2008年11月09日

済生会宇都宮病院に正常分娩を対象とした院内助産所を作る

済生会宇都宮病院に院内助産所 産科医の負担軽減へ

 産科医の負担軽減を図ろうと、済生会宇都宮病院(中沢堅次院長)は五日、正常分娩の妊婦が対象の院内助産所「バースセンター」を宇都宮市竹林町の同病院九階に開設した。県内の中核病院では二番目の院内助産所。同病院によると、産科病棟とは別の場所に設置し、助産師が独自に運営する施設としては全国で初めて。

 同センターは、妊婦が陣痛から出産、産じょく期までを過ごす個室四室や、マタニティーヨガなどを行う多目的スタジオなどを整備。助産師六人が出産前後の妊産婦健診や相談、運動指導などを行う

 年間百五十人の受け入れを見込んでいる。妊婦の経過に異常がみられリスクが高いと判断された場合、同病院母子医療センターの産科医が即対応する

 開所式で中沢院長は「医師が行っていた正常分娩の一部を移譲できれば、産科医のマンパワーを異常分娩に集中できる。院内助産所は産科医の地域貢献にも今後役立っていく」とあいさつした。

 この日同センター初の出産に挑むことになった宇都宮市の三十代の女性は「こういう施設ができたのは魅力。信頼している助産師さんがずっと一緒にいてくれるので安心できる」と話していた。



 ああ、これは素晴らしいですね。患者さんにとってもリスクが減るし、医者にとっても負担が減るし、何より助産師の能力を最大限に発揮できると思います。

 今後、こういった形の病院が増えてくれば、産婦人科医の過重労働も軽減して、結果的に妊婦さんにとってリスクの少ないお産ができるようになるのではないでしょうか。

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マッチングで人気となった和歌山県立医大の秘密に迫る。

臨床研修医:県立医大付属病院、希望者が増加 自由度の高いプログラム評価 /和歌山

 新臨床研修制度の導入で、研修医の大学病院離れが進む中、県立医大付属病院(和歌山市)の研修希望者が増えている。医師臨床研修マッチング協議会(東京都港区)が10月に発表した08年度研修医マッチング結果で、採用内定者数を示すマッチ者数は全国の111大学病院中19位となり、実施から5年連続の増加。上野雅巳・同大卒後臨床研修センター長は「自由度の高い研修プログラムが評価されたのでは。活躍できる医師を育てたい」と話している。

 新制度では、研修医は原則、自由に研修先を選べ、待遇のいい都市部の民間病院に集中するようになった。医学生と病院側の希望を突き合わせ、研修受け入れ先を決めるマッチング制度は03年度から。任意の登録制で、08年度は全国の大学・民間1091病院が参加し、登録者数8167人中マッチ者数は7858人だった。

 同病院は、03年度のマッチ者数41人が、08年度は58人に。東京大や京都大など都市の大学病院が上位を占める中、年々順位を上げている。58人のうち他大学出身者が4割近く。募集定員は63人で、充足率は92・1%だった。

 同病院で、研修医は希望する科を選択し、3カ月ごとに見直しできる。県内の11地方病院と連携し、1〜3カ月間、研修医を派遣する制度もある。琉球大(沖縄)出身で研修医1年目の辻洋美さん(26)は「自主性に委ねられたプログラムと充実した研修体制が決め手になった」と話す。

 県医務課は「地方の医師不足解消には、若い人材を育てることが大事で、大学の頑張りはありがたい。県としても、県内各病院の研修内容などの情報提供を積極的に行いたい」としている。



 ほうー。凄いですね。和歌山県立医科大学。

 やる気のある研修医ほど、情報を収集し、どこの病院が一番自分に合っているかを調べるものだと思います。その中で、より研修医の成長のことを考えてくれた和歌山県立医大付属病院に人気が出た、と。

 そりゃあそうですよね。これからは、土地柄とか給料とかではなく、いかに「研修プログラムが充実しているか」が勝負の決め手になると思います。

 これからも若手を育て上げることに専念すれば、地方であってもやる気のある研修医は来るでしょう。それが何年後かに、地方の医師不足解消に繋がるかもしれませんし。

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posted by さじ at 22:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | 大学

うつ病を証明する客観的指標として脳血流を評価する。

血流を測る「うつ発見器」……うつ研究はここまで来た

 うつ病は「ココロの病」ではなく「カラダの病」、ということはすでに証明されつつある。だが一方で、「うつは心の弱い人がなるもの」「気の持ちようで治せるはず」という偏見が後を絶たないのも事実だ

 客観的にうつ病を証明できる機械や数値があれば、という思いは、苦しんでいる患者本人は特に強いはず。そんな“うつ発見器”ともいうべき研究が実際に行われ、成果が出始めている。

 うつ病の客観的指標の一つとして研究されているのが「脳血流」だ。95年ごろから研究が進んでいたが、当時はうつ病の原因を探るという目的が中心で、うつ病か否かを判定するというものはほとんど行われていなかった。

 08年7月に労働者健康福祉機構が発表した研究結果では、うつ病の症状緩和に伴い、患者の脳血流も改善していることがわかった。患者の不調期に血流低下が見られたのは主に左脳。「左の前頭葉は、いいことがありそうかどうかを予感する“快”を司る部分」(香川労災病院 勤労者メンタルヘルスセンター長・小山文彦氏)。この部分の血流が低下することで、マイナス思考に陥りやすいと考えられる。

 この研究は、うつ病のなかでも、自分を責める傾向にある「メランコリー親和型」の患者25人が対象。他人に迷惑をかけたくないという気持ちが強いため、治り切っていないにもかかわらず“背伸び出勤”をして、さらに症状を悪化させてしまうという例が急増している

 改善したかどうかの目安として脳血流を検査すれば、このような悪循環は防げるはずだ。また、重度のうつ病になる前に予防するという役割も期待できる。実際、「労働行政や人事労務担当者からの反響は多い」(同氏)と、企業側の関心も非常に高い。

 では、うつ病を装う人を見破ることもできるのか。この点については、まだクリアすべきハードルがあるという。「疲労の蓄積と脳血流の関係などほかの研究も行っているが、あえて“自称うつ”的な人を対象にした研究は困難」(同氏)と、うつの真偽判定の役割を期待するのはまだ難しいようだ。

 脳血流のほかに、客観的指標として期待されているのが「血液検査」の数値。うつ症状の改善を見るうえでの指標として、すでに診断の一部に血液検査を取り入れている病院もある。公徳会佐藤病院では06年から血液検査を開始。うつ病の不調期に血中濃度が低下(一部は上昇)する4つの物質を測定し、「症状を診ながら、投薬の調節や復学・復職の目安の一つとして役立てている」(教育研究部長・栗田征武氏)という。

 現状の診断は、ほとんどが問診などに頼っている状況。「客観的診断は絶対に必要」という医師の声も多く、現場への普及が待ち望まれるツールだ。



 今後医学が進歩してくれば、より客観的に鬱病を評価することのできる指標が出来るかもしれません。

 それはすなわち、鬱病が脳の病気であって、心が弱いからどうだとかいう猛烈な偏見も減るのではないかと予想されます。今の世の中、特に日本では偏見が強すぎますからね。少しでもうつ病に対する理解として深まれば、と思います。
posted by さじ at 06:11 | Comment(3) | TrackBack(0) | 精神

サマータイムから標準時間への移行は心臓に優しい。

「冬時間への移行は心臓にやさしい」 スウェーデン研究

 多くの欧米諸国ではこの時期、夏時間(サマータイム)が終了し、時計の針を1時間戻して冬時間(標準時間)に移行する。この制度が健康に与える影響を調べたスウェーデンの研究チームによると、冬時間への移行直後は心臓発作の発生件数が減少し、夏時間に切り替えた後は逆に件数が増えることが明らかになった

 チームのメンバーが夏時間への移行後に眠気やだるさを感じた経験から、研究を思い立ったという。考えられるさまざまな影響のうち、特に心疾患に注目。同国では心臓発作の発生状況が詳細に記録されており、チームでは1987年から2006年までのデータを分析した。

 夏時間と冬時間の切り替えは、日曜日に実施される。研究チームはまず、各年の移行日から7日間の発生件数を調べ、それぞれについて2週間前、2週間後の同じ曜日の数字と比較した。それによると、冬時間から夏時間への移行日に続く週は、発作が平均5%増加していたことが分かった。月、水曜日は前後の同じ曜日と比べて6%、火曜日は10%も多かった。一方、夏時間から冬時間に移行した翌日の月曜日は、発作が5%減少していたという。

 夏時間が始まる日曜日には時計を1時間進めるため、翌日の月曜日はそれまでより1時間早く起きることになり、睡眠時間が短縮する。逆に冬時間になった直後の月曜日は、いつもよりゆっくり眠っていられることになる。わずか1時間とはいえ、これが体調に大きく影響するというのが、研究者らの見方だ。睡眠時間の増減は血圧や血糖値、血中コレステロール値、血管の状態など、循環器系にさまざまな変化を引き起こすことが知られている。

 この研究を受け、米ミシガン大睡眠障害センターのロナルド・チャービン所長は「現代人は普段から睡眠不足に陥りがちだが、夏時間に移る時は数日前から毎日15分ずつ早く起きるなどして調整すると、体への負担が抑えられる。冬時間への移行日には、1時間長くなる睡眠時間を体調管理にうまくいかすよう心がけて」とアドバイスしている。



 わずか1時間の睡眠短縮でそれほどまでに心臓に負担がかかっていたとはねぇ。

 サッカーの大きな大会があると、心臓疾患のリスクが上がるというのは示されているみたいですけれど、サマータイム導入直後のわずかな睡眠不足だけで有意なリスクになるとは。

 1時間ズレでも、しっかり調節して睡眠時間は日々コンスタントに確保するようにしましょう。

関連:サマータイムによる睡眠障害が引き起こす損失は1200億円
posted by さじ at 04:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 循環

2008年11月07日

風邪ウイルスの機序が明らかになる。

風邪ウイルスの作用が明らかに

 普通の風邪の根本的治療につながる新知見が、カナダおよび米国の研究チームにより報告された。普通の風邪は、どこにでも存在するヒトライノウイルス(HRV)が原因だといわれてきたが、実はこのウイルスが鼻水、くしゃみ、咳などの不快な症状を引き起こしているわけではなく、ウイルスによってヒトの体内の遺伝子活性が変化し、それによって症状が引き起こされるのだという。この知見は、米医学誌「American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine(呼吸器・クリティカルケア医学)」11月号に掲載された。

 一般的な風邪の30〜50%はHRVが原因であるとされ、喘息などの症状を増悪させることもある。「誰もが風邪には特に害はないと考えており、実際そうなのだが、喘息、気管支炎、肺気腫などの下気道疾患がある人の場合には、風邪のウイルスが急性発作の引き金となり、生命にかかわることもある」と、研究チームの1人、カナダ、カルガリー大学のDavid Proud氏は述べている。

 今回の研究では、35人のボランティアにHRVまたは偽ウイルスのいずれかを注入し、感染前および感染後に鼻上皮から擦過検体を採取した。DNAのマイクロアレイ分析の結果、感染後8時間では遺伝子変化は認められなかったが、2日後には約6,500の遺伝子に変化がみられ、活性が亢進するものもあれば鈍くなるものもあった。ウイルスの存在による影響が特に大きかったのは、気道炎症の一因となる抗ウイルス蛋白および炎症性化学物質を作る遺伝子であったという。また、最も活性の高かった抗ウイルス蛋白viperinの値は細胞内で2倍以上となり、HRVの複製がviperinによって妨げられることも示された。

 「これは、人体がウイルスから身を守るメカニズムとしてこれまで知られていなかった部分である」とProud氏は述べ、この知見が2通りの風邪の治療法につながるとしている。その1つは、症状を引き起こす炎症性遺伝子を特定し、その活性を阻害する方法、もう1つはウイルスとの戦いを助ける鍵となる分子を特定し、その分子の能力を上げたり、外部から補ったりする方法だという。なお、この研究には、米バージニア大学およびP&G社の研究チームが参加している。

 医学誌「Journal of Infectious Diseases(感染症)」11月15日号に掲載された別の研究では、小児の肺感染症による入院の主な原因となる呼吸器合胞体ウイルス(RSV)が、症状が治まった後も体内に残り続けることが判明した。このことが喘息などの慢性気道疾患の原因となるとも考えられ、新しい治療標的となる可能性もあると米テキサス大学サウスウェスタン・メディカルセンター(ダラス)の研究グループは述べている。



 へぇぇー。風邪の特効薬が出来ればノーベル賞、とはよく言われてきましたけれど、この研究も凄いですよね。まさか風邪で遺伝子が変異するとは。

 ウイルスによって症状が起こされていると思いきや、実はウイルスは遺伝子活性を変化させているだけだった、と。面白いなぁこれ。
posted by さじ at 23:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 感染

医学ちょっといい話8

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/10/31(金) 23:41:16.49 ID:/k8EfAAM0

恥ずかしながら、自殺を図って失敗。

病院を退院する時、

「悩みから解放されて眠っているあなたは、とても綺麗で
あのまま眠らせておいてあげたかったけれど。ボクは医者だからね」

とお爺ちゃん先生だったけど、綺麗なんて言われた事がないので嬉しかった。

その後、私を真っ直ぐに見て
「生きなさい」と言ってくれた。

もう何年も前の事だけど、辛くなったら思い出す。


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医学処:医学ちょっといい話5
医学処:医学ちょっといい話6
医学処:医学ちょっといい話7「ベテラン助産師の卒業」
posted by さじ at 07:51 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

岡野栄之教授がiPS細胞を用いマウスの神経難病治療に成功

慶大:iPS細胞使いマウスの神経難病治療に成功

 さまざまな細胞や組織に分化する能力を持つ「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」を使ってマウスの神経難病を治すことに、慶応大が成功した。岡野栄之・同大医学部教授(再生医学)は「ヒトの治療への応用には時間がかかるが、iPS細胞の効果を確認できた」と話している。

 実験に使ったのは「ミエリン形成不全症」という難病を発症させたマウス。神経から腕のように伸びる軸索を覆う「ミエリン」と呼ばれる細胞が生まれつき作れないため、脳からの命令がうまく伝わらず、震えや歩行困難などを起こす。

 研究チームは、別のマウスの体細胞に四つの遺伝子を導入して作ったiPS細胞から神経幹細胞を作り出し、病気のマウスの脊髄に移植した。8週間後、脊髄の神経細胞にミエリンができているのを確かめた。また、脊髄損傷で歩けなくなったマウスにこの神経幹細胞を移植したところ、歩けるようになったという。

 同大などは、ミエリン形成不全症のほか、アルツハイマー病、パーキンソン病などの患者から体細胞を提供してもらい、iPS細胞を作る研究を進めている。



 お。岡野教授とiPS細胞のタッグ。

 マウスの神経難病が治ったということは、人への臨床応用の可能性も十分にあるわけです。今まで治療不可能だった疾患が、完治する可能性も秘めているiPS細胞と、それに取り組む岡野栄之教授。どちらも応援しています。

岡野栄之教授関連
医学処:慶大チームが、カビから脊髄を再生させる物質を発見する
医学処:子宮筋肉に、幹細胞が存在する。
医学処:iPS細胞を用いて、脊髄損傷の症状が改善する。

iPS細胞関連
医学処:iPS細胞を用いて未熟児脳症を治療する。
医学処:筋萎縮性側索硬化症の患者からiPS細胞を作ることに成功する。
医学処:がん化する危険のない、新世代iPS細胞誕生。
posted by さじ at 07:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神

2008年11月06日

手術室にヒットマンが銃を手に押し入り患者に発砲する。

2人組のヒットマン、手術中の患者にとどめを刺す メキシコ

 メキシコ北部の米国との国境の町シウダーフアレスの病院で3日、銃撃を受け手術中だった男性(25)の手術室に2人組の男がなだれ込み、この男性を射殺するという事件が起こった。地元警察が明らかにした。

 地元警察関係者は「医師と看護師が手術室でこの男性の手当てを行っていたところ、顔をマスクで覆った2人組の男が重火器を手にやってきて、医師らに対し出て行くよう命じた後に男性に向けて3発発砲した」と語った。この男性は前夜、この病院の近くで銃撃を受け搬送されていたという。

 メキシコでは、麻薬組織同士が対米密輸ルートをめぐって対立を続ける国境地帯を中心に、犯罪組織によるものとみられる殺人事件で今年だけで約4000人が犠牲になっている。



 ブラックジャックで似たような話(銃をもって手術室を占拠)がありましたが。

 でも日本でも安心できないですよね。案外手術室って簡単に出入りできたりしますし。医療従事者っぽい格好とネームプレート、堂々とした姿、手術室までの手順(着替えとか)が完璧なら案外いけてしまうのでは・・・。

 そうならないように今後はセキュリティ対策が必要ですね。
posted by さじ at 01:17 | Comment(2) | TrackBack(0) | NEWS

断食デトックスに健康面での効果はない。

欧米で流行の断食デトックス、健康面での効果のほどは?

 米国西海岸からタイまで、世界各地の豪華リゾート地では、体内から有毒物質を排出する「デトックス」効果をうたった断食コースが健康志向の観光客の間で大人気だ。一方で、断食による健康面でのデトックス効果を疑問視する声もあがっている。
 
 イスラム教の断食月「ラマダン(Ramadan)」、ユダヤ教の「ヨム・キプール(大贖罪日、Yom Kippur)」など、宗教による断食は古くから行われてきた。こうした宗教探求的な修行の一環としての断食行為には一理あるというのが、栄養学専門家のジャンクロード・メルシオール(Jean-Claude Melchior)さんの意見だ。だが、営利目的で絶食を強いる現代の「断食デトックス」ブームには、倫理面から疑問を投げかけている。

 欧州で流行している低下価格の断食コースは、水以外は何も口にしない完全絶食ではなく、フルーツジュースや野菜スープのみを摂取するものが多い。こうした断食には医師の管理が不要なため、営業的に提供が容易という事情もある。だが、1日の食事が野菜スープ一杯や水で薄めたフルーツジュースだけでは、必要な栄養摂取量をとうてい満たすことはできない。こんな方法が、果たして本当に健康的と言えるのだろうか?

 メルシオールさんは、こうした主張には懐疑的だ。断食のデトックス効果は証明されていないうえ、栄養摂取の調節機能のバランスを乱しかねないなど、むしろ有害である可能性が高いと指摘する。

 現在、欧州では断食と並行してトレッキング(山歩き)を行うプログラムが流行中だが、これについてもメルシオールさんは低血糖を発症する恐れが高いと警鐘を鳴らす。12時間近く絶食した場合、肝臓内のグリコーゲン(体内に蓄えられた糖質)を消費し尽くし、血液中の糖分濃度が著しく低下する。これにより、低血糖の危険を察知した筋肉や脳などの臓器は必死に糖分を取り入れようとするため急激に血糖値が上昇してしまう。

 しかし、「トレッキングにはデトックス効果があるし、危険もない。軍隊での訓練とは違う」と、フランスで「断食とトレッキング・プログラム」を提供する自然療法士のダニエル・カザール(Daniele Cazal)さんは反論する。「トレッキングでは、例えば、美しい郊外の景色を楽しむことなどで、食べ物に頼らずに空腹を満たすことができる」

 一方、フランスでの「断食ブーム」仕掛け人の一人、デジレ・メリアン(Desire Merien)さんは、「どこにも過激な自然健康法に走る人間はいるものだ」と述べ、こうしたプログラムの提供者は、断食が行き過ぎないよう配慮する必要があるとの意見だ
 
 いずれにしても、断食コースは日常生活における不摂生の改善にはならないという点では、栄養学者も自然療法士も一致している。



 適切な栄養をとって、過剰な糖分や脂肪をとらないようにする、いわゆるヘルシーな食生活なら分かるんですけども

 断食って。

 本気で効くと思ってるんですかね。そもそもデトックスって何なんでしょうね。メシを食わなかったからといって、一体どういうメカニズムで身体の毒素が出て行くんでしょうか。そこらへんの医学生理学的なことを無視して「断食したら健康」とか根拠もなく主張するのは、怖いですね。

 健康食品でもそうですけど。一種の宗教みたいな感覚なんじゃないかと思います。

 脳への栄養は、糖がメインなんですけど、断食デトックスとやらで、糖をあまりとらずにボーっとする状態を作り出すことで、何か達観した感じにでもなるんでしょうかね。まあアホですわな。
posted by さじ at 01:06 | Comment(8) | TrackBack(0) | 生理

2008年11月05日

ブドウを食べると血圧降下と心機能向上を認める。

世界の雑記帳:ブドウに血圧下げる効果、マウス実験で確認=米研究

 米国の研究チームが29日、マウスを使った実験で、ブドウに血圧降下と心機能向上を助ける効果がみられたと明らかにした

 実験は、ミシガン大の心臓保護研究所のミッチェル・セイモア氏のチームがカリフォルニア州のブドウ栽培業者から一部資金援助を受けて実施。結果を学術誌「老年学ジャーナル:生物科学」で発表した。

 研究チームでは、この結果が高血圧の人に対する効果の確認にもつながればと期待している。



 とりあえず糖分に気をつけて果物を食べていれば健康な体になるのかもしれない・・・。

 あの甘いブドウですらも、血圧降下作用と心機能向上作用があるとはねぇ。まぁ果物系は、ご当地研究といいますか、地域の活性化のためにやられることが多いので、その効果が劇的かというとちょっとよくわかりませんが。

 そういえば先月大ブームになった「朝バナナダイエット」、全国のスーパーでバナナが売り切れていたそうですけれど、わずか1ヶ月でブームは収束したらしいですね。飽きるの早いですねぇ。

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2008年11月04日

赤肉に含まれる糖分子が腸内細菌の毒素を血液内に誘導する

赤肉で悪性腸内細菌への感染可能性が高まる、米豪の研究者が発表

 牛肉や羊肉などの赤肉を食べ続けると、出血性下痢などを引き起こし最悪の場合は死に至る悪性の腸内細菌へ感染しやすくなる――。このような研究結果が30日、英科学雑誌ネイチャー(Nature)で発表された。

 豪メルボルンにあるモナッシュ大学のトラビス・べドー氏を始めとした米豪の研究者らによると、赤肉を食べ続けると悪性の大腸菌に感染しやすくなるという。

 赤肉にはもともと、腸内や血管内に蓄積していく「Neu5Gc」という糖分子が含まれているという。この糖分子は、大腸菌からしみ出す毒素にとって一種の磁石の役割を果たし、毒素が血液の中に入りやすくなるという。Neu5Gcは、魚肉や家禽の肉、野菜、果物などにはほとんど含まれていないという。



 赤肉に悪いものがあるわけではなく、毒素を体内に誘導しやすくなる、ということですか。

 日本って、例えばしゃぶしゃぶにおいては、豚はしっかり熱を通さなければいけないけれど牛はOK!みたいなところ、ありません?まぁ私はあまり気にせず食べてしまうタイプですけれど。これをみると牛もしっかりしゃぶしゃぶしたほうがいいみたいですねぇ。。

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超多剤耐性結核菌に効く化合物を微生物化学研究会が開発

超多剤耐性結核:菌に効果の化合物開発 微生物化研

 4種類以上の抗生物質が効かない超多剤耐性結核菌に効果のある化合物を、財団法人微生物化学研究会(東京都品川区)などが開発した。2012年の臨床試験開始を目指す。治療薬ができれば非営利で普及させるという

 超多剤耐性結核は世界約50カ国で確認され、毎年5万人近くが発病しているとされる。有効な治療薬がなく、国内では02年、3122人の結核患者のうち17人から、この結核菌が検出されている。

 同研究会は抗結核薬「カプラザマイシン」から、より活性を高めた化合物「CPZEN−45」を作った。10種類の治療薬に耐性がある結核菌に感染させたマウスに投与したところ、何も与えなかったマウスに比べて、菌が100分の1に減少、副作用も確認できなかったという

 同研究会の赤松穣・微生物化学研究センター長(生化学)は「より耐性菌が出にくいように、複数の治療薬を組み合わせる投与法も考えたい。非営利で取り組むことで、臨床試験に協力してくれる機関が出てくることを期待している」と話している。



 なんという志の高さ・・・。利益を度外視して、世のために貢献しようとする姿勢には頭が下がります。

 協力してくれる団体と共に、臨床試験に挑むわけですが、成功をお祈りしています。

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posted by さじ at 22:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | 薬理

アルツハイマー病は、記憶の形成維持プロセスに依存した疾患

記憶の再固定化のプロセスが加齢に伴う記憶障害に関与

 独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、脳の記憶プロセスに関係するタウタンパク質をリン酸化する酵素の1つ「GSK-3β」の活性化が記憶を呼び出し、それを再び固定化するプロセス(記憶の再固定化)に必須であることを発見しました。

 理研脳科学総合研究センター(田中啓治センター長代行)アルツハイマー病研究チームの高島明彦チームリーダー、木村哲也専門職研究員らの成果です。

 アルツハイマー病は、アミロイドベータタンパク質の蓄積とともに、タウタンパク質が嗅内野、海馬、扁桃体、前頭前野など記憶プロセスに重要な記憶ネットワークに蓄積することで、認知障害を引き起こします。

 一方、脳の老化は、認知症を引き起こす前にタウタンパク質が嗅内野に蓄積することで、軽い記憶障害に至るとされています。研究チームは、このタウタンパク質が蓄積する仕組みを明らかにする目的で、タウタンパク質の蓄積に関与するタウタンパク質リン酸化酵素GSK-3βの正常脳での役割を調べました。

 その結果、GSK-3βは、再起した記憶の再固定化に必要なことがわかりました。加齢と共に知識が増えることで記憶の再固定化のプロセスが頻繁に活性化されますが、このことがGSK-3βをさらに活性化してタウタンパク質の蓄積を引き起こし、老化による記憶障害を引き起こすと考えられます。

 脳老化は、アルツハイマー病を引き起こす前提条件です。本研究と、研究チームの最近の成果から、アルツハイマー病は単純なタンパク質の変成疾患ではなく、脳の記憶形成維持プロセスに大きく依存した疾患であることが明らかになってきました。そして、脳科学が加齢した脳(加齢脳)の記憶プロセスに対応したライフスタイルや生活環境を提案することで、脳の老化を遅延しアルツハイマー病の発症を制御できるようになると考えられます。



 難しいー話ですな。正直なんだかよくわかりません。

 アルツハイマー病が単なる蛋白質の変性によるものではなく、記憶を再固定する過程と密接に関与している、ということでしょうかね。

 理化研の研究レベルは抜群ですね。医学はこうして進歩してゆく。

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posted by さじ at 21:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神

ICGを用いて肝癌細胞を光らせ、残さず切除する術法

肝がん細胞を光らせ切除 再発防止へ新手法開発

 肝臓がんの手術中にがん細胞だけを光らせることで残らず切除する手法を大阪府立成人病センター(大阪市)の研究チームが開発した。28日から名古屋市で開かれる日本癌学会で発表する。

 微小な肝がんを取り残すと約7割が5年以内に再発するとされ、センターは「手術後の再発防止につながりそうだ」としている。

 チームは、肝機能検査で使う試薬「インドシアニングリーン」が肝がん細胞に一定期間とどまるのを発見。光学機器メーカー「浜松ホトニクス」(浜松市)の小型赤外線カメラで患部を観察するとがん細胞だけが光って見え、従来は見つけることができなかった5ミリ以下のがん組織を手術中に見つけるのに成功した

 昨年2月からセンターで肝がん手術を受けた患者39人にこの手法を適用。うち7人で手術前の検査で見つからなかった新たながんを発見、切除したという。



 取り残しがないかどうかは、患者さんの予後に密接に関わってきますからねぇ。

 インドシアニングリーンというのは、本来は「ICG試験」としてよく用いられる物質です。これは、肝機能や肝予備能を知るための検査として広く行われている色素負荷試験で、一定量のICGを経静脈的に投与して、何分か後に血中のICG濃度を測定し、どのくらい血中に残っているかを測定します。

 (ICGは、血中のリポ蛋白に結合して肝臓に輸送され、類洞を通過する間に肝細胞に摂取され、抱合を受けることなく胆汁に排泄されます。要するに、肝臓で処理されればICGは体内から排泄されていくわけです。ですので、肝有効血流量が減少した場合や肝細胞摂取能が低下した場合には、ICGの血中消失速度は遅延します。)

 内科的には不顕性肝硬変の診断や肝硬変の「進行度」、予後の推測に有用で、他には心疾患や浮腫などで肝有効血流量が低下している患者では異常値を示すことがあります。

 肝臓系ではメジャーな検査です。なんか緑色のよくわからない液体を入れられた方もおられるのでは?そのICGが肝がんの細胞にも留まることを発見したため、今回のような診断法が可能になった、というわけですね。
posted by さじ at 21:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | がん

カフェインは、ずきずきする痛みを和らげる効果がある。

カフェイン:痛み緩和の効果見つかる 自然科学研究機構

 コーヒーの成分のカフェインにヒトの痛みを和らげる効果のあることが、自然科学研究機構生理学研究所(愛知県岡崎市)の久保義弘教授らの研究で分かった。カフェインを使った新しい鎮痛薬の開発につながる可能性がある。米国科学アカデミー紀要(電子版)で今週発表する。

 痛みを感じる代表的なヒトのタンパク質TRPA1に、カフェインを投与すると、通常よりも反応が鈍くなった。さらに、TRPA1に痛みを感じさせるマスタードを投与して刺激させた後、カフェインを投与すると反応が抑えられた。実験で使ったカフェイン濃度は水1リットル当たり2グラム。

 カフェインには覚せいや利尿などの作用があるが、久保教授によると「ずきずきする痛みなどを抑える新しい作用が分かった」という。ただ「実験では投与する濃度が高く、ほかの作用も効きすぎてしまうため、薬を開発するには課題も多い」とも説明している。

 一方、マウスのTRPA1に同様にカフェインを投与すると、活性化して痛みが増え、ヒトとは正反対の反応を示した。ヒトのTRPA1と構造の一部が違うためで、久保教授は「マウスを使った実験でも、カフェインが痛みに影響を与える新しい作用が分かった」と注目する。



 不思議なカフェイン。

 コーヒーも、嗜好品として世界中の人に愛されてますからね。人の体に色々フィットして効果を及ぼすものなのでしょう。臨床応用できるかは分かりませんが、痛みを和らげるだけの作用はあるようです。

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アントシアニンを含んだ紫色のトマトで健康を促進する

紫色のトマトで健康促進、英研究

 遺伝子操作によって、抗がん作用があるとされる紫色のトマトの栽培に成功した英国の研究グループの研究結果が、英科学誌「ネイチャー・バイオテクノロジー(Nature Biotechnology)」(電子版)に26日、掲載された。

 研究チームは、キンギョソウに含まれるアントシアニン色素の2つの遺伝子を用いて、紫色のトマトを開発した。アントシアニンはブラックベリーやクランベリーなどの果物に多く含まれる紫の色素。これまでの研究で、がんや心疾患、糖尿病などに一定の効果があり、肥満や糖尿病を防ぐ可能性があることが分かっている
 
 研究チームが紫色のトマトを実験用マウスに与えて抗がん作用を調査したところ、このトマトを与えたマウスは、普通のトマトを与えたマウスよりも大幅に寿命が伸びたという。

 また、同研究は食生活による習慣病リスクの軽減と健康促進を示したメタボリックエンジニアリング(代謝工学)分野での初めての実例であるうえ、遺伝子工学を用いた食物が全消費者にとって有益となる
可能性を示唆した初めての例だという。

 マーティン氏らの研究チームは、次の研究段階として、アントシアニンを豊富に含む紫色のトマトを食すことによる人体への有効性を確認するため、被験者ボランティアを集めた前臨床データの収集を行う予定だ。

 米国では、20年以上も前から1日当り5種類の野菜や果物を摂取するよう米国立がん研究所(National Cancer Institute)が奨励してきた。だが、これを達成している米国人は4人に1人以下というのが現状だ

 マーティン氏の説明では、こうした現実を考慮した結果、現在は野菜や果物が含む生物活性(バイオアクティブ)化合物の量を増やす研究に重点が置かれている。



 現代人の生活では、バランス良く野菜を食べる、という当たり前のことがなかなか達成できないものです。そしてサプリメントなどの味気ないものに頼りがちとなってしまい、更にはサプリメント過剰摂取によるバランス崩壊まで起こっています。

 色んなSFモノにあると思うんですけど、1個食べればおなかいっぱいになる上に、栄養満点の果物とかできれば、凄いですよね。画期的というか。でもこの研究も、それに近いもののような気がします。

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悪性中皮腫の発症は2つの受容体によるものだった。

中皮腫「発症」を解明 治療薬向上に期待、愛知県がんセンター

 アスベスト(石綿)が原因とされる悪性中皮腫で、細胞外からの増殖信号による発症のメカニズムを愛知県がんセンターの研究グループが突き止めた。現在進められている治療薬の開発に成果が活用できるという。28日から名古屋市で開幕する日本癌学会で発表する。

 胸膜や腹膜にできる悪性中皮腫は早期発見が困難で、手術が難しい。現在は年間約1000人が死亡。過去のアスベスト使用の影響で、今後20年で死者数が約5倍に増えると見込まれる

 同センターは今回、細胞膜上にあり、外部から増殖の信号を受け取って細胞内に送る「受容体」が2種類以上、同時に異常活性化していることを突き止めた。現在は十数種類の受容体が確認されているが、これらが異常に活性化すると細胞分裂の信号を勝手に出すようになり、がんなどを発症させる。

 それぞれの受容体に働き、副作用がない薬の開発が進んでいるが、1つの受容体の異常活性化を抑制する薬を使用しても、7−8割以上、細胞が生き残った。しかし、2種類に対する薬を同時に投与すると細胞数は3割以下に下がった

 研究グループの同センター研究所分子腫瘍学部の関戸好孝部長は「こうした受容体の異常な活性を個別の腫瘍で見極め、同時に抑制すれば、有効な治療手段になる可能性がある」と話している。



 アスベストが原因と分かって、大問題となった悪性中皮腫の騒動ですが、まだ氷山の一角にすぎません。アスベストが撤廃された今であっても、既に体内に取り込まれたアスベストがいつ悪さをし始めるか、分からないのです。

 今回の研究で分かった2つの受容体を同時に抑制するような薬が出来れば、悪性中皮腫の生存率もかなり上がることが期待されます。

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ホットコーヒーかアイスコーヒーかで持たれるイメージが異なる

性格の判断材料は1杯のコーヒー?米研究

 手に持っている飲み物は温かいか冷たいか――。このような何気ないものが、人の性格を判断するのに影響を与えているとの研究結果が、23日発行の米科学誌「サイエンス(Science)」最新号で発表された。

 米エール大学(Yale University)のチームが行った実験では、ホットコーヒーのカップを手に持っている人は、他人をより寛容で思いやりがあると認識し、冷たい飲み物を持っている人は、他人をより冷たい人と認識することが判明した。

 その次の実験では、温かいものを持っている人は他人に何かをあげる傾向があり、冷たいものを持っている人は自分のために何かを得ようとする傾向が見られた。

 実験の結果は、人が感じる物の温度や相手との距離感は、単なる比喩ではないことを示している。温度と距離は文字通り、母親と幼少期の子どもの間で最初に経験される信頼感を示すものだという。

 物理的温度は、人に対する判断だけでなく、人の行動にも影響を与えているが、人の性格を評価する際に温度が影響するのは、脳画像の研究によっても証明されている。

 物理的な温かさは、相手を温かい人物とみなすだけでなく、自身を温かく寛容で信用に値するようにみせてもいるという。



 えぇぇぇぇ

 いやまぁ確かに人が視覚的にみて判断するときのイメージって案外そんなもんなのかもしれませんね。コーヒーを飲んでいるかジュースを飲んでいるかでもイメージって変わりますし。

 要するに「人は話してみなきゃ分からない」ってことですね。

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ピロリ菌は食道腺癌を予防する作用をもっていた。

ピロリ菌が食道癌(がん)を予防する

 ヒトの胃によくみられるヘリコバクター・ピロリ菌(H. pylori)に、一部の食道癌を防ぐ作用のあることが新しい研究で示された。ピロリ菌のCag A遺伝子陽性株を有する人は、食道腺癌になる比率が約半分であるという。

 研究著者の一人で米国立癌研究所(NCI)研究員のFarin Kamangar博士によると、ピロリ菌CagA陽性株は、胃酸の産生を低下させることによって食道への酸逆流を抑え、腺癌リスクを軽減させる。さらに、胃から分泌され食欲を刺激するホルモンであるグレリンの産生を低下させることによっても効果を発揮するという。グレリンの値が低下すると、腺癌の重要な危険因子(リスクファクター)である肥満が軽減されるためである。この知見は、医学誌「Cancer Prevention Research(癌予防研究)」10月号に掲載された。

 ピロリ菌は世界人口の約半数がもっているといわれ、胃癌や胃潰瘍の原因として知られている。公衆衛生や抗生物質の普及により以前ほど多くはみられなくなり、胃癌や胃潰瘍も減少している。ピロリ菌CagA陽性株も同時に減少する一方で食道腺癌が増大しており、この2つのファクト(事実)は関連しているという。食道腺癌はかつてはまれな癌であったのが、今では米国や英国などの西洋諸国で食道癌全体の約半数を腺癌が占めている。

 潜在的な致死能力をもちながらピロリ菌が長い間ヒトと共存してきた事実から、「下痢性疾患や喘息の減少への寄与など、何らかの有益な効果があるのだろう」とKamangar氏は述べている。



 ほぉー。ただ害悪だったわけではない、と。

 いや、どうかな?よくある「寄生虫がいなくなったからアレルギーが増えた」説とはニュアンスが違うような気もします。ピロリ菌が胃潰瘍や胃癌のリスクになることは確かで、それを除菌していたら、逆に胃酸の産生が増えて食道腺癌になってしまったという感じで・・・。

 ただ長年人類とともに歩んできたということは、ピロリ菌も何らかの良い影響を与えて「共存」していかなければならなかったわけで、それが食道腺癌の予防に繋がった、と。難しいところですねー。今後はCagA遺伝子陽性株をもつ人には食道腺癌の精査をしていくしかないでしょうかね。

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ガン予防効果のあるレスベラトロールを含むビール

米大学生、「ガンに効くビール」作りに挑む

 米ライス大学の学生が、遺伝子工学を用いてガン予防効果のあるレスベラトロールを含むビールを作り出そうとしている。レスベラトロールはワインに含有される化学物質で、ガンや心臓病を抑制することが動物実験で示されている。

 この「BioBeer」はまだ1滴もできておらず、ビールの発酵とレスベラトロールの生成を同時に行う遺伝子組み換えイーストを作っている段階。数週間以内に試験的に醸造する予定だが、実験に必要なケミカル「マーカー」を含むため、これを取り除くまでは飲めないと研究チームは述べている。

 研究チームは、市販のビールで使われているイーストの遺伝子の2つの部分を組み換えている。1つ目の部分は、イーストが糖を代謝し、中間物質を分泌できるようにする。この中間物質を、2つ目の部分がレスベラトロールに変換する。2つ目の部分は組み換えができているが、1つ目の部分はまだ作業中としている。

 BioBeerは、11月上旬に開かれる国際大学対抗遺伝子工学技術応用機械(iGEM)コンペティションに出品される予定。なお、研究チームの学生のほとんどは、法律で飲酒が認められる年齢に達していないという。



 素晴らしいオチの記事ですね。

 しかしこういう商品は大抵「予防効果はあるかもしれないがそれ以上に飲みすぎによるリスクのほうが大きい」となりがちなんですよね。

 飲みすぎると気持ち悪くなるビールってのを造ったら案外需要あるかも?ないか。

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posted by さじ at 00:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | がん
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