植へ。
posted by さじ at 08:52 | Comment(0) | TrackBack(0) | 移植

移植された角膜は、今年で123歳に。

ノルウェーで移植された角膜、ことしで“123歳”

 ノルウェー人男性に移植された角膜の使用年数が、ことしで123年目を迎えた。移植手術を受けた男性(80)は23日、電話でロイターに対し「これはノルウェーでも最も古い角膜だ。世界で最も古いかは分からないが」とコメント。

 その上で、視力はこの上なく良好だと述べた。

 この男性は1958年、ノルウェー中部の病院で、1885年6月生まれの高齢男性の遺体から摘出された角膜を右目に移植する手術を受けた。

 手術を執刀した病院の眼科医によると、1950年代、医師団らは角膜移植の効果は5年間ほどと予想していた。同手術は、20世紀初頭に移植に成功した極めて初期の例の1つだったという。



 角膜ってそんなにもつものなんですねぇ。

 最近じゃ献眼も減っているようです。いかんですよねぇ。100年以上も持つものなのですから、困っている誰かに託して天に召されたいものですな。

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医学処:1個の角膜細胞から角膜上皮組織を再生することに東大チームが成功
医学処:角膜移植が50周年。しかし献眼数は20年前の1/7にまで減少している
医学処:病気で失われた視力を、電子機器を用いて回復する。
posted by さじ at 08:34 | Comment(2) | TrackBack(0) | 移植

群馬大学病院の時間外診療は軽症なら4200円上乗せ。

「軽症なら4200円徴収します」 群馬大病院が時間外診療に上乗せ

 群馬大病院(前橋市)は29日、夜間や休日の正規の診療時間外の救急受診について、軽症患者からは診療費のほかに4200円を12月1日から徴収すると発表した。

 診療時間外は医師が手薄なため、軽症患者の受診を減らし、緊急性のある重症患者の受け入れを強化する狙い。同病院によると、国立大の付属病院では山形大に次いで2例目

 (1)入院が必要(2)他院から紹介状を持参(3)緊急処置が必要と医師が判断−のいずれかに該当するケースは徴収しない。

 同病院が昨年度に受け入れた時間外受診の救急患者は約7600人だが、約半数は緊急性の低い患者だったという

 同病院の担当者は「緊急の患者に全力を挙げるためで、やむを得ない判断だ」と理解を求めた。



 これは大学にとっても、また一般市民にとっても良い話ではないかと思います。

 いやホント、何で夜来るの?ってぐらいの超超軽症患者が来たりしますからね。処置がまるで必要ないような患者でも、来てしまったらその分労力を割かれ、本当に処置しなければならないような緊急患者に全力を注げなくなってしまいます。

 ああいうのも1つのモンスターペイシェントなんでしょうね。4200円上乗せすることによって、そういう人たちを減らすことが出来ると思えば。

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医学処:救急
posted by さじ at 06:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | 救急
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