2008年11月22日

介護職であっても一部の医療行為を認める。

介護職に一部の医療行為認める…厚労省

 厚生労働省は20日、介護や高齢社会の将来像を示す「安心と希望の介護ビジョン」をまとめた。研修を受けた介護職に一部の医療行為を認めることや、高齢者の地域活動を支援することなどを盛り込んでいる。

 7月に発足した舛添厚生労働相直属の検討会が、2025年を視野に、介護や高齢社会のあるべき姿を議論してきたもの。今後、取り組むべき課題として、〈1〉高齢者の地域参加の推進〈2〉介護の質の向上〈3〉介護従事者にとっての安心と希望の実現――をビジョンとして打ち出した。

 このうち、介護の質の向上では、研修を受けた介護従事者が、施設で医師、看護師と連携しながら、経管栄養の処置やたんの吸引などができる仕組みが必要だとした。たたき台で示された「療養介護士(仮称)」の資格創設は、「唐突すぎる」などの意見があり、将来の検討課題とした。



 寝たきりの高齢者に必要な医療技術であっても、研修を受けた人なら行っても良いことになる、と。といってもちょっと訓練すれば誰でも出来ることだと思うので、こういう医療の提供は必要でしょうね。

 看護師や救急救命士でも医療技術を行えるような仕組みは今のところかなりうまく行ってると思います。問題が起こることはまぁないと考えても宜しいかと。むしろ介護の質の向上には不可欠ですからね。

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posted by さじ at 02:23 | Comment(2) | TrackBack(0) | 介護

2008年11月21日

薬害被害者が薬のネット販売全面禁止を訴える

薬のネット販売「全面禁止を」薬害被害者らが要望書提出

 エイズやスモンなどの薬害被害者団体や消費者団体など24団体は17日、舛添厚生労働相と甘利規制改革担当相に対し、ネット上での大衆薬販売を全面的に禁止するよう求める要望書を提出した。

 薬事法では大衆薬のネット販売について規定がなく、販売が広がっているため、厚労省は、年内にも風邪薬などのネット販売を禁じる省令改正を検討。これに、政府の規制改革会議が反対している。

 舛添厚労相との面談後、会見した全国薬害被害者団体連絡協議会の花井十伍・代表世話人らは「消費者の命を軽視する横やりは絶対許さない」と訴えた。



 まぁねぇ。ネットで簡単に手に入ってしまうのは問題ですね。

 大衆薬といえど無害なわけじゃないですからね。薬害は、あってからでは遅い。まずは予防を。

 しかもネットだと、偽薬も横行してますからね。とてもネットで手に入れた薬なんて飲めませんよ。たとえ有名な薬であっても。
posted by さじ at 03:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | 薬理

医学生の従事したい診療科。1位内科2位小児科3位整形外科

医学生の従事したい診療科、「内科」がトップ

 医学生や初期研修医らが「将来従事したい診療科」のトップは「内科」であることが、全国医学部長病院長会議などが実施した「臨床研修に関するアンケート調査」の速報値で明らかになった。11月18日に開かれた厚生労働省と文部科学省の「臨床研修制度のあり方に関する検討会」で公表された。

 同調査は、臨床にかかわる現場の医学生、研修医、指導医などの意識を把握するため、全国医学部長病院長会議と臨床研修協議会が共同で実施。医学生や初期研修医、卒後3−5年目の医師ら8945人から回答を得た。

 医学生の「将来従事したい診療科または基礎系の分野」は、「内科」がトップで14.1%。次いで「小児科」(11.5%)、「整形外科」(5.1%)と続いた。初期研修医についても「内科」がトップで13.6%。これに「小児科」(6.9%)、「整形外科」(6.2%)が続いている。また、医師不足が特に問題となっている「産科系(産婦人科・産科・婦人科)」は、医学生の6.5%、「救急科」は2.1%にとどまった。

 また、国などの公的機関による医師の計画配置については、医学生の49.3%、初期研修医の56.5%、卒後3−5年目の医師の58.1%が反対した。「賛成」と「一定の時期・期間であれば賛成」「インセンティブとの組み合わせなら賛成」の条件付き賛成を合わせた割合は、医学生45.3%、初期研修医38.4%、卒後3−5年目の医師37.9%。

 このほか、医師不足地域で従事することについては、「条件が合えば従事したい」とする医学生は70.5%、初期研修医は65.4%と、3人に2人前後に上っている一方で、「条件にかかわらず希望しない」との回答も共に20.6%あった。

 「医師不足地域で従事するのに必要な条件」としては、医学生、初期研修医共に「処遇・待遇(給与)が良い」が最も多かった



 内科って。何内科なんでしょう。全部含めての内科か。開業思考か。

 小児科人気高いですねぇ。その割には実際になる人が少ないというか。ガッツがないんですかね。実際に研修医になってまわってみたら、思った以上にキツくて脱落してしまうヒヨり組が多いんでしょうか。

 整形外科はなんか昔から人気ですね。体育会系でお世話になる人が多いからでしょうか。まぁ開業してもオイシイですしね。

 学生の頃なりたかった科と、実際に専門としてとる科が全然違うなんてのはよくある話ですから。焦らずじっくり考えてみて下さい。

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posted by さじ at 02:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | 大学

割り箸死亡事故、医師に過失なしの無罪判決が出る。

割りばし事故医療過誤事件控訴審 業務上過失致死に問われた医師に無罪判決

 東京・杉並区で1999年、のどに割りばしが刺さった当時4歳の男の子が病院で受診後に死亡した事故をめぐって、業務上過失致死に問われていた医師に対し、東京高裁は、1審に続き、無罪を言い渡した。

 この事故は1999年7月、杉野隼三ちゃん(当時4)が綿あめを口に入れたまま転倒し、割りばしがのどに刺さり、杏林大学付属病院で診察を受けた翌日に死亡した。

 診察した医師は、脳の中に残っていたおよそ8cmの割りばしの破片に気づかず、化膿止めを塗っただけで、隼三ちゃんを帰宅させていた。

 この事故の責任をめぐって、診察した医師・根本英樹被告(40)は業務上過失致死の罪に問われてた。

 2006年3月の1審では、「頭蓋骨の中の傷を想定して、CT検査などをするべきだった」と、医師の過失は認めたものの、「正しく判断できたとしても、命を救うことは困難だった」と無罪判決が言い渡され、検察側が控訴していた。

 そして20日、東京高裁は「本件控訴を棄却する」と検察側の控訴を棄却し、あらためて無罪を言い渡した。

 また裁判長は、1審が認めた医師の過失についても、「被告人には、頭蓋内損傷を疑って、これを確認すべき注意義務があるとは言えない」として、医師に過失はなかったと結論づけた

 20日の判決に、隼三ちゃんの母・杉野文栄さんは「治療が不十分なものであったことを認めてくださることを祈って、それだけを信じて傍聴を続けてきました。注意義務違反も含めて、今回なくなってしまったことが、本当に残念でなりません。今回も隼三に、裁判の結果について伝えることができない」と語った。

 一方、無罪判決を受けた医師側の弁護士は、「本日の判決結果については、業務上の注意義務違反。過失そのもののを否定した裁判所の判断に感謝している」と語った。



「謝罪して欲しい」両親ら痛切 男児割りばし死亡事件

 隼三ちゃんの父の杉野正雄さん(57)と母文栄さん(51)は20日、判決後に記者会見し、「過失を認めない内容は受け入れがたい」と批判した。文栄さんは「一言の謝罪を求めての9年間だった。医師と病院に『もう少し丁寧に診ればよかった』と謝罪して欲しい」と改めて訴えた。

 同じく高校教師の正雄さんは、隼三ちゃんを亡くした悲しみに加え、「ああいう家族がいるから救急医療の現場が崩壊する」といったネット上の中傷や事実無根の書き込みに心を痛めた。正雄さんは「真実を知りたい、謝罪してほしい、過ちを繰り返さないでほしいと願う被害者が声を上げられなくなる」と危機感を募らせた。

 一方、日本救急医学会理事の瀧健治・佐賀大教授は判決を「救急医療の現場を理解してくれた」と評した。事故後、訴訟を嫌う医師が専門外の診療を避ける傾向が強まったと感じる。「事故を戒めとし、重い患者を見落とさない仕組みを作らなければ」とも話した。



 うーん。当然の判決。

 今回の二審では、過失すらもないことが認められました。根本医師にとっては長く辛い闘いだったと思います。自分の人生を大きく歪めてしまう裁判になったのではないでしょうか。

 当然、遺族は納得はできないのでしょうけれど・・・。

 遺族にとっては酷かもしれませんけれど、「過失がなかった」、というのが「真実」であり「謝罪する必要」もなければ「過ち」でもないという話です。

 それを理解しろというのも酷ですし感情的になってしまう気持ちは分かりますけれど、感情的な意見で医師を傷つけるのはもっといけないことだと思うのであえて言いました。事故は事故で、医師が謝罪する必要はない。そしてそれが現実であって、それを受け入れて子供に報告すべきなのではないか、と思います。

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2008年11月17日

ソースの2度漬けで、ソース内の細菌は激増する。

食材の「2度漬け」でソース内の細菌数が激増 米研究

 ソースやサルサの器に、一度口をつけたクラッカーなどを「2度漬け」することで、ソース内の細菌数が急増するとの研究結果を、米大学の学生が発表した。まるで「口」そのものをソースにつけている様なものだと、気をつけるよう呼び掛けている。

 クレムソン大学で微生物学を学ぶ学部生が昨年、実験した。ボランティアを募って、小麦クラッカーを使い、複数の「ディップ」を用意。「2度漬け」を3─6回やったディップ内では、細菌数が1万まで増えていた。クラッカーをかじった人の口から、ディップ内へ移った細菌数だという。

 学生を指導したポール・L・ドーソン教授は、「結果に驚いた」と話している。「細菌の移動は、もっと少ないと考えていたのだが。2度漬けで細菌が移るのは、防ぎようがないようだ」と述べている。

 ドーソン教授は、「ソースやディップへの2度漬けは、パーティで出会う人出会う人みんなとキスするようなもの。2度漬けすることで、自分の口の細菌を、ソースに移していることになる」としている。

 学生の研究成果は、今後半年以内に、植物安全関連の学会誌に発表される予定。



 串揚げのソース二度漬け禁止は、理にかなっているのかもしれません。生理的なもんでしょうけど。笑

 でもまあ、細菌なんてそこらへんにいますし、常在菌なら免疫が弱りきっていない限り感染症を起こすことはないので、大丈夫だと思いますけれど。

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posted by さじ at 23:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | 感染

法医学者が1人しかいない佐賀県の惨状。

県内解剖医不在解消へ佐賀大法医学教室に准教授

 佐賀大医学部法医学教室の教授が県外の大学に移り、今年1月から県内で司法解剖ができない状態が続いていた問題で、名古屋市立大医学部講師を務めていた小山宏義さん(50)が後任として准教授に採用され、解剖医の不在が解消される見通しとなった。

 ただ、准教授をサポートする助教も今春、県外の大学に移り、不在のまま。県外の解剖医は「通常、法医学教室は教授や助教など3〜4人体制だが、佐賀大は長く2人のままだった1人で解剖して鑑定書を書き、講義や実習もするのは大変だろう」と推測する。

 同大は「法医学教室の体制を整えたい」としており、新たに助教などを採用するか検討する。

 県警は1月から10月末までに856体の変死体を扱い、うち61体(うち7体は承諾解剖)の解剖を福岡、長崎両県の大学に依頼した。



 法医学という学問も、人手不足の深刻さは他と一緒か。

 本来なら遺体をみるだけでなく、大学病院の異状死や、生きている人の手術痕などをも分析するのが、法医学です。突き詰めれば非常に面白い医学だと思うんですが、いかんせん特殊すぎて人が集まらないか。

 もし法医学者が足りないとどういうことが起こるのか?

 例えば遺体に不信な点があっても見逃すかもしれません。また、例えばレイプ事件とか、傷害事件などのように加害者を特定すべきような事件に割く人員がいないため、事件解決の糸口を見つけられないかもしれません。病院での不信な死や障害を見過ごして、患者さんに不利益を蒙らせたままになるかもしれないのです。

 医学的にみれば、妊婦や小児を助ける産婦人科や小児科が不足しているのは大問題です。ですが、社会的にみた場合、事件を究明できる法医学者というスペシャリストが不足していることもまた、早急に解決すべき問題だと思います。

 例えば監察官の中から、国がお金を出して医学部に6年間(4年くらいでいいですかね)通わせるコースをつくるとか。

何故医学生は法医学を志さないのか。

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posted by さじ at 23:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | 大学

減感作療法を鼡径リンパ節に直接行って花粉症克服へ

「花粉症」3か月で改善、スイスの研究チームが新治療法

 花粉症などのアレルギー患者に原因物質を繰り返し注射する「減感作療法」を、3か月で済ませることに、チューリヒ大学病院(スイス)などの研究チームが成功した。

 皮下でなく、そけい部のリンパ節に注射する方法で、副作用も従来の方法より少ないという。米科学アカデミー紀要電子版に10日、発表された。

 減感作療法は通常、原因物質のエキスを少量ずつ、約3年かけて注射する。研究チームは、皮下注射したエキスが体内の免疫システムをつかさどるリンパ節へは一部しか達しないことに注目。58人の花粉症患者に対し、リンパ節へ直接、1か月おきに計3回だけ注射する新手法を試してみた

 開始から4か月後に検査したところ、アレルギー症状が劇的に緩和され、治療前に比べ平均10倍の花粉量がないと鼻炎が起きなくなっていた。効果は開始から3年後も持続していた。

 従来の減感作療法を行った別の54人では、じんましんなどの軽い副作用が18件、入院の必要なぜんそくの副作用が2件起きた。新手法では、軽い副作用が6件起きただけだった。



 鼡径リンパへ直接・・・

 これ、痛くないんですかね?結構痛そうな感じもしますけれど、まぁでも花粉症ってつらい人にはホント辛い疾患だと思うんで。減感作療法は素人が手を出すべきではないですし、時間もかかるものですけれど、どうにもつらいと思う人はやってみるのも1つの手だと思います。

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posted by さじ at 20:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | 耳鼻

福岡大学医学部が弁護士を研究職の教員として採用する。

福岡大医学部、弁護士を教員採用へ

 医療訴訟などの増加を受け、福岡大学医学部(福岡市)は来年度から、弁護士を研究職の教員として採用する方針を決めた

 この教員は、トラブルが起きれば、病院、患者双方から意見を聞き、病院側の過失も指摘しながら法的問題を説明して訴訟などを防ぐ。中立性の確保が課題となるが、裁判以外の解決を探る取り組みとして注目を集めそうだ。文部科学省は「医学部が弁護士を教員に採用するのは初めてではないか」としている。

 福岡大病院では、訴訟まで発展しないものの、入院費の支払いや手術の結果を巡ってのトラブルが増加している。患者による看護師らへの暴力事件も、昨年は4件、今年は11件(10月末現在)発生した。最高裁によると、昨年の医療訴訟の提訴件数は944件で、この10年間で約1・6倍に増加。医療訴訟は、医療行為と事故の因果関係の立証が難しいことなどで、平均審理時間は約2年と長い。膨大な時間と費用が必要なため、患者の負担が大きく、病院側にとっても医師が訴訟の多い産科や外科を敬遠し、医師不足につながっている。

 同大医学部によると、採用する弁護士は、トラブル発生の際、第三者的な立場で病院と患者から意見を聞き、手術経過などを分析して法的問題を指摘する。

 弁護士は原則、利害が対立する複数の代理人になれないため、病院の顧問弁護士であれば、患者の利益を図ることはできない。しかし、教員なら、病院側の利益にとらわれる必要はなく、患者に病院の過失を指摘できるという

 採用するのは、昨年度の司法試験に合格し12月に弁護士資格を取得予定の女性で、消化器外科の助教に迎える薬剤師として約11年の勤務経験もあり、医療現場にも通じているという



 これはいい案ですね。

 別に病院側が裁判で勝つために弁護士を採用しているわけではなくて、問題を解決するために中立な立場として据え置くという形。

 今後はこういった形の役職も増えるんでしょうねぇ。特に外科医にとっては、こういう法律訴訟は医療に支障を来たしかねないほどですから、少しでも負担が減れば幸いか。

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2008年11月16日

タミフルの効かないインフルエンザが鳥取で流行中

タミフル効かず、インフルエンザに異変

 国は新型インフルエンザの大流行、いわゆる「パンデミック」が現実となった場合、国内で最大64万人が死亡すると想定、対抗策としてインフルエンザ治療薬「タミフル」の大量備蓄を進めていますが、実は1つ問題が生じています。切り札であるはずのタミフルが、効かないウイルスが全国で見つかっているのです

 今年のインフルエンザは、早くも流行の兆しが出ています。大阪・堺市の東百舌鳥小学校では先月、1クラスが学級閉鎖されました。

 「まだ暑い時期だったので、本当にインフルエンザ?という感じ。30数年教師をやっているが、こういう経験は初めて」(東百舌鳥小学校 今井好隆校長)

 9月下旬、1人の児童がインフルエンザを発症し、2週間後には同じクラスで突然20人が欠席。そのうち10人がインフルエンザと診断され、学級閉鎖となったのです。毎年、学級閉鎖はありますが、こんなに早いのは初めてだと言います。

 「(学級閉鎖は)だいたい12月など寒い時期。2か月とはいかないが、1か月半程は早い感じ」(東百舌鳥小学校 今井好隆校長)

 9月下旬といえば、季節外れの冷たい風が日本列島を覆い、急に冷え込みました。その後また暑くなりましたが、この時期に風邪が大流行。気温が突然下がって、インフルエンザウイルスが活発になった可能性も考えられます。

 インフルエンザ治療薬として知られるタミフル。服用後の異常行動との関係がクローズアップされることが多かった一方で、小児科を中心に現場の医師からは薬としての効果が評価されています。それが・・・

 「鳥取県は30%以上も高かった。理由は分からない。本当に分からない」(国立感染症研究所 氏家誠研究員)

 国立感染症研究所がインフルエンザに感染した患者のウイルスを緊急調査した結果、なんとタミフルが効かないウイルスが増えていることが分かりました

 既に全国9県で確認され、特に鳥取県が30%以上の高い確率で見つかっていて、突出して多かったといいます。

 実はタミフルが効かないウイルスは、昨シーズン世界中で流行していました。最も発生率の高かったノルウェーから、瞬く間にヨーロッパ中に拡大したとみられています。このため、日本にも広がっている可能性が指摘されていました。

 「外から入ってきた可能性も否定できないし、鳥取県の中で新たに耐性株が発生したという可能性も、2つの可能性が考えられる」(国立感染症研究所・インフルエンザウイルス室 小田切孝人室長)

 全国的に見ると、問題のウイルスの発生頻度はまだヨーロッパなどよりははるかに低く、もしタミフルが効かないウイルスに感染したとしても、「リレンザ」などの別の治療薬が有効とされているため、急場をしのぐことはできます。



 前回の流行時のニュースですが、これですね、タミフル耐性インフルエンザが欧米で流行したというのは。

 早々に鳥取県で大流行。んー、全国的に流行するんでしょうか。

 やはりいつになっても、インフルエンザは予防が大事です。これから大流行シーズンですが、気ぃ張っていきましょう。

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妊婦受け入れ拒否問題での二階経産相の失言について

妊婦受け入れ拒否、夫が再発防止訴え

 東京都内で相次いで明らかになった、妊婦の受け入れ拒否。三鷹市の杏林病院から受け入れを拒否された妊婦の夫がインタビューにこたえ、「二度とこうしたことが起きてはならない」と訴えました。

 先週金曜日。東京の都立墨東病院には、意識不明となっている妻を見舞う男性の姿がありました。

 「心配ですし、会いたいので来てるんですけど。『うん』とか言ってくれればうれしいが、(返事は)まだない・・・」(搬送拒否された妊婦の夫)

 出産を間近に控えた男性の妻(32)が、異変を訴えたのは9月23日午前0時過ぎ。突然、嘔吐や右半身が動かなくなるなどの症状が出たといいます。

 「(妻の体の)右側が全部、動かないような感じになってきていた。(医師は)脳の障害の可能性があると言っていた」(搬送拒否された妊婦の夫)

 入院していた調布市の飯野病院の医師は脳出血の疑いがあると判断、午前3時ごろ、三鷹市の杏林大学病院に救急搬送を要請しました。

 しかし、杏林大学病院は産科医が手術中だったことなどを理由に、受け入れを拒否。女性はその後、都内の5つの病院からも受け入れを断られ、4時間後、ようやくおよそ25キロも離れた都立墨東病院に搬送されました。

 「(救急車の中では)早く着いてくれ、早く着いてくれと。体がなんとかもってくれと思っているだけでした。とにかく長く感じました。(病院に)着くまでは」(搬送拒否された妊婦の夫)

 妻は病院で男の子を出産、その後、脳の手術を受けましたが、現在も意識が戻っていません。

 「(妻に)一番最初に(息子を)抱かせてやりたかった。頑張った本人にはね」(搬送拒否された妊婦の夫)

 今回のケースでは、最初に搬送を断った杏林大学病院側が「切迫感が伝わってこなかった」としているのに対し、飯野病院側は「脳障害であることは伝えており、切迫感は伝わっていた」と病院間での言い分が食い違っています。

 また先月4日、墨東病院など都内の8つの病院に搬送を断られた36歳の妊婦が死亡したケースでも、病院の間で言い分が食い違っています。

 病院同士の主張が食い違う今回の問題。舛添大臣はコミュニケーションがうまくいかない現状を、IT技術を駆使して解決できないかと、二階経済産業大臣と急遽、会談しました。

 「お医者さん同士のコミュニケーションがうまくいっていない。IT技術を活用した形で、両省で協力しながら国民のためになる仕事をしたい」(舛添要一厚労相)

 「政治の立場で申し上げるなら、何よりも医者のモラルの問題だと思いますよ。忙しいだの、人が足りないだのというのは言い訳にすぎない」(二階俊博経産相



二階経産相も失言 「医者のモラルの問題」発言撤回

 東京都内で脳内出血の妊婦が相次いで救急搬送を拒否された問題で、二階俊博経済産業相が「医者のモラルの問題」と発言したことから、医師などの団体から抗議が相次いだ。二階経産相は13日、謝罪した上で発言を撤回した。

 発言は10日、二階経産相が舛添要一厚生労働相とともに、病院の情報伝達システム開発を両省で強力して行うことを表明した際に飛び出した。

 二階経産相は搬送拒否の問題に触れ、「医者のモラルの問題だ。相当の決意を持ってなったのだろうから、忙しいだの、人が足りないだのということは言い訳に過ぎない」と、発言した。

 これに対し、全国医師連盟が「産科救急の問題は、基本的に人員や施設の不足に起因」とした上で、「発言でモチベーションが下がり、さらに離職する産科医が増える」と抗議声明を発表。他にも2つの市民団体から抗議の声が挙がった。

 13日の参院厚労委員会でも足立信也議員(民主)が発言の真意を質問したところ、二階経産相は「発言が医療に携わるみなさまに誤解を与えたことをおわび申し上げ、発言を撤回する」という回答を寄せた。



経産相発言は「責任転嫁」―日医

 日本医師会の中川俊男常任理事は11月12日の定例記者会見で、二階俊博経済産業相が救急医療機関で妊婦の受け入れができない事例が相次いで明らかになっているのを受けて、「医者のモラルの問題」などと発言したとされる問題について、「システム上の問題を医師のモラルの問題に責任転嫁するのは大問題だ」と非難した。

 この中で、中川氏は「過酷な医療現場で疲弊している医師に対して、石を投げるようなもの。あまりにも現場を見ていないと言わざるを得ない」と経産相を厳しく批判。

 救急医療機関で妊婦の受け入れができない事例が相次いでいることについては、「小泉政権下から特に強まった医療費抑制政策の結果というシステム上の問題」との見方を示した。



 まぁ失言を謝罪し、撤回したことに対して何か言うのもアレですけれど。

 今回の失言は、まさにトップが、現場の医療を全く理解していないがために出てしまったものですよね。大学病院や大きな病院で働いている医師の多くは、二階経産相のおっしゃるとおり、「相当の決意をもってなった」でしょうし、自身の限界の限りを尽くしてやっています。

 しかしですね、何事も限界はあるのです。その人が出しつくせるだけの全てを出して患者に向き合ったとしても、向き合えるのはただ一人だけで。二階経産相は、医師が忙しいということはご存知なのかもしれませんけれど、その「忙しい」というのは自分の忙しさと同等のように捉えているのかもしれませんね。人間、同じ形容詞を使っていても、その人その人によってニュアンスが異なりますから。

 ただ、この杏林大の先生の「忙しい」は、日本の中でもトップクラスの忙しさであっただろうことは、想像に難くありません。
posted by さじ at 23:32 | Comment(1) | TrackBack(0) | NEWS

飲酒するときに食べたほうがいい料理とは。

締めのラーメンは予防になる? 二日酔い俗説を検証

 実りの秋。食欲が進み、ついつい深酒して、二日酔いになることもあるだろう。そこで「〇〇すると、二日酔いにならない」といった様々な俗説は本当なのか、検証した。

 「飲んだ後、締めのラーメンは実は、二日酔いの予防にはならないんです」と指摘するのは、『二日酔いの特効薬のウソ・ホント』(日東書院)の著者で、整形外科・内科医院「なかやまクリニック」(東京都新宿区)の中山健児院長。

 酒に強いか弱いかは、アルコールのアセトアルデヒドという毒性物質を分解する肝臓の代謝機能の違いで決まる。日本人の約5%は、ほとんど代謝できずに倒れるタイプ。あまり代謝できないタイプも約45%に上り、「日本人の半数は酒に弱い」ことをまず認識すべきだ。

 一方、歳とともに酒が弱くなるのは、肝臓が悪くなって、代謝能力が落ちている可能性がある。

 「迎え酒は非常に危険。迎え酒は二日酔いにいいという話はまったくのウソ。苦しみを先延ばしにするだけです。アルコール依存症の可能性があります」

 そして、「飲んだ後のラーメンより、みそ汁のほうが分解に不足しがちな水分や塩分を補給しますしじみ汁なら、胆汁の分泌を促し、肝機能も高める」と指摘。さらに、意外なのは、酒の肴。塩辛いものより、甘いもののほうがいい。

 「小豆に含まれるカリウムやサボニンには、余分な水分や有害物質を体外に排出する作用があります。チョコレートも、分解に必要な糖分を補給してくれる」

 では、飲む前の食事は?

 「少し食べてから飲んだほうがいい。特に日本茶や柿などの果糖に含まれるタンニンは、胃粘膜を収縮、アルコールの吸収を遅らせるので効果的

 もう一点、「とりあえずビール」は悪酔いしない?

 「利尿作用が強く、お腹が膨れやすい。炭酸ガスとホップに消化を促進する作用もあり、理に叶う

 大事なのは、チェーサーをとること。酒と同じくらい水分を取る意識が、肝臓を守る基本だという。



 忘年会シーズンの到来ですかね。そろそろ。お酒を呑む機会も増えますが、あえてうまく肝臓をサポートしてやる方向で。

 本当はバカのみしないのが一番なんですが、それが無理という人は、記事にかかれているようなことを行いつつ飲酒してみてはいかがでしょうか。肝臓って結構バカにできないものです。常に働いていたら、いつかはガタがきますからね。労わってやってください。

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posted by さじ at 19:06 | Comment(3) | TrackBack(0) | 消化

片方の鼻が詰まってても、脳がそれをカバーしている。

<鼻詰まり>片方が脳の働きでカバー 東大チームが証明

 右の鼻が詰まっても、左の鼻だけでにおいをとらえられるように脳の感度が高まることを、東京大の研究チームがラット実験で突き止めた。鼻詰まりを起こしても、危険なにおいをキャッチするなど、身の回りの環境変化を絶えず察知するのに役立っていると考えられる。12日付の米専門誌「ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス」に掲載された。

 ヒトもラットも、においの情報は鼻腔にある嗅細胞から、大脳の嗅皮質と呼ばれる場所に伝わって認識される。通常は、右の鼻から入ったにおいは右側の嗅皮質、左の鼻からのにおいは左側の嗅皮質で処理される。

 研究チームは、ラットの右の鼻の穴に膜を張り付けて空気の出入りをなくし、鼻詰まりと同じ状態にした。続いて嗅皮質に電極をつけ、神経細胞の反応を調べた。においの情報が入らない右の嗅皮質はほとんど反応を示さなかったが、2〜3分たつと、右の嗅皮質にある神経細胞の約30%がにおいの刺激に反応し始めた

 森憲作教授(神経科学)は「鼻の通気状態に対応して、どちらから信号を受け取るかが素早く切り替わるようだ。切り替わらないと脳の嗅皮質の半分が休んでしまう。においを十分に認識するには、両方働くことが重要と考えられる」と話している。



 嗅覚ってのは本来生き物にとって大事な部分ですからね。原始的な部分であっても、ちゃんと人間にも残されているんだなぁと思わせます。

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posted by さじ at 18:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | 耳鼻

突然性格が変貌した人がいたら、脳腫瘍の可能性がある。

【脳を守る】異常行動は脳の前頭葉に腫瘍?

 今まできわめて常識的だった人が突然、異常行動をとることがあります。このような時には脳の中に腫瘍などができているかもしれません。異常行動の原因となる特徴的な場所が脳にはあるのです。

 60歳代のある女性は妻として母として、誰が見ても理想的な人でした。子供の教育にも熱心で、3人の子供は独立し社会人として立派に活躍しています。夫の経営する会社にも協力し、夫婦仲はきわめて良好。典型的なおしどり夫婦でした。

 ところがある日、自分の財布がないと言い出し、夫が隠したに違いないと言い張って家族を困らせる事件がありました。結局、その時は自分で机の引き出しに置いたのを忘れただけと判明しました。

 それから2週間ほどたった日のこと。夫が自宅に帰って来ると、妻はブロック塀の上に立ち、夫に「ここよ、ここよ」と手を振っています。あぜんとした夫は妻を連れて脳神経外科を受診しました。

 脳のMRI(磁気共鳴画像装置)をみて、担当の脳外科医は腫瘍が原因で異常な行動が出ている、と判断しました。前頭葉と呼ばれる場所に大きな腫瘍が見つかったのです。脳の膜から発生した「髄膜腫」と呼ばれるもので早速、手術で取り除きました。この腫瘍は血管が豊富で大量の出血がありましたが、後遺症もなく無事に手術を終了できました。

 穏やかな性格の人が急に怒りっぽくなったり、異常な行動を示したりするときは、脳の前頭葉に腫瘍ができていることがあります。前頭葉には自分の行動が社会的にみて正しいかどうかを判定する働きや、自己を抑制する働きがあり、この場所に異常があると自己抑制がきかず、反社会的な行動をとることがあるのです。

 また、性格の穏やかさも前頭葉の働きで決まってくるようです。人間として生きるために大切な働きをしているのが前頭葉、と言っても過言ではないでしょう。

(和歌山県立医科大学脳神経外科板倉徹)



 髄膜腫は通常は良性で、硬膜(脳を包む膜の1つ)に付着しています。矢状静脈洞周囲や円蓋部、小脳橋角部、脊髄背側に生じることが多く、女性に発生しやすい腫瘍です。発生する時期は中年期に多いとされています。

 部分発作や、緩やかに進行する局所神経症状、頭蓋内圧亢進症状で発見されることがあります。今回の記事のように、前頭葉付近に髄膜腫が出来た場合には、前頭葉が障害されてこのような性格の変化も出現するのでしょう。

 良性の髄膜腫ならば、全摘除で治癒します。もし全部取れないような場合には放射線による照射療法を行います。

 このブログで取り上げたかもしれませんが、若い女性で、性格が変貌して怒りっぽくなって、周りの人も嫌気がさしてその人から離れていった。半年後、実は脳腫瘍であったことが発覚して、その人は亡くなってしまった、ということもありました。

 精神科的疾患もそうですが、このように脳腫瘍によって本人の性格が変貌してしまった場合、自分で「おかしいな」と思って病院を受診することは極めて稀なことです。周囲が気付いたら、病院へ連れていきましょう。

関連:脳腫瘍の増殖を促進する遺伝子、メルク。
posted by さじ at 15:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神

2008年11月12日

肌のかゆみをスキンケアで抑えて、高齢者も快眠に。

かゆみ:スキンケアで快眠 高齢者施設で実験、介護の負担も軽減

 さわやかな秋は空気が乾燥する季節だ。高齢者に多い不眠の原因の一つとして、かゆみが浮上している。最近の介護施設での実験から、皮膚を手入れするだけで、ぐっすり眠れることが分かってきた

 高齢になると、皮脂が減るため皮膚のバリアー機能が低下し、ちょっとした刺激でかゆみを感じるようになる。体の水分も減り皮膚が乾燥するが、乾燥はかゆみを強める。介護が必要になると、おむつを当てた部分がかゆくなる。強く引っかいて傷になる繰り返しで、なかなか治らない。

 実験は今年5月下旬から2週間、新横浜介護老人保健施設「カメリア」(横浜市港北区)の入所者で、79〜100歳の認知症の男女3人ずつを対象に実施。古賀良彦・杏林大医学部教授とユースキン製薬が行った。

 入所者6人全員に、加齢に伴うかゆみがあった。特に79歳と93歳の男性2人は、他の人よりかゆみの影響がひどかった。腕や肩に内出血やかさぶたが見られ、背中が炎症で赤くなっていて、93歳の男性はかき傷に菌が入って化膿していた。

 就寝中は6人全員が2〜3回目を覚まし、ひどい2人は、深夜のおむつ交換で必ず目を覚まして体をかくのが習慣だった。

 実験では、2人には1日2回、残り4人には1日1回、かゆみ止めと保湿成分の入ったローションを、かさつきや引っかき傷、炎症部分に塗布。就寝中は、30分間隔で介護士が巡視した。皮膚が化膿していた93歳男性は、副腎皮質ホルモン入りの処方薬を塗っていたが、実験ではローションに切り替えた。

 79歳男性は、塗り始めから1週間で皮膚がしっとりしてきた。2週目には発疹がほぼ取れ、体をかかなくなった。実験前は夜間、よく目を開けていたが、2週目には目を閉じるようになり、深夜のおむつ交換も体をかかずに眠ったまま終了した。93歳男性は1週間で化膿が消え、2週目には、おむつ交換時に体をかかなくなった。

 夜中に目を覚ます回数は、6人とも実験前の2〜3回から1回に減少。6人ともかゆい部位が減り、消失者も4人になった。

 介護の質も上がった。かゆみが強いと入浴やおむつ交換時は、傷をかき壊さないようにバスタオルで体を覆う職員が1人必要で、作業は2人がかりだった。それが1週目ごろから体をあまりかかなくなったため、職員1人で介助できるようになった。介護課の山本寛人主任は「体をかかないように押さえると、顔をしかめたりにらんだりしていた人が、かゆくなくなってからは穏やかな顔つきになった」と話す。

 古賀教授は「スキンケアでかゆみがこんなに治るとは驚きだ。お年寄りの皮膚も保湿すれば、目に見えて状態が良くなる。介護する人の負担が減り、喜びにつながる」と語る。

 一方で、電気毛布を使った時や、入浴後には血行が良くなってかゆみが強くなりやすい。脳神経疾患研究所(福島県郡山市)の笹沼仁一・理事長室長は「電気毛布の使用をやめただけでかゆみが止まった人もいる。寒さ対策で必要な場合もあるが、つけっ放しでは乾燥するので就寝前に必ず消してほしい。処方薬では効きすぎて、眠気から転倒の恐れもあるので注意が必要だ」と助言する。



 寒くなってきましたね。

 こう、季節の変わり目では、中高年者はほとんど肌が乾燥するものです。かくいう私も乾燥肌からくる痒みを覚えておりまして・・・そろそろ保湿剤の季節なのだなぁと。もうあと1ヶ月ちょっとで2008年も終わるのだなぁと。。。おっといけない、秋はついついアンニュイになってしまいますね。

 乾燥肌を自覚されている方は、ローションなどの保湿剤を定期的に塗るようにしましょう。まずローション。これです。面倒かもしれませんが。

 あとは、特に高齢者では、水分が必要です。高齢者はただ「喉の乾きを自覚できない」だけで、実際には身体は水分を失っています。水分がないと皮膚だけでなく腎臓やら心臓やらといった全身循環に影響を与えるので、水分も定期的に摂取するようにしましょう。たとえ喉が渇いてなくても、です。

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posted by さじ at 04:44 | Comment(0) | TrackBack(0) | 皮膚

つい出てしまう独り言は、精神衛生上良くないのか?

ついつい出ちゃう“独り言”って

 テレビを見ながら「え、ホントかよ!?」。忘れ物を思い出して「ああ、しまった!」。考え事をしていて「うーん、どうしよう…」。周囲に誰もいないのに、ついつい何か言葉に出しちゃうことって誰でもありますよね。

 ついつい独り言を発している自分に気づき、「俺、大丈夫かな?」なんて不安を感じたことのある人も少なくないはず。実際のところ、独り言の原因って何かあるのでしょうか? 三軒茶屋神経科・心療内科クリニックの松島淳先生にお話を聞いてみました。独り言って、やっぱり何か病気の兆候なんですか?

 「悪いケースと正常なケースがあります。たとえば、子どもは一人でもよくしゃべっていますが、想像力や感受性が豊かな人は比較的独り言が多いようです。逆に病気の場合は、統合失調症やうつ病、強迫性障害などが原因とも考えられるので要注意20代の若い世代には、適応障害という場合も多いです」(精神科医・松島先生)

 常に不安で精神が圧迫される強迫性障害や、社会環境にうまく対応できず心身にストレスが生じる適応障害。これらは人付き合いの苦手な人には決して無縁ではないという。こうした病気が原因の場合、当人は病気の進行はもちろん、独り言を口にしていることすら自覚していないケースが多いとか。

 では、自分の独り言が悪性のものかどうかを判断するには、一体どうすれば?

 「ひとつは文脈。あまりにその場の状況とかけ離れた言葉を発していたり、自分を社会的に不利な立場に陥れるような妙な言葉を発している場合は、病気である可能性が高いと言えます」

 つまり制御が効かず、汚い言葉やエッチな言葉が状況を考えずに口から出てしまったり、自覚はなくても気がつけば周囲から白い目で見られているような独り言を発してしまっている場合は危険信号! 松島先生によれば、これらは脳の「前頭葉」の機能低下が引き起こすものだとか

 「前頭葉については未解明な部分も多いのですが、過剰なストレスや精神的ショック、あるいは適応障害などで自分を責め過ぎている状態のとき、思ったことがコントロールできずにそのまま口に出てしまうことがあるようです。こうした状態を作らないためには、とにかく人とコミュニケーションを取ることが大切ですね」(同)

 独り言が多いのは必ずしも悪いことではないものの、日ごろから強いストレスを実感しているなら、多少の用心は必要かもしれない。独り言は、心身が発する“病のサイン”である可能性もあるのだ。



 病的な独り言というのは、要するに自分でも収拾がつかなくなっている場合ですかね。ただ単に「だるいなぁ」とかそういう心の中のことをつい口にしてしまうような独り言なら、まぁ大丈夫なのでは。というか誰でも出しますしね。

 統合失調症などの場合ですと、自覚がない場合が多いかもしれません。自分が病気ではないと思っていることも多いので、これは明らかにおかしい、と思ったら周りの方もサポートして、病院を受診するほうがいいと思います。

関連:統合失調症ってどんな病気?原因・症状・治療について。
posted by さじ at 04:30 | Comment(2) | TrackBack(0) | 精神

知的障害者がパニックに陥っているときの対処法4箇条。

知的障害者パニック時 これが対処法

 町田市の障害者の親たちで組織する団体「町田サファイア・クラブ」(田中洋子代表)は、知的障害者がパニックになったりした時の対処の仕方をまとめたチラシ1000枚を作った。佐賀県で昨年9月、自転車で蛇行走行していた知的障害を持つ25歳の男性が、警察官に取り押さえられた後、急死した事件がきっかけ。田中代表は「佐賀の悲劇を繰り返さないために、障害者への理解を深めてもらおうと思った」と語り、同市内の商店などに掲示を呼びかけている。

 同クラブによると、知的障害者が挙動不審者として、警察官から職務質問を受けたり、電車の中でカギ束が女性の洋服に引っかかり外そうとして痴漢に間違われたりするケースがある。

 商店からは、「商品をいじって困る」「店頭に座り込んで動かない」「激高した時、どうしていいかわからない」などの苦情が聞こえてくる。こうした時を想定して作成したのが今回のチラシ「SOSボード」。

 チラシはA4判で、ポイントを四つに絞った。

 まず、言葉をかける時は、「走ってはだめ」といった抑えつける言葉は避け、「歩きましょう」と肯定的な態度で接する

 2番目は、穏やかな口調、短い言葉で話す

 3番目は、パニックを起こしている時は、静かな場所に移動させ、落ち着かせる

 最後は、触れられることが苦手な人もいるので注意するという内容だ。

 支援の輪は広がりつつある。町田署では、チラシをもとに、知的・精神障害者対応要領を作り、署員に徹底した。

 また、町田市商店会連合会(35団体、計1255事業者加盟)の太田忠事務局長も「住みよい町をつくる地域貢献の一環として、チラシの店内掲示を会員にお願いしている」と話す。

 町田サファイア・クラブは、町田市内の障害者作業所に通う親たちの横のつながりを目的に、昨年11月に結成された。会員は17人。チラシの問い合わせは田中代表((電)080・5527・6331)へ。



 なるほど。

 これは良いですね。確かに知的障害者がパニックになった場合って、どうするのが適切か、分からないですもんね。この4箇条は、日本人全員に身につけてもらいたいです。

 もし街中で何か起こった場合、この知識を身につけている貴方なら、助けることが出来るかもしれません。

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posted by さじ at 04:16 | Comment(2) | TrackBack(0) | 介護

身体症状から始まるうつ病もある。

自分なら「ウツ」は必ず自覚できる、という誤解

ある朝突然、身体が動かなくなった

 朝は、眠気とだるさで、洋服を着替えるにも妙に時間がかかるようになってしまい、ほんのネクタイ一本が選び切れない。クローゼットの前で呆然と立ち尽くして、気がつけばもう家を出る時間。うかうかしていたら電車に間に合わない。そんなことは重々わかっていても、身体がテキパキと動いてくれないのです。

 ある朝のことです。

 重たい身体を引きずってどうにか玄関に立ったAさん。玄関で靴を履こうとしたところで、ついに、まったく動けなくなってしまったのです

――「いったい何が起こったんだ?」「俺は、どうしちゃったんだ?」

 頭の中を、そんな疑問がグルグルと駆けめぐる。しかし、どうやっても身体は動こうとしない。気づくと、涙があふれてきている

――「悲しいことなんか何もないのに、どうして俺は泣いているんだ?」

 様子がおかしいと気が付いた妻が玄関に駆けつけてみると、そこには、呆然とした表情で目には涙をいっぱいにためた夫が、立ちつくしていました。

「どうしたの? 何かあったの?」と声をかけてみても、すぐには答えが返ってこない。しばらくして、やっと重たい口がひらく。「なんにも……でも……どうしても、身体が動かないんだ!

 そして、子供のように泣きじゃくる夫の異常な姿を見て、妻は「これはただ事ではない」と、すぐに病院を受診させることにしたのでした。

 Aさんの「うつ」は、このようにして始まったのです。

 このAさんのように、「うつ」は、必ずしも典型的な抑うつ気分(落ち込んだ気分)から始まるとは限りません。「心」の叫びは、初期の段階では、「身体」のさまざまな不調として現れてくることも珍しくはないのです。

 Aさんの例で見てみますと、まずは「電話がかけられない」という異常が起こり、徐々に集中困難、作業能率や判断力の低下、疲れ易さ、全身倦怠感、眠気などが見られるようになって、ついに出勤時に「動けない」状態に陥りました。そして、本人にも不可解な涙まで出てきています。

 私がこれまで実際に経験したさまざまな「うつ」のケースを思い起こしてみますと、初期症状として現われた身体症状には、かなりのバリエーションがあります。

 たとえば、胸の痛み、過呼吸発作(過換気症候群)、手の震え、声が出ない(失声)、吐気、食欲の減退、性欲の減退、冷汗、めまい、頭痛、胃痛(胃潰瘍、胃炎、胃痙攣)、下腹部痛、動悸、喉に物が詰まったような違和感、眼痛、肩こり、腰痛、等々さまざまです。

仮面うつ病」という病名があります。どこかで聞いたことがあるかもしれませんが、これはmasked depressionの訳語で、「隠されたうつ病」という意味です。つまり、身体症状だけが前面に現れている状態なので、「うつ」であるとは全然自覚されずに、身体の病気と捉えられてしまう病態を指します。

 ですから、「仮面うつ病」の場合は、本人も身体疾患だと思っているので内科などを受診することが多いのです。精神的な自覚症状が本人にないのですから、内科医も「うつ」が隠れていることを見過ごして、内科的治療だけを続けてしまうことも少なくありません。

 Aさんの場合は、集中困難や眠気等の精神的症状も現われていますので、診断上は「仮面うつ病」には当てはまりませんが、精神的な問題という自覚がないところは、とても似かよっています。



 このAさんの例でも、重要なのは

 こういう状況になったときに、周りが把握して病院につれていくことができたこと、ですよね。

 周囲に精神疾患に対する理解がなければ、その後の「治療」すら出来なくなってしまいます。怖いことです。

 日本はまだまだ精神疾患に対する理解がなく、偏見や妄信ばかりです。うつ病は甘えであると、未だに思っている人もいるくらいですから。石器時代のような浅い考え方をする人が周りにいては、うつ病の治療が出来なくなってしまいます。

 まずは、疾患に対するご理解を。次いで、ご協力を。

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posted by さじ at 04:01 | Comment(2) | TrackBack(0) | 精神

13歳の少女が心臓移植を拒否して尊厳死の権利を勝ち取る

13歳の少女に尊厳死 心臓移植拒否認める

 11日付の英紙デーリー・テレグラフは、重い白血病を患い、抗がん剤治療で心臓移植が必要になった英国の13歳の少女が、病院の移植の勧めを拒否し、「尊厳死」の権利を勝ち取ったと報じた。

 病院側は裁判で争って少女に心臓移植を受けさせようとしたが、手術が成功する保証はなく、成功しても免疫機能が低下して白血病が再発する恐れもあることから、少女は専門家に相談して移植を拒否。病院側が、余生を家族と過ごすことを認めたという。

 少女は5歳のときに白血病と診断。家族は、少女が今年のクリスマスまで生きてくれることを願っているという。



 これもひとつの選択です。

 正常な思考力をもって、自身で考えた結果、こういう選択を選ぶのは「ひとつの人生を全うする」という意味で非常に良いのではないでしょうか。

 日本では尊厳死、安楽死ともに、法律的に曖昧な形です。合法か否かと言われれば、合法ではない。違法でもない。といった感じでしょうか。東海大安楽死事件で裁判側が提示した安楽死の4項目を満たせば、「違法性が阻却される」ということで、殺人罪に問われることはない、ということですが・・・よくわからんですよね。本来なら法律化すべきことだと思います。そういうのをナァナァにしておくのが日本の悪いところでもありますけど。

 尊厳死において何より大事なのは「延命しない」という意思を生前に表明しておく、リビングウィルという概念です。

 「本人の意思」を「生前」に明確なものにしておくことの大切さを13歳の少女から学んだ気がします。

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posted by さじ at 02:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | NEWS

2008年11月09日

医療事故で家族を亡くした人と医師が対話をする。

シンポジウム:患者と医師「対立より対話を」−−奈良女子大

 医療事故で家族を亡くした人たちが、患者と医師の対立を超え、医療のあるべき姿を考えるシンポジウム「医療事故遺族が求める真実とは」が3日、奈良市の奈良女子大であった。福島県立大野病院で04年に起きた帝王切開中の医療事故で死亡した女性(当時29歳)の父の渡辺好男さん(58)が約70人を前に「娘が入院した25日間の真実を知りたい」と心情を吐露した。

 シンポジウムは福島県立大野病院の執刀医に対する福島地裁の無罪判決が確定したことを受けて開かれ、裁判では解消されない疑問があることを訴えた。渡辺さんの娘は前置胎盤で、ハイリスクの患者だったが、渡辺さんは「手術当日まで、医師からリスクの話はなかった。娘がなぜ死ななければならなかったのかと思う。いつか病院に聞きたい。情報も報道されたことしかなく、悔しかった」と、病院側の説明が十分でないことを訴えた。

 大淀町の町立大淀病院で06年8月、分娩中に意識不明となり、搬送先で死亡した高崎実香さん(当時32歳)の義父憲治さん(54)は産科の救急医療のあり方について主張。東京都立墨東病院などに受け入れを拒否された妊婦が死亡した問題に触れて「産科医がいなかったというが、主治医が(転送先に)付いていけば済むことではなかったか」と指摘した。



 医師と患者は本来、対立するものではありません。

 双方が歩み寄る必要があると、思います。

 医師は1人の患者に誠心誠意をもって尽くすべきですし、患者やその家族は、「医師は自分たちだけのものではない」ことを認識すべきです。

 お互いに気遣い、配慮をすることの大切さ、再確認したいと思います。

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posted by さじ at 23:45 | Comment(1) | TrackBack(0) | 救急

産婦人科医は月平均300〜500時間も拘束されている。

産科医、月300時間の拘束 過酷勤務明らか、初の実態調査

 全国の一般病院や大学病院に勤める産婦人科医が、診療や待機などで拘束されている時間は月平均で300時間を超え、中には500時間以上の医師もいることが、日本産科婦人科学会による初の勤務実態調査の中間集計で31日分かった。

 単純に1カ月30日として割ると、300時間の場合は休日なしで毎日10時間、最長の例では同16時間拘束される計算になる。

 学会は「過酷な勤務の一端が数値で示された」とし、厚生労働省に報告。詳しい内容を11月1日に都内で開く公開市民フォーラムで発表する。

 集計は一般病院の221人、大学病院の76人の勤務医からの回答を基にまとめた。一般病院のうち、当直勤務がある一般病院の医師は月平均4・2回の当直をこなし、病院にいる時間は月平均301時間だった

 当直がない一般病院では、実際に病院にいる時間は平均259時間だったが、お産があると必ず呼び出される「病院外での待機時間」も含めると、拘束時間は平均350時間に上った

 一方、大学病院の勤務医は、大多数が一般病院でのアルバイトもこなすため拘束時間は平均341時間と長く、当直は月平均5・8回。最長で505時間だった。



 大きな病院だと、寝る時間以外、拘束されているっていう例もあるでしょうね。

 「病院外の待機」だって、そんな制約を課せられていたら何も出来ませんしね。

 国民の力で何とかならないもんですかねぇ。医師は悪徳だとか、そういうことばっかり報道してて医者バッシングに力を注いできたマスコミも、反省の気持ちがあるのなら、国に公共事業費を削減して医学部定員増の体制づくりを促すように報道してもらいたいものです。

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posted by さじ at 23:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | 大学